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クレジットカードの滞納。督促がこないなら放置しても大丈夫?

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更新日:2023年11月15日 公開日:2020年12月21日

クレジットカードの滞納。督促がこないなら放置しても大丈夫?

クレジットカードなどの支払いを滞納していると、それまで頻繁にあった督促がこなくなる場合があります。

「督促がこないのは債権者が諦めてくれたのか?」、「このまま時効で踏み倒せるかもしれない」と都合よく考えてしまう方もいるかもしれませんが、当然そのようなことはありません。

そこで今回は、債権者から督促がこなくなってしまう理由や、督促がこないからといって借金返済を放置してしまったときのリスクなどについて解説します。

1、クレジットカードや借金を滞納したときの督促の流れ

まずは、クレジットカードの支払いや借金返済を滞納してしまったときの債権者からの督促の基本について確認しておきましょう。

債権者からの督促・取り立ては、以下のように滞納期間が長くなるほど厳しくなるのが一般的といえます。

  1. (1)滞納1か月以内の初期の督促

    毎月の支払日・返済日から1か月以内の対応は、電話・メール・ハガキなどによって「返済が遅れている(残高不足になっている・振り込みが確認できていない)」ことを通知する程度のものにとどまる場合が多いといえます。

    実際、この種の初期滞納には、「支払期日を忘れていた」、「口座残高の確認を忘れていた」といったちょっとした不注意が原因となっている場合が少なくないからです。

    クレジットカードの場合には、支払いに遅れが生じればカードが利用停止になることが多いですが、遅れを解消すれば早期に(支払いの確認がとれた営業日もしくは翌営業日)停止が解除される場合が多いでしょう。

  2. (2)滞納が1か月を超えた場合

    滞納期間が1か月を超えた場合(翌月の支払日・返済日までに滞納が解消されなかった場合)には、債権者からの督促もそれ以前より厳しくなるのが一般的です。具体的には、この時期の督促では、債権者から「期限の利益喪失」を予告する通知が送付されてくる可能性があります。

    期限の利益を喪失してしまえば、分割払い・リボ払いの利用額がある場合であっても利用残額の全額を一括で支払い(返済)しなければならなくなってしまいます。

    また郵便物による督促だけでなく、回収担当者からの電話・メール連絡などによる督促の回数も増える場合が多いでしょう。債権者によっては、不良債権回収の専門部署に担当が変更されたり、回収業務がサービサー(債権回収専門の株式会社)に委託されることもあり得ます。

  3. (3)滞納が2か月を超えた場合

    滞納が2か月を超えた場合(3回目の支払日・返済日をすぎても滞納が解消されない場合)には、既に通知されている予告書にしたがって、期限の利益を喪失し、クレジットカード契約・ローン契約が債権者によって強制解約される可能性が高まります。

    契約を強制解約された後には、債権者自身が回収を行う場合もありますが、上でも述べたようにサービサーに債権回収を委託する場合や、債権を他社に譲渡されてしまう可能性もあります。

2、支払いを滞納しているのに督促がこない5つの理由

支払いや返済を滞納しているにもかかわらず、債権者からの督促がこなくなってしまったという場合には、次のような事情が発生している可能性があります。

  1. (1)督促状の送付先がわからない

    支払い・返済を滞納している債務者が引っ越したことを債権者に通知していないようなケースでは、督促状の送付先がわからなくなったことで、債務者の元に督促が届かなくなるということが考えられます。

    ①債権者は引っ越し先を追跡調査できる

    引っ越し後に督促がこなくなった場合には、「このまま債権者はあきらめてくれるのではないか」、「時効完成まで逃げ切れるかもしれない」といった期待をもってしまう方もいるかもしれません。

    しかし、実際にはそのような結末になる可能性はかなり低いといえます。債権者は、債務者の住民票などを閲覧できるので、引っ越し先を追跡調査することは比較的簡単に行えます。

    ②引っ越し先がわからなくても裁判は可能

    また、債務者の引っ越し先がわからなくても債権を回収するための手続きを進めることも可能です。民事訴訟には「公示送達」という住所不明の人を相手に裁判を行う仕組みが用意されているからです。

