債務整理 弁護士コラム

自己破産のデメリット|他の債務整理との違いや隠されたメリットとは

2019年07月02日
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自己破産のデメリット|他の債務整理との違いや隠されたメリットとは

借金の金額が増えすぎてしまって、とても完済できそうにない……。
もう何年も借金返済生活を続けている。もう限界……。
借金があるのに失業して収入が激減してしまった。どうやって返せばいいのかわからない……。

このようなお悩みをお持ちの方にとって、自己破産は最適な解決策となる可能性があります。
自己破産によって裁判所に借金の免責を認めてもらえば、あなたが負っている借金はすべて支払義務を免除してもらうことが可能だからです。

ただ、「自己破産」という言葉を聞くと、マイナスなイメージを持つ人が多いでしょう。自己破産を選択することにはデメリットもありますから、その具体的な内容を理解しておくことが大切です。

今回は、
自己破産を選択するとどうなるのか
自己破産を選択した場合、どのようなデメリットがあるのか
自己破産についてのよくある誤解
自己破産を選択する場合の手続きの流れ

について具体的な内容を解説いたします。

この記事が借金に悩むあなたの参考になれば幸いです。

1、自己破産とは

自己破産は、「支払不能」の状態にある場合に選択することができる方法です。支払不能の状態とは、具体的には次のような状態をいいます。

  • 返したお金がすべて利息支払いに充てられてしまい、元本がまったく減らない
  • 借金の額が年収を超えてしまった
  • 失業してしまい、借金を返せるめどが立たない


こうした場合に、裁判所に申し立てをして「免責決定」を出してもらうことができれば、あなたの借金はゼロになります。(※法律上、借金の支払義務を免除してもらうことを「免責」といいます)

借金が免責になれば、あなたの収入は借金返済ではなく、生活費に充てることができますから、生活はずいぶんと楽になることでしょう。

ただし、次の項目でも説明するように、自己破産にはデメリットもありますから、自己破産は借金の返済の見込みがない場合の最終手段と考えておきましょう。

2、自己破産をすることのデメリット

自己破産を選択することには、次の8つのデメリットがあります。

  • (1)財産を没収される
  • (2)手続き期間中は職業・資格の制限がある
  • (3)クレジットカードの利用に制限がかかる
  • (4)ブラックリストに登録される
  • (5)官報にあなたの情報が掲載される
  • (6)連帯保証人に借金の督促がいってしまう
  • (7)あなたの状況によっては免責されないケースがある
  • (8)免責されない債務もある(非免責債権)


以下、それぞれのデメリットについて順番に解説していきます。

  1. (1)財産を没収される

    土地や建物といった不動産や、99万円を超える金額の現金、評価額の高い車などは残念ながら没収されてしまいます(お金に換えて債権者に分配しなくてはなりません)。

    もっとも、あなたが生活していくために最低限必要なものは没収されることはありません。具体的には、99万円以内の現金や、テレビや携帯電話を含む家財道具一式はあなたが所有し続けることが可能です。

  2. (2)手続き期間中は職業・資格の制限がある

    自己破産の手続きをしている間は、免責許可が正式におりるまでは、就ける職種が制限されます。

    制限されるのは、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、警備員、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、日本銀行や信用金庫の役員などの職業です。
    なお、免責の許可までは平均3~6ヶ月かかります。

    また、自己破産を経験すると、就職活動が不利になると考える人もいるかと思いますが、実際にはまったく影響ありません。

    問題になる可能性があるとすれば、自己破産をすると内閣府から発行される「官報」というものに名前等が掲載されることがあげられますが、これを調べる企業はほとんどなく、面接で聞かれることもまずありません。

    自己破産は債務整理の一つであり権利であり、法律には触れていませんので面接などでも自分から述べる必要はありません。また、あなたが今サラリーマンとして働いていたとしても、自己破産をしたことについて会社へ通達されるようなことはありません。
    あなたが自分から言わなければ、職場の同僚や上司に知られるようなことはないのでご安心ください。

  3. (3)クレジットのカードの利用に制限がかかる

    自己破産を申請した時点で、リボルビング払いなどの残高が残っているクレジットカードが利用不可になります。また、残高のないクレジットカードについても自己破産申請後、しばらくすると利用できなくなります。

    これは、信販会社が加入している「CIC」という信用情報機関から、あなたが自己破産をしたという情報が信販会社に伝わってしまうためです。

    手続き後に新しくクレジットカードを作ろうとした場合も同様です。

    信販会社はCICで個人情報を確認したうえで申請を通す仕組みになっていますので、信用情報機関から事故情報が消えない限りはクレジットカードを作成することができないのです。

