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債権差押命令を受けたら? 差押え対象の財産や取り下げてもらう方法を解説

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更新日:2025年11月11日 公開日:2025年11月11日

債権差押命令を受けたら? 差押え対象の財産や取り下げてもらう方法を解説

裁判所から債権差押命令が発令され、第三債務者に送達されると、債務者は自由に財産を処分することができなくなってしまいます。

差押えの対象となる財産には、給与、預貯金なども含まれるため、生活に大きな影響があるでしょう。そのため、債権差押命令が届いてしまったら、すぐに適切な対応をとることが重要です。

今回は、債権差押命令がどのような手続きなのか、発令までの流れや生活への影響、命令を取り下げてもらう方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、債権差押命令とは? 差押え対象の財産・発令までの流れ

債権差押命令と書かれた通知を受けると、今後どのような影響を受けるのか心配になると思います。以下では、債権差押命令の定義や差押えの対象となる財産、債権差押命令の発令までの流れを解説します。

  1. (1)債権差押命令とは

    債権差押命令とは、債権者が債務者に対して有する債権を回収するために、裁判所を通じて債務者の財産(債権)を差し押さえる手続きです

    債権差押命令が発令され、第三債務者に送達されると、債務者は差押え対象となった財産を自由に処分することができなくなってしまいます。そのため、差押えの対象によっては、生活に重大な支障が生じます。

    裁判所から債権差押命令が届いてしまったら、決して放置はせず、すぐに適切な対応をとることが重要です。

  2. (2)差押えの対象となる財産の種類

    債権差押命令の対象となる財産には、以下のようなものがあります。

    • 給与:債務者が勤務先から受け取る給料や賞与
    • 預貯金:債務者が金融機関に預けている普通預金や定期預金
    • 売掛金:債務者が事業をしている場合、取引先からの未収金
    • 賃料:債務者が不動産の貸主である場合、借り主から受け取る賃料
    • 退職金:債務者が勤務先を退職予定で支給額が確定している場合の退職金
    • 生命保険金の解約返戻金:債務者が生命保険に加入している場合、生命保険の解約返戻金
  3. (3)債権差押命令が発令されるまでの流れ

    債権差押命令は、以下のような流れで発令されます。債権差押命令の流れをみて、自分のケースがどの段階にあるかを確認してみましょう。

    ① 債権差押命令の申立て
    債権者は、債務者の住所地を管轄する裁判所に「債権差押命令申立書」を提出し、債権差押命令の申立てを行います。

    ② 裁判所による審査・発令
    裁判所は、申立書の内容を審査し、債権差押命令申立てに理由があると認めるときは、債権差押命令を発令します。

    ③ 第三債務者への通知
    裁判所は、債権差押命令正本を第三債務者に送達します。第三債務者とは、債務者に対して債務を有する勤務先、金融機関、取引先、保険会社などを指します。

    ④ 債務者への通知
    裁判所は、債権差押命令正本を債務者に送達します。

    ⑤ 取立て
    債権者は、差し押さえた債権の取立てをします。

2、債権差押命令を受けると、どんな影響がある?

債権差押命令が発令され、債務者の財産が差し押さえられてしまうと、以下のような影響が生じます。

  1. (1)預金口座の入出金が止められて、生活に支障をきたす可能性

    債務者の預金債権を対象に債権差押命令が発令されると、金融機関に債権差押命令が送達された時点の預金残高が差し押さえられてしまいます。そして、その額については自由に引き出すことができなくなります。

    特に給料日直後など、預金残高が多いときに債権差押命令が発令されると、家賃などに充てるためのお金を引き出せなくなり、生活に重大な支障が生じることもあるでしょう。
    なお、預金債権を対象とする差押えは、債権差押命令が送達された時点の預金残高が対象です。そのため、それ以降に入金されたお金については引き出すことが可能です。

  2. (2)会社員の場合、給与の一部が差し押さえられる&会社にバレる可能性

    給与債権を対象に債権差押命令が発令されると、勤務先から支払われる給料が差し押さえられてしまい、会社に借金を滞納していることがバレてしまうおそれがあります

    また、給与債権が差し押さえられると、手取り額の4分の1または33万円を超える部分の給料が支払われなくなります。そのため、収入が減少して生活に影響が出てしまうでしょう。
    預金債権の差押えは1回きりですが、給与の差押えは完済まで継続するため、債務者に与える影響は非常に大きいといえるでしょう。

