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残クレで破産したら車は没収? 手放さずに済む? 借金を整理する方法

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更新日:2025年12月16日 公開日:2025年12月16日

残クレで破産したら車は没収? 手放さずに済む? 借金を整理する方法

「残クレの支払いがもう限界……」そのような状況に追い込まれていませんか。

残価設定型クレジット(残クレ)は、月々の負担が軽く見える一方で、契約満了時に高額な残価精算や乗り換え判断を迫られます。生活に欠かせない車なのに、支払いができず自己破産まで考える人も少なくありません。

自己破産になれば、原則として車を手放さなければなりませんが、借金問題を解決する手段には自己破産以外にも任意整理や個人再生という方法があります。状況に応じた最適な手段を選択することで、車を手元に残したまま借金問題を解決できる可能性があるのです。

今回は、残クレ契約中に自己破産すると車がどうなるのか、手放さずに済む方法はあるのか、自己破産以外の借金整理の選択肢などを、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。

1、「もう限界…」残クレの支払いで自己破産を考えるあなたへ

残クレは月々の支払いを抑えられる一方、契約満了時に高額な残価精算や条件違反による追加費用が発生するリスクがあります。支払いが重くのしかかると生活費を圧迫し、破産に追い込まれるケースも少なくありません。

まずは、残クレの仕組みや「地獄」と呼ばれる理由、破産リスクの高まる状況を理解しておきましょう。

  1. (1)残クレとは? 残価設定型クレジットの仕組み

    残クレは、車の購入時に数年後の下取り価格(残価)をあらかじめ設定し、その残価を差し引いた金額だけを分割で支払うローン方式です

    たとえば、300万円の車を購入し、3年後の残価を150万円に設定した場合、残りの150万円を3年間で分割払いします。月々の支払額が低く抑えられるため、予算内でアルファードなどのより高級な車を選びやすくなるのがメリットです。

    残クレによる契約満了時の選択肢は以下の3つです。

    • 残価を一括で支払い、車を買い取る
    • 車を返却し、新しい車に乗り換える
    • 残価を再ローンで支払い続ける


    ただし、残価部分は契約期間中には減らず、最終的にまとまった支払いが必要になるのが大きな特徴です。

  2. (2)残クレが「地獄」と呼ばれる理由

    残クレは便利な制度ですが、「残クレ地獄」と呼ばれることがあります
    その理由は以下のとおりです。

    ① 契約満了時に高額な残価精算が必要
    数十万〜数百万円を一括で用意する必要があります。

    ② 残価再ローンで総支払額が増える
    金利負担が続き、結果的に支払総額が車両価格を大きく上回る場合があります。
    分割で支払う金額は残価を除いた額ですが、金利は車両全体の価格に対して計算されているため、金利は高額になる傾向にあります。

    ③ 車の価値が下がると差額請求が発生
    事故や傷、走行距離超過などで査定額が残価を下回れば、その差額を追加で支払う必要があります。

    ④ 心理的な油断
    「月々の負担が安いから大丈夫」と思い、安易に契約しても、生活全体の支出が膨らみ、返済不能に陥ることがあります。


    こうした事情から、支払いが滞ると破産に直結しやすいのが特徴です。

  3. (3)走行距離制限や返却条件のデメリット

    多くの残クレ契約には年間走行距離の上限(例:1万km)や返却時の車両状態の条件(内外装の損傷が少ないこと、事故歴がないことなど)があります

    これらに違反すると、追加精算として数万円〜数十万円を請求されることがあります。特に、地方で通勤距離が長い方は距離制限を超えやすく、追加負担が契約満了時に大きくのしかかります。

  4. (4)支払額と破産リスクとの関係

    破産リスクが高くなるのは、月々の残クレ支払額が生活費を圧迫している場合です

    世帯年収にもよりますが、たとえば月5万円以上を支払い続けていると、急な収入減や予期せぬ出費により、残クレの支払いに回すことができなくなり、滞納が発生しやすくなるでしょう。滞納が続くと信用情報に記録が残ります。結果、新たな借入ができなくなり、最終的に自己破産という選択肢しか残らない状況に追い込まれる可能性があるため注意が必要です。

2、残クレで自己破産をしたらどうなる|借金はなくなるが車は手放す必要あり

自己破産は借金を原則すべて免除できる強力な手続きですが、残クレ契約中の場合、原則として車の返却が必要になります

以下では、自己破産の仕組みや車の扱い、メリット・デメリットを説明します。

  1. (1)自己破産の基本的な仕組み

    自己破産は、裁判所を通じて借金の返済義務を免除してもらう、借金を整理するための手続きで、「債務整理」の一種です。

    対象となるのは、カードローン・リボ払い・自動車ローンなどほぼすべての借金で、残クレの未払い分も免除の対象になります。

    ただし、自己破産では、原則として20万円以上の価値がある財産は売却され(法手続き上では「換価処分」と呼ばれます)、債権者への返済に充てられるケースがほとんどです。車はこの対象になるため、基本的には、価値があれば手元に残すことはできません。

  2. (2)車の扱いは車検証の所有者欄で決まる

    自己破産をする際の車の扱いは、車検証の所有者欄で決まります

    ローンが残っている場合は、「所有権留保特約」により、所有者を本人とせずに、ローン会社や販売店に所有権が残ったままとするケースがあります。
    ローン会社は、仮に購入者がローンの支払いを滞らせた場合、車を引きあげて売却し、返済に充てることができるように、このような制度があります。

    そのため、まずは車検証の所有者欄を確認してみましょう。

    • 所有者がローン会社や販売店の場合:自己破産により契約解除、車は返却
    • 所有者が本人でローン完済済みの場合:20万円以上の価値があれば売却される可能性大
    • 所有者が本人で価値がほぼない場合:換価処分対象外となり、手元に残せる可能性あり


