債務整理 弁護士コラム

債務整理は秘密にしたまま行えるのか? 秘密に解決するための4つのポイント

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更新日:2023年06月16日 公開日:2020年10月14日

債務整理は秘密にしたまま行えるのか? 秘密に解決するための4つのポイント

「借金が家族や勤務先に、もしバレてしまったら・・・」と不安に感じたことはありませんか?借金の返済に苦しんでいるほとんどの方が、「誰にも知られずに解決したい」と考えています。

今回は
「人に秘密にしたまま債務整理をする方法」
「秘密にできない場合」
などについてまとめました。

借金問題は、早期に対応することで、誰かにバレるリスクを大きく減らすことができます。
借金の返済に苦しんでいて、内緒で債務整理をしたいという方は、是非参考にしてみてください。

1、「任意整理」なら秘密に債務整理することも可能

債務整理には、

  • 「任意整理」
  • 「個人再生」
  • 「自己破産」


の3つの種類があります。

このうち「任意整理」は最も密かに進めやすい債務整理の手続きで家族にも知られずに借金を解決することも十分可能です。

以下では、その理由について解説してきたいと思います。

  1. (1)債権者との交渉はすべて代理人が行ってくれる

    任意整理は裁判所を介さず、将来利息のカットや、返済期間の見直しを、直接交渉する手続きです。

    債務者が自分で債権者である金融機関と交渉することも不可能ではありませんが、自力での交渉は失敗するリスクだけでなく、家族バレのリスクも高くなるので「債務整理を秘密裏に行いたい」と考えるのであれば、あまりおすすめできません。

    しかし、弁護士に債務整理を依頼すれば、あとは全て代理人である弁護士に任せすることができ、依頼後、債務者は(金融機関などの)債権者と直接連絡を取らずに済ますことが可能です。

  2. (2)弁護士には守秘義務がある

    債務整理の依頼を受ける弁護士には、「職務上知り得た秘密を他人に漏らしてはいけない」という「守秘義務」があります。

    したがって、「○○さんから任意整理の依頼を受けた」ということはもちろん、借金の理由や金額といったことも誰にも漏らされることはありません。

    また、法律事務所のスタッフにも弁護士と同様の守秘義務があります。

    依頼人や相談を受けた相手から知り得た情報は、依頼人の家族や勤務先であっても、外部に漏らすことはありません。

    「弁護士と債務者とのやりとりも家族にバレてしまうのが心配」というのであれば、債務整理を依頼する際にその旨をはっきりと伝えておくとよいでしょう。

    法律事務所としても、

    • 法律事務所の名前を伏せて書類の郵送をしたり
    • 自宅(固定電話)への連絡はしない等


    依頼人のプライバシーが守られるような最大限の配慮をしてくれるはずです。

    また、弁護士と書類のやりとりをする際には、「事務所に直接取りに行く」ことで対応をすれば郵送それ自体を不要とすることができます。

    最近は、仕事帰りに寄れる時間まで対応している事務所も増えていますので相談してみるとよいでしょう。

  3. (3)任意整理したことは公的な記録に残らない

    債務整理をすると、戸籍や住民票などに記載され家族にバレてしまうことを心配する方も少なくありません。

    特に結婚を控えている方や、何かしらの手続で住民票・戸籍を提出する予定のある方には、そのような不安を感じている方も多いと思います。

    この心配事の原因は、本籍のある市区町村で「破産者ではない身分証明」を得られることに関係しているようです。

    しかし、市区町村が身分証明を行う場合には、戸籍や住民票とは別の「破産者名簿」の記載内容にしたがって手続が進められるので住民票や戸籍とは無関係です。

    なお、この「破産者名簿」は、一般の人には非公開の帳簿ですし、自己破産をした場合でも「免責不許可が決まった場合(や免責不許可となる可能性が高い場合)」のみに氏名などが搭載されるに過ぎません。

