債務整理 弁護士コラム

任意整理で信用情報(ブラックリスト)に登録される? 登録による悪影響は?

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更新日:2024年01月30日 公開日:2021年07月29日

任意整理で信用情報(ブラックリスト)に登録される? 登録による悪影響は?

任意整理は、借金を整理する手段(債務整理)のひとつです。裁判所を用いることなく手続きを行えることから比較的費用も安く、カードローンの返済・リボ払いの支払いができなくなってしまった場合の解決方法として有効です。

ただ、任意整理によって借金を解決した場合には、信用情報(ブラックリスト)としてその記録が残ってしまうことから、その後のローンやカードの契約などに悪影響が生じる可能性も高くなってしまいます。

しかし、これらの悪影響は一生続くわけではなく限定的なものにすぎません。本コラムでは任意整理をした場合の信用情報の登録や回復までの登録期間、借金を放置するデメリットなどについて解説します。

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1、信用情報とは?

信用情報とは、クレジットカードやローンの契約について発生する客観的な取引事実(契約の内容や取引経緯などの事実関係)を登録した個人の情報です。

この信用情報は、クレジット会社が顧客の「信用」を判断するための参考資料(契約締結に先だって行われる審査の資料)として利用されることから、任意整理をするとその後の信用取引(ローンやカードの契約)に悪影響が生じる可能性が高いというわけです。

  1. (1)3つの信用情報機関

    法律は、貸金業者に対して、個人の顧客とローン契約などを結ぶ前には、指定信用情報機関が保有する顧客の信用情報を利用して顧客の信用状態を確認することだけでなく、顧客と貸し付けの契約を締結した場合には顧客の氏名や貸付金額などの信用情報を指定信用情報機関に提供することを義務づけています。

    主な信用情報機関としては、次の3つの機関が特に重要です。

    • 株式会社日本信用情報機構(JICC):主として消費者金融が加盟
    • 株式会社シー・アイ・シー(CIC):主として信販会社(クレジットカード会社)が加盟
    • 個人信用情報センター(KSC):銀行が加盟している信用情報機関
      ※JICCとCICは指定信用情報機関


    それぞれの指定信用情報機関は消費者金融系・信販会社系・銀行系と分類することができますが、実際には多くの金融機関が複数の指定信用情報機関に加盟しています。また、信用情報機関は相互に協力関係にあり、それぞれ信用情報機関が保有する信用情報も共有されています。

  2. (2)信用情報として登録される情報

    信用情報として登録される情報の主な例は下記のとおりです。

    信用情報の種類 登録される項目
    申し込みに関する情報
    • 顧客本人を識別するための情報(氏名、生年月日、郵便番号、電話番号等)
    • 申し込み内容に関する情報(照会日、商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名等)
    契約に関する情報
    • 顧客本人識別するための情報(氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号、公的資料番号等)
    • 契約内容に関する情報(契約日、契約の種類、商品名、支払回数、契約額(極度額)、契約終了予定日、登録会社名等)
    • 支払状況に関する情報(報告日、残債額、請求額、入金額、入金履歴、異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況等)
    • 割賦販売法対象商品の支払状況に関する情報(割賦残債額、年間請求予定額、遅延有無等)
    • 貸金業法対象商品の支払状況に関する情報(確定日、貸付日、出金額、残高、遅延の有無等)


    このうち任意整理との関係では、いわゆる契約の事故情報に該当する「異動情報(上記下線部分)」が最も重要となりますが、詳細については、2章の(1)で改めて解説を加えます。

  3. (3)信用情報の確認方法

    金融機関によって登録された信用情報は、金融機関だけでなくその情報の本人(顧客債務者)も確認することができます。

    信用情報を確認するためには、郵送・窓口による照会申し込みが基本となりますが、JICC・CICでは、ウェブサイトでの申し込みも可能です(要手数料)。ウェブサイトで申し込みは、信用情報も即時に開示されるので非常に便利です。

    なお、信用情報の照会(開示請求)は、申込者本人のみの情報が対象となります。家族の信用情報(借入状況等)を照会することは、その家族が死亡し相続が発生した場合を除いては行えません。

2、任意整理と信用情報

任意整理は、返済が苦しくなった借金やカードの返済・支払いについて、これまでの条件よりも債務者にとって無理のない返済条件に変更してもらうための交渉を行う手続きです。そのため、任意整理が行われれば、金融機関側には不利益が発生する可能性があることから、信用情報いわゆるブラックリストに登録されてしまう場合があります。

  1. (1)任意整理すると信用情報はどうなる?

