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「押し貸し」とは? ヤミ金被害に遭ったときの適切な対処方法

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更新日:2024年09月25日 公開日:2020年11月24日

「押し貸し」とは? ヤミ金被害に遭ったときの適切な対処方法

自分の銀行口座に身に覚えのない振り込みがあったときには、ヤミ金からの「押し貸し」である可能性が考えられます。

不要なトラブルに巻き込まれるリスクを回避するためにも、「誰かがお金をくれてラッキー」などと安易に考えずに慎重に対処しましょう。

本コラムでは、ヤミ金手口のひとつである押し貸しの基本的な仕組みや、押し貸しされたときの正しい対処方法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。

1、押し貸しとは? ヤミ金手口のひとつ

押し貸しとは、その言葉のとおり、「お金を貸してほしい」と頼んでいないのにもかかわらず、相手方の方から無理やりお金を貸し付けてくる(押しつけてくる)行為のことをいい、ヤミ金の手口のひとつです。

ヤミ金から押し貸しされてしまった場合に、そのまま放置していると「法外な利息の支払い」を要求されてしまいます。ヤミ金はいったん捕まえた顧客を簡単には手放さないので、素直に返金に応じてもらえる可能性は低く、非常に危険です。

2、押し貸しされてしまう2つのケース

「押し貸し」は、やみくもに適当な銀行口座に送金しているというわけではありません。
押し貸しが行われるのは、何かしらの事情によって、銀行口座の情報だけでなく、口座名義人の連絡先も把握しているケースに限られるといえます。よくわからない相手に送金をしても、「押し貸し行為」はできないからです。

押し貸しにあってしまうよくあるパターンとしては、次の2つの場合を挙げることができます。

  1. (1)過去にヤミ金と関わりがあった場合

    押し貸しにあってしまう最も典型的なケースは、すでにヤミ金業者と関わったことのある人の場合です。ヤミ金と過去に取引があれば、顧客の口座番号も連絡先(電話番号やSNS・メール)も把握されているからです。

    すでに関わりのあるヤミ金業者からの押し貸しは、次のように行われることが多いといえます。

    • ヤミ金からの借金を完済した後に、借金の申し込みもしていないのに押し貸しされる
    • ヤミ金への借金申し込みを撤回したのに、押し貸しされる
    • ヤミ金との取引の途中で申し込んでいない追加の借金を押し貸しされる


    ヤミ金行為の勧誘は、常に逮捕・摘発のリスクと背中合わせといえます。

    その意味で、ヤミ金業者としては、新しい顧客を探すよりも、すでに知っている顧客からより多くの利息をむさぼりとる方が効率もよく安全ということが押し貸しの行われる理由といえます。つまり、押し貸しされたということは、ヤミ金業者から「カモになりやすい顧客」と目を付けられていると考えても良いでしょう。

  2. (2)過去に詐欺被害に遭った場合・個人情報が流出した場合

    押し貸しをされてしまうもうひとつのパターンは、ヤミ金業者とは関わりがなかったとしても、過去に何かしらの詐欺に遭った経験がある場合です。

    悪質業者の間では、顧客名簿の横流しのようなことは横行しています。そのため、過去に詐欺被害に遭ったことのある人は「カモの有力候補」といえるわけです。

    たとえば、フィッシング詐欺などに遭ってしまった場合には、自分の気づかないうちに口座番号・電話番号などの情報が盗み出されている場合も考えられます。また、ネットオークションなどで怪しい業者と取引した場合などにも、他の悪質業者に口座情報などが横流しされてしまうということもあり得えます。

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3、押し貸しされたお金は使っても大丈夫か?

押し貸しされたお金は慎重に取り扱う必要があります。押し貸しされた後に不適切な対応をとってしまえば、「タダより高いものはない」といわれるように、大きなトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

  1. (1)ヤミ金による貸し付け行為は不法原因給付

    最高裁判所の判例には、「ヤミ金からの借金は元金の返済も必要ない」という判断したものがあります(最高裁判所平成20年6月10日判決)。ヤミ金行為は、法外な利息の搾取を目的とした公序良俗に反する行為なので、不法原因給付にあたるというのがその論拠です。

    この理屈を前提にすれば、「押し貸しされたお金も不法原因給付に該当するので返金する必要はない」と考えることができそうです。

    しかし、身に覚えのない振り込みのすべてが押し貸しであるかどうかは、「振り込まれたというだけでは判断することはできない」ということに注意しておく必要があるでしょう。

