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免責不許可事由とは? 該当する11のケースと免責が下りる裁量免責を解説

2020年03月10日
  • 自己破産
  • 免責不許可事由

免責不許可事由とは? 該当する11のケースと免責が下りる裁量免責を解説

借金を作った原因によっては自己破産が認められないことがあるって聞いたけど本当?
カードローンでお金を借りて、まだ1回しか返済してない。この状況でも自己破産は認められる?

実際に自己破産の手続きを進めていこうと考えている方の中には、上のような不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自己破産の手続きを進めていくうえで、もっとも大きな障害となるのが「免責不許可事由」の問題です。

免責不許可事由とは、自己破産による免責が認められないケースのことで、ギャンブルや浪費など借金を作った原因によっては借金の免責が認められないことがあるのです。
一方で、免責不許可事由に該当してしまうケースであっても、裁判官の判断によって免責が認められることもあることも理解しておきましょう。

今回は、以下のような項目について具体的に解説いたします。

・免責不許可事由について
・免責不許可事由になるケース
・免責不許可事由でも免責になる裁量免責について
・自己破産をしても免責されない(非免責債権)借金について
・自己破産できない場合に借金から解放される方法

自己破産についてのルールを正しく理解し、適切に手続きを進めていけば借金の苦痛から脱することができます。この記事があなたの借金解決に役立てば幸いです。

1、免責不許可事由とは免責されない理由のこと

一定の事情がある場合に、裁判所から免責許可が出ない(つまり借金の免除が認めてもらえない)ことを免責不許可事由といいます。
ごく簡単にいうと、自己破産をしたいと考えていても、この免責不許可事由に該当してしまうと、手続きを裁判所に認めてもらうことができなくなってしまうのです。

自己破産は、本当に借金で困っている人の人生を再スタートさせるのが目的であるため、免責不許可事由が定められています。
世の中には自己破産するのを前提に借金をしようと考える人もいますから、そうしたやり方を防止するために免責不許可事由というルールが設けられています。

2、免責不許可事由になるケース

免責不許可事由については破産法252条という法律で「こういうときは免責されない」という内容が定められています。

具体的な免責不許可事由として11個のケースがありますので、以下で順番に解説していきます。

  1. (1)不当な破産財団価値減少行為

    破産法第252条第1項
    債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。


    自己破産手続きの直前や、手続き期間中に財産を隠したり、壊したり、誰かに譲ったりすると「不当な破産財団価値減少行為」で免責不許可事由になります。

    自己破産による免責が認められると、あなたの借金はすべて免除される代わりに、あなたが所有している財産については現金化して債権者(あなたにお金を貸している人のことです)に分配しなくてはなりません。

    財産の価値を減少させると、債権者が本来受け取れるはずのお金が少なくなってしまうため、こうした行為をしてしまうと免責不許可事由に該当してしまうのです。

    「不当な破産財団価値減少行為」は、具体的には「現金を親族の口座に移す・所有している不動産を誰かに譲る・車の名義を変更する」などの行為が該当します。

  2. (2)不当な債務負担行為

    破産法第252条2項
    1. 二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。


    破産するのを前提にわざと借金をするような行為は、「不当な債務負担行為」に該当するため、免責不許可事由に該当します。

    たとえば、クレジットカードで商品を購入して売却する行為(いわゆるクレジットカードショッピング枠の現金化)や、 ヤミ金など法律で定められている金利(年利20.0%)以上でお金を借り入れする行為は「不当な債務負担行為」に該当します。

  3. (3)不当な偏波(へんぱ)行為

    破産法第252条3項
    1. 三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。


    「不当な偏波行為」とは、ごく簡単にいえば「債権者を平等に扱わないこと」をいいます。

    具体的には、次のような行為を指します。

    不当な偏波行為
    • 特定の誰かに優先して借金を返済する
    • 他の債権者へ損害を与えることを目的として、一部の債権者に返済を行う


    たとえば、親や友人が大事だからと、金融機関よりも優先して借金を返済すると「不当な偏波行為」になります。

    特定の人へ優先して借金を返済していますし、金融機関はお金を受け取っていないので、損害を被ったことにもなるからです。

    ただし、生活のためにガス・水道・電気代の支払いを行うことや、口座を空にするのを忘れて口座引き落としがされてしまったような場合には「不当な偏波行為」にはなりません。