    自己破産による免責後、事故情報が消えるまでは5年~10年かかります。不便に感じる人もいるかと思いますが、自己破産をした後、当分の間はクレジットカードが使えなくなると考えていたほうがよいでしょう。

  4. (4)ブラックリストに登録される

    自己破産をすると、信用情報機関にあなたの名前や住所、生年月日などの個人情報をはじめ、過去の返済履歴や年収などが「事故情報」として登録されてしまいます。

    この登録された状態のことを「ブラックリストに登録される」といいます。ブラックリストに登録されると、前述したようにクレジットカードが作れなくなるのに加え、キャッシングやカードローン、住宅ローンや車のローンが組めなくなります。

  5. (5)官報にあなたの情報が掲載される

    自己破産をすると、「官報」という政府発行の情報誌にあなたの個人情報(名前や住所、借金を免責された旨)が掲載されてしまいます。「官報」とは、内閣府が発行している機関紙です。

    官報は行政機関の休日を除くほぼ毎日発行され、国の法令や法律の決定事項などが掲載されるものです。自己破産の開始決定時と、免責がおりたときの2度掲載されてしまうので万が一見られてしまえば、周りの人に分かってしまう可能性があるでしょう。

    ただし、実際にはこの官報をチェックしている一般の人はほとんどいません。
    また、自己破産で掲載される人の数はものすごく多いですから、官報を通してあなたが自己破産したことをまわりに知られるようなことはほぼないと言えます。

  6. (6)連帯保証人に借金の督促がいってしまう

    自己破産をした場合、連帯保証人がいればそちらに借金の支払義務が移行することになります。その際、連帯保証人には一括請求がいきますので、その人には多大な迷惑がかかることは避けられません。

    実際に連帯保証人に借金が移行し、その連帯保証人も支払いに困って自己破産をするというケースもあります。自己破産をする前には、連帯保証人に正直に伝えておくようにしましょう。

    また、あなたよりも収入が少ない家族が連帯保証人になっている場合は、彼らに借金が移行したとしても実質的に支払うことはできないでしょう。あなたが自己破産を選択することは、連帯保証人の人生も左右してしまうことを意味しますので、慎重に検討するようにしてください。

  7. (7)あなたの状況によっては免責されないケースがある

    自己破産は、申請をすればすべての人が免責を受けられるとは限りません。自己破産による借金免責を認めてもらうための条件として、第一に「支払不能」の状態であることが必要です。

    もし、借金を返せる余地があると判断されれば自己破産手続きをしたとしても、免責が認められないことがあるのです。

    また、ギャンブルなどで作った借金は免責が出ないと言われることが多いですが(免責不許可事由といいます)、実際には裁判官の判断によって認められることがほとんどです。

  8. (8)免責されない債務もある(非免責債権)

    自己破産による免責決定が出た場合にも、性質上免責されない債務があります。具体的には、次のようなものは自己破産手続き後も支払義務がなくなりません。

    1. 一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
    2. 二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
    3. 三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
    4. 四 次に掲げる義務に係る請求権
      イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
      ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
      ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
      ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
      ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
    5. 五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
    6. 六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
    7. 七 罰金等の請求権

    引用元:破産法253条


    住民税や固定資産税、国民健康保険料や国民年金保険料、罰金などの「公的な請求権」は免れることができませんので注意しておきましょう。

    また、子どもの養育費や、あなた自身が事業主として雇用していた従業員へのお給料も同様です。
    さらに、あなたが故意で暴力をふるって他人に怪我を負わせたような場合の損害賠償債務も免責されることはありません。

3、デメリットと混同されやすいこと

自己破産については、間違って理解されていることも少なくありません。具体的には次のような誤解をしている人が多いので注意しておきましょう。

  1. (1)まわりの人にすぐばれてしまうことはない

    自己破産をしても会社に通達がいくこともないですし、「官報」という一般人がほとんど読むことのない機関紙に名前が載る程度です。
    実際にはあなたが自分から言わない限り、周りの人に自己破産をしたことがバレることはないでしょう。

  2. (2)旅行ができなくなることはない

    自己破産をしても、旅行ができなくなることはありません。パスポートもとれますし、当然没収されることもありません。

    ただし、あなたの自己破産手続きが 「管財事件」として扱われる場合、手続き中は旅行への制限がかかります。
    ※管財事件とは、あなたが一定額以上の財産を所有している場合などの自己破産手続きです。