  3. (3)債権差押命令後も債務を放置すると、遅延損害金が増える

    債権差押命令が発令されたにもかかわらず、返済をせずに放置していると、遅延損害金が増え続けていきます
    遅延損害金とは、返済期日までに返済ができなかった場合に生じる損害賠償金のことで、通常の利息よりも高い利率で設定されているのが一般的です。遅延損害金は、返済が遅れた期間に応じて加算されるため、返済が遅れるほど、遅延損害金の額は膨らんでいきます。

3、債権差押命令を取り下げてほしい! 対処法2つ

債権差押命令が発令されても、債権者に完済することで債権差押命令を取り下げてもらうことができます。しかし、完済するだけの経済的余裕がない場合は、以下のような方法を検討しましょう。

  1. (1)債権者と示談交渉をする

    債権差押命令の対象となった債務について、一括で返済することが難しいこともあるかもしれません。その際は、債権者と交渉をして分割払いや債務の一部免除を求めていくようにしましょう。債権者と合意が成立すれば、債権差押命令を取り下げてもらえる可能性があります。

    ただし、債権者と債務者個人で示談交渉するのは難しく、有利な条件で示談をするには専門家である弁護士のサポートが不可欠です。

  2. (2)弁護士に依頼して債務整理を行う

    債権差押命令の対象となった債務を完済できる見込みがないときは、すぐに弁護士に相談して債務整理を行うようにしてください。
    債務整理とは、債権者との交渉や裁判所を利用した手続きにより、借金返済の負担を軽減できる方法です。債務整理には、主に任意整理、自己破産、個人再生、特定調停といった種類があり、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。

    最適な債務整理の手段を選択するには、専門家である弁護士のアドバイスやサポートが欠かせません。完済できる見込みがないまま放置していると、遅延損害金が増えてさらに生活が苦しくなってしまいます。少しでも返済に不安がある方は、なるべく早く弁護士に相談をしましょう。

4、債務整理を弁護士に依頼するメリット

債権差押命令が出るなどして債務整理をご検討の方は、弁護士に依頼することをおすすめします。主なメリットをご紹介しましょう。

  1. (1)弁護士が介入し、交渉・債務整理をすることで債権差押命令の取り下げの可能性が高まる

    裁判所から債権差押命令が届いたら、すでにあなたの財産は債権者によって差し押さえられています。差押えの対象となる財産によっては、生活に重大な支障が生じてしまうでしょう。さらに、時間が経過するほど、差押えによる不利益が大きくなります。

    弁護士に対応を依頼すれば、適切に債務整理を行うことにより、債権差押命令を取り下げられる可能性が高くなります
    ただし、すでに差し押さえられた財産については、弁護士に依頼しても取り戻すことはできません。さらなる差押えがされる前に、弁護士への相談を検討しましょう。

  2. (2)債権者との交渉を代行できる

    債権者との交渉は一般の方でも行えますが、慣れていないと不利な条件で示談を成立させてしまうリスクがあります。
    弁護士に依頼すれば、債権者との交渉をすべて任せられるため、適切な内容で示談ができるだけではなく、交渉の負担を大幅に軽減することができます。また、自己破産や個人再生を選択する場合でも、裁判所への申立てや裁判所とのやり取りなどについて、弁護士に任せることが可能です。

  3. (3)無理のない返済計画を提案できる

    債権者と示談をする際は、債務者の収入、支出状況や資産状況などを踏まえて返済計画を立てなければなりません。早く完済したいからといって、無理な返済計画で示談をしてしまうと、途中で返済計画が破綻し、再び滞納状態となってしまいます。
    債務整理に詳しい弁護士であれば、債務者の具体的な事情を踏まえて、無理のない返済計画を提案できるため、余裕をもって借金の完済を実現することができます

5、まとめ

裁判所から債権差押命令が届いたら、すでに銀行の預貯金債権や勤務先の給与債権が差し押さえられているため、そのままでは生活に支障が生じるおそれがあります。

しかし、債権差押命令は、債権者との適切な交渉等により取り下げてもらえる可能性があります。一方、自分ひとりで対応すると、不利な条件で示談を成立させてしまったり、無理な返済計画を提示してしまったりすることもあるでしょう。自分ひとりでの対応に少しでも不安がある際は、弁護士に対応してもらうようにしましょう。裁判所から債権差押命令が届いてしまった方は、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 13万1237件
  ※集計期間:2010年12⽉〜2024年12⽉末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約410名の弁護士が在籍
※2025年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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