    借金を整理する手段(債務整理)のひとつ、任意整理を弁護士に依頼して借金トラブルを解決した場合、具体的な信用情報の取り扱いは、大きく分けて次の3つのパターンに分類することができます。

    ① 任意整理をしたことが登録される場合
    任意整理した場合に信用情報が登録される最初のパターンは、任意整理が行われたということがそのまま信用情報として登録される場合です。たとえば、JICCに加盟している金融機関の借金等を任意整理した場合には、「債務整理」という情報が登録されることになります。

    ※なお、CICやKSCでは、「任意整理」に直接該当する登録項目はありません。

    ② 代位弁済(強制解約)の情報が登録される場合
    任意整理を示す直接の登録項目がない場合であっても、ケースによっては、次のような異動情報(いわゆるブラック情報)が登録される場合があります。

    • 金融機関によってローン契約・カード契約が強制解約された事実
    • 保証会社によって「代位弁済」が行われた事実


    特に、銀行カードローンを任意整理する場合、ローン契約が解約となり保証会社による代位弁済が実行されるケース(任意整理の相手方も保証会社となります)がありますので、CICやKSCのように「任意整理」を直接示す情報項目のない信用情報機関においても、ブラック情報が登録されてしまうことになります。

    ③ 特に不利な情報が登録されない場合
    以上で確認してきたように、任意整理をした場合のいわゆるブラック情報の取り扱いは、信用情報機関によっても違いがあります。また、個々のケースにおける情報の登録の仕方についても法律によって細かなルールが定められているわけではなく、最終的にはそれぞれの加盟金融機関(債権者)の裁量に委ねられる部分が大きいといえます

    そのため、極めてまれなケースではありますが、任意整理がなされた場合でも債権者の判断によっては、事故情報が登録されないケースもあるでしょう。

  2. (2)ブラック情報の登録期間

    金融機関によって登録された信用情報は、永久に登録されるわけではなく、所定の登録期間の経過によって必ず消去されます。「任意整理をすると一生ブラックリスト入りする」といったようなことは正しい情報ではありません。

    任意整理に伴って登録されるブラック情報の登録期間は「5年」が基本となりますが、登録のされ方によってその起算日(登録日)が以下のように異なることに注意する必要があります。

    信用情報機関 異動情報の登録日(情報保有期間の起算日)
    JICC 任意整理による和解成立後の残元金の完済のとき(令和元年10月以降の契約分)
    任意整理したとき(弁護士からの受任通知が金融機関に到達したとき)
    CIC 契約終了のとき(弁護士からの受任通知が金融機関に到達したときが一般的)
    KSC

3、ブラック情報による悪影響

任意整理によるブラック情報の登録によって具体的に生じる悪影響としては、以下のようなものがあります。

  1. (1)借金などの新規申し込みへの影響

    ブラック情報が登録されてしまった場合には、その登録期間中はローン・クレジットカードの新規契約が難しくなります。すでに解説したように、ローンやクレジットカードの契約をする場合には、金融機関によって必ずその顧客(申込者)の信用情報が必ず照会されることになっているからです。

    しかし、このような審査への悪影響は、事実上のものに過ぎず、過去の取引についてブラック情報が登録されていることを理由に、法律などがローン・クレジットカードの新規契約を禁止しているというわけではありません

    実際には、ローン・クレジットカードの種類や限度額によって、数年前の任意整理に関するブラック情報より現在の収入を重視して審査が行われることもあります。

  2. (2)任意整理しなかったクレジットカードの取り扱い

    任意整理は、クレジットカードのリボ払いやキャッシングの返済が苦しくなった場合の解決方法として選択されることも少なくありません。近年では、ひとりで複数枚のクレジットカードをもっている方も多く、そのうちの一部(たとえばカードの1枚)だけを任意整理の対象とすることも珍しくありません。

    任意整理の対象としたクレジットカードは、そのカード会社によって解約されることになってしまいます。任意整理の対象とはしなかったクレジットカードについても、他社カードの任意整理をしたことがブラック情報として登録されることにより、次のような影響が生じる可能性があります。

    • カード会社の判断で契約途中での解約(強制解約)および残額の一括請求
    • カード契約の更新拒否
    • カードのキャッシング利用の停止
    • カード限度額の引き下げ


    なお、これらの対応は、それぞれのカード会社の独自判断によって行われるものです。したがって、それまでの利用実績などの事情によっては、他社カードの任意整理は不問とされ、今後も変わらずにカードを使い続けられるケースもないわけではありません。

4、任意整理せずに借金を放置するデメリット

任意整理を検討している人のなかには「クレジットカードを持てなくなるのは困る」、「今後借金できなくなるのは不安」、「将来、住宅ローンを組めなくなるのが不安」といった思いなどから任意整理の着手にちゅうちょしてしまっているかもしれません。