  2. (2)誤って振り込まれたお金を使い込むと犯罪になる

    他人の振り込み手続きにミスがあったことが原因で自分の口座にお金が振り込まれた場合には、そのお金は返金しなければなりません。もっとも、こちらで手数料などを負担してまで返金する必要はないといえますが、誤送金、入金ミスによって取得したお金を使い込んでしまった場合には、「窃盗罪」などの罪に問われる可能性があります。

    これについては、道ばたなどに落ちているお金を使い込んでしまった場合と同様に考えるというわけです。

    「身に覚えのないお金が振り込まれただけ」の状態は、法外な利息の支払いを求められているわけではないので「ヤミ金からの押し貸しである」と断定できない場合の方が多いといえます。

    それとは逆に、ヤミ金からの利息の支払いを要求される前に振り込まれたお金を使い込んでしまえば、ヤミ金業者に対する「窃盗」や「詐欺」にあたると脅される口実にもなりかねません。

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4、押し貸しされたときの対処方法

押し貸しに気づいたときには、「お金をもらえてラッキー」というように安易に考えることはとても危険です。大きなトラブルに巻き込まれてしまうことを避けるためにも慎重に正しく対応しましょう。

  1. (1)銀行に連絡する

    身に覚えのない相手からの振り込みを確認した場合には、まずはその口座を管理している銀行に連絡しましょう。場合によっては、単純な「誤振り込み」である可能性もありうるからです。

    誤振り込みだった場合には、振り込まれたお金を元の所有者に返金する手続き(振り戻し・組み戻し)が行われますが、こちらが手数料などを負担する必要はありません。

  2. (2)銀行口座やスマホ・携帯を解約する

    押し貸しが疑われる振り込みがあった場合には、今後も同様の被害に遭う可能性が高いといえます。すでに上でも触れたように、悪質業者は同じターゲットを繰り返し狙う傾向があるからです。実際にも、違う手口で何度も詐欺に遭ってしまうという人も少なくありません。

    押し貸しを予防するには、ヤミ金などの悪質業者が把握している銀行口座、携帯・スマホを解約してしまうのがもっとも確実な方法といえます。

  3. (3)弁護士に相談する

    押し貸し被害に遭ったときには、ヤミ金対応の経験の豊富な弁護士にすぐに相談すべきといえます。ヤミ金業者は、違法業者なので、一般の人が交渉したところで素直に応じてくれない可能性があるからです。

    また、警察に相談をしたとしても、ヤミ金業者の摘発は簡単ではないので、報復行為を受けるリスクがないとはいえません。弁護士に対応を依頼すれば、依頼人の身の安全と押し貸しの解決、振り込まれたお金の処理のすべてを安心して任せることが可能です。警察に対応してもらわなければならない事態になった場合も、弁護士が間に入っていることでよりスムーズに対応してもらえます。

  4. (4)供託で返金できる可能性がある

    ヤミ金から押し貸しされたお金は、使わずに返金してしまうのがもっとも安全な対処方法といえます。

    しかし、ヤミ金行為目的で押し貸しされたお金は、返金しようにも返金先(振り戻し先)がわからないというケースもあるでしょう。被害者はヤミ金業者の詳細について知らない場合の方が多いからです。過去の取引に用いた電話や銀行口座なども、すでに使えなくなっている(凍結されている)場合も少なくありません。

    そのような場合には、供託という手法で返金できることがあります。
    供託とは(法務省)

    なお、弁護士に依頼していれば、供託手続きについても対応してもらえる可能性があります。

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5、まとめ

押し貸し行為は、放置しておくと大きなトラブルに発展する可能性の高いとても危険な手口であるため、甘く考えてしまうべきではありません。

特に、過去にヤミ金業者と取引のあった人や詐欺被害に遭った経験がある人の場合には、今後も似たような手口の被害に見舞われる可能性も高いといえます。だからこそ、そのようなリスクを完全に絶つために、弁護士に相談することが重要です。

身に覚えのない不審な振り込みがあった場合には、決してお金を使い込んだりせずに、できるだけ速やかに対処していきましょう。

ベリーベスト法律事務所では、押し貸しやヤミ金、借金問題のトラブルについて、お問い合わせを受け付けております。もしお困りの際は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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