債務整理 弁護士コラム

任意整理するための条件とは? できないケースや注意点も解説

2021年11月22日
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任意整理するための条件とは? できないケースや注意点も解説

任意整理は、債務整理の手続きの中でももっとも少ない手間と費用で行うことができ、デメリットも少ない方法なので、借金問題の解決のために選択する人ももっとも多い手続きといえます。

しかし、すべての借金問題が任意整理で解決できるわけではありません。任意整理をするためには、いくつかの条件があります。条件に合致しないにもかかわらず任意整理を選択すると、かえって借金が増えるなどして解決が難しくなってしまうおそれがあります。

そこで今回は、
• 任意整理するための条件
• 任意整理ができないケース
• 任意整理をする際に注意が必要なケース
などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、債務整理と任意整理の違い

「債務整理」と「任意整理」はよく似た言葉ですが、両者は別の概念です。任意整理の条件について正しく理解するためにも、まずは債務整理と任意整理がどのように違うのかを確認しておきましょう。

「債務整理」とは、返済することが難しくなった借金を減額または免除してもらうことによって借金問題を解決するための手続きの総称です

債務整理の具体的な方法として、以下の3つがあります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産


任意整理とは、裁判所の手続きを介することなく債権者と債務者が直接交渉することによって、借金の返済条件を取り決め直す手続きのことです。つまり、任意整理は債務整理の方法の一種です。

上記の3つの債務整理には、それぞれ条件があります。借金問題を適切に解決するためには、状況に応じて最適な債務整理を選ぶことが極めて重要です。

そのためには、それぞれの条件を正しく理解しておく必要があります。以下では、任意整理の条件について詳しく解説していきます。

2、任意整理するための基本条件3つ

任意整理をするための前提ともいうべき基本的な条件は、以下の3つです。

  1. (1)ある程度の安定収入があること

    任意整理は借金がある程度は減額されるものの、継続的に返済をしていく手続きですので、ある程度の安定収入があることが必要です

    任意整理の返済中にも突発的な出費が発生することも十分に考えられるため、毎月の必要生活費と返済金を差し引いてもなお多少の余裕があることが望ましいといえます。

    なお、任意整理では基本的に将来利息(今後発生する利息)はカットできますが、元金をカットすることはできません。したがって、元金の大幅カットが可能な個人再生をする場合よりも高額の収入が必要となります

  2. (2)3年~5年で返済できる見込みがあること

    任意整理では借金の元金を分割で返済していくことになりますが、返済期間は3年~5年程度となるのが一般的です。そのため、3年~5年で返済できる見込みがあることが2つ目の条件となります。

    たとえば、元金が総額で200万円の場合、毎月の返済額は3万3333円~5万5556円となります。手取り月収から必要生活費を差し引いて、この程度の金額が残らないか、残ったとしても余裕がない場合には任意整理をするのは難しいといえます。

  3. (3)完済まで返済を続ける意思があること

    3つ目の条件は、完済まで返済を続ける意思があることです。

    任意整理後の返済を途中で怠ると、通常は債権者から残額の一括返済を請求されます。返済できない場合は裁判を起こされたうえで、給料や銀行口座などを差し押さえられてしまう可能性があります。

    その場合には、個人再生や自己破産に方針変更することも可能ですが、場合によっては変更後の手続きに支障をきたす可能性もあるので注意が必要です。

    任意整理によってすべての債権者に対して同じ割合で返済していた場合には問題ありません。しかし、割合が異なる場合や、一部の債権者を手続きから除外していた場合は、「偏頗(へんぱ)弁済」の問題が生じるからです。

    自己破産では、偏頗弁済は「免責不許可事由」とされているので、免責が認められず、借金がそのまま残ってしまう可能性があります。

    個人再生では、偏頗弁済をした金額は債務者の保有資産に持ち戻して評価されるため、返済額が増えてしまうケースが多いです。

3、任意整理できない可能性があるケース

上記の基本条件を満たしていても、以下のケースでは事実上、任意整理ができない可能性もあります。

  1. (1)借金額が大きすぎる場合

    任意整理は借金の減額効果が大きいとはいえないため、借金額が大きすぎる場合は任意整理には適していません

    たとえば、将来利息をカットしても総額500万円の借金がある場合、任意整理による毎月の返済額は8万3333円~13万8889円となります。収入にもよりますが、一般的な会社員ではこれだけの金額を返済していくことは難しいと考えられます。

