債務整理 弁護士コラム
兄弟が多額の借金を抱えていた場合、「家族である自分も返済を迫られることになるのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。
結論から言うと、兄弟という理由だけで法律上の返済義務が生じることは、原則としてありません。
ただし、借金の連帯保証人(保証人)になっていたなど、いくつかのケースにおいては返済義務を負うことがあります。また、多額の借金を抱えたまま兄弟が亡くなると、家族構成などによっては返済義務を負う可能性があることに注意が必要です。
本コラムでは、兄弟に多額の借金があることが発覚した場合に知っておくべき法律上の知識、兄弟の借金を解決するためのポイント、借金を抱えたまま兄弟が亡くなった場合の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
兄弟姉妹が抱えてしまった借金は、家族であっても法律の上では「他人の借金」という取り扱いになります。したがって、自分の兄弟に多額の借金があるという場合であっても、原則として、法律上の返済義務が生じるようなことはありません。
ただし、次のようなケースでは、兄弟姉妹の借金について債権者から返済を求められる場合があることに注意する必要があります。
他人の借金の連帯保証人になっている場合には、債務者本人が借金を返済できなくなった場合、連帯保証人に借金の返済義務が発生することになります。連帯保証人となっているケースなどの典型例としては、兄弟が住宅ローンを組んだ場合や事業用の借り入れ、賃貸物件の契約などがあるでしょう。
なお、金融機関などからの借金の際には、連帯保証人が立てられる場合が少なくありません。連帯保証人となっている場合、原則として債務者本人とほぼ同じ責任を負わなければならず、債権者が債務者本人を通り越して連帯保証人からの回収を選択した場合にも拒否することはできません。
なお、一般に「保証人」とよばれるケースは、連帯保証人のことを指すことが多いので注意が必要です。
兄弟が借金する際に「あなたの名義を貸してしまった場合」にも、借金の返済義務は実際に借金をした兄弟ではなく借金の名義人であるあなたに発生することになります。
また、直接名義を貸していないという場合であっても、過去に借金の契約の代理を依頼したことがあるケース、借金の一部について契約の代理をお願いしていたというケースなどでも、借金の返済義務は契約の名義人に生じる可能性があります。
配偶者も子どももいない兄弟姉妹が借金を残して亡くなった場合には、残された兄弟がその借金を相続することになります。遺産相続では、原則として、不動産や預貯金といった価値のある財産だけでなく、負債も含めたすべての財産を相続することになります。
たとえば、亡くなった兄弟の借金の他に不動産があるという場合、相続するためには借金も返済しなければならず、もし相続した不動産をすぐに売れないと、相続人に持ち出し金が発生する可能性もあります。
借金などのマイナスの財産を相続したくない場合は、相続放棄という方法があります。相続放棄については以下より解説します。
相続放棄とは、すべての遺産を相続しないという法的手続きです。そのため、遺産に借金がある場合、相続放棄により解決をはかるケースもありますが、相続放棄には以下のようなデメリットや注意点があります。
●相続放棄の手続きを家庭裁判所で行わなければならない
家族が亡くなった場合には、お葬式や法要だけでなく、身の回りの品の処分など、他にもやらなければならないことがたくさんありますので、さらに相続放棄の手続きも行わなければならないことは、遺族にとって大きな負担となることもあります。
●プラスの財産があっても相続できない
相続放棄をした場合には、借金のような負債だけではなく、亡くなった兄弟が残してくれた不動産や預貯金といった価値のある遺産もすべて放棄しなければならなくなります。
●相続開始から3か月以上経過してしまった
相続放棄の期限は、相続開始から3か月です。しかし、亡くなった兄弟の借金が、相続開始から数ヶ月以上経過してから初めて発覚するというケースも珍しくありません。
このような場合には、相続開始から3か月以上が経過してしまった場合であっても裁判所に相続放棄を認めてもらえる余地が残されていないわけではありません。相続放棄できないと諦めてしまう前にまずは弁護士にご相談ください。
兄弟が抱える借金の問題は、できるだけ生前に対策をとることが望ましいでしょう。具体的な方法としては下記の2つがあります。
可能な範囲で返済の援助をすることも有効な解決方法のひとつです。
しかし、借金の肩代わりをする際には、十分注意する必要があります。兄弟が浪費などの原因で多額の借金を抱えてしまった場合には、その問題も解決しなければ、再度借金を抱えてしまうことにもなりかねませんし、生活苦を原因とする場合にも、今後借金を抱えないために周囲のサポートが必要となる場合が多いからです。
兄弟の借金を肩代わりする余裕がないときには、兄弟の借金を債務整理で解決してもらうことも検討しましょう。ただし、債務整理は、本人へのデメリットも生じる可能性があることから、債務者自身でなければ弁護士に依頼できないことに注意が必要です。
もし、債務者自身に「債務整理をする意思がない」という場合には、以下のような対応をすることで兄弟が債務整理に踏み切れない要因を取り除ける場合があります。
●あなたが弁護士に相談してみる
借金が返せない状況に陥っている人の中には、債務整理についてネガティブなイメージをもっていたり、誤った知識をもっている人も少なくありません。そのため、借金を自分では返せないということを自覚していても、弁護士に相談・依頼できないでいるケースもあるでしょう。
このような場合には、身近な存在である家族が債務整理に関する知識を身に着け、それを伝えることで、債務者である兄弟姉妹の債務整理に対する認識をポジティブなものに変えられることが期待できます。
●債務整理の費用の支援
弁護士に債務整理を依頼すると、当然一定の費用が発生します。深刻な借金苦の状況にある人の場合には、この費用負担がネックとなって弁護士に債務整理を依頼できないという場合もないわけではありません。
このような場合には、債務者本人の家族・兄弟などが債務整理の費用を肩代わりすることで、依頼への障害を取り除くことが可能です。
この方法は、費用を立て替えてあげる側としても、借金それ自体を肩代わりする場合と比べて、負担の程度も小さく済ませられる点においてもメリットが大きいといえます。
遺産相続などの限定的なケースを除き、家族とはいえ、兄弟の借金の返済義務を負わされることはありません。しかし、兄弟の借金問題を早期に解決したいと願う方は少なくないでしょう。
債務整理の依頼は、債務者本人にしかすることができません。債務者本人である兄弟が債務整理に踏み切れないでいる場合には、周囲の身近な人が債務整理の知識を得ることで、借金解決への転機になることもあります。
弁護士であれば、兄弟が抱える借金問題について、対処方法などのアドバイスをすることが可能です。
ベリーベスト法律事務所は、債務整理の経験豊富な弁護士が1件1件丁寧に対応しております。債務整理についてのご相談は何度でも無料で受け付けておりますので、家族である兄弟の借金問題でお悩みの際には、まずはお気軽にお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。