債務整理 弁護士コラム

株で多額の借金を抱えてしまう3つのケースと借金を抱えてしまった場合の対処方法

2019年11月11日
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株で多額の借金を抱えてしまう3つのケースと借金を抱えてしまった場合の対処方法

投資、資産運用に関心を持つ人は年々増えているようです。株は資産運用としても最もベーシックな方法といえます。

しかし、資産運用や投資にはリスクがつきものです。買った株が必ず値上がりするとは限りません。実際にも、株で大きな損失を出した人も少なくないでしょう。

そこで、この記事では、

●株で借金を背負ってしまう原因
●株で借金を作らないために注意すべきこと
●株で借金を抱えてしまったときの解決方法

について解説していきます。

1、本来なら株で借金を負うことはない

最初に、きちんと理解しておきたいことは、「通常の株取引(現物取引)で借金を抱えることはあり得ない」ということです。

たしかに、株価が購入後に値下がりしたことによって、大損をしてしまう、最悪は、株が紙切れ同然になってしまうというリスクはあります。
しかし、100万円で購入した株の価値が0円になることはあっても、マイナス(負債)になることは絶対にありません。

「株で借金を作らない」という観点では、このポイントをしっかり抑えておくことがとにかく大切です。

2、株で多額の借金を負ってしまう3つの場合

株で借金を作ってしまうのは、主として次の3つの場合です。

  • 株の購入資金を借金して工面した場合
  • 「信用取引」で株を購入した場合
  • 追証を支払うために借金をした場合


  1. (1)借金して株を購入した場合

    資産運用として株を購入する人のほとんどは、キャピタルゲイン(売却利益)が目的だろうと思います。
    これから値上がりするであろう株を購入して、値上がり後に売却をするという株取引のパターンです。

    特に、IPO株(新規上場株)は、値上がりする確率も高いことから、その購入権を入手するだけでも簡単ではありません。
    せっかく権利を得たのだからと、借金してIPO株を大量購入するための資金を工面する人も少なくないようですが、「IPO株だから100%値上がりする」というわけではありません。
    最近のIPO株では「思ったより値が上がらなかった」、「初値が売り出し価格を下回った」ということが報道されることもあるほどです。

    金融機関から借金して購入資金を工面した場合には、返済までの利息も負担しなければならないので、値下がりした場合だけでなく、「思ったより株価が上がらなかった」という場合にも損失(負債)が残る可能性があります。

    借金をして投資の資金を工面するというのは、資産運用ではなく、「高いリスクと引き替えのギャンブル」のようなものであることは、絶対に忘れるべきではないでしょう。

  2. (2)株取引を信用取引で購入する場合

    株の取引には、通常の取引方法(現物取引)とは別に、信用取引という方法があります。

    信用取引を行えば、保証金(現金または保有している他の上場株式等)を証券会社に預けることで、保証金の約3.3倍までの金額の取引をすることが可能となります。
    つまり、100万円の元手で330万円分の取引が可能となるというわけです。

    信用取引には、実際の資産よりも大きな金額の取引をすることで、大きな利益を得るチャンスがありますが、他方で、保証金を超える損失が発生したときには、負債となってしまうリスクがあります。

    ①「信用買い」で負債を抱えてしまう場合
    信用買いとは、レバレッジをかけた取引で株を購入し、後に売却することで決済する株取引の方法です。

    ここでは、自己資金である100万円を保証金として、信用取引によって1株1000円の株を300万円分(3000株)「信用買い」したという場合を例に説明してみましょう。 この場合に、購入した株の価格が1200円に値上がりすれば、株価の総額は、360万円となるので、360万円-300万円-(管理費+手数料+利息)が利益となります。

    これだけを見ると、信用買いはとても便利な仕組みのように見えますが、値上がりするまでの期間が長くなってしまえば、利息で利益は目減りしていくことを忘れるべきではありません。

    つまり、買い建玉(貸株)に対して発生する利息よりも株価の値上がりが高くならなければ、利益は出ないということです。そう考えると、信用買いで利益を出すというのは、簡単なことではないことがよくわかります。

    他方で、1株1000円で購入したはずの株式が800円に値を下げてしまった場合には、株価総額は240万円となるので、60万円のマイナスとなります。これに、利息・手数料・管理費といったランニングコストがかかるのですから、損失は60万円では足りません。

    また、この場合には、「追証」の問題が発生するのですが、その点については後に解説します。

    この段階では、信用買いは、利益を出すのは大変だけど、ちょっと値が下がるだけで大きな損失が発生する(同じ値幅の動きでもマイナスとなった場合のリスクの方がはるかに大きい)ということを理解してもらえれば十分かと思います。

    ②「信用売り」(空売り)はとても危険な取引
    「信用売り」とは、信用買いとは逆の順序で決済する株の取引です。つまり、先に空の売り注文を出しておいて、後から株を買い上げて決済するということです。そのため「空売り」とストレートに表現することもあります。