  2. (2)無収入または収入が乏しい場合

    上記の基本条件の第一に「安定収入があること」を挙げましたが、実は債務者本人に安定収入がなくても、保有資産が豊富にあったり、家族に安定収入がある場合には任意整理をできるケースもあります。

    しかし、一般的にはそのようなケースは少ないので、無収入または収入が乏しい場合は基本的に任意整理をするのは難しいといえます。

  3. (3)借り入れてから一度も返済していない場合

    借り入れてから一度も返済していないにもかかわらず任意整理に着手すると、債権者から「最初から返済するつもりがないのに借りたのでは」と思われる可能性が高くなります。その場合、交渉に応じてもらえず、任意整理に失敗するおそれがあります

    任意整理をするなら、少なくとも数回は返済した後に着手すべきです。

  4. (4)貸金業者が交渉に応じない場合

    債務者側に特段の悪質な事情がなくても、貸金業者が交渉に応じない場合があります。

    借金額や収入を考慮したうえで「返済の見込みなし」と判断して交渉に応じないケースもありますが、少数ながら、会社の方針として任意整理の交渉には応じない業者もいます。

    任意整理は、あくまでも「任意」に交渉する手続きですので、債権者に対して強制することはできません。交渉に応じてもらえない場合は、他の債務整理を検討する必要があります。

  5. (5)ローンを組んで商品を購入した場合

    商品を購入した際に組んだローンが残っている場合に、そのローンを任意整理すると、債権者に商品を引き揚げられる可能性があります。なぜなら、ローンを完済するまでは商品の所有権がローン会社にあるからです。

    ただ、上記のリスクを把握したうえで任意整理をすることは可能です。たとえば、必要のないブランド品などは債権者に引き揚げてもらって返済の一部に充てて、なおローンが残れば任意整理をすることが考えられます。

  6. (6)担保を提供している場合

    上記のローンを組んだケースと似ていますが、借金の担保として何らかのものを提供している場合に任意整理を行うと、その担保物件が処分されてしまいます。

    典型的なケースとして、住宅ローンがあります。住宅ローンを組んだ場合、通常は住宅に抵当権が設定されていますので、返済が滞ると住宅を競売にかけられてしまいます。住宅ローンの債権者は、このように抵当権を実行してローンを回収できるので、任意整理の交渉に応じることはまずありません。

  7. (7)保証人がついている場合

    保証人がついている借金について任意整理を行うと、保証人が残額の請求を受けてしまいます。保証人とは、債務者本人が返済しない場合に自分が返済することを契約した人なので、仕方ありません。

    このような場合は、任意整理に着手する前に保証人に事情を説明して理解を得ておくことが大切です。場合によっては、保証人も債務整理を検討しなければならない可能性もあります。

4、任意整理の条件は満たすが注意が必要なケース

以下の3つのケースでは、任意整理は可能であるものの、通常のケースと比べて手続きが難しくなる可能性があるので注意が必要です。

  1. (1)貸金業者から裁判を起こされた

    借金の延滞を続けていると、貸金業者から裁判を起こされることがあります。裁判を起こされた後でも任意整理は可能ですが、和解条件は任意整理前よりも厳しくなりがちです

    また、裁判を起こされた後の任意整理では通常、「裁判上の和解」の形を取ります。裁判上の和解には確定判決と同一の法的効力があるので、和解した内容の通りに返済ができない場合には、すぐに給料や銀行口座などを差し押さえられる可能性があります。

  2. (2)自分で交渉したい

    任意整理は弁護士に依頼して行うのが一般的ですが、自分で交渉することもできます。

    ただし、任意整理の交渉を適切に行うためには、専門的な知識や交渉力が要求されます。交渉力が乏しい状態で任意整理を行うと、債権者から一方的に不利な和解案を押しつけられるおそれがあります。

