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車のローンを滞納するとどうなる? 支払えないときの解決方法とは

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更新日:2020年07月29日 公開日:2020年07月29日

車のローンを滞納するとどうなる? 支払えないときの解決方法とは

マイカー購入は、わたしたちが行う取引のなかでは、高額取引といえます。そのため、多くの人は、キャッシュでの買い物(一括払い)ではなく、ローンを組んで車を購入することが多いでしょう。

しかし、長期間でのローンを組めば、予測外の事情変更などが原因で、返済が苦しくなりローンを滞納する可能性があります。

そこで、今回は、車のローンを滞納してしまったときの流れや解決方法について解説していきます。車の購入を控え、今後のローンの支払いが気になるという人や、すでにローンの返済が苦しくなってしまった人はぜひ参考にしてください。

1、ローンを滞納したら車は引き上げられてしまうのか?

車のローンでは、「ローンを滞納したら車がどうなるか?」ということが一番気になると思います。すでにローンを長期間滞納してしまって「もう車はなくなってしまう」と諦めてしまっている人もいるかもしれません。

しかし、車のローンを滞納しても車を失わないというケースはあります。

  1. (1)ローンを滞納すると車を失ってしまう理由(所有権留保という担保)

    ローンを滞納したときに車を失ってしまうのは、ローン契約の際に「所有権留保」の設定をしている場合です。

    所有権留保とは、その名前の通り車の買主の所有権が(代金完済までの間)売主の元に留め置かれる(完全に移転しない)ことをいいます。

    売買というのは、法律上は代金と対象物(車)の所有権とを交換する契約をいいます。

    通常の売買は「同時履行」が基本となるので、代金を一括で支払うときに、購入物の所有権を「完全」に買主が取得します。

    しかし、ローン契約などの際には、代金の決済が完了するまでの間は、担保の一種として所有権の一部(最終的な処分権限)の買主への引き渡しが留保される場合があり、これを所有権留保とよんでいます。

    一般的な自動車ローンは、所有権留保が行われる売買の典型例のひとつです。

    車のローンのほかには、クレジットカードの分割払いのショッピング契約も所有権留保条項が設けられているのが一般的です。

  2. (2)自分の車に所有権留保されているかどうか確認する方法

    自分の車に売主の所有権留保が設定されているかどうかは、いわゆる車検証の所有者名義人欄に誰の名前が記載されているかで確認することができます。

    車検証の所有者名義人が「販売店(ディーラー)」もしくは「ローン会社」となっていて、ローンを完済していないときには、所有権留保が設定されています。しかし、実際には、所有権留保が設定されるケースのほとんどすべては、販売店名義となっています(名義をローン会社にするためには販売店からローン会社への名義変更をしなければならないため)。

    車検証を確認するのが面倒……という場合には、車のローンの債権者がどのような金融機関なのかということで、ひとつの目安を把握することも可能です。

    車のローンを信販会社のローン(ディーラー紹介・提携によるカーローン)で組んだ場合には、基本的に所有権留保が設定されていると考えてよいでしょう。

    これに対して、車のローンを銀行のローン(マイカーローン・目的別ローン)で組んだ場合には、所有権留保の設定がない場合の方が多いといえます。

    したがって、銀行でローンを組んで車を購入した場合には、ローンを滞納してもすぐに車を失うことはありません。

  3. (3)車の名義がディーラーになっていても引き上げられない例外的な場合

    車のローン契約が古い(平成22年以前が目安)場合には、車の名義がディーラーになっていても、所有権留保によって車を引き上げられない場合があります。

    古い車のローン契約では、契約上の所有権留保者(信販会社)と車の名義人(ディーラー)とが一致しない場合があるからです。

    最高裁の判例にも、所有権留保者と車の名義人とに食い違いがあるケースにおいて、信販会社の自動車の引き上げを認めなかったものがあります(最高裁平成22年6月4日判決)。

    ただ、それぞれの契約の細かな内容を法律知識のない人が素人判断することはとても危険ですから、このケースに該当しそうという場合には、弁護士の助言をうけておいた方がよいでしょう。

2、車のローンを滞納したときの流れ

車のローンを滞納してしまった場合には、次のような流れで、返済の督促・自動車の引き上げが行われます。

  1. ①「返済が遅れている」ことの確認・連絡(ハガキ・メール・電話)
  2. ②「督促状」の送付(①よりも強い督促)
  3. ③ 期限の利益の喪失(残額の一括請求)
  4. ④「自動車の引き上げ」または「裁判手続き」による強制回収

  1. (1)「滞納2か月」がひとつの目安

    車のローンを滞納したことで、車を失う危険が生じるのは、「期限の利益を喪失」した場合です。

    どのようなケース(どの程度の滞納)で期限の利益を失うかは、それぞれのローン契約で定められていますので、契約書を確認するのがもっとも確実です。

    車を購入(ローンを組んだ)する際には、必ず契約書が交付されています。しかし、すでに捨ててしまったという場合には、それぞれの債権者のウェブサイト(電話窓口)などから入手することも可能です。

    とはいえ、「たった1回の滞納(遅延)」で期限の利益を失うという契約になっていることはありません。

    基本的には、「滞納が2か月続き」となった場合には、期限の利益を喪失する場合が多いと考えておけばよいでしょう(滞納後に送付される督促状に期限の利益を失う期日が記されているのが一般的です)。

