債務整理 弁護士コラム
「借金の任意整理が終わったのはいいが、毎月自分で複数の業者に返済を続けるのは面倒だな……」
借金の整理を終えた方の中には、そんな心配を抱えている人もいるのではないでしょうか。しかし、債務整理は完済まで気を抜けません。債務を整理できたとしても、返済途中で頓挫してしまえば、また振り出しに戻ってしまうからです。
そこで、おすすめしたいのが「弁済代行」という方法です。弁済代行は、債務者に代わって、弁護士などが返済手続きを代行することを言います。
この記事では、債務整理を済ませた方に向けて、弁済代行の手続きや費用についてポイントを押さえつつ解説しています。
まずは、弁済代行の基本を押さえましょう。弁済代行の手続き、サービスを行う主体、費用などを説明していきます。
弁済代行とは、毎月の返済を債務者に代わって行うサービスです。
債務整理を終えた後に、返済計画にしたがって債権者に返済をするわけですが、これを本人だけでやっていると、返済をうっかり忘れてしまったり、あるいは返済資金が不足して返済が滞ったりする場合があります。
弁済代行はこのようなケースを想定したサービスです。債務者は、債務整理を代理した弁護士の口座に、返済資金を入金しておきます。すると、毎月の返済日に、弁護士が債務者に代わって、各債権者に弁済を代行してくれます。
弁済代行は、ATMやネットバンキングを使った返済を本人に代わって行うだけですので、機械やパソコンが操作できれば誰でも行えます。
現在、弁済代行を業務としているのは、主に弁護士です。
これは、弁済代行に、債務整理をきちんと完了させるためのアフターフォロー的な意味合いがあるからです。そのため、債務整理を代理・代行する権限を持つ弁護士などに限定されます。
なお、一部の貸金業者が、「振り込み代行サービス」などと称して、弁済代行に似たサービスを行っています。その実態は、「債務者の借金を立て替え払いし、後日利息付きで返済を求める」というもので、実質的には新たな借金と同じ仕組みです。
弁済代行とはまったくの別物ですので注意してください。
弁済代行の費用は、振り込み1件あたり1000円(税抜き)程度が相場です。
たとえば、毎月4社に返済するなら、1年で4000円×12=4万8000円の手数料が別途必要になります。
弁済代行には、以下のようなメリット、デメリットがあります。
双方を比較検討して、弁済代行を利用すべきか判断しましょう。
●資金不足による返済の遅れが防げる
弁済代行は、返済資金を弁護士の口座にあらかじめ入金することを手続きの前提としています。
もし、予定日までに入金がなければ、弁護士から入金の催促があります。それでも入金がない場合は、弁済代行の契約が解除されます。
つまり、弁済代行を利用することで、「返済資金が不足しないように無駄遣いをやめなきゃ!」といった、返済に向けたコスト意識が高まります。
その結果、「お金が足りなくて、返済計画通りに返済できなかった……」という事態は起きにくくなります。
●「うっかり忘れた!」がなくなる
返済すべき債権者の数が多いと、毎月の支払い手続きが煩雑になります。「ついうっかりして、1社だけ振り込みを忘れてしまった!」ということもありえる話です。弁済代行を弁護士に依頼しておけば、そのようなうっかりは無くなります。
●支払いの手間が省ける
借金を整理せざるを得ないようなケースでは、返済先が1社だけということは少なくて、3〜5社の人が多く、10社以上という人もいます。
毎月一度とはいえ、それだけの債権者に漏れなく返済を続ける手間はかなり大変です。弁済代行を利用すれば、この支払いの手間に悩まされることはなくなります。
●「家族や職場にバレる」がなくなる
返済を本人が自分で行う場合、もし返済の遅れがあると、自宅や職場に催促の連絡が来てしまうため、家族や職場の同僚に、借金をしていたことがバレてしまいます。
弁済代行を利用すれば、仮に返済が遅れたとしても、債権者からの連絡は弁護士に来るだけで、自宅や職場には一切来ません。
●手数料がかかる
前述のとおり、弁済代行を利用すると一定の手数料がかかります。