    たとえば、将来利息もカットせず、単に返済期限を少しだけ延長した形で和解してしまうようなケースも少なくありません。自分で交渉するには、任意整理に関する知識を十分につけたうえで、慎重に行う必要があります

  3. (3)過去に債務整理をした

    過去に債務整理をしている場合でも、任意整理をすることは可能です。ただし、過去の債務整理の対象とした債権者は交渉に応じてくれないか、応じてくれても和解条件が厳しくなりがちです。

    特に、過去に任意整理をしたにもかかわらず2度目の債務整理が必要となった場合、任意整理ではなく個人再生や自己破産の方が適している可能性も高いといえます。

5、任意整理の条件でよくある疑問

ここまで、任意整理の条件や注意点について解説してきましたが、他にも疑問を持つ人が多いポイントがあります。以下で、それらの疑問に対して回答します。

  1. (1)特定の業者だけを除外して任意整理できる?

    任意整理は「任意」の手続きですので、特定の業者だけを除外して手続きを行うことも可能です。

    したがって、

    • ローンを組んで商品を購入した場合
    • 担保を提供している場合
    • 保証人がついている借金がある場合

    などのケースではこれらの債権者を除外して、他の借金のみを任意整理することができます。

    ただし、その場合は全社を任意整理する場合よりも返済額が多くなりますので、返済の見込みについては慎重に判断する必要があります。

  2. (2)すでに自分で和解した場合も任意整理できる?

    すでに自分で債権者と和解している場合でも、弁護士に依頼して改めて任意整理することは可能です。

    先ほど、過去の債務整理の対象とした債権者と2度目の任意整理を行う場合には交渉に応じてくれないか、応じてくれても和解条件が厳しくなりがちであると説明しましたが、一度目の債務整理が自分で行った任意整理の場合は心配いりません。

    もっとも、自分で和解した段階ですでに将来利息がカットされており、返済期限も最大限に延長されている場合には、弁護士に依頼しても再和解できる可能性は低くなります。

    しかし、自分で和解したときに将来利息がカットされていなかったり、返済期限も少ししか延長されていない場合は、弁護士が再度交渉することでより有利な内容で再和解することが期待できます。

  3. (3)契約書や領収書が残ってなくても任意整理できる?

    借金をしたときの契約書や返済したときの領収書が残っていなくても、任意整理をすることに支障はありません。任意整理では債権者からすべての取引履歴を取り寄せますので、自分で取引内容を再現する必要はないのです。

    債権者の名称が借入時とは変わっていたり、他社と合併している場合でも、取引履歴は入手できます。

6、任意整理の条件に該当するかの確認は弁護士へ相談を

任意整理の条件に該当するかどうかを正確に判断することは、必ずしも容易ではありません。

基本条件の第一である「安定収入があること」についてさえ、どの程度の収入があれば任意整理で返済できる見込みがあるのかを一般の方が的確に判断するのは難しいものです。そこで、自分のケースで任意整理が可能かどうかが分からないときや、不安なときは弁護士に相談するのが得策です

弁護士に相談して詳しい事情を伝えれば、任意整理による借金解決の見通しについて的確なアドバイスが受けられます。任意整理では解決が難しい場合は、個人再生や自己破産など、より適切な解決方法を提案してもらえます。

また、弁護士に手続きを依頼すれば、債権者からの督促がすぐに止まりますので、落ち着いて任意整理または他の債務整理の準備を進めることができます。

実際の手続きもすべて弁護士が代理して行いますので、自分で手間や時間をかけることなく、借金問題の解決が期待できるようになります。

7、まとめ

任意整理の条件に該当しない場合は他の債務整理を検討するしかありませんが、任意整理の条件に該当する場合でも、他の債務整理を検討する方が得策となる場合もあります。

たとえば、借金額が大きい場合は任意整理が可能であっても、個人再生の条件を満たす場合は個人再生をした方が返済の負担が軽くなります。したがって、債務整理の方針を決定する前に一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理の経験が豊富な弁護士がご相談を伺いますので、それぞれの状況に応じて最適な解決方法を提案いたします。

借金問題に関するご相談は何度でも無料で利用していただけますので、ご遠慮なく当事務所までご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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