債務整理 弁護士コラム
マイホームを購入するための住宅ローンを組む際には、保証人の問題がネックになることがあります。
保証人になってくれる人がいないというケースはもちろんですが、保証人・連帯保証人という仕組みについて正しい知識をもっていなかったために、トラブルになってしまうケースも少なくないようです。
そこで、本コラムでは住宅ローンを組む際に保証人が必要となるケースや、住宅ローンの保証人についてよくある疑問などについて解説します。
これからマイホームの購入を検討している人や、親族から住宅ローンの連帯保証人になってもらいたいと依頼されている人は、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンのような多額借金をする際には、連帯保証人を必ず立てなければならないと思っている人も多いでしょう。
たしかに、住宅ローンを組む際には、連帯保証人が必須だったという時代もありました。
しかし、現在の住宅ローンでは、連帯保証人を立てることは必須条件ではないケースも増えています。
住宅ローンを組む際には、購入した土地・建物を担保に入れる(債権者のために抵当権を設定する)ことが一般的です。
連帯保証人(保証人)は、人的担保とよばれることもあるように、同じく担保の一種ですから、抵当権を設定している以上さらに担保が必要となるケースというのは本来的には限られているといえます。
しかし、物的担保には、その価値が変動するリスクがあります。
特に、建物の担保価値は築年数に応じて確実に減少していきます。担保価値の減少に返済ペースが追いつかないケースでは、物的担保だけでは担保割れになるリスクが生じるわけです。住宅ローンの人的担保は、このリスクを埋めるための役割を担っているといえます。
また、現在の住宅ローンでは、ローン契約を締結する際に、保証会社との保証契約を結ぶことが一般的です。
住宅ローン商品を提供している金融機関(銀行)のほとんどは、住宅ローンの機関保証を行う保証会社をそのグループ傘下に有しています。
保証会社による保証契約(機関保証)は、人的担保を代替する役割を担いますので、機関保証があれば、人的保証は不要となるわけです。
ただし、機関保証を利用する際には、保証会社に対して毎月の手数料(保証料)を支払う必要があります。
住宅ローンの機関保証の場合には、毎月の返済額に保証料が上乗せされることはほとんどないといえますが、実際にはローンに適用される金利に保証料分が上乗せされていると理解しておくべきでしょう。
住宅ローンを組む際に連帯保証人が必要となるのは、次の4つの場合です。
地方銀行などで住宅ローンを組んだ場合には、機関保証が用いられないというケースもないわけではありません。
この場合には、従来の慣行どおり連帯保証人を立てることを債権者から求められることが多いといえます。しかし近年では、ネット銀行のように保証会社も連帯保証人も不要という住宅ローン商品を提供する金融機関も増えています。
ペアローンというのは、同一物件について複数の住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合のことをいいます。
最近では、共働き世帯も増えていますので、夫と妻のそれぞれが自分の名義で住宅ローンを組むというケースも増えています。また、二世帯住宅を建てる場合などに親子によるペアローンが組まれることがあります。
ペアローンが利用される場合には、それぞれのローンの名義人(夫)が、他方(妻)のローンの連帯保証人になることが一般的です。
収入合算は、夫婦などでひとつの住宅ローンを組む方法のことです。
ペアローンの場合には、別名義の住宅ローンが複数あり、抵当権も住宅ローンの数だけ設定されることになりますが、収入合算の住宅ローンは1口ですから、抵当権もひとつしか設定されません。
たとえば、夫婦の収入合算で住宅ローンを組む場合には、夫婦は共に連帯債務者となり、この場合は、ペアローンのようにそれぞれが連帯保証人になりあうようなことはありません(連帯債務者とすればそのような措置も不要です)。
しかし、何かしらの事情でローン名義人を夫婦のうちの一方のみとするような場合には、名義人とはならなかった配偶者を連帯保証人とすることが一般的です。
親名義の土地に、住宅ローンを組んでマイホームを建てるというような場合には、底地の所有者である親が住宅ローンの連帯保証人となるのが一般的です。
建物は、土地に比べて担保価値が低く、万が一の場合に担保割れとなってしまう可能性も高いので、物的担保だけでは金融機関にとっては十分な備えとはいえないからです。
住宅ローンの連帯保証人をお願いする場合や、お願いされる場合にもっとも気になるのは、連帯保証人が負担しなければならない責任の程度です。
この点について特に注意しておくべきなのは、連帯保証人と保証人とでは負うべき責任の程度が全く違うということです。
一般の人が「保証人」という言葉を用いるケースは、連帯保証人を指している場合がほとんどです。
住宅ローンの名義人(主たる債務者)が住宅ローンを支払えなくなったときに、その残債務全額について支払い義務を負うという点では、連帯保証人・保証人に違いはありません。
しかし、連帯保証人になった場合には、残債務の支払いについて、主たる債務者よりも先に連帯保証人が債権者から取り立てを受けても拒むことはできません。
連帯保証人を立てなければならないケースでは、誰に連帯保証人となってくれるように頼むかということで頭を悩ませることも少なくないといえます。
