債務整理 弁護士コラム
借金をするときには順調に返済できると考えていても、さまざまな事情で支払いができなくなる可能性も考えられます。
借金を返済できない場合、放置すると財産を差し押さえられるおそれがあります。人によっては、離婚などの家庭問題に発展したり、仕事に支障をきたしたりすることもあるかもしれません。このような事態を回避するためには、早めに対処することが重要です。
どうしても払えない場合には債務整理で解決することも検討できますが、債務整理のデメリットが気になって、ためらってしまう人もいることでしょう。そこで、この記事では、借金を払えない場合に起こり得ることと、借金問題を債務整理で解決する方法や注意点についてご説明します。
闇金から借りている場合は別として、借金を払えなくなっても暴力的な取り立てを受けるようなことはありません。しかし、払えない借金を放置していると、法律に従って粛々と手続きが進んでいきます。
支払期日に1日でも遅れると、遅延損害金が発生します。
遅延損害金の利率は利息の利率よりも高く、滞納を解消するまで発生し続けるので、返済の負担が重くなります。
1か月以内に滞納を解消すれば、さほど高額の遅延損害金がかかることはありません。
しかし、翌月以降も続けて滞納すると遅延損害金が加速度的に増えていくため注意が必要です。
借金の返済を滞納すると、債権者から電話や郵便による督促を受けます。
この督促を無視すると、職場に電話がかかってきたり、自宅に取り立てがきたりすることもあります。
債権者に連絡し、いつまでに支払うのかを約束すれば督促はいったん止まりますが、それでも払えなければ、当然のことながら再び督促されるでしょう。
以上のような督促や取り立てによって、家族や職場に借金のことを知られてしまうおそれもあるのです。
滞納が2~3か月続くと、信用情報機関に事故情報が登録され、新たな借り入れやクレジットカードの利用などができなくなります。いわゆる「ブラックリスト」に載った状態です。
事故情報は、滞納を解消したうえで、さらに5年が経過するまで削除されません。
滞納が2~3か月続いた場合には、債権者から「催告書」と呼ばれる書面が届きます。
この書面には、利用残高に遅延損害金を加えた金額を一括で返済することの請求と、指定した期日までに全額を返済しなければ法的措置をとる旨の予告が記載されています。
この書面を受け取っても借金を払えなければ、実際に法的措置をとられることになります。
任意に払ってもらえないと判断した債権者は、法的措置によって強制的に債権回収を図ってきます。
ここでいう法的措置とは、支払督促または訴訟といった裁判と、その結果に基づき行われる強制執行手続きのことです。
支払督促や訴訟を放置すると、債権者が申し立てした内容で債権が公的に確定します。確定した債権内容が記載された支払督促や判決書のことを「債務名義」といいます。
債務名義を取得した債権者は、強制執行手続きを申し立てることが可能です。強制執行が行われると、給料や預金口座、その他の財産を差し押さえられてしまいます。
前項でみたように、債権者はいきなり差し押さえをしてくるわけではありません。何度も任意の支払いを促し、法的措置をとる前には予告もしてきます。
そのため、早期に対処すれば差し押さえを回避することは可能ですが、以下のことをすると事態が悪化するため、決して行ってはいけません。
他社から借り入れをして、そのお金で返済すれば、いったんは滞納を回避することが可能です。しかし、他社から借りるとそこで利息が発生するため、さらに返済が苦しくなります。
借りては返すということを繰り返す「自転車操業」の状態になると、借金が減らないばかりか見る見るうちに膨れ上がってしまいます。
返済のために借金をするのは止めておきましょう。
滞納を続けて信用情報機関に事故情報が登録された後は、そもそも正規の金融機関や貸金業者から借りることはできませんが、いわゆる闇金であれば借りることはできます。
しかし、闇金から借りると「トサン」(10日で3割)や「トゴ」(10日で5割)などといった法外な利息を要求されます。払えなければ脅迫的な取り立てや、家族、親戚、友人・知人、職場まで巻き込んだ悪質な嫌がらせを受けることもあるので、絶対に利用しないようにしましょう。
給料ファクタリングや個人間融資なども闇金の一種なので、利用してはいけません。
債権者が裁判を起こすと、裁判所から「支払督促」または「訴状」という書類が届きます。これらの書類を無視すると、所定の手続きを経て債権が確定してしまいます。
ただし、「訴状」が届いても、答弁書を提出し債権者と協議すれば、分割払いの和解を成立させることが可能です。また、「支払督促」が届いた場合は、2週間以内に異議申し立てをすれば訴訟の手続きに移行するので、同様に和解が可能となります。
裁判所から届いた書類を無視するということは、差し押さえを回避できるチャンスを見過ごすということでもあります。
借金の返済が苦しいときには、家計を見直したり、金利の高いところから優先的に返済したり、場合によっては親族等から援助を受けて解決できることもあるでしょう。
しかし、どうしても支払えないときは債務整理を検討すべきです。
債務整理とは、法律に基づき借金の減額や免除、返済期間の見直しなどを行うことで、借金問題を解決できる手続きのことです。
具体的には、主に3種類の手続きがあります。
状況に応じて適切な手続きを選択することで、借金問題を解決できるでしょう。
債務整理には、いくつかのデメリットがあることも否定できません。
しかし、一般の方が考えているほどに重大なデメリットがあるわけではないため、勘違いのないように、債務整理の注意点を正確に理解しておきましょう。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されますが、その事故情報は一定期間が経過すると削除されます。
削除されるまでの期間は、任意整理で5年、個人再生と自己破産で10年が目安です。
債務整理をしないで滞納を続けていると、いつまでも事故情報が削除されません。債務整理をした方が、むしろ早く信用情報を回復する可能性が高いといえます。
任意整理と個人再生では、基本的に財産を処分する必要はありません。
自己破産でも、生活に必要な財産や99万円以内の現金、その他の財産で評価額20万円以内のものは手元に残ります。
保証人付きの借金がある場合、個人再生または自己破産をすると保証人が返済の請求を受けてしまいます。事前に保証人に事情を伝えて、理解を求める必要があるでしょう。
任意整理では、手続きの対象とする債権者を自由に選べるので、保証人付きの借金を除外して手続きをすれば保証人に迷惑がかかることはありません。
任意整理と個人再生では、手続きをしたことが仕事に影響を及ぼすことはありません。
自己破産では、手続き中は一部の資格や職業に制限がかかります。しかし、仮に制限のかかる仕事に従事していたとしても、手続き中だけ他の部門へ異動できる場合は退職する必要はないでしょう。
制限を受けない職業に就いている場合には、自己破産したことが仕事に影響を及ぼすことはありません。
債務整理は個人単位の手続きなので、家族に影響が及ぶことは基本的にありません。
ただし、信用情報機関に事故情報が登録されることで、「住宅ローンが組めない」「子どもの奨学金の保証人になれない」などの影響は考えられます。
場合によっては、債務整理前に家族の生活設計を見直す必要はあるかもしれません。
借金を払えない状態になると精神的に追い込まれてしまいますが、他社から借りて返すなど対処法を誤ると、事態は悪化してしまいます。
しかし正しく対処すれば、借金問題は解決できます。
本コラム内で解説をした「債務整理」は正しい対処法のひとつです。
借金を払えなくなったときは、弁護士に相談して最適な解決方法を見いだすことをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。お困りの際はぜひ一度、無料相談をご利用ください。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。