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カード破産が近いかも? カードを使いすぎた人を救う4つの知識

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更新日:2023年11月15日 公開日:2021年03月18日

カード破産が近いかも? カードを使いすぎた人を救う4つの知識

私たちの生活において、クレジットカードはなくてはならない存在です。今では、1人で2枚・3枚のクレジットカードを持っている人も珍しくなくなりました。

その他方で、手持ちの現金がなくても決済できるクレジットカードは、常に「使いすぎ」のリスクを抱えることになります。クレジットカードの使い方を間違えたことが原因で、カード破産に追いこまれるケースは、自己破産の典型的な理由のひとつでもあります。

そこで今回は、カード破産に陥らないための注意点や、カードの支払いが行き詰まってしまった場合の対処方法などについて解説します。

1、カード破産のリスクを高める危険なカード使い方

カード破産は、クレジットカードの誤った使い方が原因となっている場合が少なくありません。

特に以下で解説するカード利用は、支払いきれないほどの多額の借金(利用残額)を抱える原因となるので控えるようにすべきでしょう。

  1. (1)キャッシング利用

    クレジットカードの利用方法は、大きくわけて、ショッピング利用とキャッシング利用の2つの利用方法があります。キャッシングは、簡単にいえばクレジットカード会社から借金をすることで、あらかじめ設定された限度額の範囲内であれば繰り返し利用することができます。最近では、カード会社専用のATMだけでなく、コンビニに設置されたATMでも気軽にキャッシングできるカードが増えて便利になったといえます。

    しかし、キャッシングが便利になるということは、「借りすぎ」のリスクも高くなることに注意が必要です。「消費者金融からの借金よりもクレジットカードのキャッシングの方が手軽で安心」と思っている人もいるかもしれませんが、クレジットカードのキャッシングには、消費者金融・銀行のカードローンと同程度の利息が発生しますのでリスクの大きさには違いがありません。

  2. (2)リボ払い・分割払いの使いすぎ

    カードでのショッピングには、1回払い・2回払い・3回以上の分割払い・リボ払いといった支払い方法があります。これらの支払い方法のうち、分割払いやリボ払いを多用している人は、ほとんどを1回払いで決済している人に比べてカード破産の危険性が高いといえるので注意する必要があるでしょう。

    特に、リボ払いは、毎月の支払額を低額に抑えられるメリットがある反面、毎月手数料(借金の利息と同程度の負担)が発生してしまうデメリットがあるだけでなく、多用してしまうと「支払額<利用額」という状況になりやすいことに注意する必要があります。

    「毎月支払っているのに利用残額がなかなか減らない(完済できない)」と感じている人は、上のようなケースに該当している可能性が高いといえます。

  3. (3)自転車操業(返済のための借金を繰り返す行為)

    キャッシングやリボ払い・分割払いによって、毎月の支払額が増えていけば、「毎月の支払額を工面できない」という状況にも陥りやすくなってしまいます。

    このような場合に支払いに充てるお金を工面するために、消費者金融・銀行カードローン・他社クレジットカードのキャッシングでさらに借金を繰り返すことは、借金をさらに増やす要因になってしまうことの方が多く非常に危険です。最近では、1人で複数枚のクレジットカードを持つ人も増えましたので、このような自転車操業もやりやすくなったといえ、特に注意すべきでしょう。

2、カード破産した場合のデメリット

次に、万が一カード破産となってしまった場合に発生するデメリットについて解説していきます。

  1. (1)カードの強制解約

    自己破産した場合には、自己破産手続が開始された時点で抱えているすべての借金(負債)が破産手続による清算の対象となります。

    そのため、破産手続開始の時点で利用残額が1円でも残っているクレジットカードは、(支払いが行き詰まっていないものであっても)すべて破産手続の対象となり強制解約となってしまいます。

    とはいえ、実際には、自己破産手続が開始されるよりも早い段階でクレジットカードは強制解約となります。実務の上では、クレジットカード会社が自己破産を依頼した弁護士から受任通知(弁護士が債務整理の依頼を受任したことを債権者に通知する文書)を受領した時点で強制解約となるのが一般的となっているからです。

    なお、自己破産手続が開始された時点で利用残額が1円も残っていないクレジットカードは、自己破産手続の対象とはなりませんので、自己破産をしても強制解約とならない可能性があります。しかし、自己破産直前にカードの強制解約を逃れるために、特定のカード会社の利用残額だけを支払う(返済する)行為は絶対にしてはいけません。このような行為は、他の債権者の公平を害する行為(偏頗弁済:へんぱべんさい)として破産手続のなかで問題とされてしまうからです。

  2. (2)財産の差押え(財産の強制処分)