一般的には、親・兄弟・子どもといった、住宅ローン名義人と血縁関係のある人に依頼するケースが多いといえますが、必ずしも血縁関係にあるものでなければならないというわけではありません。
個別のケースの事情によっては、血縁者であっても収入・財産が不足している、信用情報がブラックであるということなどを理由に、債権者の承諾を得られない(審査に通らない)こともありえるからです。
他方で、ローン額がさほど大きくないケースや、物的担保の価値が高いというケースでは、債権者も連帯保証人の収入状況などにさほどこだわらないこともありえます。
担保割れのリスクが小さければ、連帯保証人の重要性もその分だけ低下するといえるからです。
実際に、親子のリレーローンや住宅ローン借り換えの際などには、支払い能力の乏しい(未就労の)子が連帯保証人となることが認められるケースもあります。
住宅ローンは、何十年という期間をかけて分割返済することが一般的です。そのため、ローンの完済前に連帯保証人が亡くなるというケースもあり得ます。
ローン完済前に連帯保証人が死亡してしまった場合には、連帯保証人としての義務(保証債務)は、その相続人に相続されます。
相続は、現金や預貯金といったプラスの財産だけでなく、被相続人が抱えている借金などの債務も対象となるからです。
連帯保証人に複数の相続人がいるという場合には、法定相続分に応じて相続人全員で連帯保証人となります。
ただし、遺産分割協議で決められた負担割合に基づいて、連帯債務を相続するということも不可能なわけではありません。しかし、住宅ローン債権者との関係では、遺産分割協議で決めた内容を主張して請求を拒むことはできませんので、あくまで相続人同士での負担割合の取り決めをするということになります。
なお、連帯保証人が死亡した時点でのローン残高が、担保不動産の評価額よりも少ないという状況にあるときには、連帯保証契約を解除してもらえる余地もあるといえますので、まずは債権者に相談してみるのが一番良い方法といえます。
夫婦のペアローンや収入合算で住宅ローンを組んだ場合には、離婚したことで住宅ローンについてトラブルになることも増えています。
離婚によって夫婦関係を解消したからといって、連帯保証人から外れられるとは限りません。
一般的には、連帯保証人から外れるためには、代わりの連帯保証人を見つけてくる必要があります。連帯保証の問題を解消するためには、マイホームを売却しローン残を清算(完済)することがもっとも良い対処方法ですが、実際にはマイホームを売却すること自体が難しいケースも少なくありません。
住宅ローンの連帯保証人は、それとは別に物的担保が提供されていることを考えれば、他の借金について連帯保証人になる場合よりもリスクは小さいといえます。
しかし、連帯保証人になる以上、住宅ローン残額すべてについて、ローン名義人とほぼ同等の義務を負うため、万が一の場合にはそれなりのリスクがあることは、常に頭に入れておくべきといえるでしょう。
また、一度連帯保証人を引き受けてしまったら、簡単には外れることができません。連帯保証人から外れるためには、債権者の同意が必須となるからです。
連帯保証について正しい知識をもたないまま、住宅ローンだから大丈夫、家族の頼みだから大丈夫と安易に引き受けてしまう(安易に依頼してしまう)ことは、トラブルの原因にもなりかねません。
わからないことや不安なことがあるとき、連帯保証人となったもののトラブルが生じたときには、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
「借金減額」という広告を目にすると「怪しい」と感じるかもしれませんが、法律に従った方法で借金を減額できる仕組みもあります。借金減額の方法にはいくつかの種類があり、それぞれ仕組みが異なります。
減額効果が高い方法ほど大きなデメリットが生じる可能性もあるため、方法の選択を誤ると「罠だった」と感じてしまうこともあるかもしれません。
本コラムでは、借金減額がどのような仕組みで可能となるのか、悪徳業者の罠ではないのか、どのようなデメリットがあるのか、正しい借金減額の方法とは何か、などについて解説します。
住民税とは、都道府県や市区町村といった自治体がさまざまな行政サービスを住民に提供するための費用に充てられる税金のことです。正式名称は「市町村民税」や「都道府県民税」など地域によって異なりますが、この2つを総称して住民税と呼びます。
会社などに勤務している方は、住民税のことをあまり意識したことはないかもしれませんが、自営業の方などは住民税の他にも国民年金保険料や国民健康保険料をはじめとして、さまざまな税金や公共料金を自分で納めなければなりません。
全ての納付額を合計するとそれなりの金額になってしまうので、支払うのが厳しい場合もあるでしょう。また、支払い忘れによって滞納してしまうこともあるはずです。
本コラムが、住民税滞納によりお困りの方のご参考になれば幸いです。
自己破産をすると、事案によっては裁判所が破産管財人を選任することがあります。
破産管財人とは、中立公正な立場で破産手続きを進める職務を負う役割を担う人のことです。債務者(破産者)と敵対する立場ではありませんが、的確に対応しなければ、破産手続きに失敗してしまう恐れもあります。
本コラムを確認いただき、不安なことがあれば、自己破産を依頼した弁護士に事前にご相談するとよいでしょう。