債務整理 弁護士コラム
借金問題は、誰にとってもかなりつらいものです。
借金を解決するための手続きを利用する場合でも「できるだけ早く終わってほしい」、「いつになったら解決するのだろうか」ということはやはり気になります。
それぞれのケースによっては、債務整理(借金を整理して返しやすくする)によるデメリットの大きさよりも「早く解決できるかどうか」の方が重要になることもあるでしょう。
そこで、今回は個人再生で借金を解決するときにかかる期間についてご紹介します。
個人再生で借金を解決するときには、手続きを依頼する弁護士を見つける必要があります。
法律的には、債務者本人(お金を借りている人)だけで手続きをすることも可能ではありますが、個人再生の手続きは、債務整理の中でも最も難しい手続きだからです。
法律の知識のない人が自分だけで手続きを行えば、準備に膨大な時間がかかるだけでなく、書類不備などが原因で債務整理(個人再生)に失敗してしまうことも考えられます。
また、弁護士を見つけられたとしても、「すぐに個人再生を申し立てられる」というわけではありません。
個人再生を申し立てるためには、負債・財産の調査などの作業に一定の時間が必要となるからです。
最近では、弁護士への相談申し込みは、インターネット経由でもできる場合が多く簡単に問い合わせすることができるようになりました。
実際にも多くの弁護士が、申し込みから数日~10日程度の期間のうちに相談日を設定してくれると思います。
債務整理を申し込む依頼人としては、「早く解決したい」という気持ちが先行してしまうことも多いでしょうが、個人再生は、債務整理の中でも特に難しい手続きなので、弁護士選びは慎重に行うことをおすすめします。
弁護士に個人再生(債務整理)を依頼すると、債権者(お金を貸している人、金融機関)に対して受任通知を送付してくれます。
受任通知とは、「弁護士が債務整理の代理人として就任した」ことを債権者(お金を貸している人)に通知するための文書のことをいい、受任通知を受け取った金融機関は、債務者本人に対する取り立て行為を禁止されることになります。
したがって、弁護士に債務整理を依頼すると、これまで苦しんできた債権者からの取り立てを気にしなくて済みます。
通常の弁護士であれば、債務整理を受任した直後(当日もしくは翌営業日)に送付してくれますが、依頼(相談)の際に、受任通知の送付時期について確認しておくとよいでしょう。
借金などの状況によっては、「受任通知の送付時期を遅らせる」こともないわけではないからです(受任通知は支払い停止の通知を含むことが一般的なので、取引停止などのデメリットが生じることもあります)。
また、受任通知の送付の際には、それぞれの債権者に対して「取引履歴」の開示も求めます。借金の残額を正しく把握するために、これまでの取引状況を把握しておく必要があるからです。
金融機関には、取引履歴の開示請求に応じる義務があるので、開示に応じてもらえる可能性もありますが、実際の対応はさまざまです。
たとえば、開示請求から数日中に書類を送付してくれる債権者もあれば、履歴の開示まで数週間から数か月かかる金融機関もあります。
また、
と開示方法もさまざまであり、すべての期間の取引履歴が開示されないこともあります。
したがって、相手方債権者の対応によっては、借金額の調査を行うために数か月以上の期間が必要となることもあります。
個人再生を申し立てる際には、借金額の調査だけでなく、債務者自身がもっている財産についても調査する必要があります。
個人再生では、借金の免除額を算出するために、債務者が所有している(一定の)財産について目録を作成して裁判所に提出する必要があるからです。
債務者がどのような財産をどの程度持っているかということは弁護士にはわかりませんから、この作業は依頼人である債務者自身が対応しなければならないことです。
会社員の方の場合には、退職金関係の資料の提出も必要となるため、勤務先に問い合わせをしなければならないこともあります。
また、個人再生の手続きが始まった後に提出することになる「再生計画案」についても申し立て前から作成の準備を始めることが一般的といえます。
再生計画案は減らしてもらった借金を今後どの様にして返済していくか、ということです。
再生計画案は、提出締め切りから1日でも遅れると「個人再生が廃止(強制終了)」になるだけでなく、内容が不十分であれば、債権者から不同意意見が出されたり、裁判所から不認可とされることもあります。
つまり、再生計画案に不備があると認可されないので、しっかりと時間をかけて十分なものを作成する必要があります。
個人再生を裁判所に申し立ててから、手続きが開始されるまでの一般的な流れ・スケジュールは下記のとおりです。
個人再生の手続きが開始されてからの一般的な流れ・スケジュールは下記のとおりです。
なお、上記のスケジュールは、東京地方裁判所(民事20部)での個人再生の運用をベースに示しています。
東京地方裁判所の場合には、個人再生の全件で「個人再生委員(裁判所を補助する役割を担う)」が選任される点で、他の裁判所とは、手続きの流れ(スケジュール感)が若干異なる場合があります。
