債務整理 弁護士コラム
債務整理とは、法律に従って借金の返済義務を減免できる手続きです。多額の借金を抱えてしまい、返済できなくなったとしても、債務整理で解決することができます。
債務整理をするには、債権者との交渉や裁判所での複雑な手続きが必要で、一般の方が的確に手続きを進めることは事実上、難しいのが実情です。そのため、弁護士または司法書士に依頼して債務整理を行うことが一般的な方法となります。とはいえ、どちらに相談した方がよいのかがわからず、迷ってしまう方も多いことでしょう。
本コラムでは、債務整理を弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合とで、どのような違いがあるのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
司法書士とは、主に不動産や企業に関する登記、供託などの書類作成、役所での手続きなどを代行することができる国家資格を持った専門家のことです。
ただ、第三者間の法的トラブルを解決するための交渉や、裁判所における手続きを代行する業務については、従前は弁護士でなければできないこととされていました。
しかし、平成14年に「認定司法書士」という制度が導入され、司法書士の職務領域が拡大されました。認定司法書士とは、特別な研修を修了して簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格し、法務大臣の認定を受けた司法書士のことです。認定司法書士には、法的な交渉や裁判手続きの一部を代行することが認められるようになったのです(司法書士法第3条2項)。
債務整理も法的な交渉や裁判手続きを伴う手続きなので、すべての司法書士が代行できるわけではありません。債務整理を取り扱うことができる司法書士は、「認定司法書士」に限られます。
認定司法書士といえども、債務整理で取り扱うことが可能な業務の範囲は弁護士と完全に同じではありません。債務整理を弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合とでは、以下の違いがあります。
認定司法書士が代行することが可能な法的交渉や裁判手続きは、争われている価額が140万円以内のものに限られます(司法書士法第3条1項6号、7号)。債務整理では、「任意整理」および「過払い金返還請求」でこの制限が問題となります。1社あたり140万円を超える借金を抱えている場合には、司法書士に依頼することはできないのです。
たとえば、以下の借金を抱えている債務者がいるとします。
このケースで任意整理または過払い金返還請求を行う場合、司法書士にはB社とC社との手続きのみしか依頼できません。A社に対する借金については返済を継続するか、別の方法で解決する必要があります。
自己破産と個人再生は、どちらも「地方裁判所」の手続きを利用する債務整理の方法です。
認定司法書士が代行することが裁判手続きは「簡易裁判所」におけるものに限られている(司法書士法第3条1項6号)ため、司法書士が債務者の代理人として自己破産・個人再生の手続きを行うことはできません。
なお、裁判所に提出する書類の作成を代行することは司法書士にも可能です。ただし、司法書士に自己破産や個人再生の書類作成の代行を依頼した場合には、あくまでも裁判所での手続きは債務者本人が行わなければならないことに注意が必要です。
債務整理に着手した後に、債権者から裁判を起こされることは珍しくありません。
弁護士と司法書士のどちらに債務整理を依頼した場合でも、受任通知が債権者に届いた後は、取り立てや督促がいったん止まります。その後は、債権者が債務者に対して返済を直接請求することは禁止されています(貸金業法第21条1項9号)が、裁判を起こすことまでは禁止されていません。
そのため、早期に債権を回収したいと考える債権者は、「支払督促」または「民事訴訟」という裁判手続きをとってくることがあるのです。
支払督促は簡易裁判所における手続きなので、司法書士に別途依頼して対応してもらうこともできます。民事訴訟も、簡易裁判所に提起された場合には司法書士に対応を依頼することが可能です。
しかし、地方裁判所に民事訴訟を提起された場合には、司法書士は代理人として対応できません。その場合、債務者本人が裁判期日に出頭して応訴するか、弁護士に対応を依頼する必要があります。
債務整理を弁護士または司法書士に依頼するためには、どちらの場合も費用がかかります。そして、依頼費用の相場は弁護士よりも司法書士の方が低いといわれることが多いようです。
しかし、実際には依頼費用の相場にさほどの差はありません。弁護士費用と司法書士費用の算定基準は、どちらも各事務所が独自に定めているため、さまざまに異なります。
なかには弁護士事務所よりも依頼費用が高い司法書士事務所もあるので、弁護士費用と司法書士費用の高低を比較する実益はあまりないといえるでしょう。
司法書士の依頼費用の方が低いといわれる理由は、自己破産や個人再生の書類作成代行の依頼を受け付けていることによる影響が大きいと考えられます。書類作成代行のみの依頼費用が、全面的な手続き代行の依頼費用よりも低いのは当然のことです。
したがって、依頼費用を抑える目的で司法書士に債務整理を依頼することは、必ずしも得策ではありません。
債務整理を依頼するなら、あくまでも債務整理による解決実績が豊富にあり、依頼費用の金額が適正な専門家を選ぶことが賢明です。
債務整理をするなら、弁護士に依頼した方がスムーズに解決できる可能性が高いといえます。その理由は、以下のとおりです。
