債務整理 弁護士コラム
債務整理中は、基本的に借入をすることはできません。信用情報機関に事故情報が登録されているため、一般的な金融機関や消費者金融などに借金を申し込んでも、審査に通らないからです。
しかし、債務整理中であっても、生活費の不足などでお金が必要になることもあるでしょう。そのようなとき、一部の業者や個人から借入できることもありますが、安易な借入は控えるべきです。
本コラムでは、債務整理中に借入をしてはいけない理由と、借入をした場合に生じるリスク、どうしてもお金が必要なときの対処法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
多くの人は、漠然と「債務整理中に新たな借入はしない方がよい」と考えているはずです。しかし、借入をしてはいけない理由を明確に知っている人は少ないことでしょう。理由を知らなければ、お金に困るとつい借入をしてしまいかねません。
債務整理中に借入をしてはいけない理由は、以下のとおりです。
そもそも借金の返済が難しいために債務整理をしているにもかかわらず、さらに借入をすると余計に返済が困難となります。
たとえば、毎月3万円しか返済する余裕のない人が、返済月額5万円となる借金を抱えたとします。その借金を任意整理して返済月額を3万円に減らしたとしても、生活に余裕はないでしょう。そこで新たな借入をしたのでは、全体的に返済していくことは困難となるはずです。同様のことは、個人再生をしている場合でも起こる可能性があります。
もともとは任意整理または個人再生で解決可能な事案でも、借金を増やしてしまうと自己破産しか選択肢がなくなることにもなりかねません。
債務整理の手続き中に借入をすると、その債務整理に失敗する可能性があることにも注意が必要です。
任意整理では、借りたばかりの借金については減額や返済期間の延長に応じてもらうことは難しいのが実情です。新たな借金を約定どおりに返済しなければならないとすると、もともとあった借金の返済計画を策定することも難しくなります。
また、従前の債権者からは「返済の見込みなし」と判断され、交渉が難航することもあります。結局、全体的にみて返済可能な条件で和解することは難しくなるでしょう。
個人再生では、再生手続開始決定後に作った借金は手続きの対象外となることがあります。その場合は、約定どおりに返済しなければなりません。それを前提として再生計画案を作成・提出する必要があります。
新たな借金の返済の負担が重い場合には、裁判所から「返済継続の見込みなし」と判断され、再生計画案が不認可となる可能性が高まります。状況次第では、手続き中に借入をしたことのみをもって「返済継続の見込みなし」と判断される可能性も否定できません。
自己破産では、手続き中の借入・返済は「他の債権者を害する財産処分行為」あるいは「偏頗(へんぱ)弁済」とみなされ、免責が認められない可能性があります(破産法第252条1項1号、3号)。
新たな借入の金額や事情によっては、そのまま免責、または裁量免責が許可される可能性もありますが、その場合でも破産手続開始決定後に作った借金は免責されないことがあります。借金が残ってしまうと、自己破産をした目的を達成できないことにもなりかねません。
債務整理に着手すると、銀行などの金融機関や大手の消費者金融、クレジットカード会社などからは借入ができません。債務整理中に利用できる借入先はもっぱら、中小の貸金業者(いわゆる「街金」)や、闇金などの違法業者、あるいは個人となります。
これらの借入先を利用すると、債務整理でも解決できないようなトラブルに巻き込まれる恐れがあることに注意が必要です。
債務整理中に借入をすると、債務整理に支障をきたすこと以外にも、以下のようなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
いわゆる街金はヤミ金と混同されることもありますが、ほとんどは合法な貸金業者です。しかし、合法だから安心というわけではありません。
中小の貸金業者は、大手と同様の経営をしていては十分な収益を上げることが難しいため、信用情報機関に事故情報が登録されている人にもお金を貸すことがあります。その代わり、大手よりも高い金利で貸し付けることもあります。返済が滞った場合、違法な取り立てを行うことはありませんが、大手よりも厳しい取り立てを行います。
