債務整理 弁護士コラム
電気代やガス代、水道代などの公共料金は、生活している限り毎月支払っていかなければなりません。しかし、借金の返済に追われているなどの事情で、公共料金を滞納してしまうこともあるでしょう。
公共料金の滞納が続くと、電気・ガス・水道などの供給が停止され、生活に支障をきたしてしまいます。滞納した状態を解決しない限り、供給が再開されることはありません。
本コラムでは、公共料金の滞納を払えないときにはどうすればよいのか、借金と同じように債務整理で解決できるのかについて解説します。
まずは、公共料金を滞納すると、どのような事態が発生するのかを確認しましょう。
公共料金とは、国や地方公共団体が料金の決定に関与しているものを指します。
電気代・ガス代・水道代などの他にも、固定電話代や公共交通機関の料金、医療費、国公立学校の授業料など多種多様なものが含まれます。
本コラムでは分かりやすいように、もっぱら電気代・ガス代・水道代に絞って解説する点にご留意ください。
なお、税金や健康保険料、年金保険料などの社会保険料は「公租公課」(または「租税公課」)と呼ばれ、「公共料金」とは取り扱いが異なるものです。
公共料金を滞納したからといっても、すぐに電気・ガス・水道の供給が止められるわけではありません。まずは支払期限から1か月以内に、供給事業者から支払いを催促するための督促状が送られてきます。
督促状には支払いの確認がとれていない旨と、請求額とその支払期限が記載されており、納付書も同封されています。
その支払期限までに支払わなければ、督促状が繰り返し何度か送られてきますが、徐々に文面が厳しい表現になってくることが一般的です。
最終的には、供給停止を予告する内容の督促状が届きます。
公共料金の支払いが1日でも遅れると延滞利息がかかり、支払額が増えてしまう点に注意してください。延滞利息の利率は、以下のとおりです。
水道代については、延滞利息がかからない自治体もあり、かかる自治体でも利率は異なります。
詳細は各自治体の条例で定められていますが、分かりにくい場合はお住まいの地域の役所に問い合わせて確認することが可能です。
滞納を続けていると、実際に電気・ガス・水道の供給が停止されます。滞納発生から供給停止までの期間は供給事業者によって異なりますが、目安は以下のとおりです。
水道については自治体によって差が大きく、3か月~4か月程度のところが多いですが、早いところでは1か月程度で供給停止となるところもあります。
実際には、供給停止を予告する督促状に停止予定日が記載されているはずなので、督促状が届いたら内容を十分に確認することが大切です。
借金の滞納を続けた場合は、信用情報機関に事故情報として登録され、その後の一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。いわゆる「ブラックリスト」に登録されるのです。
それに対して、公共料金の滞納は信用情報機関には登録されません。
信用情報機関に登録される信用情報は、貸金業者からの借金やクレジットカードの利用といった、「信用取引」に関するものに限られるからです。
ただし、公共料金をクレジットカードで支払っている場合は注意が必要です。そのクレジットカードの利用代金の滞納が続くと、事故情報が登録されてしまいます。
公共料金を滞納した場合は早めに滞納を解消することが重要ですが、払えない場合は債務整理で解決することも可能です。ただし、借金を債務整理する場合とは異なるため、以下で説明する3つのことに注意してください。
任意整理は、債権者と交渉することによって将来利息を免除してもらい、返済期間や毎月の返済額も変更することが可能な手続きです。
交渉次第では、遅延損害金が免除されることもあり得ます。
ただし、公共料金はそもそも利息がかからず、延滞料金は交渉しても免除されることがないため、公共料金の滞納は任意整理の対象外となる点に注意しましょう。
公共料金の滞納について個人再生を申し立てることは可能ですが、再生手続き開始前の6か月分の滞納金は個人再生によって減額されることはありません。
水道光熱費は民法上、直近の6か月分が「一般の先取特権」とされています(同法第310条)。
先取特権とは、借金などの一般的な債権よりも優先して弁済を受けることが認められる債権のことです。
個人再生では、一般の先取特権のうち、水道光熱費に関しては再生手続き開始前の6か月分の料金につき、再生手続きによらないで随時弁済するものとされています。
したがって、6か月以内の公共料金の滞納以外に負債がない場合は、個人再生を申し立てる実益はないということです。
自己破産では、公共料金の滞納についても大部分が免責の対象となります。
ただし、下水道料金に限っては免責されないことに注意が必要です。
下水道料金は他の公共料金とは異なり、自治体による強制徴収が認められています(地方自治法第231条の3)。
これにより、下水道料金は「租税等の請求権」に準じた扱いとなり、自己破産をしても免責されない「非免責債権」となるからです(破産法第253条1項1号)。
また、自己破産の申し立てをした月に発生する公共料金も、滞納の有無にかかわらず支払わなければなりません。
自己破産を申し立てた後でも、破産手続き開始決定までに発生する公共料金は「財団債権」となります(破産法第55条2項)。これは、破産手続きによらないで、随時支払わなければならないとされている(同法第2条7項)からです。
なお、破産手続き開始決定後に発生する公共料金の支払い義務は、破産手続きの対象外であるため、支払っていく必要があります。
以上の点に注意すれば、自己破産によって公共料金の滞納を解決できる可能性があります。
しかし、負債が公共料金の滞納のみである場合は、負債総額が少ないため「支払い不能」とはいえず、破産が認められない可能性もあるでしょう。
実際に公共料金を滞納してしまった場合、どのように対処すればよいのかについてご説明します。
まずは、供給事業者に相談することが大切です。公共料金の滞納は任意整理の対象とはなりませんが、交渉によって分割払いに応じてもらえる可能性は十分にあります。
特に、負債が公共料金の滞納のみである場合は、供給事業者と分割払いの交渉をして滞納の解消を図ることが、もっとも現実的な対処法となるでしょう。
他にも借金を抱えている場合は、債務整理をすることが有効です。貸金業者からの借金は任意整理の対象となりますし、個人再生をする実益も出てきます。
借金総額によっては、自己破産で解決することも可能です。
債務整理で借金の返済の負担を軽減または消滅させることで、公共料金の滞納分が残ったとしても、支払うことが可能となるでしょう。
債務整理をする場合は、状況に合った手続きを選択することが重要です。
借金総額の他にも収入や生活状況、保証人や担保の有無など、さまざまな事情を総合的に考慮する必要があります。
状況に応じて最適な手続きを選択できれば、借金問題を解決できるとともに公共料金の滞納を解決することにもつながるはずです。
公共料金の滞納も貸金業者からの借金も債務整理で解決可能ですが、公共料金の滞納で債務整理をする場合には、本コラムで解説したように注意すべき点が少なくありません。
支払いが苦しいときには、借金の返済よりも公共料金や税金などの支払いを優先した方が、債務整理でスムーズに全体を解決しやすくなることも知っておいた方がよいでしょう。
債務整理が必要となった場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けることがおすすめです。
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「必死に働いても生活が苦しい」「働きたいのに働けない」「借金返済でどうすればよいのか分からない」などの悩みを抱える人は少なくありません。
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本コラムでは、生活が苦しい状況から抜け出すための対処方法や相談先、支援制度について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。