債務整理 弁護士コラム
借金の返済に追われ、他社から借り入れては返済に充てる「自転車操業」になっている方もいらっしゃることでしょう。
自転車操業を続けていると、いくら返済しても借金が減るどころか膨れ上がってしまい、やがて行き詰まってしまいます。自転車操業から抜け出すには、原因を見定めた上で正しく対処することが重要です。
本コラムでは、自転車操業とはどのような状態のことをいうのか、また自転車操業の状態を放置した場合に迎える末路、正しい抜け出し方について、ベリーベスト法律事務所 債務整理チームの弁護士が紹介します。
自転車操業とは、借り入れと返済を継続的に繰り返す状態のことをいいます。
収入から生活費を差し引くと返済資金が足りなくなり、他の貸金業者から借りて返済に充てることを繰り返しながら生活している状態です。借入をし続けなければ借金を返済できない状態であるため、ペダルをこぎ続けなければ倒れてしまう自転車の走行になぞらえて、自転車操業と言われています。
無計画に借金を重ねた場合だけでなく、最初は順調に返済していても、収入が減ったり、突発的な出費のために追加で借り入れたりして、返済の負担が重くなった場合なども、自転車操業に陥りがちです。
自転車操業になってしまっても、以下のように抜け出す方法はあります。自転車操業の状態を続けると利息が利息を呼ぶようにして借金が膨れ上がる可能性が高いため、できる限り早めに対処しましょう。
自転車操業から抜け出すためには、新たな借り入れをしなくても毎月の返済ができる状態を作り出さなければなりません。そのためには家計の収支を改善し、返済に回せる金額を増やす必要があります。
まずは家計簿をつけるなどして、収支を正確に把握しましょう。そして無駄な支出がないかを確認します。支出を抑えるためには、固定費の削減を検討することが有効です。副業をするなどして収入を増やすのもよいでしょう。ただし、心身の不調を招いては本末転倒なので、節約も増収も無理のない範囲内で検討することが大切です。
次に、現在の借入先よりも金利が低い金融機関で借り換えをすることも検討してみましょう。低金利の金融機関に債務を一本化する「おまとめローン」を利用するのも有効です。金利を下げることができれば毎月の返済額を減らすことが可能となるので、自転車操業が抜け出しやすくなります。
ただし、金利が下がったとしても返済期間が長期化すると、返済総額はかえって増えてしまうこともあります。借り換えた後は、余裕があるときには繰り上げ返済も行い、できる限り早期の完済を目指す方がよいでしょう。また、借り換えの際に完済した貸金業者から再度借り入れてしまうと借金が増えてしまい、自転車操業の状態が悪化しやすいことにも注意が必要です。
以上の方法によっても、借り入れをしなければ返済が追いつかない状態なら、自力で自転車操業から抜け出すことは難しいといえます。その場合には債務整理が有効です。
債務整理とは、法律にのっとって借金の全部または一部を免除してもらう手続きのことで、主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。
任意整理は、債権者と直接交渉して利息を免除してもらい、毎月の返済額や返済期間を改めて取り決める手続きです。
個人再生は、裁判所に申し立てることにより借金を減額することが可能な手続きであり、原則的に5分の1~10分の1にまで返済額が減ります。どちらかの手続きにより、収入の範囲内で返済可能な程度にまで借金を減らすことができれば、自転車操業から抜け出せます。
これらの手続きでも返済が難しい場合には、自己破産の検討しましょう。自己破産では、裁判所に申し立てることにより、一定の条件のもとに借金がすべて免除されます。収入が少なくても、自己破産をすれば自転車操業から抜け出すことが可能です。
自転車操業からの抜け出し方を知ってはいても、債務整理をためらい借り入れを重ねてしまう方は少なくありません。しかし、自転車操業を続けていると以下のような末路を迎える可能性が高いので、注意が必要です。
返済に追われていると、「借りた分をそのまま返済に充てれば、借金総額は変わらない」と考えてしまいがちです。しかし、新たに借りた分にも金利がかかるので、返済総額は増えてしまいます。自転車操業を続ければ続けるほど、借金は増えていくのです。
生活費に余裕がないため、突発的な出費などで借り入れをして、さらに借金が増える可能性も高くなります。
借金が増えてくると、やがてどの会社からも借り入れができなくなります。消費者金融やクレジットカード会社からのキャッシングでの借り入れには「総量規制」が適用されるため、合計で年収の3分の1に相当する金額までしか借りられません。銀行カードローンには総量規制は適用されませんが、借入額や借入先の件数が大きくなると審査に通らなくなります。
こうなると自転車操業を続けることができず、残った借金は返済不能となるでしょう。
返済不能となり、借金の滞納が2~3か月続くと、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に掲載され、信用取引を行うことは難しくなるのです。
新たな借り入れができないだけでなく、クレジットカードが使えない、住宅ローンや車のローンが組めない、携帯電話やスマホの端末を分割で購入できなくなる、子どもの奨学金の保証人になれないなど、生活に支障が生じるおそれがあります。