    したがって、任意整理はもちろん、どの種類の債務整理をしても戸籍や住民票に記載されることはありません。

2、債務整理を秘密にしておくことができない4つのケース

次のような場合には、債務整理を秘密にしておくことはできません。代表的な4つのケースを紹介します。

  1. (1)同居している家族のいる人が自己破産・個人再生する場合

    自己破産・個人再生の場合には、同居の家族に秘密にすることは非常に難しいといえます。
    自己破産・個人再生の手続きに必要な申請書類には、

    • 直近2ヶ月分の住居費
    • 食費
    • 電気代
    • 交際費


    などを記録してある「家計収支表」があり、同居の家族の中に給与所得者がいる場合には基本的にその家族の分の給与明細(収入を証明できる書類)などの提出も求められます。

    さらに、マイホームがある人の自己破産では、住宅ローンの有無にかかわらずマイホームは差押えの対象となってしまいますし、99万円を超える現金や20万円以上の価値のある車などの財産(差押禁止財産を除く)は、債権者への配当に充てられるため差し押さえられてしまうので、同居の家族に秘密にしておくことは簡単ではないでしょう。

    「家族に知られたくない」からといって財産隠しをすれば、自己破産に失敗する(免責不許可になる)だけでなく、犯罪に問われることもあります。

    ところで、借金問題は「家族にも秘密にしておきたい」とどうしても考えてしまいますが、「家族はうすうす気づいている(秘密にできていると思っているのは本人だけ)」というケースも実は少なくありません。

    たとえば、「家族と一緒にいるときにかかってきた電話に出ない」、「日頃の様子がいつもと違う」といった債務者の些細な変化を感じ取っていることはかなり多いからです。

    そのようなケースでは、家族も債務者本人から「打ち明けられるのを待っている」場合も多いでしょう。

    自己破産や個人再生をしなければならないほど、返済に苦しんでいる場合には、家族の協力が必要ですし、財産処分の際にバレてしまうよりも、今後の生活のために前もって正直に話しておいたほうがよいでしょう。

  2. (2)官報公告から他人に債務整理を知られてしまうケース

    自己破産や、個人再生をした場合には、官報に「住所」「氏名」等が掲載されますので、知人や勤務先に知られてしまう可能性が全くないとは言い切れません。

    この「官報による公告」は、自己破産・個人再生の手続が始まったことなどを「すべての債権者」に確実に伝えるための手続として行われるものです。

    また、公告は、官報への掲載だけでなく、手続を実施する裁判所の掲示板でも行われます。

    そのため、官報などの公告から自己破産・個人再生をしたことが他人にバレてしまうことを心配する方も多いようです。

    しかし、官報は平日毎日発行されており、新たに公布された法律の情報など、自己破産・個人再生の公告以外の情報もたくさん掲載されています。

    また、裁判所からの公告事項も債務整理関係だけでなく、家事事件関係など多岐にわたります。

    さらには、それぞれの公告事項も全国分が一挙に掲載されるので、「特定の人についての公告をたまたま見つける」という可能性はほとんどないといえます。

  3. (3)勤務先から借金のある人が自己破産・個人再生する場合

    自己破産・個人再生は、すべての債務者を手続きの対象にしなければなりません。

    勤務先から借金がある場合、裁判所に提出する「債権者一覧表」に勤務先を記載します。

    裁判所から債権者である勤務先に通知が送られ、勤務先は手続きに参加しますので、確実に債務整理をすることがバレてしまいます。

    勤務先に知られたくないからといって、勤務先からの借金を除外して手続を申し立てれば、

    • 免責不許可
    • 再生計画の不認可
    • 取り消し


    など、債務整理失敗の原因にもなりかねません。

    また、

    • 労働組合
    • 共済
    • ろうきん


    などからの借金を自己破産・個人再生する場合にも注意が必要です。

    これらの金融機関は勤務先と緊密な関係にあり、借金の返済なども「給料からの天引き」で対応していることが多いからです。

    当然、それぞれの担当者には守秘義務がありますが、「口外されてしまう(気づかれてしまう)可能性もゼロではない」ので注意が必要です。

  4. (4)自己破産による職業・資格制限で勤務先に迷惑をかける場合

    自己破産の手続きをして破産手続開始決定が下されると、免責許可をされ復権するまで、一時的に警備員の仕事に就けなくなったり、弁護士や税理士、宅地建物取引士などの職種では免許や登録を受けることができなったりします。

