債務整理 弁護士コラム
自己破産とは、返済できなくなった借金から解放されるための法的手続きです。
しかし、自己破産を申し立てても、必ず借金の返済義務が免除されるとは限りません。「免責」が許可されて初めて返済義務が免除され、借金から解放されます。
本コラムでは、自己破産における免責とは何か、どのようなケースで免責が許可されないのかについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。免責許可を受けるための手続きや、免責許可が難しい時の対処法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
自己破産における免責とは、借金の返済義務が免除されることです。免責は個人の破産手続きに特有の制度であり、法人の破産手続きに免責の制度はありません。
そもそも破産手続きは、借金の返済ができなくなった債務者の財産を換金し、各債権者に対して公平な割合で配当するための手続きです。そして、破産手続きが終了すれば法人は消滅するため、法人が持っていた一切の権利や義務も同時に消滅します。それに伴い借金も消滅するのです。
しかし、個人は破産手続きが終了しても個人という存在が消滅するわけではないので、残った借金について免責の制度が設けられています。
具体的には、裁判所は一定の条件の下に免責の許可を決定し(破産法第252条1項)、この決定が確定すると、債務者は残った借金の返済義務を免除されます(同法第253条1項)。
自己破産をしても免責が許可されないケースとして、大きく分けると次の2つの場合が挙げられます。
免責不許可事由とは、破産が認められても免責が認められないケースとして、法律に明記されたもののことです。
具体的には、破産法第252条1項で以下の11個の事由が掲げられています。
なお、前述した日本弁護士連合会の調査では、免責不許可となったケースは1件もありません。
非免責債権とは、債権の性質上、免責の対象とならないものとして法律に明記されたもののことです。
具体的には、破産法第253条1項ただし書きで以下の7個の債権が掲げられています。
これらの非免責債権は、免責が許可されても支払義務が残ります。したがって、負債の大半が非免責債権である場合には、あまり自己破産をする実益がありません。
免責が許可されるかどうかの判断は、自己破産手続きの最終段階で行われます。最終的に免責許可決定を得るまでの流れは、以下のとおりです。
自己破産の申し立ては債務者自身が行うこともできますが、専門的な知識を要するため、弁護士に依頼して行うのが一般的です。依頼を受けた弁護士が発送した受任通知が債権者に届くと、督促や返済がいったん止まります。
それから、依頼者は弁護士の指示に従って必要書類を集め、弁護士と打ち合わせを行います。裁判所に提出する申立書類は、弁護士が作成します。
自己破産を申し立てる際には、「破産手続開始」と「免責許可」という2種類の決定を求める申し立てが必要です。もっとも、債務者が破産手続開始の申立てをすれば、反対の意思を表示しない限り、同時に免責許可の申し立てをしたものとみなされます。
裁判所が用意している書式では、両方を同時に申し立てる形式となっているので、申し立ては一度で済みます。
申し立ての手続きは、弁護士が代理人として行います。ただし、申し立ての際に1~3万円程度の実費を裁判所に納める必要があるため、あらかじめ弁護士の事務所に預けることが必要です。
申し立てが受理されると、裁判官との面談(債務者審尋)が行われ、借入の経緯や財産状況などについて、詳しく尋ねられます。依頼した弁護士も面談に同席し、裁判官への説明をサポートします。
面談の結果、債務者が支払不能状態にあると判断されると、裁判所が破産手続開始決定を行います。債務者にめぼしい財産がなく、免責不許可事由もない場合は、同時に破産手続が廃止され、すぐに免責の手続きに移行します。この流れで進められる破産事件のことを「同時廃止事件」といいます。
債務者に一定額を超える財産がある場合や、免責不許可事由がある場合には、破産管財人が選任され、管財手続き(破産手続き)が行われます。破産管財人が選任される破産事件のことを「管財事件」といいます。
管財事件となった場合は、破産手続開始決定の際に、20万円程度(少額管財事件の場合)または50万円以上(通常管財事件の場合)の予納金を納めるよう、裁判所から指示されます。
管財手続きでは、破産管財人が債務者の財産を換金して債権者への配当を行うとともに、免責不許可事由の内容や程度について詳しく調査します。
東京地裁では、免責手続きで「免責審尋」が開かれます。裁判官と再度面談し、免責に関する事情を確認する手続きです。
他の裁判所では、免責審尋は省略するところが多くなっています。申し立て直後の債務者審尋の際に、免責に関する事情についても併せて確認しているからです。
管財事件の場合は、たいてい最終の債権者集会の際に破産管財人が免責の許可・不許可についての意見を述べます。
免責不許可事由がなければ、裁判所が免責許可決定を行います。
自己破産の申し立てから免責許可決定までに要する期間は、同時廃止事件で3~4か月程度、少額管財事件で4~6か月程度、通常管財事件で6~12か月程度が平均的です。
免責許可決定が確定するまでには、さらに約1か月かかります。
免責不許可事由がある場合には、原則として自己破産を申し立てても借金の返済義務が免除されません。その場合には、以下の対処法が考えられます。
免責不許可事由があっても、事情によっては裁判所の裁量により免責が許可されることがあります(破産法第252条2項)。このことを「裁量免責」といいます。
