債務整理 弁護士コラム

自己破産できる条件とは? 自己破産できない借金の具体例5つ

2021年04月22日
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自己破産できる条件とは? 自己破産できない借金の具体例5つ

自己破産をすると、その時点での借金は、強制的に清算させられ、免責決定によって残額の返済を完全に免除してもらえます。

以上のように、自己破産は非常に強力な手続きですので、誰でもいつでも自由に利用できるというわけではありません。簡単に破産する(させられる)ことができるというのは、債権者と債務者の双方にとって公平とはいえないからです。

そこで今回は、自己破産をするための条件や自己破産では解決できない借金の具体例などについて解説していきます。

1、自己破産できる条件とは?

自己破産するために備えていなければならない条件は、下記の2つです。

  • 支払不能の状況にある(支払い停止の事実がある)
  • 免責を得られる可能性がある


  1. (1)支払不能・支払停止とは?

    自己破産をするためには、その債務者が「支払不能」の状態になっている必要があります(破産法15条)。

    (破産手続開始の原因)
    第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
    2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。


    支払不能の状態とは、債務者がそのときに抱えている負債を「完済できないことが確実視される状態」のことをいいます。したがって、それぞれの債務者の年収・保有財産などの事情によって、支払不能といえる借金の額も違ってきます

    たとえば、病気などの事情で今後の収入の目処がたたなくなった方であれば100万円未満の借金でも支払不能といえる場合もあるのに対し、月収が100万円を超えるような方であれば、1000万円程度の借金では支払不能といえない場合もあり得るからです。

    以上のように、支払不能は抽象的な概念なので、実際の場面での判断も簡単とはいえません。

    そこで、破産法は、「支払停止」に該当する一定の客観的事実(債務者による表明行為)があるときには、支払不能の状態にあることを推定する旨の規定も設けています(破産法第15条2項)。

    支払停止の典型例は、いわゆる2回目の手形不渡りによる銀行取引停止や夜逃げ行為などが挙げられますが、弁護士に自己破産などの債務整理を依頼することも支払停止となります。

  2. (2)免責を得られる可能性がある

    自己破産は一般的には借金の返済を免除してもらうことを目的に申し立てられるものです。しかし、法律上は、自己破産をすれば必ず免責を得られるわけではないことに注意しておく必要があります

    破産法第252条1項は、一定の事由(免責不許可事由)があるときには、免責を認めないものとしているからです。したがって、それぞれのケースが抱える事情により免責を得られる見込みが全くないという場合には、事実上自己破産もできないということになりますが、実際にそのようなケースはかなり少ないといえます。

    個別の免責不許可事由の具体例については、次の項目で解説します。

2、こんな状況でも自己破産は可能?

自己破産によって借金の解決を検討するケースでは、さまざまな都合の悪い事情もあわせて抱えてしまっていることも珍しくありません。

以下では、自己破産を検討する方が、「こんな事情があったら自己破産できないかもしれない」と感じるような具体的な5つのケースについて解説していきます。

  1. (1)過去に自己破産したことがある

    借金のトラブルを繰り返し抱えてしまうことは実は珍しいことではありません。借金それ自体は解決できても、その原因が解決できなかった場合には、再度の借金を抱え込んでしまうリスクも残ってしまうからです。

    過去に自己破産の経験がある場合でも再度の自己破産自体は可能ですが、直前の自己破産で免責を受けてから7年が経過していない場合には注意が必要です。破産法は、7年以内に免責許可の決定があったことなどを免責不許可事由として定めているからです(破産法第252条1項10号)。

    しかし、この場合でも自己破産で借金を解決できないと決まってしまったわけではありません。破産法は、免責不許可事由に該当するケースにおいても、裁判所の裁量によって免責を与えることも容認しているからです(破産法第252条2項)。

    実際に、このようなケースの場合であっても、一般論としては、他に重大な問題(債権者・裁判所に対する不誠実対応など)がない限りは、免責を受けられる可能性が高いといえます。

  2. (2)浪費やギャンブルで多額の借金を作ってしまった

    浪費やギャンブルは、多額の借金を抱えてしまう原因の典型例といえます。これらの借金は、生活苦を原因とするような借金と比べて道義的にも後ろめたさがあることから「自己破産で返済を免除してもらうのは都合良すぎる」と考えてしまう方もいるかもしれません。

    また、破産法が「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」を免責不許可事由としていることから「浪費やギャンブルの借金があると自己破産できない」と思い込んでいる方もいるかもしれません。

