債務整理 弁護士コラム
年金生活者のなかには、物価高や増税により「生活が苦しい」と感じている方も多いでしょう。実際、間接税である消費税の増税は、所得の低い人ほど負担が重くなる税金です。
そこで、消費税増税にあわせて、生活の苦しい年金生活者のための新しい給付金制度が創設されました。
新しい制度ができると、手続き漏れで受給できないケースや、新手の詐欺被害に遭ってしまうケースが生じることがありますので注意が必要です。
年金生活者支援給付金の仕組みや手続きがよくわからないという人は、ぜひ、この記事の解説を参考にしてください。
年金生活者支援給付金とは、低所得の年金受給者の生活を支える目的で、年金に上乗せして支給される公的給付金のことです。
年金生活者支援給付金の財源は、「消費税の引き上げ分」ですから、増税の還元政策の一種ということになります。
税金は、「富の再分配」という機能も併せ持っているものですから、低所得者ほど負担の重くなる消費税が引き上げられた以上、低所得者へ手厚く還元を行うことは、当然の政策判断ということもできます。
年金生活者支援給付金を受け取ることができるのは、年金の受給者のうちで、前年所得額が一定額以下の人に限られます。
「すべての年金生活者に必ず支給されるわけではない」ので注意しましょう。
65歳から受給することのできる老齢基礎年金を受給している人が「年金生活者支援給付金」の交付を受けるためには、次の条件を満たしている必要があります。
①同一世帯の「全員」が市町村民税非課税である
市区町村民税の課税対象となっている世帯では、「生活に困窮している」とはいえない状況にあるため、年金生活者支援給付金の受給対象外となります。また、「世帯全体」を基準に判定されるので、年金生活者の夫婦は市区町村税非課税だが、同居している子どもは収入があり課税対象というケースでは、年金生活者支援給付金の受給対象外となることに注意する必要があります。
②前年度所得が一定額以下である
支給基準となる前年度所得額については、老齢基礎年金の給付額に応じ毎年改訂されることになっていますが、令和元年の支給基準は、「非課税所得合計が78万円以下」と設定されています。
非課税所得となるものについては、次の収入があります。
年金保険には、老齢基礎年金だけでなく、障害年金、遺族年金もあります。
障害年金・遺族年金を受給している人の場合には、前年の非課税所得が462万1000円以下であるときに、年金生活者支援給付金が交付されます。
なお、障害・老齢年金受給者に扶養親族がいるときには、その人数に応じて上記の基準額は増額されて調整されます。
年金生活者支援給付金は、年金受給者の所得を基準に交付の可否が決まります。また、年間の支給総額も小さい金額ではないため、所得がボーダーラインにある人は、「所得を減らした方がよいのではないか」と考える人もいるかもしれません。
しかし、年金生活者支援給付金受給を受給するために所得調整をする(所得を減らす)必要は基本的にはありません。所得額のボーダーライン上にある人に対しては、「補足的老齢年金生活支援給付金」が支給されることになっているからです。
令和元年の場合には、前年の非課税所得が78万円を超えていても、87万円以下である人には、補足的老齢年金生活支援給付金が交付されることになっています。
年金生活者支援給付金を解説するサイトによっては、前年所得87万円以下であれば給付を受けられると解説している場合があるのは、補足的老齢年金生活支援給付金を加味して解説しているからということになります。
なお、補足的老齢年金生活支援給付金の給付額は、それぞれの受給者の所得額に応じて異なります。あくまでも補足的老齢年金生活支援給付金は、年金生活者支援給付金の受給の有無によって所得逆転となることを回避するため(公平を期すため)の補助的な制度にすぎないからです。
補足的老齢年金生活支援給付金の支給額は、下記の計算式で算出することができます。
年金生活者支援給付金の給付額と受給方法についても確認しておきましょう。
年金生活者支援給付金の給付額は、年金事務所から送付されている受給手続きのために必要な書類(請求書)に、それぞれの給付額が記載されています。
①老齢年金生活者支援給付金の給付額
老齢年金生活者支援給付金の給付額(月額)は、5000円を基準に、下記の計算で算出される金額の合計額となります。
たとえば、年金保険料の未納も免除も全くない場合には、それぞれの計算結果は、次のようになります。
・5000円×480/480=5000円
・1万834円×0/480=0円
したがって、「5000円+0円」となり、老齢年金生活支援給付金の月額は5000円となります。
また、保険料免除期間が5年(60か月)あるというケースの計算結果は下記のとおりです。
・5000円×420/480=4375円
・1万834円×60/480=1354円(50銭未満は切り捨て)
この場合には、4375円+1354円=5729円が毎月の給付額となります。
保険料免除期間のある人の方が免除期間のない人に比べて給付額が多くなるのは、保険料免除期間の長い人ほど経済的な余裕がない場合が多いことへの配慮というわけです。
②障害年金生活者支援給付金の場合
障害年金生活者支援給付金の場合には、認定されている障害等級に応じて、下記のとおりに支給額が決まっています。
障害等級2級:月額5000円
障害等級1級:月額6250円
③遺族年金生活者支援給付金の場合
遺族年金生活者支援給付金の給付額は、月額5000円と固定額になっています。
ただし、遺族基礎年金の受給者が複数人いる場合(複数人の子どもで受給している場合)には、受給者の人数による頭割り額となります。
たとえば、4人の子どもで遺族年金を受給している場合には、5000円÷4人となりますから、1人あたりの給付月額は1250円となります(1円未満の端数がでる場合には50銭以上を切り上げた額となります)。
年金生活者支援給付金の受け取り方法は、年金給付金の受け取り方と同じです。
したがって、偶数月の支給日(中旬頃)までに、「年金と一緒に」前月分までが振り込まれることになります。
