債務整理 弁護士コラム
「ストレス発散」、「自分へのご褒美」などと、ついつい買い物をしすぎてしまった、遊びすぎてお金がない、ということはありませんか? 借金をしてでも買い物がやめられない、遊びたい、という気持ちになることもあるでしょう。
とはいえ、収入には限りがありますから、借金を前提に買い物などをいつまでも続けていれば、いつかは返済しきれないほどの借金を抱えてしまい大変なことになってしまいます。
本記事では、浪費グセが原因で作ってしまった借金問題を解決する方法と、それを実行するメリット・デメリットなどをまとめました。
浪費が原因で返しきれないほどの借金を抱えてしまい「返済日が来るのが毎月怖い」と感じているような人は、ぜひ参考にしてみてください。
浪費グセが原因で作った借金が、返済できなくなったときには、自力で解決する方法と、債務整理を利用して解決する方法があります。
借金を自力で解決することは、不可能ではありません。
無駄遣いをやめて、今以上に生活を切り詰めて、努力を続ければ、自力で解決することができます。
しかし、借金返済に悩んでいる人の多くは、現在「これ以上生活を切り詰められない」という状況にあることでしょう。
これ以上節約するところがなければ、収入を増やすしかありませんが、副業が禁止されている人も多いでしょう。
給料の多い仕事に転職するとしても、成功する保証はなく、簡単に収入を増やせるというものではありません。
他方、借金の返済日は毎月必ずやってくるので、返済能力を超える借金を抱えてしまった場合、自力で脱出するというのは簡単ではないでしょう。
浪費グセが原因で作った借金は、債務整理で解決することができます。
債務整理には、
の三つの方法があります。
以下では、浪費グセが原因で作ってしまった借金を債務整理で解決する場合について、詳しくみていきたいと思います。
任意整理とは、裁判所を介さずに債務者が債権者と交渉し、将来利息のカットや支払期間を見直によって、今よりも借金を返済しやすくしてもらう手続きです。
任意整理は、借金の原因が問題になることはありません。
借金の元本はきちんと返済するので、借金の原因により、手続きに有利・不利が生じることはなく、債権者に対し、借金の原因を申告する必要もありません。
手続きにかかる費用が安いのも特徴です。
任意整理は、裁判所を介さないので、手続きにかかる費用はありません。
また、弁護士などに依頼した場合でも、債権者1件につき着手金・成功報酬として、それぞれ数万円程度を支払えばよい場合が多いです。
債務者が弁護士に依頼をすると、債権者に対し、「受任通知」が送付されます。
その後、債権者からの郵便物が送られてくる場合は、すべて弁護士宛てに送られますので、滞納した場合の債権者からの取り立てなどよって、借金トラブルを家族や職場に知られる心配もなくなります。
任意整理だけでなく、債務整理を行うと、信用情報に「事故情報」(債務整理をしたこと)が登録され、新規のローンや、カード発行が難しくなり、現在利用しているクレジットカードも利用停止や、更新拒否をされることもあります。
しかし、このデメリットは一生続くわけではなく、事故情報は、保存期間を過ぎると消去されます。基本的に任意整理の事故情報の保存期間は登録から5年間です。
次に、任意整理では、借金の元金そのものを減額することはできません。
元金の返済期間を無制限に延ばすというわけにもいきません(原則、3年~5年間の期間で元金を返済していきます)から、借金が多すぎるときには、毎月の返済額を工面できないことが理由で、任意整理できない場合もあります。
また、クレジットカードや分割払いで購入した商品は、支払いが終わるまで商品の所有権は信販会社にあります。
そのため、任意整理をした場合には、商品が引き上げられ、換価処分される可能性もあります。
特に、高価なブランド品や家電などの買い物が原因だった場合には、購入商品も換価しやすい(中古市場が確立されている)ので、商品が引き上げられやすいといえます。
個人再生は、裁判所を介して利息だけでなく、借金の元金も一部免除してもらえる手続きです。
借金の金額によっては、借金を大きく圧縮してもらえる可能性もあります。
任意整理と同様に、借金の原因は問題になりません。