    株価の値動きは、一般的には、上がるときはゆっくりで上がることが多い反面、下がるときは一気に下がることも珍しくありません。その意味では、信用売りは、株価の動きを的確に把握できれば、一攫千金のビックチャンスをつかむことも可能といえます。

    しかし、チャンスが大きいということはリスクが大きいことも意味しています。

    信用買いの場合と同様に、100万円の保証金で300万円分の信用売りをした場合を例に説明してみましょう。

    株価が値下がりすると見込んで、100万円の保証金で1株1000円の株を3000株(300万円分)空売りしたとします。
    当初のもくろみ通り、株価が700円まで値下がりすれば、株価の差し引きでは90万円の利益となります。ただし、実際の利益は、そこから管理費・手数料・貸株料といったランニングコストを差し引いた金額となります。

    決済までに時間がかかれば、それだけ利益が減る(ランニングコストがかさむ)ことは、信用買いの場合と同様です。

    他方、もくろみとは逆に、株価が1300円に値上がりしてしまったときには、株価総額は390万円となり90万円(+ランニングコスト分)のマイナスとなってしまいます。 実際には、90万円のマイナスとなる前に、強制的に損ギリさせられてしまう(強制ロスカット)のですが、ここで押さえておいてもらいたいのは、信用売りの場合には、「損失が無限大に膨らむ可能性がある」ということです。

    株価が下がるときには「0円」で必ず下げ止まるのですが、株価が上がるときには「どこまであがるかわからない」からです。

    その意味で、信用売りは、信用買いよりもはるかにリスクの高い取引ということができます。

  3. (3)追証(追加証拠金)と借金

    信用取引で損失が生まれるもっとも大きな原因は、実は、取引の結果よりも「取引の過程」にある場合が少なくありません。その原因となるのが「追証」の負担です。

    追証とは、正式名称を「追加証拠金」というように、当初の保証金を追加することです。

    なぜ追証が必要になるかといえば、信用取引の場合には、損失額が保証金との比較で一定割合に達すると「強制的に決済(損切り)される」仕組みになっているからです。これを「強制ロスカット」と呼ぶことがあります。

    強制ロスカットになる損失割合(委託保証金維持率)は、証券会社によって異なりますが、一般的な目安は25%となっています。

    委託保証金維持率は、「(委託保証金-建玉評価損)÷建玉総額×100」で計算されるので、上で紹介した100万円の保証金で300万円の建玉(貸株)で信用取引したケースでは、損失額が25万円に超えたときには、強制ロスカットされてしまいます。
    25万円の損失というのは、今回の説例では株価にして83円ですから、ちょっとした事情ですぐに「追証が必要」という状況に陥る可能性もあるでしょう。

    そこで、追加証拠金をさらに借金で工面して・・・ということを繰り返したあげくに損ギリという形で、多額の借金を抱えてしまうというケースが少なくないわけです。

    株に限らず、Fxや、いわゆる仮想通貨(暗号通貨)の取引においても、追証が原因で多額の借金を抱えてしまうというケースが少なくありません。

3、株で借金を作らないために守るべき重要ポイント

ここまで解説してきたことをふまえて、株で借金を抱えないためのポイントをまとめておきましょう。

株で借金を作らないためには、手持ち資金の範囲内で「現物取引」のみを行うことに尽きます。
IPO株を買えるからといって、多額の借金をして購入資金を工面することは、基本的にはオススメできないことです。

万が一、信用取引などをする場合には、

  • レバレッジを抑える(レバレッジが低ければ追証リスクも小さくなります)
  • 保証金は現物株ではなく、現金で対応する(株で保証金をいれると株価変動リスクが直撃します)
  • リスクが特に高い「二階建て投資(担保にした現物株と同銘柄を信用買いすること)」、「信用売り」は絶対に避ける
  • 早期に損ギリを徹底し深追いしない


といった自主ルールを定めて、万が一損失が出たときでも手持ちの現金(保証金)の範囲内で収まるように取引をすべきです。

株で借金を作ってしまうケースは、「損切りをするタイミングが遅くなった」ことが原因のほとんどであることを頭に入れておきましょう。

4、株が原因で多額の借金を抱えてしまったときの解決方法

残念なことに株取引が原因で多額の借金を抱えてしまったときには、できるだけ早く解決に向けた対応をすることが大切です。

借金には利息があるので、対応が遅くなるほど、利息の負担が増えていくからです。

  1. (1)自力で借金を解決する方法

    負債額が小さいうちであれば、下記の方法で対処することで、自力で負債を処理できる可能性が残されています。

    • 財産の処分
    • 低利息での借り換え
    • 家族等の援助


    しかし、これらの方法には、いずれにも明確な限界があります。

    手持ちの財産がない場合や、家族等にも余裕がないときには、処理できる負債の額には限界がありますし、借り換えをするにも、金融機関の審査を通らないことには融資を受けることができません。無尽蔵に借り換えるということは、そもそも不可能なことだからです。