なお、年金生活者支援給付金の初回給付は、令和元年(2019年)12月に、10月・11月分について行われます。
また、振込先の銀行口座も年金の振込口座と同様です。
※通帳には振り込みが2件記録される(通常の年金と支援給付金が別に記帳される)ことになるそうです。
年金生活者支援給付金を受給するためには、必要な手続きを行う必要があります。
支給条件を満たしていても、手続きを行っていないときには、給付金は支給されないので注意しましょう。
年金生活者支援給付金の受給資格のある人には、年金事務所から手続きを行うためのハガキもしくは封書が送付されてきます。
なお、年金受給資格のない人(65歳未満の人など)の場合には、年金生活者支援給付金の受給資格があれば、年金受給手続きの際にあわせて、手続きを行うことになります。
年金生活者支援給付金の受給手続きは、手元に届いた請求ハガキ(封書が送付される場合も請求ハガキが同封されています)に必要事項を記載して返送するだけです。
記載しなければならない項目は、次の3点のみなので、手続きはとても簡単です。
なお、請求ハガキの送付に必要な切手は各自で用意する必要があります。
ハガキの送付に必要な切手代も消費税増税に伴い63円と改訂されていますので注意しましょう。
年金生活者支援給付金の受給手続きは、一度行うだけでよく更新の手続きはありません。
なお、給付金受給後に所得が増えた場合には、受給資格を失うことになりますが、再度条件を満たしたとき(所得が減ったとき)には、再度請求手続きを行うことで受給することができます。
年金生活者支援給付金について、「制度それ自体がよくわからない」、「受給のための手続き方法がわからない」という場合には、厚生労働省が設置している専用のナビダイヤルに問い合わせすることができます。
年金生活者支援給付金に関する問い合わせ先(日本年金機構)
新しい公的な給付金制度ができると、必ずといってよいほど、その制度を語った詐欺手口が横行します。
特に、次のような手口の詐欺が予想されますので注意しましょう。
すでに本文中でも解説しているように、年金生活者支援給付金を受給資格のある人には、年金事務所から適宜請求ハガキが送付されることになっています。
こちらから請求ハガキの送付を請求する必要はありませんし、所得の多い人が例外的に受給できる特例措置も補足的老齢年金生活支援給付金に該当する場合を除いてはありません。
また、年金生活者支援給付金は、すでに手続きを済ませている年金手続きに付帯して給付される交付金なので、別途の口座登録なども不要です。
怪しいと感じたときには、お近くの年金事務所や警察相談専用電話(#9110)に連絡・通報するにしましょう。
年金生活者支援給付金は、年金だけでギリギリの生活を行っている人にとっては、とても助かる給付金です。
万が一、いまだに手続きを終えていないというときには、できるだけ早く請求ハガキを送付するようにしましょう。
また、年金生活者支援給付金を語った詐欺には特に注意する必要があります。高齢者は、ネットなどで上手に情報を集められない人も少なくありませんから、年金受給者が身内にいる場合には、あらかじめ注意喚起を促しておくことも大切といえます。
債務整理部マネージャー弁護士として、債務整理・借金問題及びその周辺分野に精通しています。これまで、お客さまの生活再建に向けて、数多くの案件に対応してまいりました。債務整理のご相談は、何度でも無料です。任意整理、自己破産、個人再生など、借金問題についてお悩みの方は、ぜひお気軽に ご相談ください。
友人や親族から「保証人になってほしい」と頼まれた際、断りづらさから安易に応じてしまう人もいます。しかし、保証契約は単なる形式的な署名ではなく、保証人に重い法的責任を負わせるものです。
特に「連帯保証」では、債権者が主債務者を飛ばして直ちに保証人へ請求できるため、負担は極めて重くなります。
今回は、保証債務の定義や仕組み、通常の保証と連帯保証の違い、保証人が直面するリスクや責任範囲などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
借金の返済が滞ってしまうと、最終的に「差押え」という強制執行に発展することがあります。差押えで持っていかれる可能性があるものには、預金や給与の一部、不動産や車など、日常生活に欠かせない財産が含まれており、生活への影響は計り知れません。
しかも、借金の返済が滞った場合、信用情報に影響が出るため、クレジットカードの利用停止がなされる場合もあります。また、差押えされた場合、銀行口座が凍結されたり、勤務先に借金が知られたり、信用や人間関係にまで波及する場合があります。そのため、精神的な負担も非常に大きく、日常生活そのものが立ち行かなくなるケースも少なくありません。
もっとも、すべての財産が差押えの対象になるわけではなく、法律で「生活に最低限必要な財産」は守られています。また、事前に債務整理を行うことで差押えを防ぐことも可能です。今回は、差押えで持っていかれるもの・持っていかれないもの、差押えが生活に与える影響などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
一般的な金融機関から借り入れができなくなって闇金に手を出してしまい、深刻な被害に遭ってしまう人は後を絶ちません。
闇金は、「審査なし」「ブラックOK」「誰でも即日融資」などの甘い文句で勧誘してくるものです。しかし、闇金は到底支払えないような高金利を要求し、支払いが遅れるとしつこい取り立てや悪質な嫌がらせによって精神的に追い込んできます。
ご自身だけでなく、家族や知人、職場にまで被害が及ぶ可能性も高いので、絶対に闇金に手を出してはいけません。もしお金を借りてしまったら、すぐに弁護士へ相談しましょう。
本コラムでは、闇金とはどのような業者のことをいうのか、闇金が使う具体的な手口、お金を借りてしまったときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