たとえば、浪費やギャンブルのために借金をした場合でも、借金全体の中で占める割合が著しいものではなく、債務者が真摯に反省していれば、裁量免責が認められる可能性があります。
裁量免責を求めるためには、申し立ての段階で陳述書に免責不許可事由の内容を詳しく記載するとともに、反省文も作成して添付することが有効です。
免責不許可の決定が出てしまった場合には、1週間以内に「即時抗告」という形で異議申し立てをすることが可能です。
異議申し立てをすると、高等裁判所で再審理されます。債務者としては、免責不許可事由がないか、裁量免責が相当であることを主張し、改めて免責許可の決定を求めることになります。
裁量免責は必ずしも認められるとは限りませんし、異議申立てで裁判所の決定が覆る可能性も低いのが実情です。
自己破産による免責が難しい場合には、個人再生または任意整理を検討する方が得策といえます。個人再生と任意整理では、借金の使い道や借入の経緯は問われないからです。
個人再生は、裁判所の決定により借金を5分の1~10分の1程度に減額し、3~5年で分割返済する手続きです。多額の借金があるものの、自己破産はできない事情がある場合に向いています。
任意整理は、債権者との直接交渉によって将来利息をカットし、残った借金を3~5年で分割返済する手続きです。多額の借金がある場合にはあまり向いていませんが、家族や親戚などが返済に協力してくれる場合には、検討してみるとよいでしょう。
なお、個人再生には自己破産の場合とおおむね同様の「非免責債権」がある(民事再生法第229条3項、第244条)ことには注意が必要です。
自己破産を申し立てたケースのほとんどで、免責が許可されているのが実情です。
しかしその理由は、裁量免責が期待できないほどの免責不許可事由がある場合には、もともと他の解決方法を選択しているからだと考えられます。裁量免責が容易に認められることが理由ではありません。
そのため、免責に不安がある場合には、弁護士から専門的なアドバイスを受け、個人再生や任意整理も視野に入れて、最適な解決方法を検討することが重要です。
ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、債務整理専門チームの経験豊富な弁護士が状況に応じて、借金問題の解決までサポートいたします。自己破産を考えているものの免責に不安がある方は、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。
債務整理部マネージャー弁護士として、債務整理・借金問題及びその周辺分野に精通しています。これまで、お客さまの生活再建に向けて、数多くの案件に対応してまいりました。債務整理のご相談は、何度でも無料です。任意整理、自己破産、個人再生など、借金問題についてお悩みの方は、ぜひお気軽に ご相談ください。
車のローンが残っている状態で自己破産を検討していると、「車を手元に残せるのか」「ローン中なら引き上げられてしまうのか」など、気になることも多いでしょう。
結論からいえば、自己破産をするとき、原則として車は処分の対象です。しかし、所有権留保の有無や査定額、生活上の必要性などによっては、例外的に車を手元に残せることもあります。
また、自己破産以外にも、任意整理や個人再生を利用することで車を処分せずに返済を進められるケースもゼロではありません。自己破産によって一度車を手放したとしても、破産手続き後に車を持つ方法もあります。
本コラムでは、車のローンと自己破産の関係を整理しながら、車を残せる条件、自己破産以外の選択肢、破産後の車の取得方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
自己破産は、借金問題で生活が破綻している人を救済し、生活を立て直すために認められた制度です。借金の返済が限界になり、「自己破産しか選択肢がないのでは……」「破産したら人生が終わるのでは」と不安を抱える方は少なくありません。
実際には、自己破産を利用することで督促や取り立てが止まり、借金の返済義務が免除され、再スタートの道が開けるといったメリットが多くあります。その一方で、自己破産には財産処分や信用情報への登録、保証人への影響など知っておくべきデメリットも存在します。また、「家族に知られる」「就職できなくなる」「生活できなくなる」といった誤解も多く、相談をためらう原因になりがちです。借金問題解決のための適切な選択をするためにも、まずは正しい知識を身につけておきましょう。
今回は、自己破産のメリット・デメリット、誤解されやすいポイント、手続きの流れをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
20代で自己破産を検討することは、決して早すぎる判断ではありません。むしろ返済できない借金を抱え続けるより、早い段階で整理した方が将来を立て直しやすいケースは多くあります。
とはいえ、「まだ若いのに自己破産して大丈夫なのか」「就職や結婚に悪影響が出るのでは」「数年後に後悔しないだろうか」といった不安を感じるのは当然です。自己破産には一定のデメリットがあるため、将来への影響を正しく理解したうえで判断することが重要になります。
今回は、20代で自己破産を検討している方に向けて、自己破産の基礎知識や将来への影響、20代で自己破産に至る理由、自己破産以外の選択肢などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
