債務整理 弁護士コラム
任意整理とは、返済が難しくなった借金を減額できる債務整理の一種です。自己破産や個人再生のように法律で定められた手続きではないので、柔軟な解決が可能というメリットがあります。
その反面でデメリットもあるため、任意整理をお考えの方は事前に正しい知識を持っておくことが大切です。
そこで今回は、
・任意整理のメリットやデメリット
・任意整理にかかる費用
・できないケース
などについて、詳しく解説していきます。
任意整理とは、当初の契約どおりに返済できなくなった借金について、債権者(お金を貸した人)と直接交渉することによって返済額と返済方法を取り決め直す手続きのことです。
任意整理で債権者と交渉する内容は、以下のとおりです。
利息制限法で定められた金利(15%~20%)を超えて支払った利息があれば元金に充当し、残った借金を将来利息なしで、3年~5年をかけて分割返済していきます。
しかし
については、基本的にカットしてもらうことは難しくなっています。
を認めてもらうことによって、毎月の返済額が軽減されます。
任意整理の主なメリットは、以下の5点です。
弁護士に任意整理を依頼した場合には、債権者宛てに受任通知が送付されます。この受任通知を受け取った債権者は、貸金業法に基づき直接債務者に対して取り立て行為ができなくなります(貸金業法21条1項)。このことによって、一時的にですが借金返済の苦しみから解放されます。
また、任意整理は
と異なり裁判所の手続きを利用しないため、手続きの負担が軽く、財産を処分する必要もありません。
さらに自己破産・個人再生のように、すべての債権者を平等に扱う必要はなく、手続きの対象とする債権者を自由に選べます。保証人などの担保が付いている債権者を手続きから外せば、保証人が返済の請求を受けることはありません。
一方で、任意整理には以下のようなデメリットもあります。
任意整理に限らず、債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、その後の5年~10年ほどは
などができなくなります。
また、任意整理で借金を減額できるのは基本的には将来利息の部分だけなので、大幅な減額は期待できません。
さらに、交渉の手続きであるため、和解が成立するかどうかは債権者の意向次第です。
交渉に一切応じない貸金業者はごくわずかですが
などでは和解条件が厳しくなる傾向にあります。
次に、任意整理の手続きがどのような流れで進められるのかをみていきましょう。
任意整理の手続きは、以下の5つのステップを踏んで進んでいきます。
① 弁護士への相談・依頼
弁護士に相談して借金の内容や生活状況などを伝え、任意整理が適しているということになれば依頼し、「委任契約」を交わします。
② 受任通知の送付(1日~数日)
依頼を受けた弁護士は、すぐに受任通知を送付します。速達で送付するので、依頼してから数日後には取り立てが一時的に止まります(貸金業法21条1項)。
同時に、弁護士は取引履歴の開示請求も行います。取引履歴とは、
がすべて記載された書類のことです。
③ 利息引き直し計算(2週間~2か月程度)
受任通知を受け取った債権者は、取引履歴を弁護士宛てに送付します。弁護士は、取引履歴に基づいて利息引き直し計算を行います。利息引き直し計算とは、すべての取引に法定金利を適用して計算し直すことです。これにより、借金の正確な残元金が判明します。
④ 交渉(1~3か月程度)
弁護士は依頼者と打ち合わせの上、依頼者の希望する和解案を債権者に提示し、交渉します。債権者が合意すればすぐに和解が成立しますが、債権者が納得しない場合には交渉が長引くこともあります。
⑤ 和解成立
和解が成立すれば、弁護士が債権者と和解書を取り交わし、任意整理の手続きは終了します。翌月から返済を開始することが一般的ですが、交渉次第で数か月後からの返済開始とできる場合もあります。
任意整理では裁判所の手続きを利用しないため、必要書類は特にありません。以下に掲げるのは、弁護士との委任契約に必要なものや、弁護士がスムーズに手続きを進めるために役立つものです。
任意整理を弁護士に依頼してから和解が成立するまでにかかる期間は、3か月~6か月程度が平均的です。
早ければ1か月以内に終了することもありますが、取引履歴の開示までに2か月以上かかる債権者もいるので、時間がかかることもあります。
逆に、弁護士費用の分割払いや収入を確保するための必要性から、1年以上かけることが可能な場合もあります。ただし、期間が長引くと遅延損害金(返済が遅れたことに対するペナルティー)が加算されるとともに、債権者から裁判を起こされる可能性があることに注意が必要です。
任意整理にかかる費用は、
とで大きく異なります。
自分で手続きをする場合は、実費のみの負担で済みます。実費は主に通信費で、金額は債権者数によりますが、おおよそ数千円程度です。
