債務整理 弁護士コラム
任意整理は、債務整理の手続きのうちで比較的簡易な方法で、多くの人が借金問題の解決ために利用しています。
しかし、これから任意整理をしようと思っている人にとっては、「任意整理したら借金はどうなるのか」「今後の生活にどんな影響が出るのか」といった点について漠然とした不安をもっている人も少なくないといえます。
今回は、「任意整理したらどうなるか?」という疑問・不安に対して、知っておきたいポイントを交えて解説していきます。
まずは、「任意整理をしたら借金がどうなるのか」確認していきましょう。
任意整理は、借金の貸主である債権者と直接話し合いをすることで、今後の借金返済の条件を見直してもらう方法で、借金を今までよりも返しやすくする手続きといえます。
具体的には、今後の利息の支払いを完全に免除してもらい、残元金について再度分割払いの期間を設定し直すことで、借金の解決をはかることになります。
「利息だけしか免除されない」ということにがっかりする人もいるかもしれませんが、消費者金融や銀行のカードローンの返済においては、毎月の利息の負担はかなり重い場合も少なくありません。
たとえば、年18%の金利で50万円の借金があるという場合には、一か月に7500円の利息が発生します。仮に、毎月の返済額が1万5000円であった場合には、返済の半分が利息で消えてしまいます。
任意整理をすれば、この負担が完全になくなりますので、毎月の返済額の軽減や返済期間の短縮(支払った分だけ確実に借金が減っていくこと)に大きな効果があります。
任意整理は、相手方となる債権者との話し合いによって行われるものです。
債権者との交渉にかかる期間は、債権者の都合やそのときの借金の状況(残額や滞納状況・借入件数)によってもまちまちですが、弁護士に依頼してから数か月程度かかる場合が一般的といえます。
債権者との和解が成立(任意整理が成功)した場合には、その後は、債権者との和解内容にしたがって、残元金を分割返済していくことになります。したがって、和解が成立したというだけで借金が解決できるというわけではありません。
一般的な任意整理における分割返済の期間は3年から5年とされていますので、任意整理ための準備期間(数か月程度)・債権者との交渉期間(数か月程度)も加えると、借金解決までには、3年半~6年ほどかかるということになります。
任意整理はあくまでも債権者との合意に基づいて借金返済の負担を軽くしてもらう手続きにすぎません。自己破産や個人再生のように、借金元金の減額をしてもらうことはできないという限界があります。そのため、金利の低い借金(公的金融機関からの借金など)や金利のない借金(奨学金など)は、任意整理では解決できない場合が多いといえます。
また、借り入れをしてからほとんど返済していない借金についても、債権者側が話し合いに応じてくれない可能性が高いため、任意整理では解決できない可能性が高いでしょう。
住宅ローンや車のローンは、借入額も大きく、一度返済に行き詰まってしまうと建て直すことの難しい借金のひとつといえます。この記事の読者の方にも、住宅ローンや自動車ローンを任意整理で解決したいと思っている人もいるかもしれません。
しかし、住宅ローンや車のローンのように、担保を提供している借金も、低利息の借金と同様に、任意整理に適さない借金の典型例といえます。担保を提供している借金は、適用利率が低いため任意整理の効果が限定的であるだけでなく、任意整理の対象とした時点で担保として提供された財産(マイホームやマイカー)が債権者に差し押さえられてしまうため、任意整理をする意味もほとんどなくなってしまいます。
任意整理した場合に発生する費用についても不安を感じている人も多いかもしれません。借金が返せないという状況では、「債務整理の費用負担も難しい」と考えても仕方のないことです。
しかし、任意整理は、債務整理の中でも費用負担のもっとも軽い手続きですので、借金返済が苦しいという状況でも、何とか費用を工面できる可能性も高いといえます。
任意整理は、「任意の話し合い」が基本となる手続きなので、理屈の上では、債務者本人が債権者と交渉して行うことは可能です。しかし、法律や交渉の素人である債務者本人が債権者と直接交渉しても、話し合いをスムーズに進められる可能性は高いとはいえません。やはり、任意整理を確実に成功させたいのであれば、その道のプロである弁護士に依頼するのが1番といえます。
任意整理の着手金等は、借金の額に関係なく、債権者の数に応じて算出されるのが一般的です。したがって、借入件数が膨らむ前に任意整理を依頼できれば、低コストで借金を解決することができるので、早期相談・依頼は、問題解決のコストを抑えるという意味でも重要といえます。