    仮に、公示送達で裁判が始まった場合には、債務者側は自分が訴えられたことに気づけないまま裁判に負けてしまう可能性が高いといえます。

    公示送達で自分が訴えられたことを知るためには、官報や裁判所の掲示板を逐一確認しなければならないからです。

    ③引っ越し先を伝えないことで強制解約される

    一般的なクレジットカード・ローンの契約には、「債務者が転居した場合には債権者に通知する義務」を定めた条項が設けられています。

    支払い・返済を滞納したまま引っ越しをしてしまい、しかもそれを債権者に知らせないまま放置してしまえば、契約違反を理由にカード・ローン契約を強制解約されてしまう(期限の利益を失ってしまう)可能性が高くなるだけともいえます。

  2. (2)業務上の都合で督促できない

    債権者からの督促は、債権者側の業務上のさまざまな都合で止まってしまう場合もありえます。

    具体的には、次のようなケースが考えられるといえるでしょう。

    • 債権を担当する部署が変わることによる引き継ぎを行っている
    • サービサーに債権回収を委託するために引き継ぎを行っている


    これらの事情は、いずれも「さらに強力な督促」を行うための準備といえるものですから、督促がこなくなったということは、債務者にとってはむしろ都合の悪い事情といえます。

  3. (3)他社に債権を譲渡した

    債権者が債権譲渡を考えている場合にも督促が止まってしまう可能性があるといえます。譲渡先の選定や譲渡のための契約手続きなどのために時間がかかってしまうからです。

    また、ローン契約に保証会社が設定されている場合には、長期の滞納によって代位弁済の手続きが行われている場合もあります。保証会社が代位弁済を実施した場合には、債権者の地位も保証会社に移転します。

    いずれの場合も一般的には元の債権者よりも厳しい督促・取り立てが行われると考えておいた方がよいといえるでしょう。

  4. (4)裁判所の手続きの準備を進めている

    債権者が裁判で回収するための準備を進めている場合にも、督促は止まってしまうケースは少なくありません。「債務者に督促をしても回収が難しい」と考えているからこそ、裁判を提起するため、督促をしても反応のない債務者に対して、裁判の手続きを進めている場合は、積極的に督促は行われないでしょう。

    裁判を起こされた場合には、支払い・返済が滞っていることが事実である限り、債務者が勝訴することは厳しいといえます。

    債権者側の勝訴判決が確定すれば、強制執行(給料などの差し押さえ)が現実味を帯びてきますので、さらに追い込まれた状況に陥ってしまいます。

  5. (5)債権者に都合の悪い事情がある

    督促をすることで債務者を追い込んでしまうと、逆に債権者にとって都合の悪い事態になってしまう場合にも、債権者から督促がこなくなる可能性があります。
    債権者にとって都合の悪い場合の典型例は、(多額の)過払い金が発生している場合や、すでに消滅時効が完成しているような場合です。

    平成18年よりも前から消費者金融の借金がある、クレジットカードでキャッシングをしているという場合や、最後の返済から5年以上経過しているような場合には、過払い金請求・時効の援用を行うことを考える余地があるといえるでしょう。

    とはいえ、実際にこのような事情で督促が止まるケースは全体の中のごく一部だと思われます。

3、督促がこない返済を放置するデメリット3つ

督促がこないからといって、クレジットカードの支払いや借金返済を怠り滞納をそのままにしておくことは、次のようなデメリットがあり非常に危険です。

  1. (1)遅延損害金が増えていく

    クレジットカードの支払いや借金返済が期限に間に合わなかったときには、遅延損害金が発生することになります。遅延損害金の割合は、利息よりも高いので滞納期間が長くなるほど、債務残額が膨れ上がるスピードも早くなってしまいます。

  2. (2)信用情報にブラック情報が登録される

    クレジットカードや借金の支払い・返済状況は「信用情報」としてデータベース上で金融機関に共有されます。

    支払い・滞納期間が長くなりすぎれば、「長期滞納」として、いわゆるブラックリスト入りしてしまいます。

    たとえば、信用情報機関のCICでは、滞納2か月または3か月以上を異動情報(事故情報・ブラック情報)と定めていますし、債権者による強制解約も異動情報となります。

    つまり、支払い・返済の長期滞納は、信用情報の上では自己破産などの債務整理をした場合と同じように取り扱われるということです。

    なお、長期滞納のブラック情報は、滞納を解消しただけでは消去されません。

    通常は残額の完済から一定期間(5年が目安)が経過するまでは長期滞納の事故情報が登録されつづけます。

    滞納が長期間になってしまうと、借金の完済も困難になっていきますので、債務整理をした場合よりもブラックリスト入りの期間が長くなってしまうことも珍しくないといえます。

