債務整理 弁護士コラム
個人再生をすると、その後の一定期間はクレジットカードの利用に支障をきたしてしまいます。
クレジットカードがあれば手元にお金がなくても買い物ができますし、各種支払いもインターネットなどで手軽に済ませることが可能です。キャッシュレス決済が普及した現在において、クレジットカードが使えなくなると不便に感じることが多くなっています。そのため、個人再生の申し立てをためらっている人も少なくありません。
今回は、個人再生をすると手持ちのクレジットカードはどうなるのか、新規作成はいつから可能となるのかについて、わかりやすく解説します。
個人再生をすると、手持ちのカードで自分名義のものはすべて使えなくなります。その理由は以下のとおりです。
ほぼすべてのカード会社で、利用者が個人再生などの債務整理をすると強制解約となることが定められています。
利用中のカードには残債務があるため、すべて個人再生手続きの対象としなければならず、利用中のカードは強制解約されてしまうのです。
個人再生の手続きを弁護士に依頼した場合は、弁護士が送付する受任通知がカード会社に届いた時点で強制解約となります。
利用していないカードは個人再生手続きの対象とならないため、当面の間は使用できます。しかし、個人再生をすると、事故情報が信用情報機関に登録され、その影響でやがて解約されてしまいます。事故情報とは、信用取引において契約どおりに返済できず、債権者に重大な不利益をもたらした情報のことを指します。
カード会社は、利用者の支払い能力を確認するために「途上与信」という審査を定期的に行っており、その際に利用者の信用情報を照会します。その際に事故情報が登録されていると、強制的に解約されてしまうのです。
個人再生の手続きを弁護士に依頼した場合は、弁護士が送付する受任通知がカード会社に届いた時から3~6か月後にはすべてのカードが使えなくなります。
以上の取り扱いは個人単位なので、個人再生をしても家族名義のカードには影響がありません。
家族を本会員とするカード会社から発行された「家族カード」は、本会員の信用情報が悪化しない限り支障なく使い続けることができます。
個人再生をすると、一定の期間はクレジットカードを新しく作るもできなくなります。その理由は以下のとおりです。
クレジットカードの新規作成を申し込むと、カード会社において申込者の支払い能力に関する審査が行われます。
カード会社ごとに審査基準は異なりますが、どのカード会社でも信用情報を照会し、審査資料とする点は共通しています。
信用情報とは、個人の借り入れやクレジットカードの利用状況、返済状況といった信用取引に関する情報のことで、以下の3つの信用情報機関におけるデータベースに登録されたもののことを指します。
消費者金融やクレジットカード会社、銀行などの金融機関は、いずれかの信用情報機関に加盟しています。
それぞれが利用者の信用取引に関する情報を登録していきます。登録された信用情報は他の加盟業者も見ることができ、申込者や利用者の支払い能力を審査するために利用できるのです。
個人再生をすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。
申込者の信用情報に事故情報が登録されていると、それを見たクレジットカード会社は「支払い能力なし」と判断し、カードの発行を拒否するのが通常です。
審査基準はカード会社によって異なるため、新規作成できるケースが一切ないとまでは言い切れませんが、ほぼ不可能となるのが実情です。
個人再生をした後、一生にわたってクレジットカードが利用できなくなるわけではありません。一定期間が経過すると新規作成が認められ、利用できるようになります。
個人再生によって登録された事故情報は、再生手続開始決定から以下の期間が経過すると削除されます。
事故情報が削除された後は信用情報がきれいな状態になるので、クレジットカードの新規作成が可能となります。
最短5年でカードを作成できるようになる可能性がありますが、各信用情報機関は相互に情報を交換しているため、実際には10年経過後にカード作成が可能となるケースが多いといえます。
信用情報機関の事故情報が削除された後も、個人再生手続きの対象としたカード会社を利用することは難しくなります。
なぜなら、個人再生をしたという事実が社内のデータベースに半永久的に残るため、新規作成を申し込んでも通常は拒否されるからです。これを「社内ブラック」といいます。
個人再生をしてから5~10年後にカードの新規作成を申し込む際には、事前に事故情報が削除されているかを確認することが重要です。
なぜなら、申し込みを拒否された事実も一種の事故情報として信用情報機関に6か月間ですが登録されるからです。