    自己破産手続は、債務者(破産者)の負債と財産を強制的に清算するための手続きです。そのため、自己破産をすれば、債権者への配当に充てるために、手持ちの財産を強制的に処分されてしまう可能性があります

    しかし、自己破産をした場合でもありとあらゆる財産を差押えられてしまうというわけではありません。今後の生活や生業の維持のために必要な財産は、自己破産をしたとしても差押えが禁止されていますし、一定額の現金(99万円まで)は差押えの対象から除外されます。

    また、それぞれのケースが抱える事情によっては、手元に残せる財産の範囲を拡張してもらえる余地も残されています。

  3. (3)信用情報への登録による影響

    カード破産した場合には、信用情報に事故情報が登録されてしまいます。借金の文脈で「ブラックリスト入りする」といわれるのは、債権者である金融機関によって信用取引に事故があった情報が登録されてしまうことを指しています。

    自己破産の事故情報が登録されている間は、他の金融機関との信用取引(ローンやクレジットカードの契約等)に次のような悪影響が出てしまう可能性が高いといえます。

    • 新規の信用取引の審査に通りづらくなる
    • カードの契約更新ができなくなる
    • 契約中の信用取引(他社のカードやローン契約)が途中解約・条件変更(限度額引き下げなど)となってしまう

    なお、信用情報悪化による影響は一生続くというわけではありません。事故情報は登録から一定期間(5~10年)で消去されることになっているからです。

3、カードの支払いができなくなった場合の解決方法

毎月のカードの支払いが苦しくなってしまった場合には、以下のような方法で解決することができます。

  1. (1)カード破産による免責

    カード破産(クレジットカードが原因の自己破産)は、カードの支払いができなくなった場合の最終的な解決方法です。自己破産後に、裁判所から免責の許可を得られれば、自己破産が開始された時点で抱えていたカードの利用残額・借金の返済義務は完全に免除されます。

    しかし、次のような事情があるときには、自己破産をしても免責を得られない可能性があります。

    • 財産隠しを行った
    • 虚偽申告を行った
    • 債権者をだまして借り入れた借金がある
    • 裁判所や破産管財人の業務を妨害した(協力しなかった)
    • 期日を無断で欠席した

    近年では、不誠実な債務者に対する裁判所の対応は厳しくなりつつあるといわれています。特に、悪質な財産隠しや虚偽申告が発覚すれば、刑事罰に問われる可能性があるだけでなく、自己破産の手続きを依頼した弁護士に辞任されてしまうこともあるので、絶対にすべきではありません。

  2. (2)カード破産以外の解決方法

    ここまで解説してきたように、カード破産は、免責による負債の完全免除と引き換えに、財産処分などの大きなデメリットが生じる場合もあります。この記事の読者のなかにも、「カードの支払いは苦しいけど、カード破産だけは避けたい」と考えている人も少なくないと思います。

    そのような場合には、次のような方法での解決を検討してみる余地があるといえます。

    ① 家族などの支援を受ける

    クレジットカードの支払いが苦しいときには、家族などの支援を受けて一時的に支払いを肩代わりしてもらうことで解決することもできます。家族に立て替えてもらった支払いの返済は、金融機関からの借金と違い、利息も発生せず、返済期間も融通が利くことが多いといえます。

    しかし、カードの支払いができなくなったということは、家族にも打ち明けづらいという場合は少なくありません。また、利用残額によっては、家族でも立て替えられないというケースもあるかもしれません。そのような場合には、以下で解説する自己破産以外の債務整理を検討するとよいでしょう。

    ② 自己破産以外の債務整理で解決する

    債務整理というと自己破産(カード破産)を思い浮かべる人が多いと思いますが、債務整理には、自己破産以外にも任意整理・個人再生という方法があります。カードの支払いができなくなったというケースであれば、このいずれの方法でも対応できる場合が少なくありません。

    ● 任意整理
    任意整理は、債権者(カード会社)と直接交渉して、今後の支払いの条件を見直してもらうことで、毎月の支払い負担を減らす手続きです

    任意整理では、裁判所を介さないため、手続きも簡単で費用も安くプライバシーも保護されるのでメリットの大きい債務整理の方法といえます。

    一般的な任意整理の場合には、今後の利息・手数料を免除してもらった上で、残金については3年から5年程度の分割払いで返済するという契約(和解)を債権者と交わすことになります。カードのキャッシングやリボ払い(分割払い)には、カードローンと同等の高い利息・手数料が発生しているので、任意整理をすることで、完済までの支払総額を大幅に減らせる可能性があります。

    その反面、任意整理では利用残額(元金)そのものを免除してもらうことはできない点で、自己破産に比べて減額効果は低くなってしまいます。そのため、カードの残額があまりにも高額になってしまった場合や、自転車操業で他にも多額の借金を抱えてしまった場合には対応しきれないこともあるので注意が必要です。

