債務整理 弁護士コラム
ヤミ金への規制は年々強化されていますが、それとは逆行して近年ではヤミ金被害が増えているとの指摘があります。
実際、ヤミ金はさまざまな手口で私たちにとってかなり身近なところに存在しているといえますが、「ヤミ金に借りてしまった場合のリスク」については漠然とした知識しかない人の方が多いと思います。
そこで、今回は、ヤミ金から借金してしまった場合に発生する具体的なリスクなどについて解説していきます。
「数万円くらいならすぐ返せるからヤミ金でも大丈夫」と安易に考えている人はこの記事を参考にしてください。ヤミ金とは絶対に関わるべきではありません。
ここではヤミ金の定義やヤミ金業者増加の理由についてご紹介します。
まずは、ヤミ金の定義について簡単に確認しておきましょう。
ヤミ金というと暴力団をバックにした金貸しをイメージする人が多いと思いますが、「ヤミ金だから暴力団」というわけではありません。
貸金業を行うためには、法令に基づいて国(財務局)や都道府県知事からの許可を得る必要がありますが、その許可を得ずに営業行為として他人にお金を貸している者は、暴力団であってもそうでなくてもヤミ金ということになります。
実際、近年では経営が立ちゆかなくなった(免許の更新をしなかった)中小の消費者金融などのように、必ずしも暴力団を背景にしないヤミ金も増えているといわれます。
ヤミ金業者が増えている理由は種々ありますが、特に大きな要因としてあげられるのは、次の3点といえるでしょう。
特に、近年のヤミ金被害の増加は、「総量規制」を要因とするものが多いといえます。
総量規制というのは、顧客の年収の1/3を超える貸付を行うことを貸金業者に対して禁止する規制ですが、この総量規制のため中小の消費者金融には経営が苦しくなったところも少なくありません。
これらいわゆる「街金」は、すでに大手などから借入れのある多重債務者をメインの顧客としてきたところも少なくありません。
そのため、総量規制の下では正規の業者として営業を続けることが困難になりヤミ金化するものもあるようです。
また、借り手側にとっても、総量規制によって「正規の金融機関では借りられないがお金(借金)が必要」という人がかなり増えたといえます。
借金苦の人を減らそうとして行われた規制である総量規制がヤミ金需要を増やしているというのは、皮肉なことです。
ヤミ金から借金してしまう人であっても「ヤミ金は危険」ということは頭ではわかっていると思います。
ただ、これらの認識は漠然とした知識に過ぎない場合が多いといえます。
そこで、以下では、ヤミ金から借金してしまった場合の4つのリスクを解説することで、ヤミ金の怖さを具体的にイメージしてもらえたらと思います。
ヤミ金からお金を借りた場合には、法外な利息を要求されることは、最もよく知られたヤミ金のリスクといえるでしょう。
とはいえ、実際にどのくらいの利息を要求されるかについてきちんと知っている人は少ないかもしれません。
ヤミ金の利息というと「トイチ」という言葉を思い浮かべる人が多いと思います。
トイチというのは、10日で1割の利息が発生することを意味している言葉ですが、実際のヤミ金の利息はトイチどころではありません。
最近のヤミ金は、トヨン・トゴ(10日で4割・5割)といった金利を要求する業者が一般的で、金利の安いところでもトニ・トサンが相場とされています。
ちなみに、トヨンを年利に換算すれば単利計算では1460%となりますので、正規の貸金業者から借りたときとの比較では、70倍以上の利息ということになります(複利計算で換算すれば215万%という天文学的な数字になります)。
ヤミ金被害に遭ってしまう人には、「ヤミ金といっても借りるのは数万円程度だしすぐに完済すれば問題ない」と考える人が少なくないようです。
しかし、ヤミ金からの借金は完済することは難しいといえます。驚く人もいるかもしれませんが、ヤミ金業者にとって「元金の完済は好ましくない」ことだからです。
ヤミ金業者は、「法外な利息を長期間取り続ける」ことを目的に、お金を貸し付けています。
