債務整理 弁護士コラム
自己破産は、裁判所に申し立てをして、借金の返済義務をすべて免除してもらえる手続きです。
申し立ての際には、借入状況や経緯の他にも、収入や資産状況なども裁判所に申告しなければなりません。そのため、自己破産をするには、数多くの必要書類をそろえる必要があります。
本コラムでは、自己破産を申し立てるために必要な書類の種類と集め方について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。ご自身で必要書類をそろえることが難しいときの対処法も紹介するので、ぜひご参考ください。
自己破産をするには、どのようなケースでも必要になる書類があります。1章では、自己破産申し立てで必須の必要書類11種をご紹介します。
申立書とは、破産手続開始および免責許可の決定を求める旨を記載する書面です。
申立人の氏名・住所などの個人情報や、借入件数、借入額などを書き込めば完成する書式が裁判所で用意されています。
裁判所のホームページでダウンロードできますが、裁判所によって書式が異なることもあるため、申立て先の裁判所の担当窓口で入手することがおすすめです。
債権者一覧表とは、債権者の氏名・住所や借入の時期、現在の債務額、借金の使い途などを一覧表にまとめて記載する書面です。裁判所で入手することができ、書式にしたがって書き込みます。
財産目録とは、申立人の所有財産について、種類ごとに有無と内容、金額、評価額などを記載する書面です。財産目録も、裁判所で書式を入手して書き込みます。
申立人の経歴から家族構成、生活状況、借入の経緯、自己破産申し立てに至った事情などを記載する書面が陳述書です。裁判所で入手した書式に書き込みますが、別紙に借入の経緯や自己破産申し立てに至った事情について、さらに詳しく記載して添付するのが一般的となっています。
申立人の家計の収支を一覧表にまとめて記載する書面も、自己破産時には必要です。直近1か月の収入と支出について、世帯単位で項目ごとに金額を記載します。書式は、書き込み式のものを裁判所で入手することが可能です。
申立人が日本国籍であることと、居住地を証明するために住民票が必要です。本籍地の記載があり、同居家族全員の記載があり、マイナンバーの記載がないものを、お住まいの市区町村の役所で取得しましょう。
賃貸住宅に居住している場合は、賃貸借契約書のコピーも必要です。
入出金の流れを証明するために、預貯金通帳のコピーが必要です。開設している口座のすべてについて最新の記帳をして、申し立て直近2年分のコピーを用意しましょう。
収入を証明する書類として、給与所得者なら、給与明細書(申し立て直近2か月分)と源泉徴収票(申し立ての前年分)を用意しましょう。自営業者なら、確定申告書の控え(申し立て直近3年分)と課税(非課税)証明書を用意してください。
収入がない場合は、課税(非課税)証明書だけで足ります。課税(非課税)証明書は、保険料控除等が記載されているものが必要です。
財産目録に計上した資産については、その裏付けとなる証明書も必要です。主な証明書として、次のようなものが挙げられます。
資産の種類 | 所有の証明書(入手先) | 評価額の証明書(入手先) |
---|---|---|
不動産(持ち家など) | 登記事項証明書(法務局) | 査定書(不動産仲介業者など) |
自動車 | 車検証(手持ちのもの) | 査定書(中古車買取業者など) |
退職金 | - | 退職金見込額証明書(勤務先の会社) |
保険 | 保険者証(手持ちのもの) | 解約返戻金見込額証明書(保険会社) |
有価証券(株など) | 証券(手持ちのもの) | 残高証明書(証券会社) |
不動産を所有していない場合は、住所地の市区町村の役所で無資産証明書を取得しなければなりません。
弁護士に依頼せず自分で自己破産を申し立てる場合には、現在の借金額がわかる書類も必要です。
債権者ごとに、直近に届いた請求書や督促状をコピーしておきましょう。借入先の金融機関のホームページで、借入残高を表示した画面をプリントアウトしたものでも構いません。
裁判所が債権者や申立人への通知に使用するための封筒または宛名ラベルも、準備する必要があります。封筒のサイズや必要枚数は裁判所によって異なることがあるので、申し立て予定の裁判所で確認しましょう。
切手は封筒に貼らず、別途、裁判所の窓口で申立時に提出します。
自己破産の申立時の状況によっては、他にも書類が必要となることがあります。以下では、よくあるケースと、その場合の必要書類を紹介します。
年金や生活保護を受給している場合は、収入の証明として受給者証と課税(非課税)証明書が必要です。
受給者証を紛失した場合は、年金事務所や市区町村の役所で再発行してもらいましょう。
税金や社会保険料などの公租公課を滞納している場合は、その種類や滞納金額がわかる書類が必要です。税務署等から届いた督促状などのコピーを用意しましょう。
公租公課の滞納金は自己破産しても免責されませんが、財団債権または優先的破産債権となるため、滞納状況がわかる書類が求められます。
株やFXなどの投資をしている場合は、申し立て直近1~2年分の取引明細書が必要です。証券会社から届いた書面または電子書面を用意しましょう。
高リスクの投資はギャンブルと同様に免責不許可事由(破産法第252条1項4号)に該当する可能性があるため、取引状況を証明しなければなりません。
浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がある場合は、反省文を提出することで、裁量免責(破産法第252条2項)が許可される可能性が高まります。
陳述書とは別の書面に、借金をしてまで浪費やギャンブルをしてしまった理由、反省の気持ち、自己破産以外では解決が難しい理由、現在の生活状況、今後の改善策などを詳しく記載することをおすすめします。
自己破産にはさまざまなケースがあるため、場合によっては裁判所から他にも書類の提出を指示されることがあります。
裁判所の指示に従えば手続きを進められますが、事前に弁護士に相談して必要と考えられる書類を用意しておいた方が、スムーズに手続きを進めやすくなります。
自己破産で必要書類の準備が長引くと、次のようなリスクが生じます。必要書類は効率よく集めて、速やかに申し立てることが重要です。
自分で自己破産を申し立てる場合は、破産手続開始決定の書面が債権者に届くまで督促が止まりません。債権者に対応しながら必要書類を集めることは大変なので、自己破産の申し立ては弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すると、受任通知が債権者に届いた時点で督促がいったん止まるので、落ち着いて必要書類の準備を進めることが可能です。
必要書類の一部の作成・取得が遅れると、既に用意した書類の有効期間が切れたり、状況が変わったりして、再取得を要することがあります。
特に、住民票の再取得や通帳コピーの取り直し、給与明細書の補充などを要するケースが多いので、注意しましょう。
自己破産の申し立てに至らないまま滞納が3~6か月ほど続くと、債権者から裁判を起こされる可能性が高まります。裁判を放置すると差し押さえを受けるおそれもあります。
弁護士に依頼した場合でも必要書類の準備が遅れると裁判を起こされることがあるので、弁護士の指示に応じて速やかに書類を集めましょう。
自己破産の必要書類を集めることが難しいときは、ひとりで悩まず裁判所または弁護士に相談しましょう。
自己破産申し立ての方法については、裁判所の担当窓口に相談すれば教えてもらうことができます。
ただし、裁判所は中立・公平な立場なので、自己破産手続きを有利に進めるためのアドバイスは得られないことに注意してください。また、申立書や必要書類の内容についての質問には、裁判所は回答してくれないことが一般的です。
弁護士に相談すれば、債務者の味方としての立場から、必要書類の集め方から自己破産手続きの進め方までアドバイスを受けることが可能です。
依頼後は、住民票や収入・資産に関する疎明資料など、どうしても債務者本人が用意しなければならない書類を除いて、弁護士が代行して申し立て準備を進めます。
また、自分で必要書類を集めようとして債権者への対応が遅れてしまうよりは、弁護士に相談しながら必要書類を収集した方が円滑に破産の申し立てができますので、迷った場合には、速やかに弁護士に相談しましょう。
自己破産の必要書類は多岐にわたり、ケースによっては作成・取得が難しいものもあります。
破産の手続きで戸惑いがあるときは、弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士に依頼をすれば、申し立ての準備にかかる負担を大幅に軽減できる上に、自己破産を有利に進められる可能性も高まります。
自己破産の申し立てをお考えの方は、早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。債務整理専門チームの経験豊富な弁護士が、それぞれのケースのご事情を十分に踏まえて丁寧に対応いたします。また、借金に関する相談は何度でも無料で受け付けておりますので、まずはお問い合わせください。
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借金返済に完全に行き詰まったときであっても、「どうしても自己破産したくない」と考える方は実は少なくありません。一般の人にとっては、それだけ自己破産に悪いイメージがあるのだと考えられます。
また債務整理というと、自己破産を思い浮かべる人も多いため、債務整理それ自体に抵抗感を覚える人も珍しくありません。
しかし、債務整理の方法は自己破産だけではなく、財産を処分せずに今後の分割払いの負担を軽くしてもらうことで借金を解決するものもあります。
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最近では、共働き夫婦の増加により、お互いの財布事情に関知しない夫婦も珍しくありません。
そのため、妻に借金があることに気づいたときには、借金の額が手に負えないくらい膨らんでいて「自己破産以外に解決方法がない」と追い詰められてしまうケースもあります。
しかし同時に、自己破産をすると配偶者である自分や子どもに何かしらの悪影響が出るのではないか、と不安に感じる方もいるでしょう。
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自己破産は、裁判所に申し立てるだけで終わるものではありません。事案によっては申し立て後の手続きに半年~1年程度の期間を要することもあります。
自己破産を成功させるためには、申し立て後にもさまざまなことに注意しなければなりません。