債務整理 弁護士コラム
借金の理由は人によってさまざまです。浪費や生活費の穴埋めだけでなく、他人にだまされたことで多額の借金を抱えてしまうということも、ドラマや映画の中の話ではなく、決して珍しい話ではありません。
しかし、このようなケースであっても借金を返済する義務があります。債務者が被害者でもあるので非常に気の毒ですが、詐欺と借金は別に考えるというのが法律における基本的な考え方だからです。
とはいえ、詐欺被害者には、借金をすぐに返済できないという人も多いと思います。このような場合には、どのような解決方法があるのでしょうか。
まずは、他人にだまされたことがきっかけで作ってしまった借金の返済義務について確認しておきましょう。
詐欺などの被害に遭ったことが借金の理由となっている場合には、債務者としては「自分は被害者で悪くないのだから借金も何とかしてほしい」という思いを持っていることも多いと思います。また、詐欺被害などで借金とは別に損害が発生しているときには、そもそも借金を返済できるだけの資力がないということもあるかもしれません。
しかし、このような場合であっても借金の返済はきちんと行う必要があります。詐欺被害に遭った方には非常に気の毒な結論ではありますが、法律的にはこのような結論になってしまうのが原則です。
他人にだまされて借金をしてしまった場合でも返済義務がなくならないのは、借金の債権者は詐欺とは無関係であることが一番の理由となります。したがって、それとは逆に、債権者にだまされて借金をしてしまったという場合には、その借金は返済する必要もありません。この場合には、詐欺の加害者でもある債権者を保護する必要はない、と考えられるからです。
また、詐欺の加害者と借金の債権者が別であっても、債権者が詐欺に遭っていることを知りつつもお金を貸し付けたというようなケースの場合には、借金の契約を取り消せる可能性があります。
他人にだまされて借金をしてしまった場合には、そのお金は詐欺行為の加害者の元にわたってしまっている場合が多いといえます。したがって、詐欺被害に遭った方が加害者からお金を取り戻して借金返済に充てたいと考えるのは当然でしょう。
たしかに、そのようなことができればスムーズに借金を解決できるといえますが、このような方法で借金を解決するのは難しい場合も少なくありません。
詐欺被害者がだまされたお金を取り戻すためには、詐欺の加害者を見つけ出す必要があります。しかし、この手の詐欺が行われた場合には、被害者がだまされていることに気がついたときには、加害者はすでに行方をくらませている場合がほとんどといえます。
このような場合に加害者を見つけ出す方法としては、警察に被害届を提出して刑事告訴し、捜査を行ってもらうことが考えられます。しかし、実際には「すぐに加害者が逮捕される」とは限らないので、加害者を逮捕できない、逮捕まで数年以上の時間がかかってしまうということも念頭においておかなければなりません。
また、ケースによっては、警察に被害届を受理してもらうことに苦労をするということもあるでしょう。被害者がだまされた(詐欺被害に遭った)と思っているケースであっても、警察側が「民事のトラブル」と判断し、被害届を受理しない、という可能性もあるからです。
加害者が警察に逮捕された場合や、加害者の居所を突き止めて連絡できるようになった場合でも、だまし取られたお金がすぐに帰ってくるというケースはかなり稀であるといえます。この手の詐欺行為が行われた場合には、被害者からだまし取られたお金はすでに使い込まれてしまっている場合が多いからです。
加害者の身元が特定できれば、民事裁判でお金の返金を求めることは可能ですが、勝訴判決を得たとしても「相手方の資力がゼロ」という場合には、現実的には回収困難といえます。
また、加害者が逮捕された場合には、刑事弁護活動として被害者との示談交渉がもたれるのが一般的です。示談成立の有無は、検察官が起訴・不起訴などの判断をする上で最も重要なファクターのひとつとなるからです。したがって、示談を通じてだまし取られたお金が返ってくる可能性はありますが、加害者側の資力との関係で、全額を返金してもらえるという可能性は必ずしも高くありません。
以上のように、他人にだまされてしまったことを理由に多額の借金を抱えてしまったという場合でも、借金の返済義務が免除されることはありません。
また、警察に捜査を依頼したとしても、一定以上の時間がかかるため、その間に借金返済が完全に行き詰まってしまうという可能性もあります。
詐欺行為の被害に遭えば、金銭的な部分だけでなく精神的にも大きなダメージを受けてしまいます。たとえば、結婚詐欺被害に遭ったために多額の借金を抱えてしまったようなケースでは、お金の問題よりも「結婚まで考えていた人に裏切られた」ことへのショックの方が深刻という場合もあるでしょう。
そのため、どうしてもネガティブな気持ち・対応になりやすく、誤った対応の引き金になりやすいことに注意しておく必要があります。
たとえば、以下のような対応は、借金をめぐる状況をさらに悪化させ、借金問題の解決をさらに難しくしてしまうために絶対にすべきではありません。
自分の力では返済することの難しくなった借金は、債務整理で解決することができます。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の三つの方法があり、それぞれのケースにおける事情に応じて、適切な方法を選択することになります。
たとえば、詐欺被害のために、年収を超えるような借金を抱えてしまった場合であっても、自己破産をすれば残っている借金全額を免除してもらえる可能性があります。自己破産をした場合には、手持ちの財産を強制処分されるリスクなどもありますが、生活に必要な家具・家電や、最低限の現金(99万円までの財産)は処分されずに手元に残すことができますので、実際には「自己破産をしても何も失わない」ということも珍しくありません。
借金の件数が少ないという場合であれば、任意整理をすることで、費用を抑えながら借金を解決することが可能な場合もあります。なお、任意整理は裁判所を介さないことから、手続きそれ自体も簡単で、詐欺被害に遭ったことを他人に知られてしまうリスクがないこともメリットです。