弁護士に依頼する場合は、実費に加えて以下の弁護士費用が必要となります。ただし、ここでご紹介する金額は一般的な目安です。弁護士費用は事案の内容や法律事務所によっても異なりますので、正確な金額は実際に相談した上で見積もりを取ることになります。
費用内訳 | 意味 | 目安 |
---|---|---|
相談料 | 弁護士へ相談した際にかかる費用 | 1時間:0~1万円 ※法律事務所によっては無料相談を行っている |
着手金 | 弁護士に依頼する際に支払う費用。成功・失敗に関わらず支払い、返金はできない | 1社:2万円~5万円程度 |
解決報酬 | 依頼が成功した際に支払う費用 | 1社:2万円以下 |
減額報酬 | 減額した借金の金額の一部を基礎報酬とは別で支払う報酬金 | 減額された金額の10%以下 |
過払い金報酬 | 払いすぎた利息を取り戻した場合に、回収した金額の一部を支払う報酬金 | 交渉:15%~20%程度 訴訟:20%~25%程度 |
総額で1社あたり5万~7万円程度がおおよその相場となるでしょう。
任意整理をするためには、いくつかの条件を満たす必要があります。また、あらゆる借金問題を任意整理委で解決できるわけではありません。
などでは、自己破産や個人再生など他の解決方法を検討すべきです。
任意整理をするためには、最低限、以下の3つの条件を満たすことが必要です。
ひとつでも条件が欠けると、和解ができないことがあります。また、無理に和解をしても解決することは難しくなります。
任意整理をしても失敗に終わりやすいケースとして、以下の場合が挙げられます。
これらのケースでは、自己破産または個人再生のように裁判所を利用する債務整理の方が適しているといえます。
以下のようなケースでは、任意整理が可能であってもしない方がよいといえます。
保証人や抵当権などの担保が付いている借金がある場合は、その債権者を除外し、他の債権者と任意整理することで解決できる場合もあります。
任意整理は他の債務整理と比べてデメリットが少なく、メリットが多いため利用しやすい手続きです。しかし、事案の内容によっては他の債務整理を行う方が適している場合もあります。
また、任意整理を自分でする場合は、債権者から一方的に不利な和解案を押しつけられ、結果的に失敗してしまう可能性もあります。対等に交渉するためには、弁護士に依頼することとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、弁護士が詳しい事情を伺い、最適な解決方法を提案いたします。ご依頼いただければ、複雑な手続きはすべて弁護士が代行し、最善の解決を図ります。
債務整理に関するご相談は何度でも無料でご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
任意整理は、債権者と将来利息の免除や返済期間の延長などについて交渉することにより、毎月の返済額を減らすことが可能な手続きです。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるため、ETCカードも使えなくなるのではないかと心配する方もいらっしゃることでしょう。特に、仕事や生活などでETCの利用が必要な方にとっては、切実な問題です。
この記事では、任意整理をするとETCカードが使えなくなるのか、一般的なETCカードが使えなくなるとしても、他にETCカードを利用する方法はないのかについて解説していきます。
借金の返済が厳しくなってきたら「任意整理」という方法で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、任意整理を検討している方の中には、弁護士に依頼した際の費用がどのくらいかかるかわからずに、依頼を躊躇しているという方もいるかもしれません。そのような方は、任意整理の費用相場をしっかりと理解しておくことで、安心して弁護士への依頼に踏み切ることができるでしょう。
今回は、任意整理の費用相場と費用の支払いが不安な場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
任意整理は、借金などの債務の負担を軽減できる手続きです。借金返済が困難になってしまった方は、任意整理を検討するとよいでしょう。
なんとなくの印象で「任意整理はやばい」と言われることもあるようですが、決してそんなことはありません。正しい知識と情報をもとに、任意整理を行うべきかどうかを判断しましょう。
本記事では、任意整理のメリットとデメリットを踏まえて、任意整理は本当に「やばい」のかどうか、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。