    仮にブラック情報が登録されない場合であっても、いわゆるクレジットヒストリー(毎月の返済状況の記録)には、滞納の情報が登録され続けることになりますので、信用情報の悪化を回避することはできません(クレジットヒストリーは直近24か月分が登録されます)。

  3. (3)給料などを差し押さえられるリスクが増える

    支払い・返済の滞納期間が長くなるほど、債権者が裁判での回収に踏み切る可能性も高くなるといえます。

    すでに上でも述べたように、クレジットカード・借金に残額があり、滞納していることも明らかである場合には、債務者側が裁判で勝てる見込みは原則としてゼロです。

    「手元にお金がないから支払えない・返済できない」という事情は裁判では一切考慮されないからです。

    債権者から訴えられた裁判に負けると、残額および遅延損害金の一括返済に応じなければならなくなりますが、毎月の支払い分ですら滞納してしまっている方が残額と遅延損害金を一括で支払うことはかなり困難です。

    したがって、敗訴は債権者による強制執行のリスクに直結することになります。

    なお、クレジットカードやカードローンを申し込む際には勤務先の情報を申告していますので、差し押さえの対象は給料債権になるのが最も一般的です。

    給料債権の差し押さえがなされれば、勤務先に差し押さえの事実を知られてしまうだけでなく、請求額(差し押さえ債権額)を完済するまで継続されてしまいます。

4、借金やクレジットカードの支払いが苦しいときは弁護士に相談

ここまで解説してきたように、カードの支払い・借金の返済の督促がこないというのは、さらに厳しい次の段階の督促・取り立てに移るための準備が行われているというケースは少なくありません。

「督促がこないからよかった」と考えるのではなく、「督促がこないうちに債権者と和解する」ことを考えた方がよいといえるので、この間に弁護士に債務整理の相談されることをおすすめします。

  1. (1)債務整理で借金返済の負担を大幅に軽減

    支払い・返済ができなくなったクレジットカードや借金は債務整理することで、返済の負担を大幅に減らすことができます。

    たとえば、任意整理をすれば、毎月の支払い・返済で大きな負担となっている利息・手数料を免除してもらうことができますので、「返済をしているのに残額がなかなか減らない」という状況を大幅に改善することができます。

    利息・手数料がなくなれば、支払った分だけ確実に残額も減っていくからです。支払い・返済に終わりが見えれば、それを続けるモチベーションも維持しやすいといえるでしょう。

    また、何かしらの事情で収入が大幅に減ってしまった、なくなってしまったという場合や、年収額を超えるような借金があるケースでは、自己破産することで支払い・返済を完全に免除してもらうという方法もあります。

    債務整理をすることで信用情報が悪化すること(クレジットカードを一時的に持てなくなるなど)を懸念する人も多いと思いますが、上でも書いたように自分では支払いきれないカード残高や借金をそのまま放置しておけば、債務整理した場合よりもブラックリスト入りの期間が長くなる可能性もあります。

  2. (2)債務整理は依頼するだけで督促をストップできる

    クレジットカードの支払いや借金返済が苦しいと感じる人にとって、債権者からの督促は非常につらいものです。スマホ・携帯の着信音がなるたびに不安な気持ちになったり、自分が留守の間に督促状が届き家族にばれてしまうのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。

    このような不安は、弁護士に債務整理を依頼することで解消が可能です。弁護士が債務整理に着手したことを金融機関に通知すると、金融機関は債務者本人への督促・取り立てができなくなります。

    さらに、債務整理に着手した場合には、それが終わるまでの間の毎月の支払いも一時的にストップさせるのが一般的といえますので、督促だけでなく毎月の返済日からもいったん解放されることになります。

5、まとめ

これまで頻繁にあった督促が急にこなくなれば、安心してしまい「このまま返さなくてもよいのではないか」、「時効で踏み倒せるまで督促がこないのではないか」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、本文で解説してきたように、債権者からの督促がこなくなることは、「嵐の前の静けさ」である可能性の方が高いといえますから、早急に適切な対応をとるべきでしょう。

自分で返済できなくなったクレジットカードや借金は、弁護士に債務整理を依頼することで大幅に減免してもらえる可能性が高いです。当事務所では借金・債務整理の相談は何度でも無料でお受けいただけますので、安心してお問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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