債務整理 弁護士コラム

任意整理と自己破産はどう違う? 選び方のポイントも解説

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更新日:2023年11月15日 公開日:2022年09月27日

任意整理と自己破産はどう違う? 選び方のポイントも解説

借金の返済が難しくなったときは、債務整理でその借金を減免してもらうことで解決できます。任意整理と自己破産は、どちらも債務整理の一種です。借金問題を解決するために、どちらを選べばよいのかで迷われている方も多いことでしょう。

ただ、任意整理と自己破産は別の制度なので、手続きの流れが違いますし、メリット・デメリットもそれぞれ異なります。

そこで今回は、任意整理と自己破産には具体的にどのような違いがあるのか、どんなポイントに注意して選べばよいのかについて解説します。

1、任意整理と自己破産の違い

任意整理は、裁判所を介さず債権者と直接交渉することにより、今後の返済額や返済方法を変更する手続きです。大幅な借金の減額は期待できない一方で、他の債務整理と比べてデメリットが少ない手続きとなっています。

一方、自己破産は、裁判所の手続きを利用して借金の返済義務を全て免除してもらうことが可能な手続きです。借金が全てなくなるという大きなメリットがある反面で、デメリットも多い手続きとなっています

任意整理と自己破産の具体的な違いは、以下のとおりです。

任意整理 自己破産
借金の減免 基本的に将来利息のカットのみ 全額が免除される
手続きの内容 債権者との直接交渉 裁判所に申し立てる
手続きの複雑さ 比較的簡便 複雑で厳格
財産の処分 処分不要 20万円を超える財産は処分
対象とすべき借金 自由に選べる(保証人への影響を回避できる・ローンを組んだ車の引き揚げを回避できる) 全ての借金を対象としなければならない(保証人に迷惑がかかることがある・ローンを組んだ車は引き揚げられる)
手続きにかかる期間 3~6か月程度 3~12か月程度
必要な費用 1社につき5~7万円程度 30~130万円程度
仕事への影響 影響なし 手続き中は一部の資格・職業に制限がかかる
信用情報への影響 事故情報が登録される 事故情報が登録される
事故情報の登録期間 完済から5年 免責許可決定の確定から10年
官報への掲載 掲載されない 掲載される
家族等に知られるか 知られる可能性はほぼない 知られる可能性がある

2、任意整理・自己破産 それぞれの手続きの流れ

次に、どのような流れで手続きが進められるのか、それぞれについて解説します。

  1. (1)任意整理の手続き

    任意整理の手続きは、以下の流れで進められます。

    • 受任通知の送付
    • 取引履歴の取り寄せ
    • 利息引き直し計算
    • 過払い金があれば返還請求
    • 債務が残れば債権者と交渉
    • 和解成立
    • 返済開始


    裁判所の手続きを利用しないため、必要書類は特にありません。交渉によって、債権者にどこまで譲歩してもらえるかがポイントとなります

  2. (2)自己破産の手続き

    自己破産の手続きは、以下の流れで進められます。

    • 受任通知の送付
    • 申立書類の作成と必要書類の収集
    • 裁判所への申し立て
    • 裁判官との面接
    • 破産手続き開始決定
    • 同時廃止決定(20万円を超える財産がなく、借金の使い道等にも問題がない場合)
    • 債権者集会
    • 免責許可決定


    破産法にのっとって手続きが進められるため、正確に手続きを行うことと、借金の使い道等に問題がないことを、裁判所にわかりやすく説明することがポイントとなります

3、任意整理と自己破産のメリット・デメリットの比較

次に、両者のメリット・デメリットを比較してみていきましょう。

  1. (1)任意整理のメリット(自己破産のデメリット)

    任意整理のメリットをひとことで言うと、簡便な手続きで柔軟な解決を図れるということです。

    裁判所を介さないため手続きは比較的簡便かつ柔軟であり、短期間で解決を図ることも可能で、費用も低額で済む傾向にあります。自己破産では、複雑かつ減額な手続きが必要なので、一定の期間がどうしてもかかる上に、費用も高額となる傾向にあります。