その6か月間は、重ねてカードの作成を申し込んでも拒否される可能性が高くなり、このことを「申し込みブラック」といいます。
各信用情報機関は情報開示制度を設けているので、自分の信用情報について開示請求をすれば、事故情報が削除されているかどうかを確認できます。
個人再生を申し立てる際や申し立て前に以下のような行為をすると、個人再生手続きに失敗する原因となるので、絶対にやめるべきです。
残したいクレジットカードの発行会社を債権者から除外して個人再生を申し立て、そのことが発覚すると、申し立てが誠実になされたものではないとして、申し立てが棄却されてしまいます(民事再生法第25条4号)。
特定のカード会社を除外して申し立てをしても、通常は通帳のコピーや借り入れの経緯から裁判所や個人再生委員にバレます。
除外されたカード会社が、官報公告を見て裁判所に届け出をすれば確実に明らかになってしまいます。
申し立て、または弁護士に個人再生を依頼した時点で残債務がないカードは3~6か月の間だけ使えますが、その直前に特定のカード会社にだけ優先的に返済することは「偏頗(へんぱ)弁済」に該当します。
偏頗弁済した金額は「清算価値」(所有財産の総額)に加算されるため、個人再生手続きをしたことによって返済額が増えてしまう可能性があることに注意が必要です。
返済の見込みがないと判断されると、申し立ての棄却、または再生計画案の不認可決定が下されてしまいます。
個人再生の申し立て後や弁護士に依頼した後に残っているカードを使い続けると、返済できないことがわかっていながら借金をしたものとして詐欺罪に問われる恐れがあります。
罪に問われないとしても、裁判所が「誠実な申し立てではない」と判断して申し立てを棄却する可能性もあります。
少額の買い物や各種料金の支払いに利用する分には大きな問題となりませんが、高額の利用はリスクが高いので控えるべきでしょう。
クレジットカードの現金化とは、商品券やブランド商品など換金価値の高いものをカード決済で購入し、それを買い取り業者に売却するなどして現金を得ることです。
このような現金化行為は、カード会社の規約で禁止されています。
申し立て前に現金化をしていると、小規模個人再生ではそのカード会社が再生計画案の書面決議で反対意見を提出する可能性が高いことに注意が必要です。
反対意見が一定数に達すると、再生手続きが廃止されてしまいます。
個人再生後、5~10年はクレジットカードを利用できなくなります。
ただ、債務整理をしなくても借金の返済を滞納し続けると事故情報が登録されるため、やはりクレジットカードは利用できなくなります。
返済しきれない借金を抱えているのなら、早めに個人再生などの債務整理で解決した方が、再びクレジットカードを利用できるようになる時期が早まるといえるでしょう。
できる限り早期に弁護士にご相談の上、適切に債務整理を行うことをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、経験豊富な弁護士が対応し、状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
奨学金を借りて大学や短期大学に進学したものの、就職後に思うような収入が得られず、奨学金の返済に苦しむ方が増えています。奨学金の返済のために、新たな借金を抱えてしまうケースも少なくありません。
多額の借金を抱えた場合、個人再生ができれば自己破産をすることなく、借金問題を解決することが可能です。ただし、奨学金を個人再生する場合には、いくつかの注意点があります。
本コラムでは、個人再生をするときの奨学金の返済義務や、連帯保証人・保証人に及ぶ影響、個人再生が失敗するケースなどについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
借金があるのに収入が大幅に減ってしまい、毎月のローン返済が本当に苦しい……。持ち家は手放したくないけど借金を減らしてもらいたい……。
このようなお悩みをお持ちの方は、個人再生を選択することによって借金問題を解決できる可能性があります。
個人再生を裁判所に認めてもらえれば、借金を今の残高からおよそ5分の1にまで減らしてもらうことができるのです。
この記事では、個人再生とはどういうものなのか? について簡単にわかりやすく解説します。
個人再生は借金の返済額を大幅に減らすことが可能な債務整理の方法です。ただ、自己破産のように返済額がゼロになるわけではなく、減額後の借金を継続的に返済していく必要があります。
個人再生では「最低弁済額」というものが法律で定められており、事案の内容によっては返済額があまり減らない可能性もあるので注意が必要です。
本コラムでは、最低弁済額の内容、その金額を決める基準、最低弁済額を払えないときの対処法について解説します。