しかし、解説してきたように、任意整理によって信用情報を登録されることによる影響は一時的なものにすぎず一生続くというものではありません。むしろ、借金返済・カードの支払いが難しくなっているにもかかわらず、任意整理に踏み切らずにいることの方が、将来への悪影響が大きくなる可能性が高いといえます。

  1. (1)借金がさらに増えてしまう

    毎月の返済・支払いの苦しくなった借金やクレジットカードをそのままにしておけば、さらに借金・カードの残額を増やしてしまう可能性も高くなってしまいます。

    たとえば、毎月の支払いを滞納すれば遅延損害金が発生し、結果として支払い残額も増えてしまいます。また、借金返済のためにさらに別の借金を重ねてしまったケースでは、その後も借金を繰り返さなければ返済が間に合わない状況に陥ってしまうことも多く、結果として借金が何倍にも膨らんでしまうということも珍しくありません。

  2. (2)長期滞納によるブラックリスト入り

    信用情報にいわゆるブラック情報が登録されるのは、任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理をした場合だけではありません。借金の返済を長期間滞納した場合にもブラック情報が登録されてしまいます

    返済・支払いの長期滞納によるブラック情報は、滞納が解消されただけでは完全に消去されません。たとえば、JICCの場合であれば、「滞納解消」の情報は契約終了(完済)後5年間保存されることになっています。つまり、完済のめどの立たない借金を長期滞納してしまったときには「いつまでもブラック情報が消えない」という状況に陥ってしまう可能性があるわけです。

  3. (3)借金の解決が遅くなってしまう

    借金の返済が苦しいという状況は、短期間で改善することが難しい場合も少なくありません。たとえば、昨今のコロナ禍による減収を典型例とするような、会社都合や社会情勢・景気変動などによる収入減は自分の努力では解決できない場合の方が多いといえます。

    そのような状況で、返済の行き詰まった借金を任意整理せずにそのままにしておけば、借金がさらに増えてしまったり、債権者との関係が悪化してしまったりなど、早期解決が困難になる可能性も高くなってしまいます。

5、借金返済にお困りの時は早めに弁護士へ

健康問題も症状の軽いうちに医師の診察を受けることができれば、簡易な治療だけで治せる場合が多いように、借金の問題も早期に弁護士に相談依頼いただくことができれば、スピーディーかつ比較的安価な解決策やデメリットの軽減が期待できます。

特に、弁護士に任意整理を依頼すれば次のような点で大きなメリットがあります。

  1. (1)債権者からの取り立てを早期にストップできる

    返済の苦しい借金を抱えている人のほとんどは債権者からの取り立てに大きな不安を感じています。また、自宅への督促状送付や電話といった取り立てによって、借金の問題が家族などの身近な人にバレてしまうことを懸念している人も多いと思います。

    さらに、このような不安は「借金はきちんと返したい」を思っている人ほど大きくなってしまうことも多く、取り立てへの不安が原因で誤った対応をしてしまうケースも珍しくありません。

    弁護士が送った受任通知を債権者が受け取ると、一時的に督促がストップします金融機関は、弁護士に任意整理や自己破産などを依頼した債務者に対する直接の取り立てを、法律などで禁止されているからです

  2. (2)手続きを一任でき、成功の確率が高くなる

    任意整理は、債権者と直接の話し合いをすることで行われます。弁護士に任意整理を依頼した場合には、依頼人の代理人として交渉のすべてを任せることができます。自己破産などの裁判所の手続きでは、平日の日中に債務者本人が裁判所に出向かなければならない場合もありますので任意整理の場合と比べたときには、どうしても負担が重くなります。

    また、任意整理は債務者本人が債権者と交渉して行うことも不可能ではありませんが、債権者に適切な主張と交渉をし、履行可能な内容で和解をまとめる、つまり任意整理を成功させるためには、借金トラブルの解決実績がある弁護士に依頼した方がよいでしょう。

  3. (3)借金のトラブルを他人に知られずに解決可能

    借金のトラブルは、たとえ家族であっても知られたくないという方も多いでしょう。弁護士に任意整理を依頼すれば、すべての手続きを弁護士に一任できることから、家族に知られずに借金を解決できる可能性が高くなります

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6、まとめ

任意整理は、最も手軽な債務整理の方法で比較的安い費用で早期に借金を解決できる、メリットの大きな手続きです。

信用情報の悪化は、任意整理で借金を解決する場合に生じる唯一のデメリットといえますが、それによって「一生クレジットカードを作れない」、「一生借金ができなくなる」というわけではありません。

また、弁護士に早期に任意整理を依頼すれば、借金滞納などによる信用情報悪化のデメリットを軽減・回避できる可能性も高くなるといえます。ベリーベスト法律事務所では、借金のお悩み・任意整理のご相談は何回でも無料でご利用いただけます。返済が苦しいと感じられたときにはできるだけお早めにお問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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