たとえば、大手の消費者金融なら債務者の自宅を訪問してまで取り立てることはまずありませんが、中小の貸金業者は自宅にやってくる可能性が十分にあります。その場合、精神的な負担が重いだけでなく、借金を抱えていることを家族や近隣の人など知られてしまうこともあるでしょう。
ヤミ金から借りると法外な利息を要求されるため、完済は極めて困難となります。返済できなければ、脅迫的な取り立てや悪質な嫌がらせが行われることも否定できません。家族や親戚、職場にまで連絡されたり、インターネットで個人情報をさらして誹謗中傷されたりして、社会生活に支障をきたすケースが数多くあります。
場合によっては、携帯電話や銀行口座の譲渡、特殊詐欺の手伝いなどを強要されることもあり、借主が犯罪者として逮捕されることにもなりかねないでしょう。
身内の人や友人・知人などの個人から借りた場合には、返済できなければ感情的なトラブルとなり、人間関係が壊れることになりがちです。また、法律を知らないが故に、違法な金利を要求されたり、身の危険を感じるような取り立てを受けたりすることもあります。
なお、SNSや掲示板サイトなどインターネットを通じてお金を貸す「個人」は、ヤミ金業者である可能性が高いので注意が必要です。女性の借主は、ひととき融資の被害に遭ってしまう恐れもあります。
債務整理中にどうしてもお金が必要になったときは、安易に借入をするのではなく、以下のように対処すべきです。
まずは、債務整理を依頼した弁護士に相談することです。状況に応じて、最善のアドバイスが得られるはずです。
その上で、お金を借りる必要がある場合には、公的な制度を利用しましょう。生活に困窮している場合には、生活福祉資金貸付制度をはじめとして、無利息または低金利で借入ができる制度がいくつかあります。
その他にも、母子家庭・父子家庭・低所得世帯などを対象とした支援制度もあるので、地元の自治体の担当窓口で相談してみましょう。収入が得られない事情がある場合には、生活保護を受給することもできます。
公的融資制度の利用条件を満たさない場合には、貸金業者やヤミ金には手を出さず、家族や親族に相談してみましょう。友人・知人などの第三者よりは、身内の人の方がリスクは下がります。
できれば、「借入」ではなく、返済不要の「援助」を依頼する方が望ましいといえます。やむを得ず借入の形をとる場合も、返済は債務整理が終了するまで待ってもらうように相談しましょう。まずは債務整理を成功させ、それまでの借金問題を解決してしまうことが先決です。
債務整理の種類を変更することで、生活状況を改善できる可能性もあります。
たとえば、任意整理をしても返済が苦しいという場合は、個人再生で借金を大幅に減額することで生活費を確保することが考えられるでしょう。個人再生をしても生活が苦しいという場合は、自己破産で借金の全額免除を図った方がよいでしょう。
債務整理中なのに借入の必要が生じる場合は、そもそも債務整理手続きの選択を誤っていることが多いものです。自分では任意整理をしたいと考えていても、客観的にみると個人再生または自己破産の方が適しているというケースは少なくありません。自分の状況に合った債務整理を選択しなければ、借金問題を解決することは困難です。
債務整理の種類を的確に選択するためには、専門的な知識が要求されます。そのため、債務整理の実績が豊富な弁護士に相談した上で検討することが重要です。
もし、弁護士に依頼して債務整理をしたのに生活状況が十分に改善されない場合は、債務整理手続きの選択が誤っている可能性があります。弁護士といえども人によって債務整理の経験値には差があるので、困ったときには改めて債務整理の実績が豊富な弁護士からアドバイスを受けてみるのもよいでしょう。
債務整理中に借入をすると、債務整理に支障をきたす可能性が高い上に、その他のトラブルに巻き込まれる恐れもあります。お金が必要になったときは、借入をする前に弁護士に相談すべきです。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理中の方でもご相談いただければ、経験豊富な弁護士が状況に応じて最善のアドバイスをいたします。
債務整理に関するご相談は、何度ご利用いただいても無料です。借金問題でお困りの際は、ベリーベスト法律事務所までお問い合わせください。債務整理専門チームの弁護士がお力になれるようにお話を伺います。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。