滞納を続けると、債権者からは残高の一括返済を請求され、それでも支払えなければ支払督促や民事訴訟という裁判を起こされてしまいます。裁判を放置すると強制執行の手続きに進み、給料や預金口座などの財産が差し押さえられ、生活費すら不足する事態となるおそれがあります。
自転車操業を続けてきた方がどこからも借りられなくなったとき、手を出しやすいのが闇金です。闇金は、総量規制や事故情報などとは無関係にお金を貸します。しかし、闇金は法外な利息を要求してくるため、完済することは極めて難しいのが実情です。
返済できなければ別の闇金を紹介され、そこでお金を借りて返済するように仕向けられることもあります。こうなると複数の闇金から次々に法外な利息を要求され、闇金の餌食となってしまいます。
闇金は絶対に利用してはいけません。闇金に手を出す前に、債務整理など正しい対処法で自転車操業から抜け出すべきです。
自転車操業になってしまう主な原因として、以下のことが挙げられます。自転車操業から抜け出すためにも、再び自転車操業の状態にならないためにも、しっかりと確認しておきましょう。
貸金業者からの借金に利息がつくことは知っていても、具体的にいくら返済しなければならないのかを考慮せずに借りる方は少なくありません。
100万円の借金を5年(60回払い)で返済する場合、金利15%だとすると、完済までに43万円近くもの利息を支払う必要があります。この点を考慮していないと、「思った以上に返済の負担が重い」ということなりがちです。返済が苦しくなって借り増しや他社からの借り入れをしてしまうと、自転車操業になりやすいといえます。
消費者金融からの借金やクレジットカードのキャッシングでは、多くの場合、金利は上限(借入額10万円以上~100万円未満なら年18%)に設定されています。金利が高いと、毎月の返済額の大半が利息の支払いに充当されるため、「返済しても借金がなかなか減らない」ということになってしまいます。
そのため、安易に高金利の業者から借り入れをすると早期に返済が苦しくなり、自転車操業に陥りがちです。
安易に借金をする方の中には、家計の収支を把握していない方もいらっしゃいます。「お金が足りなくなったから借り入れでしのごう」という姿勢は、返済が苦しくなったときに「他のところから借りて返済すればよい」という考え方を招きやすく、自転車操業につながりやすいのです。
やむを得ずに借金をしたなら、家計の収支を計算して返済に回せる金額を確認し、必要に応じて支出を減らすといった姿勢が重要です。
いったん自転車操業の状態になると、容易には抜け出せないことがほとんどです。そのため、借金の返済が苦しいと感じた時点で家計の収支を改善する、必要に応じて借り換えを行う、といった対応が必要となります。
自力で自転車操業から抜け出すことが難しいと感じたら、早めに債務整理を検討することも大切です。早期に対処した方が解決手段の選択肢が多くなるため、生活への影響を最小限にとどめることもできるでしょう。
「このままでは自転車操業になりそう」という方も、すでに自転車操業になってお困りの方も、ベリーベスト法律事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。借金問題を数多く取り扱ってきた経験豊富な弁護士が、状況に応じて最適な解決方法をご提案いたします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
家族の借金が発覚すると「自分も借金を負担しなければならないのだろうか」と不安になる方も多いと思います。家族の借金については、身内であっても原則として返済義務はありませんが、具体的な状況によっては例外的に返済義務が生じることもあります。
そのため、家族の借金について返済義務が生じるケースや具体的な対処法をしっかりと理解しておくことが大切です。
今回は、家族の借金が発覚した場合の返済義務の有無について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
自分の銀行口座に身に覚えのない振り込みがあったときには、ヤミ金からの「押し貸し」である可能性が考えられます。
不要なトラブルに巻き込まれるリスクを回避するためにも、「誰かがお金をくれてラッキー」などと安易に考えずに慎重に対処しましょう。
本コラムでは、ヤミ金手口のひとつである押し貸しの基本的な仕組みや、押し貸しされたときの正しい対処方法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
銀行口座は、資産管理を行う上で欠かせません。万が一のために蓄えを備えるだけでなく、給料の受け取りや決済用の手段としても、必須のツールです。
しかし、借金の返済などを滞納してしまえば、銀行口座が差し押さえにあってしまうこともあります。債権者にとっても銀行口座の預貯金は、滞納した借金を回収するための重要な引き当て財産だからです。
令和2年4月に改正民事執行法が施行され、債権者による債務者の財産調査が容易になりました。そのため、銀行口座は以前よりも差し押さえやすくなったといえます。
銀行口座に限った統計ではありませんが、裁判所が公表する「令和5年 司法統計年報」によると、「債権及びその他の財産権に対する強制執行」の手続きが裁判所で行われた数は、14万3400件でした。うち12万2649件は、取り下げられています。
本コラムでは、借金の返済を滞納して銀行口座が差し押さえられてしまうときの流れや効果、差し押さえを回避する方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。