債務整理 弁護士コラム
借金の返済ができなくなったとき、自己破産をすれば一定の条件のもとに全額免除され、人生の再スタートを切ることが可能です。
自己破産は自分でもできますが、裁判所で複雑な手続きを行う必要があり、申し立ての準備にも多くの時間と労力を要します。専門的な知識がなければ、手続きに失敗するおそれがあることも否定できません。そのため、自己破産は弁護士に依頼して行うことが一般的です。
とはいえ、弁護士に依頼する費用が払えない、弁護士に依頼するだけで本当に結果が変わるのか、などの点が気になる方も多いことでしょう。
本コラムでは、自己破産を弁護士に依頼することで得られるメリットや費用、さらには弁護士の選び方について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
自己破産を弁護士に依頼することで得られる主なメリットは、次の5つです。
自己破産の依頼を受けた弁護士は、まず各債権者へ受任通知を送付します。受任通知が債権者に届くと、督促がいったん止まるため(貸金業法第21条1項9号)、債権者との直接のやりとりが一切不要となり、落ち着いて申し立ての準備ができるようになります。
弁護士は債務者の代理人として、自己破産手続きの一切を代行することができます。申立書類の作成から裁判所への申し立て、裁判所での複雑な手続きまですべて、弁護士に一任することが可能です。手続き中に債務者本人が裁判所等に出頭する必要もありますが、その際も弁護士が同行し、サポートします。
弁護士が代理人として自己破産を申し立てた場合には、同時廃止事件となる可能性が高まります。
同時廃止事件とは、破産手続開始決定と同時に破産手続きが廃止され、免責手続きに移るケースのことです。管財手続きが行われないため、自己破産手続きをスムーズに進めやすいという大きなメリットが得られます。
この点、自分で自己破産を申し立てた場合には、詳しい調査が必要であると裁判所が判断し、管財事件となってしまう可能性が高いことに注意が必要です。
管財事件となる場合でも、弁護士に依頼すれば少額管財手続きの利用が可能となります。
管財事件とは、破産管財人が選任され、破産者の財産の換価処分や債権者への配当、免責に関する詳しい調査などが行われる事件のことです。管財事件の中でも、手続きが簡略化され、裁判所に納める予納金が少額に抑えられる事件のことを「少額管財事件」といいます。
少額管財事件は東京地方裁判所が独自に運用している制度で、弁護士がついている事案に限り利用可能です。裁判所によっては少額管財事件を取り扱っていないところもありますが、多くの裁判所では東京地方裁判所と同じか、似たような制度が運用されています。
自己破産をしても、裁判所で免責が許可されなければ、借金は免除されません。免責が許可されるかどうかは、申立書の記載内容や、裁判官との面談(審尋)で話す内容によって左右されます。
弁護士は申立書を的確に作成して提出し、審尋にも同席して債務者をサポートすることが可能です。それにより、免責が許可される可能性が高まります。
弁護士に自己破産を依頼することで大きなメリットが得られますが、どの弁護士に依頼しても同じメリットが得られるとは限りません。自己破産を依頼する弁護士を選ぶ際には、次の3点に注意が必要です。
すべての弁護士が自己破産を取り扱っているわけではありません。自己破産事案の経験が少ない弁護士に依頼すると、スムーズに手続きができず、十分なメリットが得られないおそれがあります。
インターネットで検索したり、直接問い合わせたりして、自己破産の実績が豊富にある弁護士や法律事務所を選ぶことが大切です。
納得のいく結果を得るためには、弁護士に詳しい事情を話した上で、希望なども伝えなければなりません。相談者・依頼者の話を丁寧に聞かないタイプの弁護士には話しにくく、希望に添った対応をしてくれないおそれもあります。
そのため、弁護士が親身に対応してくれるかという点も重要です。依頼する前に無料相談を利用して、弁護士の人となりもチェックしましょう。
弁護士費用は事務所によって異なるので、適切な料金設定をしている事務所を選びましょう。
ただ、弁護士費用の内訳にはわかりにくいところもあるため、事前に弁護士またはスタッフが明確な説明をしてくれるかどうかも重要なポイントです。
説明があいまいな事務所では、後で追加費用を請求されることもあるため、注意しなければなりません。
弁護士に依頼して自己破産する場合、裁判所に納める費用と弁護士費用が必要です。ここでは、それぞれの目安と、弁護士費用を払えないときの対処法を解説します。
裁判所に納める費用は、次のように手続きの種類によって大きく異なります。
