債務整理 弁護士コラム
個人再生をして減額された借金の完済後は、再び借金がない生活を送ることになります。自己破産をした場合のように、財産を処分する必要もありませんし、仕事に影響が及ぶこともありません。基本的には通常の生活を送ることが可能です。
ただし、個人再生をすると、信用情報機関に事故情報が記録されることから、その影響でローンを組めなくなるなど、日常生活において多少は不便を感じることもあるでしょう。
このような悪影響は、一定期間が経過すると消失します。本コラムでは、個人再生した借金を完済後の生活が具体的にどのようなものとなるのか、ローンはいつから組めるようになるのかについて解説します。
個人再生で減額された借金を完済後は基本的に通常の生活を送ることができますが、以下の点に注意する必要があります。
裁判所における個人再生の手続きは、再生計画認可の決定が確定した時点で終了します(民事再生法第223条、第244条)。
ただし、免除された部分も含めてすべての借金の返済義務が消滅するのは、再生計画のとおりに返済をすべて終えたときです。
現在再生計画に従って返済中の場合は、遅滞なく返済を継続することが重要です。
個人再生で完済した後に何らかの通知が届くかどうかは、債権者によってさまざまに異なります。
中には完済通知を送付してくる債権者もいますが、少数です。借入時の契約書を返送してくる債権者が比較的多いですが、何も送付してこない債権者も少なくありません。
完済したことの証明が必要な場合は、再生計画案認可決定の確定証明書と、再生計画どおりに振り込みをした記録を保管しておきましょう。
個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報が記録されます。
信用情報機関には、借り入れやローン、クレジットカード決済といった「信用取引」に関する利用履歴や返済状況などのデータが個人ごとに「信用情報」が保有されています。
銀行などの金融機関や貸金業者、クレジットカード会社などは申込者や利用者の支払い能力を審査するため、信用情報を照会して確認するのです。
このとき、事故情報が登録されていると支払い能力に問題があると判断されるため、信用取引を行うことが難しくなります。
事故情報は一定期間の経過後に削除されますが、個人再生の完済直後にはまだ削除されていないことが多いので、完済後すぐにローンやカードを利用できるとは限りません。
住宅ローン特則付きの個人再生を利用した場合は、再生計画どおりに他の借金を完済後に住宅ローンの毎月の返済額が増えることもあります。
住宅ローン特則にはいくつかのバリエーションがありますが、「元本猶予型」または「同意型」を利用した場合には注意が必要です。
元本猶予型では、個人再生後3年~5年の返済期間中は住宅ローンについて元本の返済が一部猶予されます。
しかし、再生計画どおりに完済後には、それまで猶予されていた金額を加算して返済しなければなりません。そのため、住宅ローンの毎月の返済額が増えるのです。
同意型では、住宅ローンの借入先と債務者との協議で定めた内容のとおりに住宅ローンの返済プランが変更されます。
通常は元本猶予型と同じように、個人再生後3~5年の返済期間中は、住宅ローンの返済の負担が軽減されているでしょう。こちらも、再生計画どおりに完済後には、住宅ローンの毎月の返済額が増えることが多いといえます。
個人再生をしたことで信用情報機関に登録された事故情報が削除された後は、再び借り入れやローン、クレジットカードの利用が可能となります。
個人再生による事故情報が削除されるまでの期間の目安は、以下のとおりです。
主な信用情報機関としてJICC・CIC・KSCの3種類があり、個人再生による事故情報の保有期間は以下のように異なっています。
これらの期間は、再生手続開始決定の日から起算されます。
多くの場合は再生手続開始決定から10年後に借り入れやローン、クレジットカードが利用できるようになります。
信用情報機関から事故情報が消された後でも、個人再生の対象とした業者は原則として二度と利用できないことに注意が必要です。
なぜなら、業者の社内データベースには個人再生をした顧客に関するデータが半永久的に残り、同一人物が融資などを再度申し込んでも審査に通らない可能性が高いからです。
いわゆる「社内ブラック」に登録された状態となるのです。
個人再生で減額された借金の完済後に借り入れやローン、クレジットカードの作成を申し込む際には、以下の点に注意する必要があります。
事故情報が削除された後は、信用情報が真っ白の状態(いわゆる「スーパーホワイト」)となります。スーパーホワイトは、事故情報が登録されていない反面、信用取引の実績も何も登録されていないので、必ずしも信用が高い状態とはいえません。
そのため、ローン等を申し込んでも審査は厳しくなりがちです。