    その意味でも「早期に損切り」することは、とても重要なことです。「もう少し粘れば逆転できるかもしれない」という考えが傷口を広げてしまうことは実際にも珍しくありません。

  2. (2)債務整理で借金を減らす

    株取引で「多額の借金」を抱えてしまったときには、自力での解決は難しいという場合も少なくないと思います。
    特に信用取引では、大きな相場変動によって、「一晩のうちに年収を超える負債を抱えてしまう」ということもあり得るでしょう。

    負債を自力で返済できないというときには、「債務整理」によって負債の返済義務を減免してもらうほかありません。
    債務整理には、

    • 任意整理
    • 個人再生
    • 自己破産


    の3つの方法があり、一般的には、任意整理、個人再生、自己破産の順で、負債の返済義務を減免してもらえる割合が大きくなります。

    ①任意整理はデメリットが小さい分だけ免除される負債も少ない手続き
    任意整理は、債権者に返済条件の見直しをお願いすることで、借金の返済負担を軽くしてもらう私的な交渉です。具体的には、借金に対して毎月発生する利息を免除してもらい、残元金を分割(3~5年程度)で返済する和解契約を結んでもらうための交渉をします。

    任意整理は、「私的な話し合い」なので、裁判所を利用する必要もありません。

    そのため、費用も安く抑えられ、面倒な手続きもなく、周囲の人(や家族)に知られることなく負債を処理できる可能性があります。

    ただし、「今後の利息分だけ」しか免除されないので、借金元金が多額すぎるというときや、借り入れの利率が低い(毎月発生する利息額が少ない)というときには、効果が期待できないこともあります。

    ②個人再生は、多額の負債を財産処分なしに処理する手続き
    個人再生は、裁判所の決定によって「今後の利息と借金元金の一部」を免除してもらう手続きです。つまり、借金元金の一部を分割(原則3年)で返済することで、残りを免除してもらえるという手続きです。

    たとえば、株で500万円の負債を作ってしまった場合であれば、個人再生によって最大で400万円(+将来利息)を免除してもらえる可能性があります。

    次に触れる自己破産の場合とは違い、保有資産の処分(強制換価)が不要というのも個人再生の大きな魅力です。

    しかし、保有資産が多いときには、個人再生による免除額が減ってしまうことに注意が必要です(上のケースであれば、保有資産が100万円以上であれば、保有資産の評価額に相当する額の負債は返済しなければなりません)。

    また、個人再生は債務整理のなかでもっとも手続きが複雑で、費用もそれなりにかかる点にも注意が必要でしょう。

    ③自己破産すると負債が全部免除される変わりに財産処分が必要なことも
    自己破産をして免責が認められると、自己破産の時点で抱えている負債のすべてを免除してもらうことができます。

    しかし、自己破産したときには、一定額以上の財産は、差し押さえの上、強制的に売却され債権者への配当に充てられてしまいます。

    また、株取引によって多額の借金を抱えてしまったときには、免責不許可事由に該当する可能性が高いので、管財事件となって財産の有無を問わず「予納金(20万円以上)」を工面しなければ、自己破産できないこともあります。

    裁判所は、裁量免責を与えるために、破産管財人による調査を行わせる必要があるので、差し押さえる財産が全くない場合でも、同時廃止にすることはできず管財事件としなければならないからです。

    「免責不許可」と聞くと、不安になる人もいるかもしれませんが、実際の自己破産では、「裁判所に非協力的な態度をとる(期日をすっぽかす、指示を守らない)」、「財産隠しをする」といった悪質な行為がなければ、免責不許可となる心配はほとんどありません。

    なお、自己破産すれば、警備員、宅建業、旅行業などの一部の職業の従事に支障がでることもあります。

  3. (3)早期に弁護士に相談することで解決する選択肢が多く残る

    債務整理は、抱えている借金の状況、今後の収入の見通しなどのさまざまな条件によって、最適な方法が異なります。
    借金が膨らむほど、選択できる手続きもおのずと減っていってしまいます。

    返済が苦しいと感じる借金を抱えてしまったときには、1日でも早く弁護士などに相談することが、デメリットも費用負担も小さく、株で作った借金を解決するためには重要です。

5、まとめ

株取引は、ルールをきちんと守って行えば、損をすることはあっても借金を作ることはありません。

背伸びをせずに、自前の資金で対応できる範囲で取引を行うことが重要といえます。

万が一、株で多額の借金を抱えてしまったというときには、1日も早く弁護士に相談し、もっとも負担の小さい解決方法を模索すべきでしょう。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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