任意整理をしたくても費用が工面できないという場合でも、すぐに諦める必要はありません。当事務所をはじめとして、債務整理事件に実績のある事務所では、依頼人の費用負担についても、お支払いが可能になるように対応できるだからです。
たとえば、着手金などの費用については、ご依頼時に一括払いが難しいというケースでは、分割払い・後払いでお支払いいただくことも可能です。
また、弁護士に任意整理をご依頼いただければ、毎月の借金の支払いは一時的に停止させることになりますので、それまで借金返済に充てていた分を、任意整理の費用の積み立て(分割払い)に充てていただくことも可能となります。
特に、借入件数が多いケースでは、毎月何度もやってくる返済日のために資金繰りをする負担からも解放され、弁護士に任意整理を依頼するだけで、家計が大幅に改善するというケースも珍しくありません。
任意整理での借金解決を検討している人にとって、「任意整理をしたことによる今後の生活への悪影響」は大きな関心事といえます。実際にも、任意整理によって生じる種々のデメリットが不安で弁護士への依頼に踏み切れないという人も多いと思います。
しかし、任意整理によるデメリットは、これから解説するように、他の債務整理と比べればかなり限定的といえます。
任意整理で借金を解決した場合に生じるデメリットは、基本的には次の2点にとどまります。
このうち前者については、任意整理によって当初の契約をほごすることになるので致し方ないデメリットであるといえますが、後者については大きな不安を持っている人が少なくないようです。
しかし、いわゆるブラックリスト入りも一生続くわけではありません。任意整理に関する事故情報は、登録から一定期間がたつと消去されることになっているからです。また、いわゆるブラック情報は、任意整理などの債務整理をした場合だけでなく、返済を長期間滞納した場合にも登録されてしまいます。返済が完全に行き詰まった借金を完済できないままの状態で放置してしまえば、任意整理した場合よりもブラック情報の登録期間が長くなってしまうこともあるので、「ブラックリスト入りしたくないから債務整理したくない」と考えてしまうことはあまりおすすめできません。
任意整理による信用情報の悪化との関係で、多くの人が気になるのは「任意整理したらクレジットカードはどうなるのだろう」ということではないかと思われます。いまの私たちの生活においてクレジットカードはなくてはならないツールのひとつとなっているといえるからです。
以下では、二つのケースにわけて、任意整理した場合のクレジットカードの取り扱いについて解説します。
①任意整理の対象としたクレジットカード
任意整理の対象としたクレジットカードは、すでに述べたように、債権者によって強制解約になってしまいます。この場合の強制解約は、弁護士からの「受任通知(任意整理について委任を受けたことを連絡する文書)」をカード会社が受け取った時点でなされるのが一般的です。したがって、任意整理の対象としたクレジットカードは、任意整理の成否を問わず強制解約となります。
また、金融機関は、それぞれ独自に事故情報を管理しているのが一般的ですので、任意整理の対象としたクレジットカード会社が発行するクレジットカードは、今後契約できない可能性がかなり高いといえます。特に、複数のブランドのクレジットカードを発行する会社を任意整理する際には注意が必要といえます。
②任意整理の対象ではないクレジットカード
任意整理の対象とはならなかったクレジットカードは、(他社の)任意整理後も基本的にはそのまま利用することができます。
しかし、任意整理したことによる信用情報の悪化によって、任意整理の対象にしなかったクレジットカードにも次のような不利益が生じる可能性があることに注意する必要があります。
これらの不利益は、手元に残ったカード会社が信用情報を照会した場合に発生するものです。カード会社は、カードの新規契約(発行)、更新の際だけではなく、キャッシング利用時やショッピング利用額が多額になった場合にも信用情報を確認しています。
したがって、せっかく手元に残ったクレジットカードをそのまま使い続けたいというときには、カードの支払いを絶対に滞納しないことはもちろん、使いすぎにも十分注意する必要があります。
スマホ・携帯電話は、クレジットカード以上にわたしたちの生活に欠かせないツールといえます。当然、任意整理した場合にスマホ・携帯の契約に悪い影響が出ることを心配する人も多いのではないかと思います。
①任意整理した場合のスマホ・携帯電話の契約