    しかし、浪費・ギャンブルを原因とする借金があるというだけで自己破産ができなくなるというわけではありません。破産法が定める免責不許可事由に該当するのは、「程度の重い浪費・ギャンブル」のケースに限られるからです。さらには、免責不許可事由に該当するような浪費などがある場合でも、(1)の場合と同様に裁量免責を得られる余地が残されています。

  3. (3)債権者への配当に充てられる財産が全くない

    破産手続は、債務者(破産者)の財産を換価処分して得られた金銭を債権者に配当するための手続きでもあります。しかし、「換価できる財産が全くない」という場合でも自己破産できないことはありません。実際にも、自己破産をしても「債権者への配当に充てられる財産が全くない」というケースは決して珍しくありません。むしろ、債権者への配当を実施できる資力がない場合には、通常の自己破産よりも簡易・迅速に手続きを行え、自己破産にかかる費用も安くできる可能性があります。

    しかしながら、自己破産による財産処分を免れる目的で、財産を不当に処分してしまった場合や財産隠しが行われた場合には、免責を認めてもらえない可能性があることに注意しておくべきです。

    財産隠しや不当処分は、債権者に対して特に不誠実な対応といえますから、(1)(2)で取り上げた事情に比べて、裁量免責を得られる可能性も低くなってしまうだけでなく、犯罪に問われる可能性もあるので絶対にすべきではありません。

  4. (4)年金や生活保護を受け取っている場合

    年金や生活保護で生計を立てている方の場合には、「自己破産をすると年金や生活保護を失ってしまう」という不安を抱えている方もいるかもしれません。

    しかし、自己破産をしても年金・生活保護への悪影響は一切ありません。生活保護費や年金については、法律で差し押さえそのものが禁止されているからです。また、将来の年金受給額についても自己破産したことだけを理由に減額されることもありません(逆に自己破産をしても年金保険料の未納分は免除されないので注意が必要です)。

    さらに、生活保護を受給している人の場合には、自己破産にかかる費用も法テラス(民事法律扶助)で立て替えてもらうことができ、手続きが終了した時点でも生活保護を受給していた際にはその費用の返還を免除してもらうこともできます。

  5. (5)在留外国人の場合

    借金の問題は、誰にでも起こりうる問題です。たとえば、在留外国人の方であっても日本国内で多額の借金を抱えてしまうこともあるかもしれません。このような場合でも「外国籍だから」ということを理由に自己破産での解決を諦める必要はありません。破産法は、在留外国人や外国法人の場合についても、日本人・日本法人と同様の手続きを用意しているからです(破産法第3条)。

3、自己破産では解決できない借金等の具体例5つ

以上のように、一見すると自己破産できないと不安に感じてしまうような事情がある場合でも、その多くのケースでは自己破産で借金を解決できる余地が残されています。

しかし、以下で解説する借金については、自己破産では解決できません(返済・支払いの免除を受けられません)。

  1. (1)全く返していない借金

    自己破産は、返済不可能となった借金を債権者・債務者双方にとってできるだけ公平に清算するための手続きです。そのため、自己破産を不当な目的で申し立てることや、あまりにも不誠実な自己破産申し立ては認められません

    たとえば、「借り入れをしてから1円も返済していない借金」があるときには、そのままの状態で自己破産申し立てをすることはやめた方がいい場合もあります。最初から返済するつもりがなく借り入れをして自己破産申し立てをすると詐欺行為(詐欺破産)に該当し、刑事罰に問われる可能性もあるからです。

  2. (2)税金や社会保険料等

    自己破産するほどの深刻な借金を抱えているケースでは、税金や社会保険料(国民健康保険料、年金保険料)などに滞納があることも珍しくありません。

    しかし、これらのいわゆる公租公課の滞納分は自己破産をしても納付が免除されることはありません。また、公租公課の滞納によってすでに実行されている滞納処分(財産の差し押さえ)も自己破産によって解除されることはありません。

  3. (3)酒酔い運転などを原因とする損害賠償

    他人に対して損害を与えてしまった場合の損害賠償の支払いは、下記の条件に該当する場合には、自己破産をしても支払いの免除を受けられません。

    • 破産者が悪意で不法行為を加えた場合
    • 破産者の故意又は重大な過失を原因とする不法行為によって、他人の人の生命又は身体が害された場合


    たとえば、悪意による傷害・殺人・詐欺などの犯罪行為を原因とする損害賠償や、酒酔い運転によって人身事故を起こした場合の損害賠償は、このケースに当てはまり自己破産をしても損害賠償義務が免責されることはありません。

