債務整理 弁護士コラム
借金のトラブルは、年代を関係なく誰にでも起こりうるものといえます。たとえば、20代の人の場合には、毎月の収入にも限りがあることから、ほんのちょっとしたアクシデントが起きただけでも、返せるつもりで借りた借金が返せなくなってしまうことも珍しくありません。
借金を自力で返せなくなった場合には自己破産などの債務整理で解決することができますが、この点についても、将来の結婚や仕事への影響といった今後の生活への不安などを理由に、手続きに踏み切れないままでいる方も少なくないようです。
そこで今回は、20代の方が自己破産で解決するメリットやその際の注意点などについて解説していきます。
自己破産のメリットなどを解説する前に、予備知識として、自己破産によって借金する場合の基本的な仕組みについて確認しておきましょう。
自己破産は、借金が返せなくなったときの最終的な解決手段といえます。そのため、非常に高額な借金を抱えていないと自己破産できないと思っている人もいるかもしれません。しかし、実際には「○○万円以上の借金がなければ自己破産できない」といった明確な線引きがなされているわけではありません。
破産法は、自己破産が認められるための要件として「債務者が支払不能の状態にある」ことが必要であると定めています。この支払不能という要件は、簡単にいえば「客観的にみておよそ借金を完済できるとはいえない状態」のことをいい、それぞれのケースが抱える諸事情(負債額・収入額・生計費・扶養家族の有無など)によって判断されます。
したがって、債務者ごとに、年収や必要な生活費といった諸条件はそれぞれ異なりますので、支払不能と判断される借金の額も違うというわけです。
20代の場合、一般に上の年代と比べたときに収入が低い傾向があるといえますので、諸事情も鑑みて、比較的少ない借金額でも自己破産を認めてもらえる可能性が高いといえるでしょう。
自己破産をした場合には、手続きが開始された時点で抱えているすべての借金を対象に手続きが進められます。そのため、「カードローンは自己破産で解決するが、友達からの借金は自己破産せず返済する」というように、債権者を選んで個別に対応することはできません。
自己破産の手続きは、すべての借金を裁判所の下で強制的に清算することを目的としています。具体的には、自己破産が開始された時点で債務者(破産者)が所有している財産を売却して得たお金を債権者に配当する方法で清算が行われます。
とはいえ、自己破産をしたからといってもあらゆる財産が配当のために売却されてしまうわけではありません。債務者の生活に欠かせない家具・家電や衣服、最低限の現金(99万円まで)は、自己破産をしても債務者の手元に残されます。
自己破産の手続きにおいては、債務者の財産を処分したとしても、必ず借金は残ってしまいます。「財産を処分すれば借金を完済できる」という状況であれば、そもそも支払不能とはいえず、自己破産することも認められないからです。
とはいえ、配当のために財産を拠出した債務者に、さらなる返済を強いることは酷であるともいえます。そこで、自己破産の手続きでは自己破産で清算しきれずに残ってしまった借金の返済義務を完全に免除するために「免責」という制度が用意されています。
「自己破産」という言葉にはネガティブな印象がどうしてもついてまわります。借金返済に苦しんでいる20代の方にも「若いのに自己破産なんてみっともない」、「自己破産すると将来に悪影響が出そう」といった印象をもっている人も少なくないでしょう。
しかし、返済の苦しくなった借金を抱える20代の方にとって自己破産は必ずしもネガティブな要素ばかりではありません。むしろ、早期に自己破産することは、次のようなメリットを享受でき、将来にもよい影響を与えることにつながる場合もあるでしょう。
自己破産で借金を解決する最大のメリットは、免責によって残った借金を完全に免除してもらえることです。
これに対して、他の債務整理(任意整理・個人再生)では、残元金(の一部)を数年の時間をかけて分割で返済しなければなりません。20代であれば、収入に余裕がないことも少なくないため、再度借金をしてしまうリスクを回避するためにも、手続き後に返済が残らないという自己破産のメリットは非常に大きいといえます。
自己破産は他の方法と比べて早期に借金を解決できる点も大きな特徴といえます。たとえば、任意整理や個人再生をした場合には、手続き終了から3~5年程度の期間をかけて残元金を返済していくことになるので、本当の意味で借金が解決するまでは相当な期間がかかっていまいます。
しかし、自己破産の場合であれば、申し立てから数か月~1年程度で免責を得ることができるため、任意整理・個人再生よりもはるかに早く借金を解決することができます。
自己破産の手続きは、手続きが開始された時点でのすべての借金と財産を清算するための手続きです。したがって、自己破産の手続きが開始された後に手にした財産・収入は、債権者への返済に充てられることなく、債務者自身が自由に使えます。とくに20代の人にとっては、「限られた毎月の収入を借金返済にまわすことなく自由に使える」ことのメリットはとくに大きいといえます。
自己破産で借金を解決する場合には、すでに解説した財産が強制処分される可能性のほかに、信用情報への事故情報(ブラック情報)の登録といったデメリットが生じてしまいます。
しかし、これらのデメリットは、自己破産する年齢が若いほど、後の生活に与える悪影響の程度も小さくなる場合が多いといえます。
たとえば、20代の人であれば、預貯金額もさほど多くなく、不動産(マイホーム)などの資産価値の高い財産をもっているケースも稀といえます。そのため、自己破産をした場合でも強制売却(差し押さえ)が可能な財産が、そもそも全くないということも珍しくありません。
