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【前編】国からお金を借りることができる!? その制度を解説

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更新日:2022年08月01日 公開日:2020年11月24日

【前編】国からお金を借りることができる!? その制度を解説

お金に困ったとき、皆さんはどこからお金を借りますか? 銀行のカードローンや消費者金融などを思い浮かべる方が多数派だと思います。

実は、国でもお金を貸してくれる制度があるのはご存じでしょうか?

今回は
・国からお金を借りることができる制度一覧リスト
をご紹介していきたいと思います。

ご参考になれば幸いです。

目次

  1. 1、国からお金を借りることができる制度一覧リスト
  2. 2、生活福祉資金貸付制度
    1. (1)対象者
      ①低所得者世帯
      ②障害者世帯
      ③高齢者世帯
    2. (2)生活福祉資金貸付制度の種類と借入限度額
      ①総合支援資金
      ②福祉資金
      ③教育支援資金
      ④不動産担保生活資金
    3. (3)借入要件
    4. (4)利率・連帯保証人の有無・返済方法
  3. 3、求職者支援資金融資制度
    1. (1)対象者
    2. (2)借入限度額
    3. (3)借入要件
    4. (4)利率
    5. (5)連帯保証人の有無
    6. (6)返済方法
  4. 4、母子父子寡婦福祉資金貸付
    1. (1)対象者
    2. (2)母子父子寡婦福祉資金貸付の種類と借入要件および借入限度額
    3. (3)利率・連帯保証人の有無・返済期間
  5. 5、年金担保貸付
    1. (1)対象者
    2. (2)借入限度額
    3. (3)利率
    4. (4)連帯保証人の有無
    5. (5)返済方法
  6. 6、緊急小口資金貸付
    1. (1)対象者
    2. (2)借入限度額
    3. (3)借入要件
      ①低所得世帯であること
      ②緊急かつ一時的に生計維持が困難な状況であること
      ③返済の見通しが立つこと
      ④社会福祉協議会での面接
    4. (4)利率
    5. (5)連帯保証人の有無
    6. (6)返済方法
  7. 7、教育一般貸付
    1. (1)対象者
    2. (2)借入限度額
    3. (3)借入要件
      ①一般の場合
      ②優遇制度対象の場合
    4. (4)利率
    5. (5)連帯保証人の有無
      ①(公財)教育資金融資保証基金による保証を利用する場合
      ②(公財)教育資金融資保証基金による保証を利用しない場合
    6. (6)返済期間
  8. 8、看護師等修学資金
    1. (1)対象者
    2. (2)借入限度額
      ①第一種貸与
      ②第二種貸与
    3. (3)利率
    4. (4)連帯保証人の有無
    5. (5)返済方法
  9. 9、まとめ

1、国からお金を借りることができる制度一覧リスト

以下、国からお金を借りる制度を一覧表にまとめました。

制度名 対象者
生活福祉資金貸付制度 低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯
求職者支援資金融資制度 失業者or仕事を探している人
母子父子寡婦福祉資金貸付 未成年の子どもを扶養している配偶者のいない父母
年金担保貸付 公的年金を受給できる人
緊急小口資金貸付 生活費の維持が緊急に困難となった人
教育一般貸付 子どもの入学金・留学金など
看護師等修学資金 看護師等養成施設学生

では次項から、それぞれの制度について説明していきたいと思います。

2、生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度は低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯を対象にした公的な貸付制度です。無利子~1.5%(年率)といった、超低利子でお金を借りることができます。

  1. (1)対象者

    ①低所得者世帯
    必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯。低所得に該当するのかの判断は、市町村民税の非課税世帯であることで判断します。

    ②障害者世帯
    身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯。

    ③高齢者世帯
    65歳以上の高齢者の属する世帯。

  2. (2)生活福祉資金貸付制度の種類と借入限度額

    生活福祉資金貸付制度は、

    • 総合支援資金
    • 福祉資金
    • 教育支援資金
    • 不動産担保生活資金


    の4種類が存在します。

    ①総合支援資金

    資金の種類 内容 借入限度額
    生活支援費 生活再建までの間に必要な生活費用を借りることができる 単身世帯の場合は月額15万円以内、二人以上世帯の場合は月額20万円以内
    住宅入居費 敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用を借りることができる 40万円以内
    一時生活再建費 生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費で賄うことが困難である費用 60万円以内


    ②福祉資金

    資金の種類 内容 借入限度額
    福祉費 日常生活上一時的に必要な経費を借りることができる 580万円以内
    緊急小口資金 緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合の少額の費用を借りることができる 10万円以内


