債務整理 弁護士コラム
自己破産は、裁判所に申し立てることにより借金の返済義務をすべて免除してもらうことができる債務整理の方法です。一定の条件のもとに裁判所が免責を許可することにより、債務者が経済生活を再生する機会を確保します。
ただ、自己破産後に生活を立て直すために努力をしても、事情があって再び借金を抱えてしまい、再度、自己破産をする必要性が出てくることもあるでしょう。
本コラムでは、自己破産は何回できるのか、また複数回できるとして、2回目以降の自己破産で気を付けるべきことについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
結論からいうと、自己破産は何回でも行うことが可能ですが、2回目以降は条件が厳しくなっていくことに注意が必要です。
法律上、自己破産に回数制限は定められていません。
申し立ての条件と免責が許可される条件を満たす限り、理論上は何回でも自己破産をすることが可能です。実際、2回目の自己破産が申し立てられるケースは少なくありません。
2回目以降の自己破産を裁判所に認めてもらうためには、以下の3つの条件を満たさなければなりません。
2回目以降の自己破産が可能な場合でも、1回目と同じように手続きを進められるとは限りません。以下の点にあらかじめ気を付ける必要があります。
免責不許可事由がなければ、免責は許可されるのが破産法の決まりです。しかし、2回目以降、自己破産をしようとした場合には、本当に免責不許可事由がないかどうかを裁判所が厳しく審査するようになります。
一般的に、「生活費のため」「子どもの学費のため」「借金返済のため」といった理由で借金を抱えた場合は「やむを得ない事情」として免責が許可されます。ただ、2回目以降の自己破産では、本当に「やむを得ない」といえるかどうかを詳しく調べられることになるのです。
1回目の自己破産は同時廃止事件となるようなケースでも、2回目以降では「管財事件」となりやすいことに注意が必要です。
管財事件とは、裁判所が破産管財人を選任する破産事件のことをいいます。申立人に債権者への配当の引き当てとなるような財産がなくても、免責を許可してよいかどうかを破産管財人に調査させるために、管財事件に付される可能性が高くなるのです。
一方、申立人にめぼしい財産がなく、免責不許可事由がないことが明らかな場合は「同時廃止事件」となり、さほど詳しい調査は行われません。
管財事件となった場合は、破産管財人からの要求により面談や資料の提供を行う必要がある上に、債権者集会に出頭する必要もあります。自己破産手続きが終了するまでの期間も長引くので、労力の負担が重くなります。
管財事件に付されると、高額の予納金を納めなければなりません。
管財事件における予納金とは、主に破産管財人の報酬をまかなうためのお金のことです。免責に関する調査のために管財事件に付された場合、予納金の額は20万円となることが多いですが、事案の内容によっては50万円以上となる可能性もあります。
同時廃止事件の場合よりも20万円~50万円ほどの費用が余分にかかる可能性が高くなるので、費用の負担も重くなりがちです。
2回目以降の自己破産で要求される条件や注意点は、そのままデメリットと言い換えることもできます。そのデメリットを回避したい事情がある場合や、そもそも2回目以降の自己破産が認められない場合には、他の債務整理を検討した方がよいこともあります。
任意整理は、債権者と直接交渉することにより借金を減額してもらう債務整理の方法です。自己破産した後でも、任意整理を行うことはできます。借金総額がさほど多くない場合は、任意整理で解決できる可能性があります。
ただし、中小の消費者金融(いわゆる「街金」)などは交渉に応じないこともあるので注意が必要です。また、ヤミ金は任意整理に応じないため、警察に相談するか、弁護士に依頼して警告するなどして解決する必要があります。
個人再生は、裁判所に申し立てることにより借金を大幅に減額してもらうことができる債務整理の方法です。自己破産後に多額の借金を抱えた場合でも、安定収入があれば個人再生で解決できる可能性が高いといえます。
ただし、給与所得者等再生では、過去の自己破産における免責許可決定の確定から7年が経過していなければ利用できないという条件があります。小規模個人再生にはそのような期間制限はないので利用しやすいですが、債権者の多数が反対した場合には再生計画案が認可されないという条件があります。
過去に自己破産している場合には、債権者から反対意見が出ることもあるので、弁護士に相談した上で進めた方がよいでしょう。
2回目以降の自己破産の必要性を感じたときは、弁護士に依頼することでスムーズに解決できる可能性が高まります。具体的なメリットは以下のとおりです。