たとえば、トゴの利息が適用されていれば、利息を2回支払ってもらえればすでに元金を超える利息を手に入れられることになります(実際の取引では名目上の元金から所定の金額(初回利息など)を差し引いた額しか振り込まれません)。
したがって、ヤミ金業者としては「早く完済してもらう」ことに全くメリットがないどころか、完済されれば利息を搾取できなくなる点でむしろ不都合というわけです。
実際、ヤミ金からの借金を完済しようとすると、「事前に連絡が必要」、「完済の受付期限を過ぎている」と難癖をつけて元金の返済を受け付けなかったり、完済できないように妨害する(電話連絡に対応しないなど)ことも珍しくありません。
したがって、「すぐに完済できるから少額なら大丈夫」という考えでヤミ金と関わることは非常に危険であるといえます。
ヤミ金というと「暴力的な取り立て」をイメージする人が多いと思います。
しかし、マンガなどで目にするような「パンチパーマをかけたコワモテの取立人が家に押しかけてきて居座る」というようなことは、いまのヤミ金は行いません。
ネットなどを利用して全国に顧客のいるヤミ金業者にとって債務者の家に出向いて取り立てを行うことは、手間暇・費用がかかるだけでなく、逮捕されるリスクもあり、「割の合わない取り立て方法」だからです。
また、「期日までに支払わないと危害を加える」といったような暴力的な言動で利息の支払いを迫るようなこともあまり行いません。
債務者を追い詰めてしまえば、それだけ警察に通報されてしまうリスクが高くなるからです。むしろ、毎回の利息の支払いをきちんとしている間は、親切な対応をしてくれるヤミ金業者の方が多いといえるでしょう。
しかし、毎回の利息の支払いに行き詰まった債務者に対しては、厳しい取り立てが行われます。
最近では、契約の際にLINE・TwitterなどのSNSのIDを申告させるケースが多いので、それらを用いて執拗に取り立てを求めるケースが増えているようです。
また、これらのSNSを通じて、「債務者の知人に借金の事実を言いふらす」ことをほのめかすなどのプレッシャーをかけてくることもあるでしょう。
最近のヤミ金業者は、返済に行き詰まった債務者に対して、残債務の返済と引き換えに犯罪行為に加担・協力することをもちかけることも増えています。
ヤミ金業者が加担を要求する犯罪行為の例としては、次のようなものがあります。
運び屋や出し子といった行為は、逮捕(→懲役刑)に直結する可能性の高いとても危険の高い犯罪行為です。
他方で「銀行口座やスマホなどの譲渡くらいなら・・・」と考える人もいるかもしれませんが、銀行口座やスマホ・携帯の他人への譲渡も法律で禁止されている行為です。
特に、違法に譲渡された銀行口座が犯罪行為(振り込め詐欺など)に利用された場合には、その名義人の銀行口座は、他行他支店を問わずにすべて凍結されてしまいます。
また、犯罪に用いられた口座名義人の情報は、すべての銀行で共有されることになるので、最悪のケースでは「一生銀行口座を持てない」という事態になるおそれがあります。
銀行口座を持つことができなくなれば、給料の振り込みなどにも大きな支障がでます(犯罪に加担したことを勤務先に知られる原因にもなりかねません)。
最近は、一般の人がぱっと見ただけではヤミ金とは気づかない手口も増えています。
たとえば、個人間融資などは、事前のSNSやメールでのやりとりだけでは相手がヤミ金だとわからなかったということもあるかもしれません(※個人間融資は例外なくヤミ金です)。
最近では、債務者の身の上話などを丁寧に聞いてくれるヤミ金も増えているようなので、「怖い対応=ヤミ金」というイメージが強いほど今のヤミ金手口に騙される可能性も高いといえるので注意が必要でしょう。
万が一、ヤミ金と関わってしまった場合には、「ヤミ金からの不当な要求には屈しない」ことが大切です。
ヤミ金は、あの手この手で巧みに債務者の心の隙をついてきます。
1度でも相手の要求に屈してしまえば、取り返しのつかない事態になる可能性も高いといえます。
ヤミ金が要求してくる法外な利息は、「違法金利」です。
したがって、これを支払わなければならない法律上の義務はありません。