    ③教育支援資金

    資金の種類 内容 借入限度額
    教育支援費 低所得世帯に属する者が高等学校、
    大学または高等専門学校に修学するために必要な経費
    <高校>月3.5万円以内
    <高専>月6万円以内
    <短大>月6万円以内
    <大学>月6.5万円以内
    就学支度費 低所得世帯に属する者が高等学校、
    大学または高等専門学校への入学に際し必要な経費
    50万円以内


    ④不動産担保生活資金

    資金の種類 内容 借入限度額
    不動産担保型生活資金 低所得の高齢者世帯に対し、一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金 ・土地の評価額の70%程度
    ・月30万円以内
    要保護世帯向け
    不動産担保型生活資金
    要保護の高齢者世帯に対し、一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金 ・土地および建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)
    ・生活扶助額の1.5倍以内
  3. (3)借入要件

    <借入要件>
    1. ① 住民税非課税(低所得)の世帯
    2. ② 65歳以上の人がいる世帯
    3. ③ 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人がいる世帯

    上記の①~③のいずれかに該当する世帯。

  4. (4)利率・連帯保証人の有無・返済方法

    利率 連帯保証人の有無 返済方法
    総合支援資金
    生活支援費 保証人あり
    無利子
    保証人なし
    年1.5%
    原則必要
    ただし、保証人なしでも貸付可
    据置期間経過後
    10年以内
    住宅入居費
    一時生活再建費
    福祉資金
    福祉費 保証人あり
    無利子
    保証人なし
    年1.5%
    原則必要
    ただし、保証人なしでも貸付可
    据置期間経過後
    20年以内
    緊急小口資金 無利子 不要 据置期間経過後12月以内
    教育支援資金
    教育支援費 無利子 不要 据置期間経過後
    20年以内
    就学支度費
    不動産担保生活資金
    不動産担保型生活資金 年3%、または長期プライムレートのいずれか低い利率 据置期間終了時
    要保護世帯向け
    不動産担保型
    生活資金
    不要

3、求職者支援資金融資制度

求職者支援資金融資制度は求職者支援制度の一環で、職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象とした貸付制度です。
信用保証料0.5%を含む年率3%という低金利で融資を受けることができます。

  1. (1)対象者

    下記の①と②の両方の要件を満たした場合、求職者支援資金融資制度を利用することができます。

    1. ① 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた人
    2. ② ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた人


    また下記の要件に該当する場合は上記の要件を満たしても制度を利用できません。

    • 貸付を希望する理由が不適当と認められる
    • 貸付金を返済する意思がない
    • 暴力団員
  2. (2)借入限度額

    ① 同居または生計を一にする別居の配偶者、子または父母のいずれかがいる場合
    月額10万円(上限)× 受講予定訓練月数(最大12)

    ② 上記以外の場合
    月額 5万円(上限)× 受講予定訓練月数(最大12)

  3. (3)借入要件

    職業訓練受講給付金の支給決定を受け、かつハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた人。

  4. (4)利率

    年率3%(信用保証料0.5%を含む)。ただし返済が遅延した場合は、遅延している元金に対して年14.5%の損害金の支払い義務が発生します。

  5. (5)連帯保証人の有無

    担保人・保証人は不要。ただし労働金庫が指定する信用保証機関を利用しなければいけません。

  6. (6)返済方法

    訓練終了月の4か月後の末日以降、貸付日から5年以内(貸付額が50万円以上の場合は
    10年以内)に元利均等払いにより返済。

4、母子父子寡婦福祉資金貸付

20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等を対象にした公的な貸付制度です。無利子~1.0%(年率)といった、超低利子でお金を借りることができます。