任意整理した場合でも、スマホ・携帯電話契約については、料金の滞納がない限りは、これまで通りに利用することができます。
ただし、料金に滞納がある場合には、滞納自体が強制解約の理由となってしまうことがあります。また、携帯スマホ料金に滞納があるうちは、他社キャリアとも契約できない場合が多いことにも注意する必要があります(不払い者の情報はスマホ・携帯キャリア各社で共有されています)。
②スマホ・携帯端末の分割購入
借金を任意整理した場合には事故情報が登録されてしまい、その後の信用取引に悪い影響が出てしまいます。そのため、任意整理で借金を解決した場合には、スマホ・携帯電話の分割購入が当面の間難しくなってしまいます。端末の分割購入は、ショッピングローンを組む場合と同様に信用取引なので、事前に信用情報の調査(審査)が行われるためです(一括払いでの購入には影響がありません)。
③スマホ・携帯料金の支払い方法
スマホ・携帯料金の支払いにはクレジットカードを利用している人が多いのではないでしょうか。しかし、任意整理をした場合には、その後のスマホ・携帯料金の支払いは、口座振替などの他の方法に変更した方がよいといえます。なぜなら、任意整理によって信用情報が悪化している以上、料金の支払いに用いているクレジットカードが突然解約されてしまうリスクがあるからです。また、スマホ・携帯料金の支払い分によって、クレジットカードが途上与信の対象となるリスクも高くなってしまいます。
借金の問題は、精神的な負担も小さくありません。そのため、さまざまなことに不安を感じ、任意整理をしたらもっと悪いことになってしまうのではないかと思い詰めてしまう人もいるかもしれません。
たしかに、任意整理をはじめとする債務整理で借金を解決すれば、信用情報悪化に伴って一定の不利益が生じてしまう可能性があることは否定できません。しかし、返済の行き詰まった借金をそのまま放置してしまえばさらに重大な不利益が生じてしまうことも忘れるべきではないでしょう。
任意整理は、他の手続きに比べ低コスト・低リスクで借金を解決できる非常にメリットの大きな方法です。借金返済でお困りの際には、ベリーベスト法律事務所の無料相談までぜひお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、その後の一定期間は新たな借り入れ、そしてクレジットカードの利用ができなくなります。この状態になることを、俗に「ブラック入り」といいます。
任意整理も債務整理の一種であるため、手続き後はブラックリストに掲載されてしまいます。しかし、自己破産や個人再生とは異なり、任意整理の場合は例外的にブラックにならないケースが2つあります。
ただ、例外に該当しない場合でもブラック入りを過度に恐れず、早めに任意整理等をして借金問題を解消することが大切です。
この記事では、任意整理してもブラックにならない2つのケースと、ブラックになっても任意整理をするメリットについて、ベリーベスト法律事務所の債務整理に詳しい弁護士が解説します。
任意整理をすると、クレジットカードを今までどおりに利用できなくなります。キャッシュレス決済が普及した現在、クレジットカードが使えなくなると不便に感じることも多いことでしょう。
しかし、任意整理をしてから一定期間が経過すると、再びクレジットカードが使えるようになります。
そこで今回は、
・任意整理をするとクレジットカードがどうなるのか
・クレジットカードの新規作成はいつからできるようになるのか
・任意整理後にクレジットカードを使いたいときはどうすればよいのか
などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームに所属する弁護士が解説します。
クレジットカードを任意整理するときの注意点も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理は、借金を整理する手段(債務整理)のひとつです。裁判所を用いることなく手続きを行えることから比較的費用も安く、カードローンの返済・リボ払いの支払いができなくなってしまった場合の解決方法として有効です。
ただ、任意整理によって借金を解決した場合には、信用情報(ブラックリスト)としてその記録が残ってしまうことから、その後のローンやカードの契約などに悪影響が生じる可能性も高くなってしまいます。
しかし、これらの悪影響は一生続くわけではなく限定的なものにすぎません。本コラムでは任意整理をした場合の信用情報の登録や回復までの登録期間、借金を放置するデメリットなどについて解説します。