個人再生を利用したときには、法律が定めている「最低弁済基準額」まで借金を減額してもらえる可能性があります。
たとえば、
減額されます。
このように、個人再生には、元金の減額があるので、任意整理では解決できないような多額の借金でも自己破産せずに解決できる点が大きなメリットです。
個人再生は、裁判所を介して行う手続きなので、手続きの開始それ自体を債権者に拒否されることもありません。
個人再生は、すべての債権者を整理対象にする必要があるため、「車のローンだけは残したい」というように、整理対象を選ぶことはできません。
個人再生を行うと、官報に氏名・住所が掲載されます。
情報量が多く、毎日発行されているので、一般の人が見ることはほとんどありませんが、金融機関やゼネコンなどの公示情報に関心のある業者などは、チェックしていることがあるかもしれません。
また、手続きが特に複雑で、費用が高額になることも、個人再生のデメリットといえます。裁判所を介した手続きなので、申し立てに2万円程度かかります。
本人申し立ての場合や、東京地裁の場合は、必ず個人再生委員が選任されるので、さらに約15万円~25万円の予納金を負担しなければなりません。
さらに、任意整理と同様に信用情報の悪化や、購入した商品を引き上げられる可能性もあります。
個人再生では裁判所による差し押さえはありませんが、担保権を持っている債権者は権利を実行できるので、マイホーム・車・代金未払い商品を引き上げられる可能性があります。
自己破産は、簡単にいえば、裁判所を介して借金を帳消しにしてもらうための手続きです。
しかし、借金を帳消しにしてもらう一方で、債権者への配当(法律上可能なかぎりの返済)を行うために一定の財産を差し押さえられてしまう点が大きなデメリットといえます。
債務者は、裁判所に自己破産の申し立てをし、免責が得られれば、借金返済の義務が完全になくなります。
自己破産は、他の債務整理とは異なり、手続き後の返済が全くないので、収入が(少)ない人でも借金を解決できる点が最大のメリットです。
信用情報の悪化や、官報への公告もありますが、自己破産には、さらに以下のようなデメリットもあります。
①借金清算のために、財産を手放さなければならない場合がある
マイホームや、財産価値が一定額(20万円が基準とされている裁判所が多いです)以上の車などの、財産を手放さなければなりません。
また、ブランド品の購入がやめられないという場合には、購入した商品(ブランドバック等)も差し押さえの対象になる可能性は高いので注意しておく必要があります。
法律で明確に差し押さえが禁止されている財産を除けば、「何を差し押さえるのか」という最終的な判断は、各裁判所の運用に任されています。
そのため、一つあたりの価値は基準額未満であっても、ブランド品が多数あり、これら嗜好(しこう)品の総額が基準額を超えるような場合は、換価の対象となる可能性があります。
ブランドバックなどは、仮に差し押さえたとしても債務者が生活に窮することはなく、全体で赤字にならなければ、数万円でも債権者に配当を実施した方が公平だと裁判所が考えることもあるからです。
昨今では、「20万円未満」という基準ばかりが一人歩きしていることが多いので注意しておく必要があるでしょう。
②免責不許可になる可能性がある
自己破産の申し立てをすれば、必ず免責が得られて、借金が帳消しになるというわけではありません。
ギャンブルや高価なものを購入した等だけではなく、身の丈に合わない、支出の多い生活を繰り返した、浪費が原因で多額の借金を作ってしまった場合には、「免責不許可」になる可能性があります。
③手続き費用が高額になる可能性
自己破産に至る人には、「差し押さえられるだけの財産がない」というケースも少なくありません。
多額の借金を抱えてしまった場合には、借金の返済に充てるために、売れるものは全部売ってしまったということが考えられます。
このように全く財産がないという人の場合には、破産管財人を選任して差し押さえを実施しようにもその財産がありません。
このような場合には、「同時廃止(手続き開始後すぐに手続きを終わらせる)」の取り扱いとなります。
同時廃止として処理されるケースでは、自己破産のために裁判所に納める手数料は、2万円程度で済みます。
