債務整理 弁護士コラム
「期限の利益って一体何?」
「期限の利益喪失通知書が自宅に届いてどうすればいいのか分からない」
そんなお悩みをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
期限の利益とは、お金の返済は期日までにすれば良い、という債務者と債権者(銀行や貸金業者など)との約束事。
そもそも返済日を決めるのは、債権者から「明日全額返して!」と突然言われても困るからです。いつまでに返せば良いのか、返済日をあらかじめ決めることにより、債務者は返済のめどを立てることができます。
そして、「返済日に返す」ということは、それまでは返さなくていいということ。その「返さなくてもいい」ということを「利益」と表現されています。
そこで今回は、
・期限の利益について
・期限の利益を喪失するケース
・期限の利益喪失通知が来た場合の対処法
などについて解説していきます。
期限の利益について悩んでいる方のご参考になれば幸いです。
期限の利益とは、約束した返済日までにお金を返済すればいいという権利です。
期限の利益があるからこそ、貸金業者から「やっぱり100万円すぐに返してください」と言われることはありません。
期限の利益「喪失」とは、「期限の利益がなくなってしまう」ということです。
つまり、期限の利益を喪失すると、すぐにお金を一括返済しなければなりません。
どういう場合に期限の利益喪失になるのでしょうか。これは、民法第137条に定められています。
(期限の利益の喪失)
第一三七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
(引用:民法第137条)
民法では、
といった3つの場合において期限の利益が喪失すると定めています。
これらは全て、債権者の債権回収が難しくなると考えられるケースです。つまり、返済の期日まで待っていては債権回収ができなくなるリスクが債権者に発生するのです。そのため、このような3つの場合には、債務者は期限の利益を主張できなくなり、債権者はすぐに返して!と言えるようになる、というわけです。
債権者が法人である金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)では、たいてい期限の利益喪失についての規定があります。 債権者は、契約で民法が規定する以上の期限の利益喪失事由を追加しているはずです。 たとえば、以下の事由です。
契約は基本的には守らなければなりませんので、契約に記載された期限の利益喪失事由はよく確認しておいてください。
以下、ご説明していきます。
契約上、1回の返済の遅れでも期限の利益を喪失することになっていることも多いと思いますが、債権者が実際1回の遅れで期限の利益の喪失を主張するケースはまれです。債権者は、期限の利益を喪失させ一括請求するメリットと、そのまま催促し続け利息を受け続けるメリットをてんびんにかけるからです。また、いちいち期限の利益の喪失を主張して一括請求していては、金銭貸付サービスとして利便性に欠けます。
実務上は、何度も繰り返して遅延する場合や、債権者がその他の債務者の事情により債権回収が難しいと判断した場合、この事由を使って一括請求することが多いでしょう。
これについても、軽微な契約違反であれば、即期限の利益の喪失を主張されるということは考えづらいでしょう。実務上、債権者がこの条項で期限の利益の喪失を主張して一括請求するのは、債権回収の危機が相当程度迫る場合の契約違反に限られると考えます。
再生などの債務整理手続きに入った場合は、債権者は期限の利益の喪失を主張します。
自宅に期限の利益喪失通知が届いたときの対処法は3つです。
お金があることが条件ですが、期限の利益喪失通知に記載されている日付までに滞納した分を支払いましょう。
滞納した金額を支払えば、期限の利益喪失は回避できます。
期限の利益を喪失すると、まだ期限未到来の債務まで全額返済しなければなりません。支払期限が来た分のみの返済で済みますので、可能な限り支払いましょう。
期限内にお金を支払えないなら債権者(※)へ相談しましょう。
(※)債権者・・・お金を請求する権利のある人。貸金業者など
お金を返せるめどがあれば、具体的にいつ返済するかを話すことで期日を延長してくれる場合もあります。
どうしても借金を返済できないなら債務整理(※)をしましょう。
(※)債務整理・・・借金を減らす方法。自己破産など
あなたの返済状況によって債務整理の方法は変わりますが、借金を減らせる可能性があります。
債務整理について分からないけれど検討してみたい人は、弁護士に相談してみてください。
給料の翌日に貸金業者へ自動引き落としになるように銀行口座を設定しましょう。
振り込み返済に比べ、期限の利益を喪失する確率は格段と下がるはずです。
手取り(収入)と生活するのに必要な金額(支出)をしっかり把握してください。
毎月の収入と支出が分かれば、余計な買い物をしてしまうことの歯止めとなります。
またお金が足りないと事前に分かれば、日払いのアルバイトをしたりネットオークションで不用品を売ったりして、毎月の返済額を返すための工夫ができるでしょう。
期限の利益とは、約束の期限までにお金を返済すればいいという権利です。
期限の利益があることで、貸金業者から借り入れをしても約束の期限にならない限り返済しなくても問題ありません。
また借り入れした金額の一部だけ返済すればいい、分割払いに対応可能になっています。
しかし、約束の期限を破って返済しないと期限の利益を喪失して、貸金業者から一括返済を求められてしまいます。
もし返済が難しいのなら、貸金業者へ相談するか、弁護士に依頼して債務整理することをおすすめします。
「亡くなった兄弟に多額の借金があった」という場合には、自分にも借金の返済を迫られることがあるのではないかと不安に感じている人もいるかと思います。
たしかに、配偶者や子のいない兄弟が借金を残して亡くなってしまったような場合には、債権者から借金の返済を求められてしまうようなケースもないわけではありません。
そこでこの記事では、兄弟に多額の借金が発覚した場合などに
●知っておくべき法律上の知識や
●兄弟の借金を解決するための重要ポイント
などについて解説していきます。
親が亡くなって何年も経過してから、金融機関や債権回収会社など親の債権者を名乗る関係各所から借金を督促されることがあります。
全く知らなかった多額の借金の支払いを突然請求されれば、誰でも驚き、慌ててしまいます。しかし、このような場合には、消滅時効で借金の返済義務を免れられる可能性も残されていますので、落ち着いて適切な対応をとることが重要です。
本記事では、親が残した借金を消滅時効で解決できる条件や、消滅時効を用いる際の注意点などについて解説します。
詐欺の被害にあった場合には、それ自体の被害が生じるだけでなく、詐欺のために多額の借金を抱えてしまうケースもあります。悪質商法にひっかかってしまったために、高額な商品を借金して買ってしまった、結婚相手のために借金してお金を工面したら結婚詐欺だった、という場合がその典型例といえるでしょう。
被害にあった場合、そもそも借金を返済できるお金もなくなってしまったというケースが少なくないでしょう。しかし、詐欺が原因であったとしても借金の返済義務はなくなりません。このような場合、返済できなくなった借金をどのようにして解決すべきなのでしょうか?
本コラムでは、べリーベスト法律事務所の弁護士が、「詐欺の被害にあって生じた借金」の問題に対処する方法を解説します。
ご相談の際はお近くの事務所へのご来所が必要となります。
まずは電話かメールでお問い合わせください。
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