最初から高額のローン等を申し込むと審査に落ちる可能性が高いので、まずは少額の利用から初めて「クレジットヒストリー」(クレヒス)を積み、信用を高めていくとよいでしょう。
個人再生後にローン等を申し込む際には、事前に自分の信用情報を確認しましょう。
なぜなら、自己判断で事故情報が削除されたと考えていても、実際にはまだ削除されていないこともあるからです。
事故情報が残っている状態でローン等を申し込んで審査に落ちてしまうと、その事実も一種の事故情報として信用情報機関に登録されてしまうことに注意が必要です。いわゆる「申し込みブラック」と呼ばれる状態となります。
自分の信用情報は、各信用情報機関に開示請求を行うことで確認できます。JICC・CIC・KSCのそれぞれに対して情報開示請求を行い、事故情報が削除されていることを確認してからローン等を申し込むようにしましょう。
実際にローン等を申し込んで審査に落ちた場合は、次の申し込みまでに6か月以上の期間を空けましょう。「申し込みブラック」に該当する事故情報は、6か月間信用情報機関に保有されるからです。
立て続けに何度も申し込みを行うと申し込みブラックの状態が続いてしまい、なかなかローン等を利用できない可能性があることに注意しましょう。
個人再生後、スムーズにローン等を利用するためには、まずは減額された借金を完済することに専念しなければなりません。完済するまでは以下の点に注意が必要です。
再生計画に基づく返済を滞納すると、債権者の申し立てによって再生計画が取り消されることがあります(民事再生法第236条、第242条)。
その場合、個人再生手続がなかったことになるため、借金は申し立て前の状態に戻ってしまいます。
多少の滞納であれば債権者が待ってくれることもありますが、法律上は1回でも滞納すると再生計画が取り消される可能性があることに注意が必要です。
ローン等の利用が可能となる時期を早めるために、再生計画で定められた金額を一括返済しようと考える人もいます。
しかし、一括返済をしても事故情報の登録期間は変わりません。個人再生による事故情報の登録期間は再生手続開始決定日から起算されるからです。
また、早期に一括返済をすると、債権者から「もっと支払えるはずだ」と判断され、再生計画の取り消しを申し立てられるおそれがあります。
個人再生の返済が苦しくなっても、闇金には絶対に手を出してはいけません。闇金からお金を借りると法外な利息を要求され、さらに経済的に厳しくなってしまいます。
返済できなければ過酷な取り立てや嫌がらせをされるため、仕事や生活にも支障をきたす危険性が高いことに注意が必要です。
どうしても返済が難しくなった場合には、再生計画の変更やハードシップ免責の申し立て、あるいは自己破産の申し立てなど、他の解決方法もあります。弁護士に相談した上で、最適な解決方法を検討する方がよいでしょう。
個人再生後は5~10年にわたって事故情報が登録されるため、完済後もしばらくの間はローン等の利用が難しいことが多いのが実情です。
債務整理によるデメリットを最小限に抑えたいとお考えの方は、弁護士へのご相談をおすすめします。弁護士であれば、豊富な知識と経験に基づいた具体的なアドバイスができるからです。
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借金があるのに収入が大幅に減ってしまい、毎月のローン返済が本当に苦しい……。持ち家は手放したくないけど借金を減らしてもらいたい……。
このようなお悩みをお持ちの方は、個人再生を選択することによって借金問題を解決できる可能性があります。
個人再生を裁判所に認めてもらえれば、借金を今の残高からおよそ5分の1にまで減らしてもらうことができるのです。
この記事では、個人再生とはどういうものなのか? について簡単にわかりやすく解説します。
個人再生は借金の返済額を大幅に減らすことが可能な債務整理の方法です。ただ、自己破産のように返済額がゼロになるわけではなく、減額後の借金を継続的に返済していく必要があります。
個人再生では「最低弁済額」というものが法律で定められており、事案の内容によっては返済額があまり減らない可能性もあるので注意が必要です。
本コラムでは、最低弁済額の内容、その金額を決める基準、最低弁済額を払えないときの対処法について解説します。
個人再生とは、基本的に財産を処分することなく、借金を大幅に減額できる債務整理の方法です。
個人再生の大きなメリットのひとつとして、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」があります。これは、一定の条件を満たしていることで、自宅を維持しながら借金を整理できる制度です。
本コラムでは、個人再生の住宅ローン特則の内容や利用条件、特則を使えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。