債務整理 弁護士コラム

自己破産すると連帯保証人にどのような迷惑をかけることになるのか?

2020年10月15日
  • 借金問題
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自己破産すると連帯保証人にどのような迷惑をかけることになるのか?

「連帯保証人にはなるな!」といわれたことはありませんか?
住宅ローンなどのような契約では、金融機関から連帯保証人を立てるように求められることがあります。
親族や親友などに連帯保証人になってもらうケースは多いですが、ローンが返済できなくなってしまった場合には、親族や親友などとトラブルに発展してしまうことも考えられます。
また、最近では、奨学金の連帯保証が原因で自己破産に追い込まれるケースも増えていて社会的な問題にもなっています。

そこで本コラムでは、連帯保証人の責任や、主たる債務者が自己破産をすると連帯保証人はどうなるか、そして連帯保証人が返済すべき借金の範囲などについて解説します。

借金が返済できず連帯保証人に迷惑がかかるのではないかと悩んでいる方や、連帯保証人になることを検討している方は参考にしてください。

1、主たる債務者が自己破産すると連帯保証人はどうなる?

主たる債務者(実際に借金した人)が借金返済に苦しみ、自己破産を選択すると、連帯保証人の責任はどうなるのでしょうか。以下で確認してみましょう。

  1. (1)主たる債務者が免責を受けても連帯保証人の責任はなくならない

    民法の規定では保証債務には「付従性」があるとされています。
    「保証債務の付従性」というのは、簡単にいえば、保証債務は主たる債務と「運命を共にする」ということです。
    つまり、主たる債務者による弁済、債権者による免除などによって主たる債務が消滅した場合には、保証債務も消滅するということです。

    しかし、破産法には、「免責許可の決定は、債権者が破産者の保証人、その他の破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない」とする規定があります。

    そのため、主たる債務者が自己破産をして免責を受けたとしても、保証債務には影響を与える(保証債務が免責される)ことはなく、連帯保証人の責任はそのまま残る(連帯保証人は保証債務の支払いに応じる必要がある)ということになります。

  2. (2)債権者からの取り立て

    主たる債務者が自己破産をすると、債権者は連帯保証人に保証債務の一括請求をすることができます。
    債権者が連帯保証人対して保証債務を一括請求することができるのは、主たる債務者が期限の利益を失ったときになりますので、実際には主たる債務者が自己破産の申し立てをするより前に連帯保証人が取り立てを受けることもあります。

  3. (3)財産の差し押さえになることも

    主たる債務者が自己破産をしたときには、債務者が抱えている負債は、債務者の財産を処分して得られた金銭で返済されることになります(破産手続きにおける配当)。しかし、連帯保証人がいるときには、その債権者は、主たる債務者の破産手続きとは別に、連帯保証人に対して返済を求め、その財産を差し押さえることで債権を回収することも可能です。

    つまり、連帯保証人には「まずは債権者の財産から回収してほしい(先に破産手続きの配当を受けてほしい)」と反論する権利がないということです(「検索の抗弁権がない」といいます)。

2、連帯保証人が返済すべき借金の範囲

主たる債務者が自己破産した場合の連帯保証人の責任・リスクについては具体的な数字を出して解説した方がわかりやすいと思います。
そこで、住宅ローンの主たる債務者が自己破産した場合を例に解説していきたいと思います。

【事案の設定】
ここでは、以下の設定について、主たる債務者が自己破産したら連帯保証人にはどの程度の責任が生じるかということについて確認していきたいと思います。

  • マイホームの購入価格3000万円
  • 主債務者Aは、頭金500万円+B銀行からの住宅ローンの借り入れ2500万円で購入
  • C(Aの兄)が住宅ローンの連帯保証人となり、保証会社Dのために2500万円の抵当権を設定
  • Aが住宅ローンを800万円返済したところで、勤務先が倒産し自己破産(残債務1700万円)
  • 自己破産当時のマイホームの評価額は1200万円、その他はめぼしい財産なし
  • マイホームの競売落札価格は1000万円


  1. (1)連帯保証人に取り立てがくるタイミング

    まずは、住宅ローンの債務者が自己破産した場合の基本的な流れは下のとおりになります。
    なお、説明の便宜上、諸経費などは考慮しないものとします。

    ①弁護士への依頼

    ②債権者(B銀行)への受任通知の送付

    ③期限の利益の喪失

    ④保証会社Dによる代位弁済の実行(DがBにローン残債務1700万円を代位弁済)

    ⑤自己破産申し立て

    ⑥保証会社もしくは破産管財人による競売の実施(マイホームの売却)

    ⑦破産手続きの終結(Dへの配当の実施(1000万円の支払い))

    ⑧免責審尋

    ⑨免責許可決定

    ⑩免責の確定

    この流れの中では、④の段階まで来たときには、債権者(住宅ローンの保証会社D)から連帯保証人Cへの一括請求(ローン残債務の取り立て)が行われる可能性が生じます。

  2. (2)残っているローン全額の支払いを請求される可能性がある

    主たる債務者Aのために代位弁済を行った保証会社Dは、次のうちどちらかを自由に選択できます。

    • 担保として提供を受けた物件を競売にかけて債権を回収するか
    • もしくは連帯保証人Cから債権を回収するか

    一般的には、不動産を売却して債権の大部分を先に回収した方が効率も良いケースが多いといえますが、競売には費用も時間もかかるため、C(連帯保証人)の資産状況によっては、「先に連帯保証人から満額回収した方が良い」と債権者が判断することもありうるわけです。

    したがって、担保権者である保証会社Dが連帯保証人Cから回収することを選択した場合には、自己破産時の債務残額1700万円を一括請求される可能性があります。
    担保があるから取り立てられる金額も少ない、などと決めつけてしまうのは危険といえます。

    この場合に、連帯保証人であるCはDに対して「先に破産手続きで配当を受けてほしい」と反論できないことは、すでに解説したとおりです。

  3. (3)肩代わりした分を主債務者から回収できるのか?

