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自己破産の必要書類は? 自分で書類を作成するリスクやデメリット

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更新日:2021年04月22日 公開日:2021年04月22日

自己破産の必要書類は? 自分で書類を作成するリスクやデメリット

自己破産は返済できなくなった借金を解決するための最終的な手段です。自己破産をすれば、免責によって借金の返済を完全に免除してもらえることから、年収を大幅に超えるような借金でも解決させることが可能です。

自己破産を検討するケースでは、費用節約などを目的に、自己破産の必要書類を自分で作成して本人申し立てで手続きを行うことを検討している方もいるかと思われます。

そこで今回は、自己破産の申し立てに必要となる書類の種類や自分自身で作成・申し立てをする際に生じる具体的なリスク・注意点などについて解説していきます。

1、自己破産の特徴

まずは自己破産手続の概要を確認しておきましょう。手続きに必要となる書類は、それぞれの手続きの基本的な仕組みや特徴に応じて設定されるからです。

  1. (1)すべての債権者を対象に手続きが行われる

    自己破産の手続きの特徴の1つは、原則として自己破産の時点で抱えているすべての借金が対象になるということです。たとえば、自己破産する場合には、家族や友人から借りた数万円以下のごく小口の借金であっても手続きの対象にしなければなりません。

  2. (2)債務者の財産を処分して債権者に配当する

    自己破産の手続きでは、債務者の財産を売却して債権者に返済する(公平に配当する)ことが大原則となります。そのため売却価値のある財産を保有している場合には、自己破産の開始に伴ってその管理処分権も破産管財人に強制的に移転することになってしまいます

  3. (3)借金返済の完全免除(免責)

    自己破産手続の最大の特徴・メリットは、自己破産の手続き後に裁判所から免責許可を得られることです。免責を得られた借金は、(破産手続を通じて返済できた金額を問わず)借金の残額の返済が法的には完全に免除されることになります。

    しかしながら、返済の免除を無条件で与えることは、債権者との関係で必ずしも公平とはいえないことから、一定の不誠実な事情(財産隠しや破産手続の妨害)などがある場合には免責を得られないというケースもないわけではありません。

2、自己破産を申し立てるときに提出する書類

自己破産を申し立てる際の必要書類は以下のとおりです。基本的な書式は裁判所で入手することができます(一部裁判所ではウェブサイトで様式も配布しています)。

  1. (1)申立書

    自己破産を申し立てるときには、住所地を管轄する地方裁判所に申立書を提出しなければなりません(従前は口頭での申し立ても可能でしたが、法改正によって書面のみでの申し立てとなっています)。

    申立書には、次の事項を記入する必要があります。

    • 申立人の氏名・住所
    • 債務者の氏名・住所(自己破産の場合は申立人と同じ)
    • 申し立ての趣旨(「申立人について破産手続を開始する」と記載)
    • 破産手続開始の原因となる事実(借金が返済不能となった具体的な事情)


    申立書の様式は原則として任意(自由)ですが、裁判所備え付けのものを用いることも可能です

    なお、現在の実務では、破産申し立ての際に併せて免責許可の申し立ても行うのが一般的で、申立書も兼用の様式を用います(免責許可申し立てを同時にしない場合には、破産手続終了後に免責許可申し立てをしなければ免責を得られないので注意が必要です)。

  2. (2)債権者一覧表

    自己破産を申し立てる際には、債権者一覧表の提出も必要となります。債権者一覧表も、裁判所備え付けの書式に基づいて作成するのが一般的ですが、次のような事項について記載します。

    • 債権者の氏名・住所(所在地)※電話番号・ファクス番号は記載しないのが一般的です。
    • 債権の種類
    • 借り入れの始期および終期
    • 現在の残高
    • 借り入れの原因(借金の使途)
    • 保証人の有無
    • 最終返済日


    また、税金や社会保険料などに未払い(延滞)があるときには、その一覧表も作成して提出する必要があります。

  3. (3)陳述書

    自己破産を申し立てる際には、申立書における記載を補完する目的で、「自己破産に至るまでの事情」を詳細に記した陳述書を作成・提出します(A4横書きであれば様式は自由ですが、裁判所備え付けの様式を利用するケースが多いです)。