    任意整理では整理する借金を自由に選べるので、保証人付きの借金を除外して手続きすれば、保証人が請求を受けることもありません

    自己破産では、全ての借金を対象としなければならないので、保証人付きの借金を除外して申し立てることはできません。そのため、保証人が請求を受けてしまうことがあります。

    任意整理は、財産を処分する必要がなく、職業制限もないので、手続き後も生活や仕事を今までどおりに続けることができます。

    自己破産では、評価額20万円を超える財産は原則として処分しなければなりません。
    家や車、生命保険などを失う可能性が高いことに注意が必要です。
    また、手続き中は一部の資格や職業に制限がかかるため、仕事を辞めなければならないこともあります。

    任意整理では借金の使い道は問われないので、ギャンブルや浪費で作った借金も整理できます自己破産ではギャンブルや浪費で借金を作った場合は「免責不許可事由」に該当し、原則として借金がそのまま残ってしまいます

    任意整理は手続きしたことが公表されることはないので、家族や勤務先等に内緒で手続きしやすいです。
    自己破産をすると、官報に住所や氏名が掲載され、公表されてしまいます。ただ、一般の方が官報を見ることはほとんどないので、この点は、さほど気にする必要はありません。

  2. (2)自己破産のメリット(任意整理のデメリット)

    自己破産のメリットをひとことで言うと、多額の借金が全てなくなるということです。

    免責不許可事由がない限り、裁判所の決定によって、強制的に全ての借金の返済義務が免除されます。返済の必要がなくなるので、無収入の方も自己破産手続きを利用できます

    任意整理では、債権者の同意が得られない限り借金は減額されません。同意が得られるとしても、基本的には将来利息が免除されるのみです。残元金を3年~5年で完済できる程度の安定収入がなければ、任意整理手続きは利用できません。

4、任意整理と自己破産で迷ったときの選び方のポイント

任意整理と自己破産、どちらを選ぶかで迷ったときは、それぞれの手続きの特徴とメリット・デメリットを比較して検討することで、適切に判断することができます。

以下では、任意整理に向いている人・自己破産に向いている人の特徴をそれぞれまとめておきます。

  1. (1)任意整理に向いている人

    任意整理に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

    • 借金総額が比較的少ない
    • 安定収入がある
    • 3~5年は返済を継続する意思がある
    • 手続きにかかる労力・時間・費用をなるべく抑えたい
    • 失いたくない財産がある
    • 保証人に迷惑をかけたくない
    • 家族や職場等に内緒で借金を整理したい


    「自己破産したくない」と思っても、借金総額が大きい場合や収入が少ない場合は、任意整理では解決できないことがあります

    借金総額がいくらまでであれば任意整理で解決できるかは、収入や金利にもよりますが、一般的な会社員の方であれば300万~400万円を超えると厳しくなってくるでしょう。

  2. (2)自己破産に向いている人

    自己破産に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

    • 借金総額が大きい
    • 任意整理や個人再生によっても完済できる収入がない
    • 評価額20万円を超える財産がない
    • ギャンブルや浪費で作った借金がない(あったとしても割合が少ない)
    • 一から生活を立て直したい


    自己破産は最終手段ではありますが、任意整理や個人再生でも解決できないほどの借金を抱えた場合は、デメリットを受け入れてでも手続きをしたほうがよいでしょう。

    借金を放置しているといつまでも返済に追われる上に、精神的にもダメージを受けてしまうはずです。自己破産は法律で認められた正当な解決手段なので、必要な場合には自己破産を申し立てて、一から生活を立て直すことを検討しましょう

5、まとめ

任意整理と自己破産には異なる特徴とメリット・デメリットがあります。自分で「任意整理をしたい」あるいは「自己破産をしたい」と思っても、状況によっては希望どおりに手続きできないことも多いものです。

一方では、任意整理と自己破産のどちらでも解決可能というケースもあります。それだけに、どちらを選べばよいのかで迷ってしまう方も多いことでしょう。

債務整理手続きの選択を誤ると、借金問題が悪化してしまい、解決が難しくなってしまうこともあります迷ったときは、弁護士にご相談の上、適切な手続きを選ぶことをおすすめします

ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、債務整理事案の経験豊富な弁護士が状況に応じて最適な解決方法をご提案いたします。
債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国73拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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