債務整理 弁護士コラム
受任通知とは、債務整理を始めるときに弁護士や司法書士が債権者宛てに送付する書面をいいます。
債務整理を検討している方の中には、借金を滞納してしまい、連日のように債権者からの取り立てを受け、落ち着いて生活できないという方が少なくありません。
そんなときでも、受任通知の送付後、債権者に書面が届いた時点で一時的に取り立てや返済をストップすることが可能です。ただし、受任通知の送付にはいくつかのデメリットもあるため、あらかじめ注意しておくべきことがあります。
本コラムでは、受任通知とは何か、弁護士に債務整理を相談してから取り立てが一時的に止まるまでの流れ、受任通知を送付する前に注意しておくべきポイントについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
受任通知とは、債務整理の依頼を受けた弁護士または司法書士が、そのことを債権者に知らせるために送付する書面です。債権者と債務者の問題に弁護士・司法書士が介入することから、「介入通知」とも呼ばれます。以下、司法書士に関する説明は省略します。
弁護士が受任通知を作成する際、債務者の代理人となったことの他にも、債務者に対して取り立てをストップすること、債務者に対する連絡はすべて事務所宛てにすることを記載し、債権者に対して要請します。
受任通知が債権者に届いた後は、もっぱら弁護士と債権者とでやりとりすることになるため、債務者は自分で債権者に対応する必要がありません。
併せて、取引履歴の開示を請求する旨も受任通知に記載されます。受任通知の送付後、数週間~2か月程度で債権者から担当弁護士の法律事務所に取引履歴が送付されます。弁護士は、必要に応じて利息引き直し計算をして正確な借金額を割り出し、債務整理の手続きを進めていくのです。
受任通知の送付によって債務者が得られるメリットは、以下のとおりです。
受任通知が債権者に届いた後は、取り立てが一時的に止まります。弁護士からの受任通知を受け取った債権者が、その債務者に対して返済を直接請求することは法律で禁じられているからです(貸金業法第21条1項9号)。
違反すると「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」という刑罰の対象となるため(同法第47条の3第1項3号)、貸金業者からの取り立てはほぼ確実に止まるのです。
ただし、弁護士に債務整理のことを依頼後、受任通知が債権者に届くまでにはタイムラグがあるので、その間に取り立てを受けることはあります。
また、個人の債権者やヤミ金などは、受任通知による要請に従わず取り立ててくる可能性があることに注意が必要です。貸金業者でも、裁判手続きで返済を請求することまでは禁じられていないため、債務整理の準備期間が長引くと裁判を起こされることがあります。
弁護士に依頼した後は、なるべく早めに債務整理手続きを進めることが重要です。
受任通知が債権者に届いた後は、債務整理手続きが終了するまで返済する必要もなくなります。
むしろ、弁護士に債務整理を依頼した後は、対象とした債権者に対する返済をストップすべきです。債務整理手続きを進めるためには、取引を中断して借金残高を確定させる必要があるからです。
特に、自己破産または個人再生をする場合は「債権者平等の原則」が適用されるため、すべての債権者に対する返済をストップする必要があります。一部の債権者にのみ返済を継続していると、自己破産・個人再生の手続きに支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。
以上のように、受任通知の送付によって一時的にですが取り立ても返済も止まるので、落ち着いた生活を取り戻せます。その状態で債務整理手続きを進めていくことになります。
受任通知の送付によって、債権者からの取り立てが一時的に止まるようになるまでの流れは、以下のとおりです。
一般的に、債務整理をするためには、まず弁護士に相談し、アドバイスを受けて債務整理の方針決めを行い、正式に弁護士と委任契約を結ぶ流れで進みます。
その後、弁護士が受任通知を作成し、送付します。正式に弁護士に依頼するまでは、原則として受任通知は送付されないことに注意が必要です。
債務整理の依頼を受けた弁護士は、早ければ即日、遅くとも数日中に受任通知を発送します。通常、受任通知は速達で発送するので、依頼後、数日中には取り立てが止まるのが一般的です。
直ちに取り立てを止めてもらいたい際は、弁護士が債権者に電話で連絡したり、FAXで受任通知を送信したりして、取り立ての中止を要請することも可能です。それにより即日、取り立てが止まる可能性もあります。
受任通知の発送後、債権者に到達するまでの間に行き違いで取り立てを受けることはあります。その場合には、弁護士に債務整理を依頼した旨を債権者に伝えれば、取り立てが止まることがほとんどです。
受任通知が届くまでの間に、少しでも貸付金を回収しようとする債権者もいますが、正規の貸金業者が脅迫的な取り立てをしてくることはありません。受任通知が届くまで少しの間、やりすごすことです。
個人の債権者やヤミ金から取り立てを受けた場合には弁護士に連絡し、交渉を任せるようにしましょう。
受任通知を送付することには、いくつかのデメリットもあります。弁護士に債務整理を依頼する前に注意しておくことが必要です。
債務整理の受任通知が債権者に届くと、その時点で信用情報機関に事故情報が登録されます。
債務整理後、一定の期間が経過すると事故情報は削除されますが、それまでの間は新たな借入やクレジットカードの作成などが難しくなることに注意が必要です。