    ● 個人再生
    個人再生は、裁判所の認可を受けた借金などの一部を分割返済する返済計画(再生計画)を完遂することで、残額の返済を免除してもらう手続きです。個人再生は、借金等の元金の免除を受けられるので、任意整理よりも減額の効果が高く、財産の処分も不要という点で優れているといえます。

    また、カードの支払いなどが原因で住宅ローンも滞納してしまった(あるいは住宅ローンの返済がつらくてカードの支払いができなくなった)というようなケースでは、マイホームの差押えを回避しながら、ローンの返済条件を見直してもらうこともできます(いわゆる住宅ローン特則を適用した場合)。

    以上のように、個人再生はメリットの大きな債務整理といえますが、次の点に注意する必要があります。

    • 負債総額が100万円未満の場合には元金は減額されない(将来利息の免除のみ)
    • アンダーローン・ローン完済済みのマイホームがあるときなどには手続きできない場合がある
    • 債務整理の手続きのなかで手続きがもっとも複雑
    • 自己破産・任意整理に比べて費用が高くなる場合がある
    • 大口債権者に反対されたことでと手続きに失敗する可能性がある

    以上のように、それぞれの解決方法には、一長一短があるので、個別のケースごとにベストの手続きを選択することがとても重要です。手続きを正しく選択するためには、専門的な知識・経験が必須といえますので、弁護士の助言を受ける(手続きを弁護士に依頼する)ことをおすすめします。

4、カード破産にならないために心がけたい3つのこと

ここまでの解説と重複する点もありますが、最後に「カード破産にならない」ために特に注意しておきたいことについて解説しておきます。

  1. (1)利用額をきちんと把握する

    クレジットカードでの買い物・決済は非常に便利ですが、実際に現金が手元から出ていくわけではないので「いくら利用したのかわからない」という状態に陥りやすいリスクがあります。現時点での利用額を把握しないままカードでの決済を続ければ、とても支払いきれない高額な請求をされてしまうことになりかねません。

    今では、ウェブを通じてカードの利用状況(翌月の請求額など)を簡単に確認することもできますので、日頃から「今月はいくら使ったのか?」ということをしっかり意識しておくことはカード破産を回避するもっとも基本的な対応といえます。

  2. (2)できる限り1回払いで決済する

    クレジットカードの分割払い・リボ払いは高額の商品を購入する場合などに非常に便利です。しかし、分割払いやリボ払いでの決済を繰り返せば、利用額が一気に膨らんでしまうリスクがあります。特にリボ払いの場合には、毎月の支払額が低額に設定されていることも多いことから「いつまでも利用残額が減らずに手数料を支払い続ける」という状況にもなりかねません。クレジットカードを利用する場合にはできる限り1回払いで決済するように心がけるだけでもカード破産のリスクはかなり減るといえます。

  3. (3)支払いが苦しくなった早めに誰かに相談する

    お金に関するトラブルはできれば誰にも知られたくないと思ってしまうものです。そのため、カードの支払いに行き詰まってしまっても、家族などに相談できないままに、自転車操業などのリスクの高い対応をした結果、状況がさらに悪化してしまうケースは珍しくありません。

    カードの支払いや借金に関するトラブルは、金額の小さいうちに対処をすれば、デメリットやコストを抑えて解決できる可能性も高くなるといえます。たとえば、カードの支払いが行き詰まったという場合であっても1社だけの問題であれば、任意整理で解決できる場合が多いといえるでしょう。

    弁護士であれば、それぞれの状況にあったアドバイスをすることができますし、カードの支払いができなくなったことについて相談者を叱るようなこともありません。さらには、弁護士(およびその事務所スタッフ)には守秘義務があるので、相談いただいた内容が家族や他人に漏れる心配も不要ですので、お金のトラブルを抱えた場合には1日でも早く弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

クレジットカードは非常に便利なツールで、今の私たちの取引ではなくてはならないものといえます。しかし、便利さの裏側には常にリスクがあります。カードの使いすぎや、誤った利用は、カード破産の原因になりかねないので、日頃から十分に注意してカードを利用することが重要といえます。

万が一、カードの支払いが苦しくなった場合や、いつまでも利用残額が減らないと感じた場合には、カード破産の黄色信号・赤信号のサインである可能性があります。カードの返済に行き詰まった場合であっても、早期に対応すれば、カード破産を回避し、よりコストの低い方法で解決できる可能性が残されています。

ベリーベストではカード破産・債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。債務整理に詳しい弁護士が丁寧にお話をお聞きいたしますので、お困りの際には安心してお問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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