東京地方裁判所の場合には、原則としてほぼすべての個人再生は、上記のスケジュール(申し立てから25週で再生計画認可・不認可決定)で手続きが進められますので、これよりも「早くする」ということは難しいです。
なお、個人再生手続きで最も重要となる「再生計画案」は、債務者自身が作成する必要があります。
東京地方裁判所の場合には、個人再生の申し立てから18週目に提出締め切りが設定されますが、この期日を1日でも遅れると個人再生は必ず「廃止(途中での強制終了)」とされてしまうので注意が必要です。
個人再生(再生計画)が認可されたときには、再生計画にしたがって借金(の一部)を分割で返済していくことになります。
個人再生では、この分割返済の期間についても一定のルールが定められています。
個人再生(再生計画)による借金の分割返済は、次の期間を守って行われる必要があります(そのことが再生計画に記載されている必要があります)。
なお、個人再生での分割返済は、「原則3年」となりますが、法律は特別の事情がある場合には、返済期間を最大で5年までに設定することを認めています(上記民事再生法229条参照)。
とはいえ、多くの裁判所では「家計の事情で3年での返済は難しくても5年なら返済可能」という程度の事情であっても、5年の分割返済を認めてもらえるケースは少なくありません(それぞれの裁判所での対応については、それぞれの地域の弁護士に個別確認してください)。
分割返済の途中で返済を継続することが困難になったときには、裁判所に「再生計画の変更(リスケジュール)」を申し立てることができます。
再生計画の変更が認められれば、認可された再生計画よりも返済期間を最大で2年延長することが可能です。
つまり、個人再生では、最大で3年+2年の合計5年(5年+2年の合計7年)で借金を返済することができるということです。
個人再生が認められると、毎月の借金返済額を大幅に減らすことが可能です。
個人再生に並行して家計を改善する努力を行えば、毎月の収支に余裕がでてくる場合も多いでしょう。
そのような時には、返済を繰り上げることも不可能なわけではありません。
ただし、再生計画の期間中の借金返済は「再生計画に従ってすべての債権者に平等に実施」されなければならないことに注意が必要です。
つまり、家計に余裕ができた分を「親族などの身近な人の借金返済だけの返済に充てる」ということは認められないということです。
借金の返済期間を短くしたいというときには、個人再生を依頼した弁護士に相談をしてその指示にしたがって対応しましょう。
個人再生は裁判所で実施される手続きなので、手続きに要する期間は、どの案件でも大きな違いはないといえます(年末年始やお盆の時期などにかかる場合は別)。
したがって、個人再生にかかる期間を短くしたいというときには、申し立て前の準備や、認可決定後の債務者自身の対応が重要といえるでしょう。
特に、申し立て前の対応は、個人再生の成否に直結するとても重要なものです。
「早く申し立てをしたい」という気持ちもあるかもしれませんが、それよりも確実・正確な対応を心がけることの方が大事です。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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借金があるのに収入が大幅に減ってしまい、毎月のローン返済が本当に苦しい……。持ち家は手放したくないけど借金を減らしてもらいたい……。
このようなお悩みをお持ちの方は、個人再生を選択することによって借金問題を解決できる可能性があります。
個人再生を裁判所に認めてもらえれば、借金を今の残高からおよそ5分の1にまで減らしてもらうことができるのです。
この記事では、個人再生とはどういうものなのか? について簡単にわかりやすく解説します。
個人再生は借金の返済額を大幅に減らすことが可能な債務整理の方法です。ただ、自己破産のように返済額がゼロになるわけではなく、減額後の借金を継続的に返済していく必要があります。
個人再生では「最低弁済額」というものが法律で定められており、事案の内容によっては返済額があまり減らない可能性もあるので注意が必要です。
本コラムでは、最低弁済額の内容、その金額を決める基準、最低弁済額を払えないときの対処法について解説します。
個人再生とは、基本的に財産を処分することなく、借金を大幅に減額できる債務整理の方法です。
個人再生の大きなメリットのひとつとして、「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」があります。これは、一定の条件を満たしていることで、自宅を維持しながら借金を整理できる制度です。
本コラムでは、個人再生の住宅ローン特則の内容や利用条件、特則を使えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。