また、持ち家を手放したくない場合は、個人再生の検討をおすすめします。個人再生であれば、原則としてマイホームを手元に残し、借金を5分の1から最大10分の1まで減額できる可能性があります。ただし、裁判所へ提出する再生計画案は、法的な知識にのっとり適正に作成する必要があります。また定期的な収入があることが必須条件になります。
どのような債務整理の方法が適しているのか、まずは弁護士に相談してみましょう。
他人にだまされて自分では返済できないほどの多額の借金を抱えてしまった場合には、できるだけ早いうちに弁護士に相談されることを強くおすすめします。他人にだまされた借金の解決を弁護士に相談・依頼するメリットとしては、次のような点をあげることができます。
弁護士に相談をする最大のメリットは、それぞれの状況に応じて最も適した対処方法をアドバイスしてもらえることです。特に他人にだまされて多額の借金を抱えたケースでは、いろいろな対応を同時並行的に行っていかなければならないことも多く、専門家による支援を受けることは、被害の拡大防止の観点からもとても重要といえます。
返済が難しくなった借金を抱えたときには、債権者からの取り立てが大きなプレッシャーになってしまうことも多いと思います。実際にも、債権者からの取り立てへの不安で精神的に追い詰められてしまい、目先の借金返済のために他社からの借り入れを繰り返してしまったり、ヤミ金などと関わりを持ってしまったために、状況がさらに深刻になってしまうケースも珍しくありません。
この点、弁護士に債務整理を依頼すれば、金融機関からの取り立てを即座にストップさせることができます。金融機関は、弁護士に債務整理を依頼した債務者への、直接の取り立てを法律等によって禁止されているからです。
弁護士に依頼をすることは、警察の対応がスムーズになるという点でも大きなメリットがあります。弁護士によって被害届が提出されるようなことになれば、警察としてもしっかりとした対応を取らざるを得なくなるからです。
また、警察に動いてもらえるだけの証拠などを収集するという面でも、被害者本人だけで活動するには限界がありますし、加害者逮捕後の民事裁判(加害者への損害賠償請求)への対応も、早期に弁護士に依頼した方がスムーズに対応できるといえます。
他人にだまされたことで多額の借金を背負った場合には、精神的にもかなり追い詰められてしまっている場合が少なくありません。また、詐欺被害にあった経緯によっては、他人にだまされたということを誰かに相談するのも難しい場合もあると思います。このような状況に陥っていることを誰にも知られたくない、という感情それ自体は珍しいことでもなんでもないからです。
弁護士にご相談いただければ、それぞれのケースで被害者の方が抱えているつらい気持ちなどを受け止められる場合も多いと思います。また、弁護士や事務所スタッフには職業上の守秘義務があるので、ご相談いただいた内容が他に漏れてしまう心配もありません。
他人にだまされて多額の借金を抱えてしまった場合には、だまされていたことについての大きなショックを受けてしまうことに加え、毎月やってくる借金の返済にも追われることになり、精神的な負担の重さもはかり知れません。
そのため、つらい現実から早く解放されたいという気持ちが強くなってしまうあまりに、リスクの高い対応をしてしまうケースは珍しくありません。弁護士にご相談いただければ、それぞれの状況に応じて、問題解決に最も適した方法をアドバイスさせていただくことができます。また、いまの思いなどを弁護士にお話しいただくことで、精神的な負担を軽くできる場合も多いといえます。
ベリーベスト法律事務所では、借金に関するご相談は何回でも無料でご利用いただけますので、ご不安なことがあるときには、いつでも相談いただくことも可能です。どうぞ安心してお問い合わせください。
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借金の返済日が迫っているのにお金が足りないという状況で、落ち着いていられる方はほとんどいないでしょう。
借金が返せなければ、「家族に借金がバレるかもしれない」「給料が差し押さえられてしまうかもしれない」と不安になり、慌てて対応してしまう人もいるはずです。
しかし、このような対応は、逆に状況を悪化させてしまうことも少なくありません。
本コラムでは、借金が返せないとどうなるのかを解説するだけでなく、借金が返せないときでもやってはいけないこと、借金が返せないときの正しい対処方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「期限の利益って何のことだろう?」「期限の利益喪失通知書が自宅に届いたけど、どうすればよい?」……借金をしている方のなかには、このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。
期限の利益とは、「期日までにお金の返済をすればよい」という債務者と債権者(銀行や貸金業者など)の約束事を言います。
いつまでに借金を返せばよいのか、返済日をあらかじめ決めることにより、債務者は返済のめどを立てることができます。そして、「返済日に返す」ということは、それまでは返さなくていよいということです。
期限の利益という言葉においては、その「返さなくてもよい」ということを、「利益」と表現されています。
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期限の利益について悩んでいる方のご参考になれば幸いです。
債務整理は、借金問題を解決するための法的手続きの総称です。
債務整理の手続きを通して、合法的な手段で借金を減額したり、返済そのものを免除したりすることができます。しかし、それと引き換えに、一定のデメリットもあります。
債務整理には任意整理や特定調整、個人再生、自己破産といった種類があり、それぞれ特徴や注意すべき事項が異なります。
そのため、借金問題を適切に解決するためには、自分に合った手続きを選ぶことが重要です。
本コラムでは、債務整理の各手続きにおけるデメリットや、債務整理のなかでも自分に合う方法の選び方について、ベリーベスト法律事務所 債務整理チームの弁護士が解説します。