    したがって、これらの仕事に就いているときには、「自己破産を申し立てる前に会社に報告・相談する」ことは必須となります。

    「会社に迷惑をかけたくない」、「自己破産がバレたらクビになるかも知れない」と考えて安易な対応をすることは、とてもリスクが高いので絶対にすべきではありません。

    たとえば、勤務先に黙っていたことで、欠格者を業務に従事させることになったときには、「営業停止」、「営業免許取消し」といった重大な損害が生じる恐れもあります。

    したがって、自己破産をしたことよりも、「自己破産前に相談をしなかったこと」の方が「懲戒解雇事由」に該当する可能性も高いといえますので注意しましょう(通常は、自己破産したことだけを理由に懲戒解雇することは不当解雇になります)。

3、債務整理を秘密にしておきたいなら「早期対応」が重要

債務整理を人に秘密にできるかどうかは「早期対応」が大きなポイントです。

  1. (1)任意整理の限界

    任意整理は他人に知られにくく、最もプライバシーが守られる債務整理です。
    しかし、任意整理にも限界があります。たとえば、任意整理では将来利息しかカットできない(自己破産・個人再生とは違って元本の免除をうけられない)ので、減額効果にも自ずと限界があります。

    そのため、毎月の返済可能額に対して「借金の総額が大きすぎる場合」には、任意整理では解決できない(債権者が同意できる分割払いの条件を示せない)ことも少なくありません。

    すでに解説したように、個人再生・自己破産は「他人に秘密にしておく」ことは簡単ではありませんから、債務整理を秘密にしておきたいのであれば、任意整理で対応可能なうち(借金の総額が少ないうち)に対応することが重要というわけです。

  2. (2)「借金バレ」のほとんどは債権者からの取り立てが原因

    実際のケースでは、家族などに借金がバレる原因は、「債務整理をした」ことではなく、「債権者からの取立て」である場合の方が多いといえます。

    最もわかりやすいのが、借金を滞納した場合に送られてくる督促状などの郵便物です。特に、近年は明細書すら郵送しない場合が多いので「金融機関から郵便物が届く」ことはかなり目立つといえます。

    また、債権者からの(携帯・スマホへの)電話・メールの連絡を無視しつづけたことで、自宅の固定電話や勤務先に取り立ての電話があったことで借金がバレるケースも少なくありません。

    なお、金融機関の取立て行為は、法律などで厳しく規制されているので、「無視せずにきちんと対応」している限りは、(債務者が希望しない)自宅固定電話・勤務先に連絡されることはありません。

    借金の取り立てとの関係では、弁護士に債務整理を依頼した方が、借金の問題を秘密にしておきやすいといえます。
    なぜなら、弁護士に債務整理を依頼した場合には、一切の連絡(取り立て行為)は、代理人である弁護士を経由して行わなければならないからです。

    したがって、借金の返済を滞納してしまう前の段階で弁護士に債務整理を依頼できれば、「取り立てから借金がバレるリスクはゼロ」となります。

4、「無料相談」を上手に活用しよう

多くの法律事務所では、借金問題に関する相談を無料で実施していますので、とりあえずは費用の心配をする必要はありません。

債務整理にかかる費用についても、多くのケースでは、弁護士のアドバイスを受けながら「何とか工面できている」ケースが多いといえます。

「お金がない」と諦めてしまうことの方が危険です。
なぜなら、誰にも相談できず、借金問題の不安や悩み事を1人で抱え込んでしまうと、自転車操業やヤミ金などリスクの高い間違った対応をしてしまう原因になってしまうからです。

もちろん、無料相談で弁護士に話した内容も、守秘義務によって外部に漏らされることはありません。

また、借金の返済ができていないことや、借金を作った原因について叱られることもありませんので、現在のあなたの状況を正直に話しましょう。

借金問題の解決にむけて道が開けるはずです。

5、まとめ

誰にも知られずに借金を解決したい場合には、借金額が少ない早期に債務整理をすることが重要です。
借金額が大きくなってしまっても、早めに対応することで、債務整理のリスクを最小限に抑えることができます。

借金の返済に苦しんでいる方は、「まだ大丈夫」と思っていると手遅れになってしまう危険性があります。

弁護士に相談したら依頼する義務が生じるわけではありません。
早期に相談できたケースでは、無料相談で有効なアドバイスをもらえたことで借金問題を自力で解決できることがあるかもしれません。

ほんの少しでも「借金の返済が苦しい」と感じたときには、一刻も早く弁護士に相談して、最善の方法で借金を解決しましょう。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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