債務整理 弁護士コラム
個人再生とは、基本的に財産を処分することなく、借金を大幅に減額できる債務整理の方法です。
個人再生の大きなメリットのひとつとして、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」があります。これは、一定の条件を満たしていることで、自宅を維持しながら借金を整理できる制度です。
本コラムでは、個人再生の住宅ローン特則の内容や利用条件、特則を使えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
個人再生の住宅ローン特則の正式名称は、「住宅資金特別条項」といいます。その制度の内容は、以下のとおりです。
住宅ローンも個人再生の対象ですが、住宅ローン特則を使わなければ、消費者金融などからの借金と同様に取り扱われます。手続き中はローンの支払いが停止し、最終的には大幅に減額されるのです。
しかし、そうなると債権者は抵当権を実行することが可能となり、住宅が競売にかけられるなどして売却されてしまいます。なお抵当権とは、債務者が返済できなくなった際などに、債権者が担保として設定していた不動産から弁済を受けることができる権利のことです。
個人再生で住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンだけは特別に返済を継続することが認められます。それによって債権者に抵当権を実行されることがなくなるため、住宅を失うことはありません。
つまり、住宅ローンは減額されないものの住宅を残しつつ、他の借金のみを減額できる制度が住宅ローン特則(住宅資金特別条項)というものです。
住宅ローン特則を利用した場合の返済方法としては、民事再生法で次の5つが認められています。
2章では、住宅ローン特則の利用条件と、利用する際の注意点を解説します。
住宅ローンの法律上の利用条件は、以下のとおりです。
これらのうち、ひとつでも条件を満たさない場合には、住宅ローン特則は利用できません。
夫婦共有の住宅について、夫婦が別々に住宅ローンを組む「ペアローン」を利用している場合、原則として住宅ローン特則は利用できません。なぜなら、「住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと」という利用条件を満たさないからです。ペアローンでは住宅に2つの抵当権が設定され、申立人から見て配偶者のための抵当権は、他人の借金を担保するための抵当権とみなされてしまうのです。
ただし、実務上は、夫婦で同時に住宅ローン特則付き個人再生を申し立てるか、夫婦の片方だけが申し立てる場合でも、もう一方が住宅ローンを滞りなく返済できる見込みがあり、その抵当権を実行される恐れがないといえる場合には、住宅ローン特則の利用が認められる傾向にあります。
住宅ローンに連帯保証人が付いていても、住宅ローン特則は問題なく利用できます。主債務者が住宅ローンの返済を継続する限り、連帯保証人が請求を受けることはないからです。
「連帯保証人がいるから住宅ローン特則は使えない」と考えて自己破産をすると、住宅を手放すことになるので注意しましょう。
住宅ローンがアンダーローンとなっている場合は、他の借金の個人再生による返済額が大きくなる可能性があります。個人再生では、所有財産の総額は最低限返済しなければならないという「清算価値保障の原則」が適用されるからです。
たとえば、住宅の評価額が2000万円で、住宅ローン残高が1500万円の場合、差額の500万円は所有財産となります。この他に100万円の財産を所有しているとすれば、合計600万円を3~5年で返済しなければなりません。
住宅ローン残高が住宅の評価額よりも大幅に低い場合には、返済能力の問題で個人再生が利用できないこともあるでしょう。
個人再生の住宅ローン特則が使えなくても、自宅に住み続ける方法はいくつかあります。
任意整理は、債権者との直接交渉によって借金の返済方法を決め直す手続きです。裁判所を介さないため、住宅ローンを手続きから除外して、他の借金のみを整理することができます。
ただし任意整理では、原則として元金のカットができません。そのため、住宅ローン以外に多額の借金を抱えている場合には、解決できない可能性もあります。
任意整理で解決できない場合には、親族に住宅を買い取ってもらい、その親族から借りて住み続けることが考えられます。
この場合は任意売却という形をとるため、債権者の承諾が必要です。債権者の承諾を得るためには、親族が適正な価格を支払わなければなりません。
リースバックとは、住宅を不動産会社などに売却するとともに賃貸借契約を結び、その住宅に住み続ける仕組みのことです。
ただし、賃貸借期間は2年程度に限られることが多く、賃貸借終了時に住宅を買い戻すためには、売却価格よりも高い金額が必要となるケースがほとんどです。そのため、一時的に住み続けたい場合を除いて、リースバックはあまりおすすめできません。
個人再生で住宅を失ったとしても、将来、再び住宅ローンを組んでマイホームを購入したいと考えることもあるでしょう。そのようなときは、次の2点に注意が必要です。
個人再生をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、一時的に住宅ローンは組めなくなります。しかし、一定期間が経過すると事故情報は削除され、その後は住宅ローンが組めるようになります。
事故情報が削除されるまでの期間は、再生手続きの開始決定から7年です。
信用情報機関の事故情報が削除された直後は、プラスの信用情報も何も登録されていない状態なので、住宅ローンの審査で有利になるとはいえません。
少しでも審査に通りやすくなる方法として、次のようなことが考えられます。
融資を申し込んだ事実も、信用情報機関に6か月間は登録されます。そのため、ダメ元で立て続けに申し込みをすると、金融機関から「お金に余裕がない」と判断され、審査に通りにくくなる可能性があることに注意が必要です。
個人再生の住宅ローン特則の利用条件は細かくて複雑なので、利用を検討する際は弁護士へのご相談をおすすめします。債務整理の経験が豊富な弁護士に相談すれば、利用する際の注意点も含めて、具体的なアドバイスが受けられます。
また、住宅ローン特則付き個人再生の手続きは非常に複雑なので、弁護士に依頼した方がよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、知見・経験豊富な弁護士が住宅ローン特則付き個人再生の手続きを全面的にサポートすることが可能です。住宅ローン特則が利用できない場合でも、任意整理をするなど、最善の解決方法を提案いたします。
「住宅を手放したくないけれど、個人再生や任意整理をして借金問題を解決したい」とお考えの方は、まずはベリーベスト法律事務所にご相談ください。債務整理についてのご相談は、何度でも無料で承っております。
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借金があるのに収入が大幅に減ってしまい、毎月のローン返済が本当に苦しい……。持ち家は手放したくないけど借金を減らしてもらいたい……。
このようなお悩みをお持ちの方は、個人再生を選択することによって借金問題を解決できる可能性があります。
個人再生を裁判所に認めてもらえれば、借金を今の残高からおよそ5分の1にまで減らしてもらうことができるのです。
この記事では、個人再生とはどういうものなのか? について簡単にわかりやすく解説します。
個人再生は借金の返済額を大幅に減らすことが可能な債務整理の方法です。ただ、自己破産のように返済額がゼロになるわけではなく、減額後の借金を継続的に返済していく必要があります。
個人再生では「最低弁済額」というものが法律で定められており、事案の内容によっては返済額があまり減らない可能性もあるので注意が必要です。
本コラムでは、最低弁済額の内容、その金額を決める基準、最低弁済額を払えないときの対処法について解説します。
個人再生とは、基本的に財産を処分することなく、借金を大幅に減額できる債務整理の方法です。
個人再生の大きなメリットのひとつとして、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」があります。これは、一定の条件を満たしていることで、自宅を維持しながら借金を整理できる制度です。
本コラムでは、個人再生の住宅ローン特則の内容や利用条件、特則を使えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。