    陳述書の提出は義務づけられているものではありませんが、手続き申し立て後の破産審尋期日などを迅速に進めてもらうために、提出を求められるのが一般的です。

  4. (4)家計全体の状況を明らかにする書類

    個人の自己破産においては、申し立ての際に、直近数ヶ月分の家計の全体状況のわかる資料を提出します。

    この書類も裁判所備え付けの書式を利用するのが一般的ですが、毎月の収入と支出の内訳について記載する必要があります。

  5. (5)財産目録

    破産手続きは、債務者の財産を売却して得られたお金を債権者に配当することで破産手続きが開始された時点での借金を清算するための手続きです。そのため、自己破産を申し立てる際には、申立人が保有する財産についても裁判所に申告しなければなりません。財産目録はそのための書類となります。

    対象となる財産は、不動産(マイホームなど)や自動車・バイクはもちろんのこと、退職金の見込み額や生命保険の解約返戻金、一定額(20万円以上)のそのほかの動産や債権(預貯金など)など、かなり幅広い財産が対象となりますので、申告漏れには十分注意する必要があります。

  6. (6)そのほかの添付書類

    自己破産を申し立てる際には、上記の書類に加えて、下記の添付書類をあわせて提出する必要があります。これらの書類は、上記の書類に記載された内容の裏付け(疎明)資料となります。

    • 給与明細書、源泉徴収票、課税証明書・年金などの受給証明書、確定申告書
    • 同居人の給与明細書・源泉徴収票
    • 退職金支給明細書・退職金規定
    • 住民票(本籍の記載が省略されておらずマイナンバーの記載のないもの)
    • 不動産登記簿・車検証・財産の査定書

3、必要書類を債務者自身で作成すると生じるリスク

自己破産の申し立ては、必要書類を適切に収集・作成できれば、弁護士ではない一般の方が行う(本人申し立てする)ことも不可能ではありません。実際にも、「弁護士費用の支払いに不安がある」、「費用を少しでも節約したい」といった事情などから本人申し立てを検討されている方も少なくないと思われます。

しかし、自己破産の本人申し立てには、以下のようなリスクがあることに注意しておく必要があります。

  1. (1)申し立てが却下・棄却されてしまう可能性

    自己破産の申し立てに際して必要な書類の作成は、一般の方にとっては不慣れ(初めて)の作業となります。いまでは、ウェブなどを通じて書類のひな形・記入例などを入手しやすくなりましたので、従前よりも自力での書類作成がしやすくなったとはいえますが、専門知識のない方が書類を作成すれば、作成不備や書類漏れなどのリスクが生じることは避けられません。

    重大な書類不備などがあれば、せっかく申し立てた自己破産も裁判所に申し立てを棄却され手続きを開始できないことがあります

  2. (2)管財事件となってしまった場合の3つのデメリット

    自己破産を本人申し立てする最大のリスク・デメリットは、「管財事件」となってしまう(同時廃止にしてもらえない)可能性が高くなってしまうことです。

    管財事件というのは、開始された破産手続について破産管財人を選任した上で進めていく方法のことをいいますが、管財事件となった場合には、次のようなデメリットが生じるおそれがあります。

    ① 自己破産手続が長期化する
    個人の自己破産では、自己破産に至るまでにすでに預貯金などのめぼしい財産を消費してしまっている場合も多く、自己破産をしても債権者の配当に充てられる財産だけでなく、破産手続の費用(破産管財人報酬)を支払いきれるだけの財産すらないというケースも珍しくありません。

    そのようなケースの自己破産では、破産管財人を選任せずに、破産手続の開始と同時に手続きを終了させ(免責手続に移行させ)る「同時廃止」という方法が採用されます。費用も支弁できない状態で破産手続を行うことは、債権者・債務者・裁判所のいずれにとっても利のないことだからです。

    しかしながら、債務者に財産が全くない場合であっても、負債や財産の調査を行わなければならない場合や、免責不許可の可能性がある場合などには、破産管財人を選任し手続きを慎重に進めなければならないことになっています。

    そのため、本人申し立てによる自己破産は、弁護士申し立てによる場合と比べて、財産が全くない場合でも管財事件となりやすく手続きが長期化してしまう(免責を得るまで時間がかかってしまう)可能性があります。