また、最高裁判所は、「法外な違法金利を搾取する目的でなされたヤミ金行為(融資)は法的に無効な行為なので元金の返済も必要ない」という判断を示しています。
上で述べたことを前提にすれば、ヤミ金からお金を借りてしまったという場合には、「取り立てなどを無視して諦めてくれるのを待つ」という選択肢もありそうです。
とはいえ、このような方法は、ヤミ金業者を必要以上に刺激し、報復行為に遭う可能性を高くするだけなので絶対にすべきではありません。
また、警察への相談も、被害届などの様式を整える手間(「相談」では警察は動いてくれないことがあります)や、他の事件との関係ですぐに動いてもらえない、動いたとしても検挙できない(無店舗営業のヤミ金を逮捕・検挙することはかなり大変です)といったリスクを抱えることになります。
検挙・摘発に至らなかった場合の報復リスクは、債務者だけが負うことになる点に注意しておく必要があるでしょう。
その点、弁護士に依頼をすれば、債務者のみの安全と借金問題の解決とを両立する対応をとることが可能となります。
ヤミ金被害に遭ってしまう人は、正規の金融機関からも(返済不能になっている)多額の借金を抱えていることも多いので、これらの問題もまとめて解決することも大切です。
時代や環境の変化に伴ってヤミ金自体も大きく変わってきています。
たとえば、人気漫画のミナミの帝王で描かれるようないわゆるコテコテのヤミ金業者は、いまではほとんどいないといってよいのではないでしょうか。
また、以前よりもヤミ金からはお金が借りやすくなっていることにも注意する必要があります。
規制の強化よりもITなどの普及によりアクセスしやすい(足跡を残さずに営業しやすい)環境の整備の方が進んでしまっているといえるからです。
他方で、ヤミ金からお金を借りてしまった場合のリスクは、いままで以上に重くなっているといえます。
いまでは、ヤミ金と関わってしまうことが、自分自身が犯罪者となるきっかけにもなりかねないからです。
ヤミ金は上手に債務者をコントロールするためのノウハウに長けています。
万が一、ヤミ金と関わってしまった場合には、「自力で何とかしよう」とは考えずに、ヤミ金対応の経験が豊富な専門家に相談することが一番です。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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『旦那や家族には言っていないけど、実は私、借金を抱えてます…』
実は、主婦で借金を抱えている人は多く、それを言えずに悩んでいる方もたくさんいるのが現状です。もしかしたらこの記事をご覧のあなたも、そういった悩みをお持ちなのかもしれません。
一人で悩むことなく、主婦で借金をしている人は意外と多いということを知っていただいて、ぜひご自身の借金返済について前向きに考えていってください。この記事があなたにとって、ご参考になれば幸いです。
これから債務整理をしようと考えている方の中には、債務整理後にキャッシングできるのか、債務整理中にお金が足りなくなったときキャッシングを利用することは認められるのかと、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、債務整理をしたことで、キャッシングなどを法律で禁止されるわけではありません。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)ので、ほとんどの金融機関は、融資に応じてくれなくなります。
親子であっても、他人の借金を返済する義務は原則としてありません。肩代わりするかどうかは、基本的に子ども自身の判断で自由に決められます。
しかし親の借金でも子どもに返済義務が生じることがあり、借金を放置すると子どもが差し押さえを受けることにもなりかねません。
本コラムでは、親の借金が降りかかってきた場合に、子どもはどのように対処すればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。