  2. (2)債権者が車を引き上げる方法

    債権者による車の引き上げについては、次の点について注意しておく必要があります。

    • 車の引き上げに裁判手続きは不要
    • 債権者が使用者に黙って車を引き上げることはない


    債権者が債務者の財産を差し押さえるときには、裁判所の手続きによることが一般的ですが、車の所有権留保は、当事者間の契約のみで車を引き上げることが可能です。

    なぜなら、代金完済前の車の所有権はディーラー側にあるため、所有者が自分の財産を引き上げることは、原則として自由だからです。

    とはいえ、実際にディーラー(信販会社)が駐車場に止めてある車を無断で持って帰るというようなことはありません。

    一般的には、期限の利益を喪失すると、債権者から「車の引き渡しの同意書」が送付され、署名・押印し引き渡しの手続きに同意するよう求められます。

    それでもなお、使用者(ローン滞納者)が引き渡しに応じない場合には、訴訟などの法的措置をとり、強制的に車を引き上げるための手続きに入ることが一般的です。

3、車のローン滞納を解消できないときの解決方法

車のローンを滞納してしまったときには、できるだけ早く滞納を解消することが何よりも大切です。また、滞納をすぐに解消できない場合には、「翌月も続けて滞納しない」ように細心の注意を払う必要があります。

2か月続きの滞納となり期限の利益を失えば、残額の一括請求(自動車の引き上げ)となってしまうからです。

  1. (1)ローンの自転車操業は危険

    ローンの返済が間に合わないときには、他の金融機関から追加で借り入れをしてその月の支払いに対応してしまうことがあります。このような返済のためにさらに借金して対応することを「自転車操業」とよぶことがあります。

    たしかに、「車を引き上げられたくない」のであれば、車のローンは何とかして支払わなければならないのですが、それでも自転車操業はとても危険です。

    自転車操業をすれば、借り入れの件数が増えるため、翌月以降の返済負担はさらに苦しくなってしまうからです。

    また、小口で無担保の借金は、車のローンよりも金利負担が重くなり、当初よりも「不利な条件の借金での借り換え」となってしまうため、絶対的な比較でも借金の負担が増えています。

    そのため、自転車操業は、さらに次の自転車操業の原因となってしまうことの方が多いといえ、借金を一気に増加させる危険も高くなります。

  2. (2)自力で返せない借金は「債務整理」で解決するのが基本

    車のローンも銀行・消費者金融のカードローンと同様に、債務整理することが可能です。

    ただ、所有権留保のある車のローンを債務整理した場合には、車は引き上げられてしまうことに注意しておく必要があります。

    とはいえ、車を持っていることは家計を圧迫する原因にもなりやすいので、「車を手放す」ということは、家計を建て直すためにも重要な要素となることが少なくありません。

    なお、債務整理の方法のひとつである任意整理をすれば、「対象とする借金を自分で選ぶ」ことが可能なので、車のローンを除外して他の借金だけの整理を行うことも可能です。

    たとえば、銀行・消費者金融のカードローンや、クレジットカードの分割払い(リボ払い)の負担が原因で、車のローンの支払いも苦しくなったというときには、金利負担の重い借金だけを任意整理することで車のローンの支払いが可能となることもあるでしょう。

  3. (3)車を手放したくないときにはどうしたらよいか?

    所有権留保がされている車を手放すことなく債務整理をするのは、基本的には不可能といえます。

    所有権留保は担保権のひとつなので、その権利は法律で強く保護されているからです。そのため、親族などに車のローンを肩代わりしてもらう(車を適正な価格で買い取ってもらう)くらいしか手放さずに済む方法はありません。

4、遅くなると解決のための選択肢も減ってしまう

借金の問題は他人に相談しづらいため、対応が遅くなりがちです。「車のローンが返せないなんて恥ずかしい」と思っている人も多いかもしれません。

返済がつらくなった借金は、対応が遅くなるほど、状況も悪化していく可能性が高いといえます。借金の返済は、家計の状況が悪化した場合でも、何もしなければ返済の負担は減らず、そのまま続けなければならないからです。

返済が苦しくなった初期の段階で対応すれば、債務整理以外の方法で対応できることもあるでしょう。しかし、借金の金額が増えていけば、解決のための選択肢も当然減っていきます。

特に、返済に行き詰まった債務者は、自転車操業などのように「目先の返済を何とかしよう」として中長期的にはリスクの高い対応をとってしまうことも少なくありません。

5、まとめ

車のローンが返せなくなったときには、精神的に落ち着かなくなる人も多いでしょう。車を失ってしまうと、生活に大きな支障が出ることも少なくないからです。

しかし、車のローンを1回滞納しただけで、いきなり車を引き上げられるということはありません。まずは、落ち着いて対応することが大切です。

「今月の支払いに遅れたら車を失ってしまう」と考えて、高い金利の借金で自転車操業をすれば、逆に車を失ってしまうリスクは増えます。

借金の問題は、他人に相談しにくいため、ひとりで抱え込んだことが原因で悪い方向に向かってしまうことも少なくありません。借金問題に詳しい弁護士であれば、「借金が返せない」ことを責めることもプライバシーを他人に漏らすこともないので、安心して相談することができます。

また、借金の相談は多くの事務所が無料相談を実施しているので、費用負担を心配せずに気軽に申し込むことができます。車のローンの返済が苦しいと感じたときには、取り返しのつかない状況になる前に、できるだけ早い段階で弁護士に相談するようにしましょう。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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