債務整理 弁護士コラム

任意整理で完済後にローンを組めるのはいつから? 完済後の注意点

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更新日:2024年01月30日 公開日:2022年05月24日

任意整理で完済後にローンを組めるのはいつから? 完済後の注意点

任意整理をした債権者(お金を貸した人)への完済後は、借金のない生活が戻ってきます。

人によっては、
・ローンでものを購入したり
・クレジットカードを作成したり
・何らかの事情で新たに借り入れをしたい
と考えることもあるでしょう。しかし、完済後も一定期間は、これらの金融取引を行うことはできません。

この記事では、
・任意整理の完済後にどれくらいの期間が経過すれば、ローン等が利用できるようになるのか
・完済後の生活における注意点
などについて解説していきます。

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1、任意整理の完済後はどのような状態になる?

任意整理で和解した借金を完済しても、借金をする前と同じ状態にすぐに戻るわけではありません。では、完済後は具体的にどのような状態になるのでしょうか。

  1. (1)整理した借金はすべてなくなる

    当然ながら、整理した借金はすべてなくなります。任意整理の和解時に免除された将来利息(残りの借金に対して発生し、完済まで払う予定の利息)や遅延損害金(借金返済を滞納して発生するペナルティー)などは、もう支払う必要がありません。つまり、借金のない生活が戻ってきます。

    ただし、任意整理の手続きから除外した借金が残っている場合は返済を継続する必要があります。それでも任意整理の完済後は、残った借金の返済も以前と比べて容易になることでしょう。

  2. (2)信用情報機関の事故情報はまだ残っている

    借金をする前の状態と異なる点は、信用情報機関に登録された事故情報がまだ残っているという点です。

    任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。この事故情報は、任意整理した借金の完済後もすぐに削除されるわけではないのです。

    主な信用情報機関の種類と、それぞれの機関に加盟している主な金融機関は以下のとおりです。

    信用情報機関の種類 主な加盟業者
    CIC(株式会社シー・アイ・シー) クレジットカード会社、信販会社等
    JICC(株式会社日本信用情報機構) 消費者金融、信販会社等
    KSC(全国個人信用情報センター) 銀行、信用金庫、信用組合、農協等

    もっとも、3つの信用情報機関は相互に情報交換をしていますので、1つの機関に事故情報が残っていれば全体的に影響が及びます。

    では事故情報が残ることによって具体的にどのようなデメリットが起きるのでしょうか?

  3. (3)事故情報が残ることで受けるデメリット

    信用情報機関に事故情報が登録されると、個人の信用が重視される取引ができなくなります。

    具体的には以下のとおりです。

    • クレジットカードを作成できない
    • 新たな借り入れができない
    • 各種ローンを組むことができない
    • 携帯電話やスマホ端末の分割払いができない
    • 奨学金の保証人になれない
    • 賃貸住宅の契約ができないことがある


    金融機関等は申込者の支払い能力を調査するため、信用情報を照会するからです。事故情報が登録されている場合には、「支払い能力なし」とされ、審査に通らなくなるのです。

    これらのデメリットは任意整理を行った時点で生じていますが、完済後も事故情報が削除されるまで継続します

2、任意整理の完済後に事故情報が消えるのはいつ?

事故情報はいつまでも残るわけではなく、一定期間の経過後に削除されます。その後は、再びローンやクレジットカード、借り入れなどが利用できるようになります。

  1. (1)完済から5年が目安

    任意整理の事故情報が削除されるまでの期間の目安は、完済から5年と考えておきましょう

    任意整理で信用情報機関に登録される情報の内容とその登録期間は、以下のとおりです。

    信用情報機関 任意整理で登録される情報 登録期間
    CIC 異動 契約期間中および契約終了後5年以内
    JICC 債務整理 契約日2019/9/30以前 契約日2019/10/1以降
    当該事実の発生日から、5年を超えない期間 契約継続中、及び契約終了後5年以内
    KSC 代位弁済 契約期間中、および契約終了日(完済されていないときは完済日)から、5年を超えない期間

    どの機関においても、「契約終了後5年」までは事故情報が残ります。

    任意整理の場合、いつの時点が「契約終了」に当たるかについては、貸金業者ごとに取り扱いが異なります。和解成立をもって契約終了とする業者もあれば、完済をもって契約終了とする業者もあります。

    そのため、「いつから5年」で事故情報が消えるのかを一概に示すことは難しいですが、完済をもって契約終了とする業者が少なくないので、「完済から5年」を目安として考えておくべきです。

  2. (2)事故情報が消えたか確認する方法

    借入先の業者における取り扱いによっては、完済後5年が経過する前に事故情報が削除されている可能性もあります。逆に、完済後5年が経過しても、何らかの事情により事故情報が残っていることもあります。そのため、任意整理の完済後にローンやクレジットカード、借り入れなどを利用する場合には、申し込み前に事故情報が消えているかを確認することが重要となります。