信用情報機関にはJICC、CIC、KSCという3つの機関があります。事故情報が削除されるまでの期間は信用情報機関によっても異なりますが、以下の期間が目安となります。
債務整理をする債権者の中にクレジットカード会社がある場合、受任通知を送付すると、そのクレジットカードは強制解約となります。なぜなら、各カード会社の契約約款で、利用者が債務整理をするとカードが強制解約となることが定められているからです。
この点、任意整理をする場合は、整理する債権者を自由に選べます。クレジットカード会社を手続きから除外して受任通知を送付しなければ、当面の間はそのクレジットカードを利用することが可能です。
ただし、各カード会社は3か月から半年に一度の割合で「途上与信」のために、顧客の信用情報を照会します。そのときに事故情報が登録されていると、そのカードも強制解約されてしまうことに注意が必要です。
個人再生や自己破産をする場合は、すべての債権者を手続きの対象とする必要があるため、受任通知もすべての債権者宛てに送付します。したがって、受任通知が債権者に届いた時点で、手持ちのクレジットカードはすべて強制解約となります。
保証人付きの借金がある場合、その債権者宛てに受任通知を送付して返済を中断すると、保証人が残りの借金の返済を請求されてしまいます。
この点についても、任意整理をする場合は保証人付きの借金を手続きから除外することで、保証人に迷惑をかけることなく借金を整理できる可能性があります。
しかし、個人再生や自己破産をする場合は、保証人付きの借金も手続きに含める必要があるため、保証人に迷惑をかけることは避けられません。
弁護士に依頼する前に保証人に事情を話しておくことが重要であり、場合によっては保証人も一緒に債務整理することを検討するとよいでしょう。
銀行カードローンなど銀行からの借金を債務整理する場合、受任通知を送付するとその銀行の口座が凍結されます。なぜなら、銀行は預金残高と貸付金とを相殺できるので、その処理を行うために口座からの出金を止める必要があるからです。
生活費などでお金が必要な場合は、弁護士に依頼する前に預金を引き出しておきましょう。このとき、全額引き出しても構いません。
ただし、自己破産または個人再生をする予定の場合は、財産隠しを疑われないように、引き出したお金を何に使ったのかを記録しておくことが大切です。各種料金の引落口座や、給料の受取口座も事前に変更しておきましょう。
なお、口座の凍結が解除されるまでには、一般的に3か月程度かかるといわれています。
受任通知が相手に届くことによって取り立てや返済が一時的に止まる点は、債務者にとって大きなメリットです。負担が軽減された状態で弁護士費用を支払ったり、生活を立て直したりすることも可能となるでしょう。
ただし、いくつかのデメリットがあることは知っておかなければなりません。何よりも大切なことは、その後の債務整理手続きを成功させることです。受任通知を送付しただけでは、まだ何も解決していません。
ベリーベスト法律事務所にご相談・ご依頼いただければ、ご希望に応じて迅速に受任通知を発送いたします。受任通知送付後の注意点についても、経験豊富な弁護士がわかりやすく丁寧にご説明いたします。
債務整理に関する無料相談は何度でもご利用いただけますので、お困りの際はぜひベリーベスト法律事務所までお問い合わせください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
「自分は買い物依存症かもしれない」と感じている人は少なくはありません。買い物が大好きな人や、買い物に出かけるとつい買いすぎてしまう方は買い物依存症の不安を抱えていることでしょう。
ですが、ショッピング好きと買い物依存症は違います。買い物依存症の場合には中毒症状があるため、治療が必要な状態。対して買い物好きの人は買い物が趣味なだけで買い物に依存しているわけではありません。
買い物依存症の患者数は正式には発表されていませんが、昨今の後払いシステムやクレジットカード払いの増加によって患者数も増加していると推定されています。買い物依存気味の方は早めに自覚し、適正な対処をしていきましょう。
ソーシャルゲーム(ソシャゲ)などのスマホゲームで、多額の課金をしてしまう方は少なくありません。
「今回だけ…」とおそるおそる少額で始めたはずの課金も、いつも間にか抵抗がない状態に陥っている方も多いのではないでしょうか。
スマホゲームの課金は、一種の中毒症状をもたらします。「やめよう」と思っても、自分の意思では上手にコントロールできないものです。
本コラムでは、ソシャゲなどのスマホゲームで課金をやめられない心理、課金に制限をかける方法、課金をやめる方法、課金が原因で借金に悩んでいるときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がご紹介します。
廃課金とよばれるような過度な課金は、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。できるだけ早めに課金をコントロールしたり、借金問題を解決したりして、通常の生活に戻していきましょう。
「必死に働いても生活が苦しい」「働きたいのに働けない」「借金返済でどうすればよいのか分からない」などの悩みを抱える人は少なくありません。
このような生活苦には、働けない・給料が低い・借金を抱えていることが大きな原因となっているケースも多くあります。
本コラムでは、生活が苦しい状況から抜け出すための対処方法や相談先、支援制度について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。