また、信用情報への悪影響も自己破産する年齢が早いほど、将来に与える悪影響の程度は低くなる可能性が高いといえます。なぜなら信用情報は所定の期間(5年もしくは10年)が過ぎれば消去されることになっているからです。
繰り返しになりますが、所有財産が少ないケースの多い20代の自己破産は、自己破産をしても債権者への配当に充てることのできる財産がないという場合も少なくありません。この場合には、原則として同時廃止という簡易な手続きで行われることになり、手続きの期間が短くなるだけでなく、自己破産で最も負担の大きい引継予納金(破産管財人報酬:20万円~50万円)が不要となるので、費用もかなり安くなります。
ここまで解説してきたように、借金の悩みを抱える20代の人にとって自己破産は、デメリットよりもメリットの方が大きい場合の多い解決方法といえますが、自己破産を確実に成功させるためには、次のような点に注意することが大切といえます。
借金返済の行きづまりなどの問題は、早期に対応することが非常に大切です。借金のトラブルは対応が遅くなるほど状況が悪化する場合がほとんどだからです。また、状況が悪化すれば精神的にも追い詰められてしまうことから危険な対応、問題のある対応をとってしまいやすく、そのことが原因で自己破産において不利益な取扱いを受けるという負のスパイラルに陥ってしまうケースもないわけではありません。
借金返済が行きづまってしまった場合に、直近の返済のためにさらに借金をしてしまうような対応は、やってはいけない対応の典型例のひとつです。すでに借金返済が行きづまっている(家計が苦しい)状況で、返済のためにさらに借金をしてしまえば、その後も借金を繰り返し続けなければならない状況にも陥りやすくなってしまいます。
また、このような対応を繰り返すと、ほとんど返済できていない借金がある状態で行きづまってしまう可能性も高くなります。借し入れから全く返済していない借金がある場合には、自己破産それ自体を認めてもらえないこともあるので、絶対にすべきではありません。
自己破産の申立ては、債務者本人が自分ですることも認められていますが、自己破産を確実に成功させるためには、弁護士に依頼をした方がよい場合が圧倒的に多いといえます。自己破産手続きでは、申立書以外にもさまざまな書類を提出しなければならず、実務に詳しくない一般の人が自分で手続きをすれば、書類不備などのリスクを抱えることになるからです。
さらに、本人申立ての場合には、差し押さえる財産が全くなく本来なら同時廃止として処理されるケースであっても裁判所の判断で破産管財人が選任される管財事件とされてしまうこともあります。本人申立てで破産管財人が選任される場合には、弁護士申立ての場合よりも予納金の額がはるかに高くなってしまうので、費用を節約するどころか逆に高額な費用を負担しなければならないリスクを抱えることにもなってしまいます。
一般に、自己破産に対してネガティブなイメージを強くもっている方は多いと思われます。しかし、自己破産は、返済できなくなった借金を短期間で確実かつ根本的に解決できるメリットの大きな手続きです。
とくに20代の方の場合には、自己破産によって生じるデメリットも相対的に小さくなる場合が多いどころか、事実上のデメリットがほとんど生じないというケースも珍しくありません。
ベリーベスト法律事務所では、借金・自己破産のお悩みをメールや電話にて無料でご相談いただけます。また弁護士へのご来所相談も無料です。初めての方は相談費用のご心配をいただく必要もありません。借金でお困りの際にはどうぞ安心してお問い合わせください。
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借金を抱えて返済しきれなくなっても、自己破産をすれば返済義務が免除されます。しかし、税金の支払いは自己破産をしても免除されません。
実のところ、自己破産では、あらゆる債務が消滅するわけではなく、自己破産後も残る債務があることに注意が必要です。
そのような債務を抱えている場合は、自己破産以外の手段で解決しなければ、差し押さえなどの重大なデメリットを受けるおそれがあります。
本コラムでは、自己破産をしても税金の支払いが免除されない理由と、税金が払えないときの対処法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
借金問題は、誰にでも降りかかる可能性のあるトラブルのひとつです。夫婦が同時に多額の借金を抱えてしまうことも、珍しくありません。
夫婦とはいえ、金銭的な話をしていなかったことで、配偶者の借金に全く気付いていなかったというケースもしばしば見受けられます。
夫婦で多額の借金があると発覚してから、自己破産などの債務整理を検討している方もいるでしょう。借金は生活に関わってくる問題であるため、早期に正しく対応することが特に重要です。
本コラムでは、夫婦がそろって借金を抱えてしまった場合の解決方法と重要なポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
最近では、共働き夫婦の増加により、お互いの財布事情に関知しない夫婦も珍しくありません。
そのため、妻に借金があることに気づいたときには、借金の額が手に負えないくらい膨らんでいて「自己破産以外に解決方法がない」と追い詰められてしまうケースもあります。
しかし同時に、自己破産をすると配偶者である自分や子どもに何かしらの悪影響が出るのではないか、と不安に感じる方もいるでしょう。
本コラムでは、妻の借金を自己破産で解決した場合に、家族に及ぶ影響について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。