債務整理 弁護士コラム
子どもが借金をしていることがわかると、親としては何とかしてあげたいという思いから、借金を立て替えて返済してあげるケースも少なくありません。
しかし、借金の返済義務がない親が子どもの借金を立て替えて支払うと、贈与税が課税される可能性があります。また安易な立て替え払いをしてしまうと、子どもが今後も借金を重ねるおそれもありますので、注意が必要です。親としては、借金返済義務の有無を把握したうえで、適切な対応をとることが求められます。
今回は、子どもの借金が発覚したときの親の返済義務と対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
子どもの借金は、親が返済しなければならないのでしょうか。以下では、借金の返済に関する基本的な考え方を説明します。
借金の返済義務は、借金をした本人のみが負うのが原則です。後述するような例外的なケースに該当しない限りは、親であったとしても、子どもの借金の返済をする義務はありません。
もっとも、親としては、子どもが借金で苦しんでいる姿を見ると「何とか助けてあげたい」という気持ちから、子どもに代わって借金の返済をしてしまうケースも少なくありません。しかし、そのような対応は、子どもの借金癖を助長してしまいますので、借金問題の解決方法としてはあまりおすすめできません。
借金の返済義務がない親が子どもの借金を返済すると、法的には、「みなし贈与」に該当しますので、当事者間に贈与の意思がなかったとしても贈与税の課税対象となります。
ただし、年間110万円までであれば贈与税の基礎控除の範囲内ですので、贈与税が課税されることはありません。
また、親が立て替えて支払った借金を子どもが親に対して返済している場合には、みなし贈与にはあたりませんので、贈与税課税の対象外となります。
子どもの借金は、原則として親には返済義務はありません。しかし、以下のようなケースについては、例外的に親にも返済義務が生じる可能性がありますので、注意が必要です。
連帯保証人とは、主債務者が借金の返済をしないときに債務者に代わって借金の返済義務を負う人のことをいいます。
親が子どもの借金の連帯保証人になっている場合、子どもが借金の返済をしないときは子どもに代わって借金の返済をしなければなりません。
子どもから連帯保証人を頼まれたときは、将来自分が借金の返済をしなければならない可能性があることも踏まえて検討するようにしましょう。
なお、連帯保証人である親が借金の返済を行った場合、求償権を行使することで、親が子どもに対して返済を行った分の支払いを求めることが可能です。
子どもが死亡し、本人に子どもがいない場合には、第2順位の相続人である親が子どもの遺産を相続することになります。
相続財産には、現金・預貯金、不動産といったプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。そのため、子どもに借金があった場合には、遺産を相続した親は、子どもの借金も承継し、債権者への返済を行わなければなりません。
ただし、相続開始を知ったときから3か月以内であれば、相続放棄の手続きをすることで、借金の相続を免れることが可能です。
原則として3か月の熟慮期間を経過後の相続放棄は認められませんが、被相続人(子ども)に借金がないと信じ、かつそう信じたことに相当な理由があると認められる場合には、借金の存在に気付いた時点から3か月以内であれば、相続放棄が可能な場合もあります。
子どもが借金をしていることが判明したときは、借金返済に向けて以下のようなことを検討する必要があります。
借金を返済するためには、まずは借金の全容を把握することが重要です。複数の金融機関や消費者金融業者から借り入れをしている場合には、どこからどれくらい借りているかを整理してみましょう。
自分自身の借金であれば借金の全容把握も容易ですが、子ども自身の借金となると、借金の詳細は子ども自身でなければわかりません。親に責められたくないという気持ちから、実際の借金よりも少なく申告するケースもありますので、借金返済に協力する旨を伝えて、正直に話すよう説得してみましょう。
借金をしたのが未成年者の子どもであり、かつ親の同意を得ずにした借金である等の場合には、未成年者取消権を行使することで、債権者との契約を取り消すことが可能です。
ただし、契約を取り消したとしても、すでに借りた借金を返さなくてもよいというわけではありません。法的には、現に利益を受けている範囲で返還する必要がありますので、借金の使途によっては債権者への返還をしなければなりません。
たとえば、浪費により使ってしまったのであれば、その分は返還しなくてもよいですが、生活費として使ったのであれば、本来生活費に充てるはずのお金が残っていますので、その分を返還する必要があります。
なお、未成年者の子どもが自分を成人であると偽って借り入れをした場合や親の同意を偽造していたような場合には、相手を保護する必要性が高いため、未成年者取消権の行使は認められません。
子どもの借金の全容を把握したら、借金の返済に向けて返済方法などを考えていかなければなりません。その際に有効になるのが債務整理という方法です。債務整理とは、借金の返済負担を軽減することができる方法で、以下の3つの方法があります。
親が子どもの借金を肩代わりして返済することもできますが、それでは子どもが再び借金を重ねてしまうおそれがあります。子ども自身が借金問題にしっかりと向き合い、自分自身の問題として認識してもらうためにも、まずは債務整理を検討するのがおすすめです。