    この場合は遠出については制限されますが、裁判所に申請して認められれば旅行に行くことは可能です。

    なお、ほとんどの自己破産手続きはこうした「管財事件」ではなく「同時廃止事件」として処理されます。同時廃止事件の場合は旅行の制限はまったくありません。

  3. (3)選挙権が奪われることはない

    自己破産をしても、18歳以上であれば選挙権を奪われることはありません。

  4. (4)賃貸ができなくなることはない

    自己破産をしたときに賃貸住宅に住んでいる場合、追い出されるようなことはありません。また、新たに賃貸物件を借りる場合でも問題なく借りられます。

    しかし、近年は賃貸をするときに、家賃保証会社といって保証人の代行をしてくれる会社を利用することが増えています。その場合、審査に通らないことが多いことは知っておきましょう。

4、自己破産にはメリットもある

ここまで、自己破産を選択することによってあなたがかぶる可能性があるデメリットについて説明してきましたが、メリットについても見ておきましょう。

自己破産を選択することのメリットとしては、次のようなことがあげられます。

  1. ①借金がゼロになる
  2. ②収入がない人も自己破産の申し立てができる
  3. ③すべての財産が没収されるわけではない
  4. ④手続き終了後に取得した財産は一切没収されない


こちらも順番に見ていきましょう。

  1. (1)借金がゼロになる

    上記に述べたように、税金などは免責されませんが、他のすべての借金はゼロになります。取り立てや催促の連絡も完全になくなり、それまで借金の返済に回していたお金を生活費に充てられることが可能になります。

    これまでの借金で苦しんでいた生活から解放され、人生の再スタートを切ることが可能になるでしょう。

  2. (2)収入がない人も自己破産の申し立てができる

    自己破産は収入がない人であっても申し立てをすることができます。弁護士費用などは必要になりますが、これも後払いや分割払いに応じてもらえる場合がほとんどです。

    また、生活保護対象者や年金受給者も可能です。

  3. (3)すべての財産が没収されるわけではない

    自己破産をしても、99万円以下の現金や、20万円以下の銀行預金は没収されません。

    また、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、パソコンなどの基本的な電化製品や家具も没収されることはありません。しかし、このような家電や家具でも、ローンが残っているものがあれば没収の対象となる可能性があるのでご注意ください。

  4. (4)手続き終了後に取得した財産は一切没収されない

    破産申し立てをして免責の許可が出た後に、あなたが新たに得た財産はあなたのものです。金額がいくらのものであっても没収されるようなことはありません。

5、自己破産と他の債務整理との違いとは?

自己破産の他にも「任意整理」「個人再生」「特定調停」といった債務整理の方法があります。
債務整理とは、その名の通りあなたの債務(借金)を整理することで、債務を減らして生活を立て直すための制度を広く意味する言葉なのです。

自己破産以外の3つは、あくまでも借金の額を減らす手続きで、ゼロになるわけではなく、手続き後には3年~5年かけて減らされた借金を返していく必要があります。その代わり、自己破産以外の3つは手続き後も財産が没収されることがありません。

「個人再生」についていえば、住宅ローンが残っているマイホームについてもあなたが持ち続けることができます。

自己破産は債務整理の中でももっとも効果が大きい分、デメリットも大きいですから、最終的な手段であると理解しておきましょう。

6、自己破産を考えたら弁護士への相談を

ここまで、自己破産のデメリットとメリットを含めて説明してきましたが、実際に自己破産の申し立てを個人で行うには、手間も時間も多くかかってしまうでしょう。

申立書類として債務状況や生活状況、財産状況などの細かな情報を集めないといけませんし、正確な借金の残高を調べるために細かい計算をする必要があります。

免責許可が出るまではおよそ半年間もの時間がかかりますから、その間裁判所からの呼び出しなどの対応もすべて自分でやるのには大変な労力がかかります。

これから自己破産の申し立てをするのであれば、無理せず弁護士に依頼することをおすすめします。プロである弁護士にすべてを任せておけることで、気持ちに大きなゆとりがもてるでしょう。

7、まとめ?自己破産には実は大きなメリットが同時に存在する?

今回は、自己破産を選択することによるデメリットについて解説いたしました。

背負ってしまった借金をゼロにするのですから、その分だけデメリットもあることがご理解いただけたのではないでしょうか。しかし、デメリットと同時にメリットも存在することをぜひ頭に入れておいてください。

自己破産をしたことを周りに知られる可能性は極めて低いですし、家財道具まで没収されることもありません。なによりも借金をゼロにして、新たな人生の再スタートを切ることができます。

借金のことが常に頭にあるのは、とても苦しくてつらいことです。自己破産を選択すれば、その苦痛を断ち切って新しく人生をやり直すことができるのです。

借金にお悩みの方は、ぜひ自己破産を選択肢の一つに入れてみてください。

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