  1. (1)対象者

    20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等。

  2. (2)母子父子寡婦福祉資金貸付の種類と借入要件および借入限度額

    資金の種類 貸付対象 内容 内借入限度額
    事業開始資金 母子家庭の母
    父子家庭の父
    母子・父子福祉団体
    寡婦
    事業を開始するのに必要な設備、什器、機械等の購入資金 個人:2,870,000円
    団体:4,320,000円
    事業継続資金 母子家庭の母
    父子家庭の父
    母子・父子福祉団体
    寡婦
    現在営んでいる事業を継続するために必要な商品、材料等を購入する運転資金 1,440,000円
    修学資金 母子家庭の母が扶養する児童
    父子家庭の父が扶養する児童
    父母のない児童
    寡婦が扶養する子
    高等学校、大学、高等専門学校または専修学校に就学させるための授業料、書籍代、交通費等に必要な資金 ・高校、専修学校(高等課程)52,500円
    ・高等専門学校(1~3年)52,500円
    技能習得資金 母子家庭の母
    父子家庭の父
    寡婦
    自ら事業を開始しまたは会社等に就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金 一般:68,000円
    特別:816,000円
    運転免許:460,000円
    修業資金 母子家庭の母が扶養する児童
    父子家庭の父が扶養する児童
    父母のない児童
    寡婦が扶養する子
    事業を開始しまたは就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金 月額:68,000円
    特別:460,000円
    就職支度資金 母子家庭の母または児童
    父子家庭の父または児童
    父母のない児童
    寡婦
    就職するために直接必要な被服、履物等および通勤用自動車等を購入する資金 一般:100,000円
    特別:330,000円
    医療介護資金 母子家庭の母または児童(介護の場合は児童を除く)
    父子家庭の父または児童(介護の場合は児童を除く)
    寡婦
    医療または介護を受けるために必要な資金 医療:340,000円
    特別:480,000円
    介護:500,000円
    生活資金 母子家庭の母
    父子家庭の父または児童
    寡婦
    仕事ができないときの生活を安定・継続するのに必要な生活補給資金 一般:105,000円
    技能:141,000円
    住宅資金 母子家庭の母
    父子家庭の父
    寡婦
    住宅の建設・購入・補修・保全・改築または増築するのに必要な資金 一般:1,500,000円
    特別:2,000,000円
    転宅資金 母子家庭の母
    父子家庭の父
    寡婦
    住宅を移転するために必要な資金 260,000円
    就学支度資金 母子家庭の母が扶養する児童
    父子家庭の父が扶養する児童
    父母のない児童
    寡婦が扶養する子
    就学、修業するために必要な被服等の購入に必要な資金 小学校 63,100円
    中学校 79,500円
    国公立高校等
    160,000円
    修業施設  
    282,000円
    私立高校等
    420,000円
    国公立大学・短大等 380,000円
    私立大学・短大等 590,000円
    結婚資金 母子家庭の母
    父子家庭の父
    寡婦
    母子家庭の母または父子家庭の父が扶養する児童および寡婦が扶養する20歳以上の子の婚姻に際し必要な資金 300,000円
  3. (3)利率・連帯保証人の有無・返済期間

    資金の種類 利率 連帯保証人の有無 返済期間
    事業開始資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 7年以内
    事業継続資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 7年以内
    修学資金 無利子 ・親に貸付ける場合、児童を連帯借受人とする
    ・児童に貸付ける場合、親等を連帯保証人とする
    20年以内
    技能習得資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 20年以内
    修業資金 無利子 ・親に貸付ける場合、児童を連帯借受人とする
    ・児童に貸付ける場合、親等を連帯保証人とする
    20年以内
    就職支度資金 ・親に係る貸付けの場合
    保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    ・児童に係る貸付けの場合
    無利子
    児童に貸付ける場合、親等を連帯保証人とする 6年以内
    医療介護資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 5年以内
    生活資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 ・技能習得
    20年以内
    ・医療または介護
    5年以内
    ・生活安定貸付
    8年以内
    ・失業
    5年以内
    住宅資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 6年以内
    (特別の場合は7年以内)
    転宅資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 3年以内
    就学支度資金 無利子 ・親に貸付ける場合、児童を連帯借受人とする
    ・児童に貸付ける場合、親等を連帯保証人とする
    就学 20年以内
    修業 5年以内
    結婚資金 保証人有:無利子
    保証人無:年1.0%
    連帯保証人がいなくても貸付可能 5年以内

5、年金担保貸付

年金を担保に自由に使い道を選択することができる年金担保貸付。しかし年金担保貸付は、令和4年3月末(予定)で申込受付を終了するので注意しましょう※。

※厚生労働省「年金担保貸付事業に関する重要なお知らせ」より

  1. (1)対象者

    国民年金・厚生年金などの公的年金を受給できる人。

  2. (2)借入限度額

    1. ① 10万円~200万円の範囲
    2. ② 受給年金額(年額)の0.8倍まで
    3. ③ 返済金額1回あたりの15倍以内
  3. (3)利率

    年率1.8%。

  4. (4)連帯保証人の有無

    連帯保証人が必要。

  5. (5)返済方法

    独立行政法人福祉医療機構が年金支給機関から直接お金を受け取る。

    >後編はこちら

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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