    残クレの場合、車検証の所有者欄は、ローン会社または販売店の名義になっているケースがほとんどです。そのため、弁護士が債務整理に着手した段階で、所有権留保特約に基づき車は引き上げられてしまう可能性が高いといえます。

    したがって、残クレで破産をするケースでは、車を手元に残すのは難しいといえるでしょう。

  3. (3)自己破産のメリット・デメリット

    自己破産には、以下のようなメリット・デメリットがあります

    ① 自己破産のメリット
    • 借金が原則としてすべて免除される:換価処分をしても残ってしまった借金は、カードローンやリボ払い、残クレの未払い分など、ほぼすべての返済義務がなくなるケースがほとんどです。
    • 取立て・督促が即時ストップ:弁護士が介入し、債権者に受任通知を送付すると、債権者からの督促や取立ては止まります。
    • 生活再建の第一歩を踏み出せる:借金の重圧から解放され、生活を立て直すきっかけになります。

    ② 自己破産のデメリット
    • 価値のある財産は原則処分される:車・不動産・貴金属など、20万円以上の価値がある財産は換価処分の対象となりますので、手元に残すことはできません。
    • 一定期間は信用情報に記録される:破産手続きが開始された日、あるいは免責許可決定が出た日から、5〜10年間は新たな借入やクレジットカードの作成ができません
    • 官報に氏名・住所が掲載される:一般に知られる可能性は低いものの、記録として残ります。
    • 残クレ契約中の車はほぼ残せない:所有者がローン会社の場合、契約解除で車は返却が基本です。
    • 一部の支払いは免除されない:税金や損害賠償金、養育費などは自己破産の手続きを行っても免除されません。

3、残クレ破産を解決する方法はある?

自己破産を避けながら残クレ問題を解決する方法もあります。以下では、代表的な3つの方法とそれぞれの手順や注意点を説明します。

  1. (1)車を売却または返却して乗り換える

    もっともシンプルなのは、車を手放すことでローン残高を精算する方法です

    残クレ契約中でも、車を販売店や買取業者に売却して得た金額を残債の返済に充てることができます。

    ただし、査定額がローン残高を下回る「残債割れ」になることが多く、その差額は現金で支払う必要があります。

    【手順】
    • 複数業者で査定を受け、できるだけ高い買取価格を提示する業者を選ぶ
    • 残債を精算し、契約を終了させる
    • 必要に応じて中古車や軽自動車など、負担の少ない車に乗り換える
  2. (2)個人再生で返済額を大幅に減額する

    個人再生は、裁判所の認可を受けて、借金を最大で約5分の1まで減額し、原則3〜5年で分割返済する制度です。

    一定の収入があり、継続的に返済ができる見込みがある場合に利用できます

    ただし、残クレで所有権留保付きの車については、手続開始と同時に返却しなければならないため、車を手元に残すのは難しい方法となるでしょう。

    【手順】
    • 弁護士に相談し、返済可能額を計算
    • 裁判所に個人再生の申立て
    • 再生計画案が認可されれば、新たな返済計画に基づいて支払い開始
  3. (3)任意整理で返済条件を見直す

    任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、金利カットや返済期間の延長などを行う方法です。残クレのローン会社とも交渉し、毎月の支払額を減らすことで、生活の負担を軽減できる可能性があります。しかし、その際には、所有権留保特約により、車はローン会社に引き上げられてしまう可能性が高いですので、注意が必要です。

    他方で、任意整理の場合、自己破産や個人再生と異なり、交渉の対象とする債権者を選ぶことができます。そのため、初めから残クレのローン会社を任意整理の対象から外すことも選択肢の一つになると思います。

    自己破産や個人再生より手続きが簡単で、車を手元に残したまま借金問題を解決できる可能性が残される点が大きな特徴です

    【手順】
    • 弁護士に依頼し、ローン会社と返済条件を交渉
    • 新しい返済条件で合意後、契約を締結
    • 合意内容に基づき、返済を継続

4、手遅れになる前に弁護士に相談すべき理由

残クレの支払いが厳しいと感じたら、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
早期に行動すれば選べる解決策が増え、車や生活を守れる可能性が高まります

以下では、早めの相談がもたらすメリットと弁護士に依頼したときの効果を説明します。

  1. (1)早期相談で選択肢が増える

    支払いが滞ってしまう前に相談すれば、自己破産以外にも任意整理や個人再生といった手段を検討できる余地があります。滞納が長引くと、ローン会社による契約解除や車の引き上げが進んでしまう可能性があり、後から手続きをしても取り戻せなくなるケースがほとんどです

    また、余裕のある段階であれば、返済計画の見直しや車の売却タイミングなど、選択肢が広がる可能性があります。返済し続ける見通しが立たなくなった時点で、弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)弁護士介入で督促が止まる

    弁護士に債務整理を依頼すると、「受任通知」が債権者に送られ、以降は原則として、直接の督促や取立てが停止されます。

    これにより電話や郵送での催促に悩まされることがなくなり、精神的にも落ち着いて生活を立て直す準備ができます。この間に、弁護士とともに無理のない返済計画や車を残すための戦略を立てることが可能です。

5、まとめ

残クレは月々の支払いが軽く見えても、契約満了時に高額な残価精算や条件違反による追加請求が発生し、生活を圧迫する危険があります。支払いが限界に達すれば自己破産で借金をゼロにできる可能性はありますが、ほとんどの場合、車は手放さなければなりません。

支払いに不安を感じたら、手遅れになる前に弁護士へ相談し、生活再建への一歩を踏み出しましょう。残クレや借金に関してお困りの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 13万1237件
  ※集計期間:2010年12⽉〜2024年12⽉末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約410名の弁護士が在籍
※2025年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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