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借金100万円は返済可能? 正しく判断するためのポイントとは

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更新日:2023年10月30日 公開日:2020年08月27日

借金100万円は返済可能? 正しく判断するためのポイントとは

借金100万円というのは、評価の難しい金額です。実際に、「借金が100万円になってしまったからかなりヤバい」と感じている人もいれば、「借金100万円はたいしたことない」と思っている人までさまざまでしょう。

ただし、「まだ返済可能」と思っている人は、本当に大丈夫なのか見直したほうがよいでしょう。「借金100万円だから大丈夫」と考えているその根拠に間違えがある可能性もあるからです。

そこで今回は「借金100万円」が
●自力で返済可能かどうかを正しく判断するためのポイント
●100万円の借金を返せなくなってしまったときの解決方法
について解説していきたいと思います。

1、借金100万円を完済するまでに支払う総額はいくら?

まずは、100万円の借金を完済するまでの負担について整理しておきましょう。
自分が負うべき負担の程度を正しく把握しておかなければ、「借金100万円」が本当にたいしたことないのか、ヤバい借金なのかの判断もつかないからです。

  1. (1)利息の基本を確認

    銀行や消費者金融といった金融機関からの借金には、必ず利息が発生します。

    借金の利息には、法律によって下記のように上限が定められています。

    • 10万円未満の借金:年20%
    • 10万円を超え100万円未満の借金:年18%
    • 100万円以上の借金:年15%


    実際の借金に適用される利息は、借り手の信用力や借金の形態によって異なるのが一般的です。たとえば、住宅ローンであればマイホームを担保に入れる分だけ金利は安くなります。他方、無担保の借金となるカードローンは、ほとんどが上限金利に近い利率が設定されているケースが多いでしょう。

    同種類の借金同士を比較した場合には、金額の大きい借金ほど、低い金利が適用されることが一般的です。一度に多額の借金をするにはそれなりの信用力が必要だからといえます。

  2. (2)小口の借金が増えると返済総額も増える

    上のことからは、ひとくちに100万円の借金といっても、100万円の借金が1件だけという場合と、50万円の借金が2件あるというのでは、利息の負担も違ってくることがわかります。

    金融機関からの借金は、借りる側にとっては小口の借金であれば無担保ですぐに借りられるといった利便性が高い一面があるでしょう。しかし、貸主にとっては貸し倒れのリスクが高いため、高い金利が設定されているケースが一般的です。

  3. (3)利息の負担は返済期間が長くなるほど重い

    一般的に、借り主が実際に支払う利息の(総)額は、お金を借りてから完済するまでの期間が長いほど高額になります。

    当然のことではありますが、実際に借金トラブルを抱える人には、「年○%」という数値だけに気を取られてしまい「完済までにいくら利息を支払うのか」という具体的な負担でイメージできていない人が少なくないようです。

    たとえば、消費者金融や銀行カードローンで年15%の利息で100万円借金した場合には、毎月約2万円ずつ80回前後の分割払いで返済するのが一般的な契約における返済方法となります。この場合の返済総額は約160万円となるわけですから、本当の借金は160万円というべきです。

    「借金には利息がある」というのは当たり前のことなのですが、自分の借金は実際に借りた金額だけと思い込んでしまいがちなので注意しておく必要があるでしょう。

2、「借金100万円」は毎月の返済可能額で判断

危険な借金であるかどうかを借金総額だけで推し量ることは、実はあまり正しいこととはいえません。あえてわかりやすい例をあげれば、年収1億円の人であれば借金100万円はかすり傷ともいえない程度の負担といえるでしょう。しかし、失業などで収入を完全に絶たれてしまった人にとっての借金100万円はとても深刻な問題になりかねません。

  1. (1)毎月の返済に「余裕があるかどうか」

    上の例では、便宜上年収1億円の人と失業してしまった人を引き合いに出して説明しました。しかし、年収との比較で借金が大丈夫かどうかを判断することも必ずしも適切とはいえません。

    なぜなら、金融機関からの借金は、「毎月の分割」で返済することになるケースが一般的となるためです。たとえば、同じ手取り年収600万円の人であっても、毎月確実に50万円の手取り収入がある人と、月の手取り収入が100万円の月もあれば5万円の月もあるような人とでは、返済の負担は大きく異なります。

    金利についての説明したことと重複しますが、毎月の返済可能額が少ない人ほど、100万円の借金を深刻化させるリスクを抱えることになります。完済までの期間が長くなれば、利息の負担によって150万円にも200万円にもなってしまうためです。

  2. (2)繰り上げ返済できないケースは危険な場合が多い

    自分の返済能力に余裕があるかどうかは、「繰り上げ返済できるかどうか」によって判断するのがもっともわかりやすい基準といえます。

    繰り上げ返済とは、債権者との契約で定められた毎月の返済に追加して返済を行うことです。毎月の返済額を増額することができれば、完済までに支払う利息を減らすことにもつながります。

    たとえば、年15%で借りた100万円の返済を毎月20000円ずつ返済するという場合であれば、月に1000円の繰り上げ返済を実施するだけで、完済までの利息総額は5万円も安くなる計算になります。

    これとは逆に、毎月1000円ですら繰り上げ返済ができないという状況は、いま抱えている借金がかなり危険な金額であるといえます。

3、危険な借金、4つのパターン

ここまでの説明をふまえると「借金100万円」であっても、次のパターンに該当するときには、かなり危険と考えておいた方がよいかもしれません。

  1. (1)毎月の返済額の工面が苦しい(すでに滞納している)

