債務整理 弁護士コラム
債務を整理すると信用情報機関に事故情報が登録され、新たな借り入れができなくなるなどのデメリットが生じます。俗にいう「ブラックリスト」に載せられた状態となります。
しかし、ブラックリストによるデメリットは生活が困難になるほど深刻なものではありません。それに、事故情報は一定期間の経過後に削除されます。いたずらにブラックリストへの掲載を恐れず、正しい知識を持って債務整理するかどうかを検討することが重要です。
今回は、債務整理でブラックリストに載るとどうなるのか、その状態はいつまで続くのかについて解説します。
まずは、ブラックリストの意味を正確に理解しておきましょう。
「ブラックリストに載った」とは、信用情報機関にて事故情報が登録されたことを指します。
信用情報機関とは、借金やクレジットカードなどについての契約、利用残高、返済状況など個人の信用取引に関する情報を保有・管理する機関です。
債務整理をすると、契約どおりには返済をしないことになるため、「金融事故」として扱われ、その事実が登録されます。
貸金業者やクレジットカード会社、銀行などの金融機関は必ず信用情報機関に加盟しており、申込者の返済能力を審査する際に信用情報を確認します。
事故情報が登録されている人からの申し込みは原則として拒否され、この状態のことを俗に「ブラックリスト」と呼んでいるのです。
主な信用情報機関には、次の3つです。
自分の信用情報は、各信用情報機関に対して開示請求を行うことで確認できます。
開示請求の方法には窓口での請求・パソコンやスマホからの請求・郵送での請求などがあり、500円~1000円の手数料がかかります。詳細は、各信用情報機関のホームページでご確認ください。
信用情報の開示を受ければ、事故情報が登録されているかどうかだけでなく、自分が利用している借入先・借入残高なども正確に把握できます。
念のため、3つの信用情報機関の全てに対して開示請求を行い、正確な情報を確認しましょう。
債務整理をしてブラックリストに載ると、さまざまなデメリットが生じます。
ただ、多くの場合は以下のように工夫することで、生活への深刻なダメージを回避することが可能です。
事故情報が登録された後は、新たな借り入れやローンを利用できなくなります。
ただ、債務整理で経済的更生を図ろうとする人にとって、借金に頼らない生活を強制されることはメリットとして捉えることもできるでしょう。
住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどを組む必要がある場合は、配偶者など家族の名義でローンを組むことが考えられます。
事故情報が登録された後は、新規のクレジットカードの作成はできなくなります。
債務整理手続きの対象としなかった手持ちのカードも、長くても6か月以内には使用できなくなると考えておいた方が無難です。
カード会社は3か月~6か月ごとに顧客の個人情報を照会し(途上与信)、事故情報が登録されている場合にはそのカードを強制解約するからです。
事故情報が登録されても家族カードやデビットカードは利用できるので、多くの場合はキャッシュレス決済に支障をきたすことはありません。
事故情報が登録されると、基本的に金融機関との信用取引が一切できないため、他人の債務の保証人にもなることができません。
子どもの奨学金の連帯保証人にもなれませんが、配偶者を連帯保証人とするか、機関保証を利用することで奨学金を借りることは可能です。
スマホや携帯電話の端末を分割払いで購入することは、「割賦販売契約」という信用取引に当たるため、事故情報が登録された後はできなくなります。
ただし、回線契約は信用取引には当たらないので、料金を滞納していない限り、スマホ・携帯電話を使用することには支障ありません。
新規契約や機種変更の際には、安価な端末を一括払いで購入するか、家族名義で分割購入することが必要です。
事故情報が登録されても住宅の賃貸借契約はできますが、家賃保証会社の利用が条件とされている物件では、契約を断られることがあります。
保証契約は信用取引に当たるため、信販会社系の保証会社は契約前の審査のために借主の信用情報を照会するからです。
ただし、信販会社系以外の保証会社は信用情報を照会しないので、安定収入があれば契約可能です。
また、連帯保証人を立てることで契約可能な物件であれば、問題なく契約できます。
事故情報は永久に登録され続けるわけではなく、一定期間が経過すると削除されます。その後は前項に掲げたデメリットも解消されます。
ブラックリストに「いつ」登録されるのかというと、弁護士に債務整理手続きを依頼した場合は、受任通知が債権者に届いたときです。
自分で手続きを行う場合は、以下のとおりです。
なお、債務整理をする前でも、以下の事情により事故情報が登録されることがあります。