2回目以降の自己破産が管財事件となりやすいのは、借り入れの経緯や財産状況などを詳しく調査する必要があるためです。
その点、弁護士に依頼すれば、その弁護士が基本的な調査をした上で申し立てをするので、裁判所が申立書類や債務者・弁護士との面接により事情を確認するだけで、自己破産の手続きが進められる可能性が高まります。つまり同時廃止事件となり、労力や費用の負担が軽減される可能性が出てくるといえます。
借り入れの経緯などについて申立人が的を射た説明をできなければ、裁判所は形式的な判断で免責を不許可とする可能性があります。
その点、弁護士は依頼者から事情を聴き取り、基本的な調査を行った上で「やむを得ない事情」があったことを的確に説明するので、免責が許可される可能性が高まります。
自己破産後の借金問題をどのような方法で解決すればよいのか、2回目以降の自己破産ができない場合にはどうすればよいのか、といった状況で適切な判断を下すためには、専門的な知識が要求されます。
「自己破産するしかない」「2回目の自己破産が認められず、打つ手がない」と考えている場合でも、弁護士からアドバイスを受けることで最善の解決方法を選ぶことが可能となるのです。
自己破産は何回でもできますが、2回目以降の自己破産では条件が厳しくなるため、利用できないケースも出てきます。
しかし、弁護士のサポートを受ければ2回目の自己破産が認められる可能性が高まりますし、他の方法で借金問題を解決することも可能です。
ベリーベスト法律事務所では、2回目以降の自己破産をはじめとして借金問題に関するご相談は何度でも無料で承っております。自己破産後に再び借金を抱えて返済が難しいと感じた場合には、お気軽にご相談ください。
借金問題の経験豊富な弁護士が、状況に応じて最適な解決方法をご提案いたします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
自己破産は、裁判所に申し立てることにより借金の返済義務をすべて免除してもらうことができる債務整理の方法です。一定の条件のもとに裁判所が免責を許可することにより、債務者が経済生活を再生する機会を確保します。
ただ、自己破産後に生活を立て直すために努力をしても、事情があって再び借金を抱えてしまい、再度、自己破産をする必要性が出てくることもあるでしょう。
本コラムでは、自己破産は何回できるのか、また複数回できるとして、2回目以降の自己破産で気を付けるべきことについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
自己破産すると、一定の評価額を超える財産は処分しなければなりません。もちろん、車も評価額によっては処分の対象となります。
とはいえ、仕事で車の使用が必要不可欠という方や、お住まいの地域や生活状況によっては日常生活に車が欠かせないという方も少なくないことでしょう。
そこで、本コラムでは、自己破産をすると車はどうなるのかを解説し、車が処分対象となった場合でも自己破産後に車を使用できる方法もご紹介します。
借金を作った原因によっては自己破産が認められないことがあるって聞いたけど本当?
カードローンでお金を借りて、まだ1回しか返済してない。この状況でも自己破産は認められる?
実際に自己破産の手続きを進めていこうと考えている方の中には、上のような不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、令和2年の司法統計を確認すると、自己破産を申し立て結論が出た個人(統計上は自然人と表記)72329人のうち、90人は棄却又は却下となっています。
(出典:令和2年司法統計 第108表 破産既済事件数-破産者及び終局区分別-全地方裁判所)
自己破産の手続きを進めていくうえで、もっとも大きな障害となるのが「免責不許可事由」の問題です。
免責不許可事由とは、自己破産による免責が認められないケースのことで、ギャンブルや浪費など借金を作った原因によっては借金の免責が認められないことがあるのです。
一方で、免責不許可事由に該当してしまうケースであっても、裁判官の判断によって免責が認められることもあることも理解しておきましょう。
今回は、以下のような項目について具体的に解説いたします。
・免責不許可事由について
・免責不許可事由になるケース
・免責不許可事由でも免責になる裁量免責について
・自己破産をしても免責されない(非免責債権)借金について
・自己破産できない場合に借金から解放される方法
自己破産についてのルールを正しく理解し、適切に手続きを進めていけば借金の苦痛から脱することができます。この記事があなたの借金解決に役立てば幸いです。