    連帯保証人Cが債権者に弁済を行った場合には、肩代わりした金額について主たる債務者Aに請求できる「求償権」が認められています。しかし、この求償権は、主たる債務者Aが自己破産した場合には、免責の対象となってしまいます。

    つまり、主たる債務者Aが免責を受けると、Cからの求償に応じる義務も免責されてしまう(Cによる立て替え分を返済する義務がなくなる)ということです。

    ただし、自己破産によって免責された債務は、「法律上消滅する」というわけではありません。免責の効果は返済義務を消滅するだけにとどまるので、Aからの任意の返済を受けられる可能性は残されていますが、法律上それを強制することはできなくなるということです(法律用語では、自然債務になると表現します)。

3、連帯保証人が必要な借金は「できるだけしない」のが鉄則

一般論としては、連帯保証人が必要な借金はしないことが理想といえます。

しかし、ローンの種類によっては、連帯保証人が欠かせないというケースもあるでしょう。
そのような場合の対処方法としては、次のようなものを挙げることができます。

  1. (1)保証会社(機関保証)を利用する

    親族や友人などに連帯保証人を頼むことを回避するもっとも一般的な方法は、保証会社(機関保証)を利用する方法です。

    近年では、アパート・マンションなどの賃貸借契約の際には、保証会社との契約で対応できる(むしろ保証会社を利用しないといけない)ケースが増えていますし、銀行カードローンなどでも保証会社が利用される場合が一般的です。

    住宅ローンの場合、保証会社のために抵当権を設定することで連帯保証人が不要という商品も少なくありません(ただし、ペアローン・収入合算でローンを組んだ場合には、保証会社を利用しても連帯保証人が必要となります)。

    また、奨学金(日本学生支援機構の奨学金)を借りる場合でも、現在では、親などの連帯保証人ではなく機関保証を利用して貸与を受けることが可能です。

    保証会社を利用できれば、万が一の場合に連帯保証人に迷惑をかけることもありません。

    ただし、それと引き換えに毎月の保証料を負担しなければならない場合や、住宅ローンやカードローンでは保証料が金利に含まれている場合もあります。

    もっとも、保証会社が債務残額を返済した場合には、保証会社から主たる債務者へ求償権が行使されるので、自己破産で免責が認められた場合を除けば「保証会社を利用したから返済しなくて良い」ということにはならないことに注意しておくべきでしょう。

  2. (2)借り換えによって連帯保証人を解除できる場合も

    債務者が毎月ローンを遅滞なく支払えているうちに、今借りている金融機関よりも、より有利な条件でほかの金融機関への「借り換え」をすることもひとつの方法です。

    たとえば、すでに相当額の返済を済ませているケースや、担保価値が十分にある(物件の売却額が高く確実にアンダーローンとなる)ケースなどでは、「連帯保証人不要の借り換え」をできる可能性も高いといえます。

    住宅ローンの場合のように、他の担保を提供している場合には、連帯保証人は補充的な担保にすぎないと考えられるからです。

    「将来、万が一のことが起きるかもしれない」ということが不安な人は、きちんと返済ができているうちに、より有利な条件での借り換えを検討してみるのも良いでしょう。

4、できるだけ早く連帯保証人と専門家に相談

すでに解説したように、主たる債務者が借金の返済ができなくなり自己破産をすると、連帯保証人には多大な迷惑をかける可能性があります。

連帯保証が必要な借金は、金額が大きいものも多く、主たる債務者の自己破産を原因に、連帯保証人も自己破産に追い込まれてしまうケースは珍しいことではありません。

借金の問題は早期対応が鉄則です。
借金が膨らみきる前に対応できれば、自己破産以外の方法で解決できる可能性も高くなり、連帯保証人に迷惑をかける可能性や程度も小さくできる場合があります。

住宅ローンの返済についても、「住宅ローン特則付き個人再生」で解決できるのであれば、連帯保証人に迷惑をかけずに解決可能です。

連帯保証人のいる借金があるときには「連帯保証人に迷惑をかけたくない」と考えるあまりに対応が遅くなるケースが少なくありませんが、逆効果となることも多いので注意しておくべきでしょう。

5、まとめ

連帯保証人には、法律上、主たる債務者とほぼ同等の義務が生じます。
したがって、主たる債務者の自己破産をした場合、連帯保証人に多大な迷惑をかけることになります。

しかしながら、その一方で「連帯保証人に迷惑をかけたくない」からといって、返済することが不可能になった借金問題を先送りすることはとても危険です。対応が遅れたことで状況がさらに悪化すれば、連帯保証人にかける迷惑もさらに大きくなってしまうことが多いでしょう。

また、債務者自身は「自己破産しかない」と考えていたとしても、他の方法で解決できるというケースもあります。
誰にも相談をせずにひとりで悩むことは危険です。
早めに弁護士などの専門家に相談をすれば、自己破産せずに、連帯保証人にかける迷惑を最小限に食い止めた上で借金問題を解決できる可能性があります。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理に関するご相談は無料で受け付けております。専門チームが、最適な債務整理の方法をご提案しますので、まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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