事故情報が「いつまで」登録されるのかについては、債務整理の種類によって異なります。
① 任意整理
任意整理による事故情報の登録期間は以下のとおりです。
「契約終了」とは、任意整理後の「完済」を意味します。任意整理では、基本的に完済から5年で事故情報が削除されることになります。
ただし、2019年9月30日以前の契約分については完済前に削除される可能性もあるので、弁護士に依頼してから5年が経過した後、開示請求をして信用情報を確認してみましょう。
② 個人再生
個人再生による事故情報の登録期間は以下のとおりです。
JICCおよびCICではKSCよりも早期に事故情報が削除される可能性がありますが、3つの機関は相互に情報交流しているため、最も長く事故情報が保有されるKSCに着目すべきです。
個人再生による返済期間が3年の場合は開始決定日から10年で、返済期間が5年の場合は完済日から5年で事故情報が削除されることになります。
③ 自己破産
自己破産による事故情報の登録期間は以下のとおりです。
やはりKSCに着目し、破産手続きの開始決定日から10年で事故情報が削除されると考えるべきです。
ブラックリストを恐れて債務整理をしない場合でも、借金の延滞を続けるとブラックリストに載ってしまいます。その場合は延滞を解消しない限り、いつまでたっても事故情報が削除されません。
一方で、債務整理で借金を整理すれば、5年~10年で確実に事故情報が削除されます。
借金を返済しきれない場合には、債務整理をした方がブラックリストによるデメリットを軽く抑えることが可能になるというメリットがあるといえます。
ブラックリストに載ると、一定のデメリットが生じることは否定できません。
借金問題を解決するためには、ブラックリストによるデメリットを過度に恐れず、債務整理を視野に入れた方がよいでしょう。
長期間にわたって返済に追われるよりも、早期に債務整理をした方が安心して生活していけるようになります。
それでも不安や疑問があるときは、弁護士に相談して具体的なアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
ベリーベスト法律事務所では、借金問題に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけます。
経験豊富な弁護士がさまざまな不安や疑問に対して、親身になってお答えいたします。お困りの際は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
「自分は買い物依存症かもしれない」と感じている人は少なくはありません。買い物が大好きな人や、買い物に出かけるとつい買いすぎてしまう方は買い物依存症の不安を抱えていることでしょう。
ですが、ショッピング好きと買い物依存症は違います。買い物依存症の場合には中毒症状があるため、治療が必要な状態。対して買い物好きの人は買い物が趣味なだけで買い物に依存しているわけではありません。
買い物依存症の患者数は正式には発表されていませんが、昨今の後払いシステムやクレジットカード払いの増加によって患者数も増加していると推定されています。買い物依存気味の方は早めに自覚し、適正な対処をしていきましょう。
ソーシャルゲーム(ソシャゲ)などのスマホゲームで、多額の課金をしてしまう方は少なくありません。
「今回だけ…」とおそるおそる少額で始めたはずの課金も、いつも間にか抵抗がない状態に陥っている方も多いのではないでしょうか。
スマホゲームの課金は、一種の中毒症状をもたらします。「やめよう」と思っても、自分の意思では上手にコントロールできないものです。
本コラムでは、ソシャゲなどのスマホゲームで課金をやめられない心理、課金に制限をかける方法、課金をやめる方法、課金が原因で借金に悩んでいるときの対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がご紹介します。
廃課金とよばれるような過度な課金は、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。できるだけ早めに課金をコントロールしたり、借金問題を解決したりして、通常の生活に戻していきましょう。
「必死に働いても生活が苦しい」「働きたいのに働けない」「借金返済でどうすればよいのか分からない」などの悩みを抱える人は少なくありません。
このような生活苦には、働けない・給料が低い・借金を抱えていることが大きな原因となっているケースも多くあります。
本コラムでは、生活が苦しい状況から抜け出すための対処方法や相談先、支援制度について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。