しかし、浪費グセが原因で自己破産をした場合には、財産が全くないケースでも、同時廃止にすることができません。
免責不許可事由があるときに裁判所の裁量で免責を与えるときには、必ず破産管財人を選任しなければならないとされているからです。免責を得られなければ、自己破産をする意味がありません。
したがって、浪費グセが原因で自己破産に至った場合には、そうではない場合に比べて高額な費用(破産管財人の報酬を負担する)が必要となります。
破産管財人の報酬(予納金)は、弁護士に依頼して手続きを行った場合には20万円程度となりますが、本人申し立ての場合には50万円程度となるので、「浪費しすぎてお金が全くない」という人にとっては大きな負担です。
借金返済に苦しんでいるときに、誤った対応をしてしまうと、問題をさらに悪化させてしまいます。四つの誤った対応をまとめてみました。
借金返済のために、他の債権者からお金を借りようと考えるケースがあります。
このような自転車操業は、借入件数を増やすことにより、さらに問題を大きくしてしまいます。
利息の高い小口の借金が増えれば、返済の負担も大きくなり、借金の根本的な解決にならないだけではなく、借金を膨らませ状況がさらに悪化していくので、絶対にやってはいけません。
クレジットカードを利用して購入した商品を、カード代金支払い前に、リサイクルショップなどに売却し、換金する「クレジットカードの現金化」は、カード規約違反になり、カードの利用停止・解約になる可能性が高くなります。
カードが利用停止・解約になると、カード利用残額を一括で支払うよう請求されますので、状況がさらに深刻化する原因にもなります。
また、クレジットカードの現金化は、代金決算前に、「購入額より安く商品を処分した」という点で、「カード会社の正当な権利を侵害する行為」です。
そのため、破産法では、カードの現金化を「免責不許可事由」と定めています。
カードの現金化をしてしまった債務者が自己破産の申し立てをすると、免責不許可のリスクを抱えることになり、基本的に管財事件となって予納金も高くなります。
「借金の返済に苦しんでいるから、今すぐに現金が欲しい!」と、ヤミ金から借金をするのは絶対にやめましょう。
ヤミ金からお金を借りるのは簡単ですが、違法な金利で貸し付けを行い、完済させないようにして、利息を上乗せしていきます。
完済できない債務者は、日々、取り立てに追われ、犯罪への協力を求められたり、個人情報を悪用され、詐欺に遭うリスクも高くなります。
ヤミ金に関わったことが原因で一生銀行口座を持てなくなるなどの、取り返しのつかない事態も考えられるので、絶対に関わらないようにしましょう。
借金があること、浪費グセがあることは、他の人に知られたくないと思う人も多いでしょう。
しかし、問題をひとりで抱えていると、冷静な対応ができなくなり、上記のような、状況を悪化させる行動をとってしまう原因になります。
浪費グセが原因の借金は、債務整理で解決することができますが、「浪費グセ」そのものが治らなければ、また借金を繰り返してしまう可能性があります。
買い物依存や、ギャンブル依存のような場合には、「お金を使うこと」だけが問題なのではなく、人それぞれに複雑な理由や事情を抱えているはずでしょう。
専門医による治療や、カウンセリングを受けることも、浪費グセの原因と向き合うきっかけになります。
浪費グセを根本的に治すために、同じ問題を抱える人同士が集まり、交流する「自助グループ」もあります。
体験談、情報、知識などを分かち合うことで、浪費グセの解決に有効な場合もあります。
浪費が原因で、借金の返済に悩んでいるという人は、ひとりで問題を抱え込まずに、まずは、誰かに相談してみましょう。
相談することで、あなたの問題解決のきっかけになるかもしれません。
借金のことを誰にも知られたくないという人は、弁護士に相談してみるといいでしょう。
守秘義務があるので、プライバシーが漏れる心配もありません。
また、多くの法律事務所では、無料相談を行っているので、安心して相談をすることができます。
あなたに合った、問題の解決方法を見つけてもらいましょう。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。