    ② 郵便物の受け取りや引っ越しに制約が生じる
    管財事件となった場合には、破産手続が終了するまでの間、手続きの円滑実施や破産管財人による調査実施を担保する目的で、債務者(破産者)について次のような制約が生じてしまいます。


    • 債務者宛ての郵便物が破産管財人へ回送され閲覧されてしまう
    • 転居や現在の居所を長期間離れる際には事前に裁判所の許可が必要

    なお、これらの制約は、破産したことのペナルティーではなく、あくまでも破産手続を迅速・適切に行い、財産の散逸・隠匿などを防止するための措置です。したがって、破産手続が終了すれば、その必要もなくなるためこれらの制限は当然に解除されます(免責を得る前に解除されます)。

    ③ 自己破産にかかる費用が高くなる
    申し立てた破産手続が管財事件となり破産管財人が選任されたときには、その報酬に充てられる予納金を申し立ての際に納付しなければなりません。本人申し立ての場合の予納金はかなり高額(50万円以上)となるだけでなく、一括納付が原則(ごく一部裁判所では分納可能)となっているため、本人申し立てであることが理由で管財事件となった場合には「費用を節約したい」という本人申し立ての目的も達成できなくなってしまいます。

4、弁護士に自己破産を依頼するメリット

自己破産の本人申し立ては、上で解説したように大きなリスクを抱える可能性が少なくありません。特に、「自己破産は失敗できない手続き」であることを考えれば、専門家である弁護士に依頼して手続きを進めた方がよい場合が多いといえます。

自己破産手続を弁護士に依頼するメリットとしては次のような点をあげることができます。

  1. (1)手続きの一切を任せられる

    弁護士に手続きを依頼すれば、その手続きで必要となる書類の作成・収集・提出の一切を弁護士に任せることができます。

  2. (2)手続きを早く終えられる

    自己破産手続は、申立時に提出された書類のクオリティーが高いほど早期に終わる可能性も高くなるといえます。十分な添付資料を提出し、財産管理などに落ち度もなければ、裁判所や破産管財人による調査は必要最低限度で済ませられる場合も多いといえるからです。

    また、東京地方裁判所での自己破産手続は、弁護士申し立てのケースに限り「即日面接」で対応してもらえます。即日面接とは、原則として申し立てのあった日に破産審尋と破産手続開始決定まで手続きを一気に進めてしまう方法のことです(管財事件の場合は翌週水曜日に開始決定が出ます。通常の取り扱いでは破産申し立てから手続き開始決定までは1か月程度かかります)。

  3. (3)同時廃止にしてもらえる可能性が高くなる

    自己破産を弁護士申し立てで行う最大のメリットは、「同時廃止の可能性が高くなる」ことにあるといえます。

    すでに解説したように、本人申し立ての場合には、債務者に財産がないという場合であっても管財事件とされてしまう可能性が高くなってしまいます。本人申し立てであれば、書類の不備などの可能性も高く、裁判所としては「慎重に調査したい」と考えてしまう傾向にあるといえるからです。

    また、浪費などの事情があるケースでも、代理人弁護士が事前に十分な調査を実施した上で適切な陳述書を裁判所に提出することで、裁判所によっては免責不許可事由を調査するために管財事件とされることを回避できる場合もあります。

5、まとめ

自己破産手続では、申し立ての際に提出される書類のクオリティーが後の手続きに大きな影響を与えます。その意味では、自己破産を少しでも有利に進めるためには、書類の形式だけを整えるというだけでは不十分で、裁判所を納得させられるだけの書類を作成することが重要となります。

このような作業を一般の方が普段の生活をしながら行うことは、不可能ではないにせよ簡単なことではありません。弁護士にご依頼いただければ、自己破産の手続きにかかる負担を大幅に軽減できるだけでなく、自己破産を有利に進められる可能性も高くなります。

ベリーベスト法律事務所では、自己破産についてのご相談は何回でも無料でご利用いただけます。それぞれのケースのご事情を十分にふまえながら1件1件丁寧に対応させていただいておりますので、借金返済でお困りの際にはお問い合わせください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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