    毎月の返済が苦しいと感じている場合や、すでに借金返済に滞納がある場合には、借金の金額がいくらかであるかにかかわらず危険な状況にあるといえます。

    毎月の返済に不安がある・すでに毎月の返済を維持できなくなっているということそれ自体が大きな問題だからです。このような状況にあるときには、毎月の返済額を工面できない(工面に不安がある)理由を客観的に分析した上で、それを短期間で解決できるかどうかを冷静に判断すべきです。

    借金の返済は、毎月確実に行う必要のあることですから、すでに返済が行き詰まっているにもかかわらず「来年になれば余裕ができるから」といったように楽観的に考えることはとても危険です。

  2. (2)借金が当初より増えて100万円になった場合

    現状では、借金の返済を滞納していないとしても、当初の借金よりも増えた結果として100万円になってしまったという場合も危険な状況にあるといえます。特に、生活費や借金返済のための資金繰りを理由に、新たな借金をしてしまったというケースはかなり深刻な状況です。

    これらの原因は、毎月のように発生する問題なので、追加の借金が繰り返して行われる(借金が今後雪だるま式に増えていく)可能性が高いといえるからです。借金の原因が繰り返されるという意味では、買い物依存、ギャンブル依存などを理由とする借金が原因で100万円までになってしまったようなケースも同様です。いずれも非常に危険な状態といえるでしょう。

  3. (3)複数の借り入れがある

    同じ借金100万円であっても、その内訳(債権者の数)によって、実際の負担は大きく変わります。たとえば、年15%の借金100万円と、年18%の借金50万円が2件という場合では、毎月の返済の負担は後者の方が重くなるのです。

    一般的な金融機関の返済額で示せば、年15%100万円であれば、毎月の返済額はだいたい2万円であるのに、50万円が2件のケースでは、15000円×2件の3万円となります。また、返済の負担は、毎月の返済額だけでなく、毎月の返済回数が増えることでも重くなっていきます。返済日が何度もくれば、その都度、返済のための資金繰りに追われることになるからです。

    「借金2件くらいならたいしたことはない」と思う人もいるかもしれませんが、複数の債権者から借り入れをしていることそれ自体が危険なことであると認識すべきでしょう。当然、3件、4件と増えれば、それに比例して危険度も高くなります。

  4. (4)これまで長期間返済しているのに元金があまり減っていない場合

    「もう何年も返済を続けているのに残元金があまり減っていない」という状況にある人もかなり危険な状況にあるといえます。

    「借金が増えているわけではないから問題がないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、長期間返済しているにもかかわらず、借金の残元金が減っていないということは、次のような事情を抱えているためにかなり危険な状況に陥っている可能性が高いといえます。

    • 返済条件の不利な借金を抱えている
    • 残元金に対して毎月の返済可能額が低すぎる
    • 返済後に再度借り入れすることが当たり前になっている


    たとえば、借金100万円に年15%の利息が設定されているときには、月に12500円の利息が発生します。

    したがって、「毎月15000円しか返済できない」というのであれば、元金は月に2500円しか減っていないわけです。

    返済期間に応じた分だけ残元金を減らせていないということは、「永遠に利息を支払わされる」ことになる可能性が高いということです。名目上の残元金が増えていないとしても、深刻な状況にあるといえます。

    参考までに、年15%の金利が付された借金100万円を毎月15000円ずつ返済する場合の返済期間は約10年になり、完済までに支払う利息の総額は当初元金の100万円を超えてしまいます。

    月15000円ずつしか返済できない人にとっての借金100万円は、実質的には200万円以上の借金を抱えているということになるのです。

4、返済が苦しくなった借金は早期対応が重要

借金問題の多くは、小さな問題から徐々に深刻化していくケースの方が多いといえます。よくイメージされがちな、勤務先の倒産・病気といったひとつの出来事だけが原因で多額の借金を抱えるということは、どちらかといえばレアなケースです。

したがって、借金の問題を深刻化させないためには、問題が小さいうちに、正しく対応することが何よりも大切です。「借金を滞納していないから大丈夫」、「まだ借金100万円だから何とかなる」と考えるのではなく、「完済できないかもしれない」、「毎月の返済が苦しい」と感じたタイミングで解決に向けた行動に移ることが重要といえます。

問題が小さいうちに対応することができれば、解決のための方法にも多くの選択肢があり、自分に最適な方法、もっともデメリットの小さい(有利な)方法を選択する余地も残されることになります。

しかし、お金の問題は自分自身で冷静に判断することは簡単ではありません。「借金を完済できない」と自分自身で評価することに抵抗感を覚えるのは、ごく自然な感情だからです。

その意味では、借金問題を早く解決するためには、「他人に相談する」ということが重要といえます。他人というフィルターを通すことは、自分の置かれた状況を客観的に見つめるよいきっかけとなることが少なくありません。

借金の相談は、多くの弁護士事務所が無料相談を実施しています。上手に活用するとよいでしょう。

5、まとめ

「借金100万円」というキーワードが気になる人の多くは、程度の差はあれど、「今後の借金返済」に不安を感じている人が多いのではないかと思います。

自分では小さい問題と思っていても、専門家からみれば「深刻な状況」と感じることも実は少なくありません。

早期対応は、借金問題の解決においてもっとも基本とすべきことです。その意味では「不安に感じた」ということは、借金解決のチャンスともいえます。まずは、弁護士などに相談するところからはじめてみていかがでしょうか。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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