手続きの種類 | 費用の目安 |
---|---|
同時廃止事件 | 2万円程度 |
少額管財事件 | 22万円程度 |
通常管財事件 | 72万円程度 |
どの事件でも、申し立てと同時に2万円程度は納めることが必要です。
少額管財事件と通常管財事件では、申し立てから約1か月後の破産手続開始決定の際に、裁判所から予納金の支払いを指示されます。20万円や70万円といった予納金が必要となるため、弁護士に依頼して債権者への返済がいったん止まった後に積み立てておくとよいでしょう。
弁護士費用は事務所によって異なりますが、大まかな目安は次のとおりです。
手続きの種類 | 弁護士費用の目安 |
---|---|
同時廃止事件 | 30~50万円程度 |
少額管財事件 | 50~80万円程度 |
通常管財事件 | 80~130万円程度 |
無料相談を利用するなどして複数の事務所から見積もりをとり、納得できる金額の事務所を選ぶとよいでしょう。
弁護士費用を払えないときは、法テラスを利用するのもひとつの方法です。しかし、審査に時間がかかることと、原則として弁護士を選べないというデメリットがあります。
おすすめは、自己破産の実績が豊富な事務所の中から分割払いが可能な事務所を選ぶことです。事務所にもよりますが、自己破産の弁護士費用については分割払いに応じている事務所も数多くあります。分割の回数なども柔軟に対応してくれることが多いので、無料相談の際に尋ねてみるとよいでしょう。
弁護士に依頼した場合、自己破産手続きは以下の流れで進んでいきます。
まずは、自己破産の実績が豊富な弁護士に相談します。相談料が無料かどうかは事務所によるので、事前に確認しましょう。
自己破産の依頼を決めたら、委任契約を結びます。弁護士費用の金額と支払い方法も、依頼時に弁護士と協議して決定します。
弁護士は、依頼を受けた後、債権者に対して速やかに受任通知を発送します。依頼後は、あまり時間をおくことなく、督促と返済がいったん止まることになります。
自己破産申し立ての準備は、弁護士が主導して行います。スムーズに準備を進めるためには、弁護士から指示を受けた書類を効率よく集めて、打ち合わせにも速やかに応じることがポイントです。
申立書類がそろったら、依頼者の住所地を管轄する地方裁判所に対して、弁護士が裁判所への申し立てを行います。
申し立てが受理されると、裁判官との面談を経て、約1か月後に破産手続開始決定が出ます。
東京地方裁判所などで運用されている「即日面接制度」を利用すれば、弁護士のみが裁判官との面談し、即日または数日中に開始決定を得ることも可能です。
保有財産が多い場合や、免責不許可事由の疑いがある場合は管財事件となり、破産管財人と面談することが必要です。面談には依頼した弁護士も同行します。その後は破産管財人の指示に従って管財手続きを進めますが、困ったことがあればいつでも、依頼した弁護士のサポートが受けられます。
免責不許可事由がなければ、最終的に免責許可決定が得られます。東京地方裁判所では、裁判官による免責審尋に出頭する必要がありますが、弁護士が同行します。免責許可決定は約1か月後に確定し、これにて自己破産手続きは終了です。
自己破産の手続きは、自分で行うには複雑なものです。だからこそ、弁護士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。
また、多額の借金を抱えて不安な中、ひとりで自己破産手続きを進めるには、労力だけでなく気持ちの面にも負担がかかります。負担を軽減しながら、適切に自己破産を進めたいとお考えの際は、弁護士への相談・依頼がおすすめです。
ベリーベスト法律事務所では、経験豊富な弁護士が自己破産手続きを全面的にサポートいたします。借金に関するご相談は何度でも無料ですので、自己破産をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお問い合わせください。
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自己破産は個人単位の手続きなので、たとえ家族であっても、第三者に直接の影響が及ぶことは原則としてありません。しかし、生活を共にするために、家族に間接的な影響が及ぶことはあります。
本コラムでは、自己破産をすることで家族に及ぶ影響や注意点、その他の解決方法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士がご紹介します。
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