債権者1社につき、毎月1000円程度の金額を別途用意する必要があるので、返済が長期にわたれば相当の金額に達します。
ただ、弁済代行では、振り込み手続きはもちろん、業者との連絡もすべて代行者が行うので、その手間賃を考えれば、高い手数料とは言えないでしょう。
弁済代行を依頼できる弁護士は、あらためて探す必要はありません。
なぜなら、弁済代行は、債務整理を受任した弁護士がアフターサービスの一環として行うものであり、弁済代行だけを個別に受任することはないからです。
とはいえ、「数年前に債務整理をして、現在も返済中だが、来月から海外に長期出張することになったので、返済を誰かに代行してもらいたい」と言ったニーズはあることでしょう。そのような場合は、ホームページで弁済代行をしていることを公表している法律事務所などに問い合わせ、対応可能か確認してみると良いでしょう。
弁済代行を利用しなくても延滞せずに完済するコツは2つあります。
●返済資金の確保を優先するため、節約に励む
元はと言えば、自分の収入以上に浪費してしまったことが債務整理に至った原因であることが多いです。その習慣がそのままなら、再び返済が滞り、新たな債務を負担する羽目になります。借金を完済するまでは、節約を徹底しましょう。
●返済期日の忘れないよう、定期的に記憶の喚起に努める
返済資金の不足以外で延滞が起きるとすれば、「うっかりしていて、返済期限を忘れていた」というケースでしょう。
カレンダーや手帳、スマホアプリなどをフルに活用して、返済期日の10日前、1週間前、3日前というように、定期的な記憶喚起をしましょう。
借金の弁済代行は、つい返済日を忘れてしまう人や、無駄遣いしがちな人などにおすすめです。ただし、本文でも触れたように、手数料がかかるので、返済先が多い場合や、返済期間が長期にわたる場合は、慎重に選択する必要があるでしょう。
自分に弁済代行が適しているかどうか分からない場合は、最寄りの法律事務所の法律相談を利用して、アドバイスを得るのもおすすめです。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。
借金の支払いが遅れたり、債務整理が行われたりすると、個人信用情報機関に「異動情報」が登録されます。
異動情報が登録されると、ローンを借りられなくなったり、クレジットカードが使えなくなったり、さまざまなデメリットが生じることに注意が必要です。そのため、債務整理を行う前に、異動情報に関する注意点を理解しておきましょう。
本記事では、債務整理などによって登録される異動情報について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
お金を借りた債務者本人に代わって、第三者が借金などの債務を返済するケースがあります。このような第三者弁済が行われるケースは少なくありませんが、あらゆる場合に第三者弁済が有効となるわけではありません。
また、第三者が弁済する場合であっても、民法上の「第三者弁済」には該当しないことがあります。第三者弁済に当たるケースとその他のケースの違いについて、知っておいたほうがよいでしょう。
なお、第三者弁済が有効に行われると債権者は満足しますが、弁済した第三者と債務者との間には債権・債務関係が残ることに注意が必要です。
本コラムでは、第三者弁済とは何か、第三者弁済が有効となるための要件、さらには弁済した第三者による「代位」について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
「借金減額」という広告を目にすると「怪しい」と感じるかもしれませんが、法律に従った方法で借金を減額できる仕組みもあります。借金減額の方法にはいくつかの種類があり、それぞれ仕組みが異なります。
減額効果が高い方法ほど大きなデメリットが生じる可能性もあるため、方法の選択を誤ると「罠だった」と感じてしまうこともあるかもしれません。
本コラムでは、借金減額がどのような仕組みで可能となるのか、悪徳業者の罠ではないのか、どのようなデメリットがあるのか、正しい借金減額の方法とは何か、などについて解説します。