  4. (4)養育費・婚姻費用

    養育費や婚姻費用(結婚生活ための支出)も自己破産では免責を受けることはできません。家計の事情などで、養育費の支払いが苦しくなった場合には、相手方(元の配偶者)との協議や家庭裁判所での調停(養育費減額調停)で対処する必要があります。

  5. (5)従業員への未払い給料等

    従業員を雇っている個人や法人が自己破産する場合には、従業員に対する給料・退職金に未払いが発生しているケースは少なくありません。この場合の給料・退職金の未払い分についても自己破産によって免責を受けられませんので注意する必要があります。

4、自己破産できない場合の借金解決方法

自己破産できない(免責が受けられない)事情に該当するケースでは以下のように対応していくのが基本となります。

  1. (1)自己破産できない事情を克服する

    債務者側の対応によって自己破産できない事情を克服できるケースでは、まずはその事情の克服に必要な対処を行うのが基本的な対応といえます。

    たとえば、借りたばかりの借金がある場合には、まずは返済する努力をしてみることです。一定額の返済を続けて、それでもどうしてもそれ以上の返済を続けることが難しいという状況であれば、その時点で再度自己破産の申し立てを検討すればよいでしょう。

  2. (2)個人再生をする

    自己破産できない事情を簡単に克服できない場合には、個人再生をすることも考えられます。個人再生であれば、自己破産できない事情を抱えている場合でも、借金(元金)の一部について免除を受けられる余地があるからです

  3. (3)やってはいけない対応の具体例3つ

    「自己破産もできないかもしれない」と不安を感じる状況は、精神的にも大きな負担となることの方が多いといえ、誤った対応をしてしまう動機も生まれやすいといえます。

    特に次のような対応は、状況をさらに悪化させてしまう可能性が非常に高いので、絶対にすべきではありません。

    ① 借金返済のためにさらに借金を繰り返す
    自己破産を検討するような状況では、すでに何件もの借金を抱えて、債権者からの取り立てに追われる生活となっている場合も多いといえます。

    このような場合に、目先の借金返済のために、さらに別の借金を繰り返すことは、「返済実績のない借金」を抱える原因にもなりかねません。

    また、金融機関から融資を受けるために、氏名・年齢・住所・年収額などを偽って申し込みをしてしまう要因にもなってしまいます(このような行為は免責不許可事由となるだけでなく刑事罰に問われる可能性もあります)。

    ② ヤミ金や悪質商法と関わってしまう
    すでに多額の借金を抱えている場合には、銀行や消費者金融といった正規の金融機関では新規の借金を申し込めないことも多く、ヤミ金などの悪質業者と関わってしまうリスクも高くなるといえます。

    ヤミ金業者と関わってしまった場合には、自己破産によって免責を得たとしてもそれを無視し取り立てが続けられる可能性もないわけではありません。また、ヤミ金業者などと関わってしまったために犯罪に巻き込まれるリスクが高くなることにも注意する必要があるでしょう(自分が被害者になるだけでなく犯罪の片棒を担がされることもあります)。

    ③ 夜逃げ行為
    いわゆる夜逃げ行為は、テレビ番組などでも著名人の過去の苦労話などでしばしば引き合いに出されたりすることから、借金が返済できなくなった場合の古典的な対処方法のひとつとしてイメージしている方も少なくないと思います。

    たしかに、夜逃げを成功させることができれば、消滅時効によって借金返済の義務を法的に消滅させることは可能です。しかし、実際に夜逃げを成功させるためには、何年もの間債権者からの追跡におびえる生活を続けることになります。またさまざまなツール・インフラが整備されたいまの社会では、「債権者から完全に逃げ切る」ことは容易なことではなく、夜逃げははるかにリスクの方が高い方法といえます。

5、まとめ

自己破産を認めてもらうためには、一定の要件が設定されてはいるものの、「自己破産できない」というケースは実際にはかなり限定的といえます。

とはいえ、実際に完済不能と思えるだけの多額の借金を抱えてしまった場合には、毎月の返済日・債権者からの取り立てに追われ落ち着かない生活になってしまっているだけでなく、将来のこともネガティブに考えてしまいがちになるといえます。

弁護士にご相談いただければ、これらの不安やお悩みをお聞きした上で、必要な助言をすることができます。また、借金を具体的に解決する方法についてもご提案が可能です。さらには、自己破産が難しい状況でも弁護士が対応することで自己破産申し立ての道筋が開けることもないわけではありません。

ベリーベスト法律事務所では、借金や自己破産に関する相談は何回でも無料でご利用いただけますので、ご不安なことが生じた際には安心してお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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