弁護士には紛争の価額に関する制限はないので、任意整理および過払い金返還請求の手続きにおいて、1社あたりの借金額にかかわらず対応することができます。
どのように多額の借金を抱えていたり、高額の過払い金が発生したりしている場合でも、弁護士に依頼すればすべての手続きを任せることができるのです。
司法書士に債務整理を依頼した場合、手続きの途中で司法書士では対応できなくなるケースが少なくありません。たとえば、以下のようなケースがあります。
このような場合には、改めて弁護士に依頼しなおすことが事実上必要となり、二度手間となってしまいます。最初から弁護士に依頼した場合には、どのようなケースでもワンストップで解決することが可能です。
弁護士は司法書士とは異なり、自己破産や個人再生の手続きから地方裁判所での民事訴訟に至るまで、債務整理にまつわるすべての手続きを代理人として行うことができます。
自己破産や個人再生の申し立てには多大な労力と時間がかかる上に、裁判所における複雑な手続きを進めるためには専門的な知識も要求されます。
弁護士に依頼すれば、債務者本人の労力や時間の負担が大幅に軽減されます。また、弁護士が的確に手続きを進めるので、債務整理に失敗するのではないかという心配もほとんど不要です。
債務者が自分で自己破産や個人再生を申し立てた場合には、手続き費用が高額となることがあります。
なぜなら、手続き上の不備や不正を防止するために、自己破産では少額管財事件に付されやすく、個人再生では再生委員が選任されるという傾向があるからです。
少額管財事件に付されると、20万円程度の予納金が別途必要です。
ただし、弁護士に依頼して詳細かつ的を射た申立書類を作成して提出すれば、同時廃止事件となる可能性が高まります。その場合、予納金は多くても2万円までに収まることがほとんどです。
個人再生で再生委員が選任された場合はその報酬を支払う必要があり、金額は裁判所によって異なりますが12万円~25万円です。東京地方裁判所では、個人再生を申し立てると全件で再生委員が選任されますが、再生委員の報酬額は弁護士が申し立てた場合で15万円、債務者本人が申し立てた場合で25万円となっています。
このように、自己破産・個人再生をするなら弁護士に依頼することで、手続き費用を抑えられる可能性があります。司法書士に書類作成代行を依頼した場合は、あくまでも「本人申し立て」として扱われるので、手続き費用が高額化する可能性が高いのです。
債務整理の依頼を受け付けている弁護士・司法書士の事務所は、全国に数多くあります。
そして、債務整理事案の実績が豊富な司法書士事務所があるのも事実です。ただ、債務整理を依頼するなら、弁護士を選んだ方がスムーズに解決できる可能性が高まるといえます。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理の経験が豊富な弁護士を中心として構成した専門チームに所属する弁護士が、あらゆるケースに対応いたします。借金問題を解決するために全面的にサポートいたしますので、お困りの際はぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。
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「パチンコのために借金をしてしまった」「使ってはいけないお金も競馬の費用にまわしてしまった」というように、頭では「悪い」と分かっていても、気づいたらギャンブルの歯止めが利かなくなっている方もいるでしょう。
できることなら1日でも早くギャンブルから足を洗って、美味しい食べ物や趣味、大切な人や将来の自分への投資など有意義にお金を使いたいものです。
結論からいうと、ギャンブル依存症は病気だと自覚しなければ、克服することができません。ギャンブル依存症は「否認の病気」と呼ばれていて、自身の現状を認めることが克服への第一歩だからです。
本コラムでは、ギャンブル依存症の特徴や克服する方法、ギャンブル依存症を治すための期間・費用、抱えてしまった借金の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
貸金業者だけでなく、友人からもお金を借りているという方は少なくありません。
そのなかには、貸金業者からの借金は債務整理で解決するとしても、「友人からの借金だけは先に全額返したい」と考える方もいるでしょう。
しかし、その行為は「債権者平等の原則」に違反するかもしれません。この原則に違反すると、借金問題を解決するのが難しくなってしまうことがあります。
そのため、早い段階で債権者平等の原則の意味を理解しておくことが重要です。
本コラムでは、債権者平等の原則とは何かを解説のうえ、違反となってしまうケースや例外が認められるケース、友人からの借金を返済できる方法などについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
債務整理とは、借金を減額・免除することで借金に関するお悩みを解決できる手続きです。債務整理の方法には、いくつかの種類がありますが、そのうちのひとつが「任意整理」です。
任意整理には、メリットだけでなくデメリットもありますので、ご自身の状況に応じて最適な債務整理の方法を選択することが大切です。
今回は、債務整理と任意整理の違いや、任意整理の手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。