    確認する方法は、各信用情報機関に対して情報開示請求を行うことです。念のために3つすべての信用情報機関に対して、情報開示請求を行いましょう。

    信用情報機関ごとの開示請求方法と手数料は以下の表に記載のとおりです。

    信用情報機関 開示請求方法 手数料
    CIC ・インターネット
    ・郵送
    ・窓口
    ・インターネット及び郵送:1000円
    ・窓口:500円
    JICC ・スマートフォン
    ・郵送
    ・窓口
    ・スマートフォン及び郵送:1000円
    ・窓口:500円
    KSC ・郵送 ・1000円分の定額小為替証書
    または
    ・本人開示手続き利用券(コンビニで購入可能。購入先によって1124円または1200円)

3、任意整理で完済後の生活で注意すべきこと

任意整理の完済後、原則5年は事故情報が残ることによって、生活に支障をきたす可能性もあります。完済後の生活においては、以下の点に注意しましょう。

  • 事故情報が消えても審査にすぐ通るとは限らない
  • ヤミ金に手を出してはいけない
  • 借り入れやカードの利用は計画的に


  1. (1)事故情報が消えても審査にすぐ通るとは限らない

    事故情報が削除された後、その人の信用情報は真っ白の状態となります。マイナスの履歴もない代わりに、信用履歴もゼロの状態ですので、ローンやクレジットカード、借り入れなどの審査にすぐ通るとは限りません。

    申し込みの際には、次の2点に注意が必要です。

    • 任意整理をした業者には申し込まない
    • 立て続けに複数社へ申し込まない


    任意整理をした業者では、その顧客が任意整理をしたという情報がずっと残るので、基本的に審査に通ることはありません。これを「社内ブラック」といいます。

    また、信用取引の審査で落とされた記録も、6か月間ですが事故情報として信用情報機関に登録されます。そのため、1社で審査に落ちた場合は、次の申し込みまでに6か月以上は開けないと審査に通りにくくなります。これを「申し込みブラック」といいます。

    まずは、キャッシング枠なしのクレジットカードを作成するなどして、信用実績を少しずつ積み重ねていくと、やがて高額のローンや借り入れの審査にも通りやすくなります。

  2. (2)ヤミ金に手を出してはいけない

    事故情報が削除される前や、削除された後でも金融機関の審査に通らない場合に、ヤミ金に連絡してしまう人もいます。ヤミ金から借り入れをすると法外な利息を要求され、支払えなければ

    • 脅迫的な取り立て
    • 自宅・職場への嫌がらせ行為

    などを受ける可能性が高いです。

    お金を借りるなら、必ず信用情報を確認した上で正規の貸金業者や銀行などを利用するようにしましょう。「ブラックOK」や「審査不要」などとうたった広告を出している業者はヤミ金等の違法業者なので、手を出してはいけません

  3. (3)借り入れやカードの利用は計画的に

    任意整理の完済から5年が経過すると、徐々に任意整理をする前と同じように借り入れやカードを利用できるようになっていきます。

    しかし、再び返済しきれないような借金を抱えてしまうと、2回目の任意整理をしようと考えても和解条件が厳しくなり、自己破産(借金が返済できなくなった人が裁判所に申し立て返済を免除してもらう制度)または個人再生(借金の総額を減額し再生計画に基づいて返済する制度)の申し立てを余儀なくされる可能性があります。

    二度と借金が減らない状態に陥らないよう、借り入れやカードの利用は計画的に行いましょう。

4、任意整理の完済後に債権者から連絡はある?

任意整理の完済後、債権者から電話で連絡が入ることはまずありません。しかし、多くの場合は当初の「金銭消費貸借契約書」または「完済証明書」が郵送されてきます。弁護士に依頼して任意整理をした場合は、その弁護士の事務所に送付されるのが一般的です。

しかし、自分で任意整理をした場合には自宅に送付されるため、家族に借金のことを知られてしまう可能性があります
この事態を回避するためには、あらかじめ債権者に連絡し、

  • 「完済証明書は不要」
  • 「契約書は破棄してください」

と伝えておきましょう。

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5、まとめ

任意整理の完済後5年が経過すると、理論上はローンやクレジットカード、借り入れの利用に支障はありません。しかし、実際上は審査の問題により、希望どおりに利用できるとは限りません。

  • 住宅
  • 学費
  • 事業

などのためにローンの利用をお考えの方は、余裕を持ったスケジュールで検討することが大切です。

完済後に再び借金を抱え、返済が厳しくなった場合には、早めの対処が重要です。ベリーベスト法律事務所では借金問題のご相談は何度でも無料で利用できますので、お困りの際はすぐにご連絡ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国74拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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