債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生という3つの方法がありますので、どの手段を選択すればよいか迷う方も多いと思います。
最適な債務整理の手段は、個別具体的な状況に応じて異なりますので、一概にはいえませんが、債務整理による影響を最小限に抑えたいなら任意整理がおすすめです。任意整理とは、債権者との交渉により、借金返済の負担を軽減する方法であり、主に以下のような内容が含まれています。
任意整理のメリットは、対象となる債権者を自由に選ぶことができるという点です。自己破産や個人再生ではすべての債権者を対象にしなければなりませんので、保証人付きの借金だと保証人に迷惑がかかりますし、住宅ローンや自動車ローンが残っている場合には、自宅や車を失ってしまうリスクがあります。
任意整理であればこのようなリスクを最小限に抑えることができる可能です。
借金の返済でお困りの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
債務整理の方法には、任意整理、自己破産、個人再生の3つがあり、どの方法を選択すべきなのかは、借金総額、資産内容、収支状況、借り入れの経緯などの具体的状況によって異なります。
任意整理がデメリットの少ない方法でおすすめですが、状況によっては自己破産や個人再生でなければ解決できない問題もあります。そのため、ご自身の状況に応じた最適な債務整理の方法を選択するためにも、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
子どもの借金は、借金をした本人である子ども自身で返済しなければならないのが原則です。しかし、親が借金の保証人になっているようなケースでは、例外的に親にも返済義務が発生することもあります。
子どもの借金に対する親の対応については、具体的な状況によって異なりますので、弁護士に相談して、アドバイスをしてもらうのがよいでしょう。
借金問題を解決するために債務整理を行うのは、借金をした本人である子ども自身です。親から債務整理をすすめたとしても、子ども自身が行動しなければ債務整理を行うことはできません。
債務整理が借金問題を解決する有効な手段であることを子どもにきちんと説明するには、親自身も正確な知識を身につける必要があります。弁護士への相談は、借金をした子どもだけでなくその親もできますので、子どもに債務整理をすすめるための知識を得るためにも、まずは親が弁護士に相談してみてもよいでしょう。
子どもの借金については、子ども本人に返済義務がありますので、親が子どもの借金の返済義務を負うことは原則としてありません。
ただし、子どもの借金の保証人になっているケースや子どもの借金を相続したようなケースでは、親にも借金の返済義務が生じますので、適切な対応が必要となります。子どもの借金に対する親の対応は、個別具体的な状況によって異なりますので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
子どもの借金でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
子どもが借金をしていることがわかると、親としては何とかしてあげたいという思いから、借金を立て替えて返済してあげるケースも少なくありません。
しかし、借金の返済義務がない親が子どもの借金を立て替えて支払うと、贈与税が課税される可能性があります。また安易な立て替え払いをしてしまうと、子どもが今後も借金を重ねるおそれもありますので、注意が必要です。親としては、借金返済義務の有無を把握したうえで、適切な対応をとることが求められます。
今回は、子どもの借金が発覚したときの親の返済義務と対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「パチンコのために借金をしてしまった」「使ってはいけないお金も競馬の費用にまわしてしまった」というように、頭では「悪い」と分かっていても、気づいたらギャンブルの歯止めが利かなくなっている方もいるでしょう。
できることなら1日でも早くギャンブルから足を洗って、美味しい食べ物や趣味、大切な人や将来の自分への投資など有意義にお金を使いたいものです。
結論からいうと、ギャンブル依存症は病気だと自覚しなければ、克服することができません。ギャンブル依存症は「否認の病気」と呼ばれていて、自身の現状を認めることが克服への第一歩だからです。
本コラムでは、ギャンブル依存症の特徴や克服する方法、ギャンブル依存症を治すための期間・費用、抱えてしまった借金の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
お金を借りた債務者本人に代わって、第三者が借金などの債務を返済するケースがあります。このような第三者弁済が行われるケースは少なくありませんが、あらゆる場合に第三者弁済が有効となるわけではありません。
また、第三者が弁済する場合であっても、民法上の「第三者弁済」には該当しないことがあります。第三者弁済に当たるケースとその他のケースの違いについて、知っておいたほうがよいでしょう。
なお、第三者弁済が有効に行われると債権者は満足しますが、弁済した第三者と債務者との間には債権・債務関係が残ることに注意が必要です。
本コラムでは、第三者弁済とは何か、第三者弁済が有効となるための要件、さらには弁済した第三者による「代位」について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。