  4. (4)浪費または賭博その他の射幸行為

    破産法第252条4項
    浪費又は賭(と)博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。


    収入とは不釣り合いな浪費や賭博、射幸行為(たまたま成功して得られる利益のこと:宝くじなど)を過度に行っているような場合は、免責不許可事由に該当します。

    浪費または賭博その他の射幸行為に該当するケース
    • パチンコやスロットのギャンブル
    • ブランド商品の購入
    • ホストやキャバクラ通い
    • 株やFXなど


    ただし、「浪費または賭博その他の射幸行為」は、裁判所に反省文を提出して生活を改善すれば、裁量免責になるケースが多いです。

    ※生活改善したことを証明するために、毎月の収支表を提出する必要はあります。

  5. (5)詐術による信用取引

    破産法第252条5項
    破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。


    借金を完済できないと知りつつ、支払いできるフリをして金融機関などから借り入れをすると、「詐術による信用取引」に該当して免責不許可事由になります。

    詐術というのは、簡単にいえば相手をだまし信用させて、返済能力はないのにお金を借りてしまうことです。

    具体的には、金融機関の審査の際に年収をごまかして借り入れしたのなら「詐術による信用取引」に該当する可能性が高いでしょう。

  6. (6)業務帳簿隠滅等の行為

    破産法第252条6項
    業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。


    仕事の業務や財産に関する書類の偽造や隠蔽(いんぺい)をすると、免責不許可事由に該当します。
    「業務帳簿隠滅等の行為」に該当する書類は、「出納帳・決算書・確定申告書」などです。
    給与取得者であるサラリーマンなら、副業をしない限り意識する必要はないでしょう。

    なお、記入忘れなどの故意に書類を改ざんする行為をしていないなら、免責不許可事由にはなりません。

  7. (7)虚偽の債権者名簿提出行為

    破産法第252条7項
    虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。


    自己破産手続では、あなたが借金をしている債権者すべてを一覧表にした書類(債権者名簿といいます)を裁判所に提出する必要があります。

    この債権者名簿に、故意で架空の債権者の名前を記載したり、わざと債権者の記入をしなかったりした場合は、免責不許可事由に該当してしまいます。

    よくあるのが、「親・友人・知人」などの借金を返済したい人の名前をわざと債権者名簿に載せないケースです。
    債権者名簿に名前を記載して破産手続を行うと、借金は帳消しになってしまうからです。
    親しい人にはきちんと返済したい気持ちがあっても、債権者名を債権者名簿に記載しないと、免責不許可事由になります。

    ちなみに、債権者名簿に債権者の一部を記入し忘れたような場合は、免責不許可事由には該当しません。

  8. (8)調査協力義務違反行為

    破産法第252条8項
    破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。


    裁判官書記もしくは破産管財人(※)に、破産手続に関する説明を拒んだり、虚偽の発言をしたりした場合には「調査協力義務違反行為」として、免責不許可事由に該当してしまいます。

    (※)破産管財人…破産者の調査や財産を売却して債権者に分配するなどする裁判所をサポートする弁護士

    財産を隠すなどの不誠実な態度を取ってしまうと、破産手続を進めてもらえなくなってしまいます。

    借金は約束通りに返済するのが大原則ですから、あなたが自己破産をすると、債権者には大きな損失を与えることになります。

    その埋め合わせとして、債権者は、あなたの財産を公平に分配して受け取る権利が認められているのです。

    「調査協力義務違反行為」は、こうした債権者の権利を害することになりますから、免責不許可事由にあたるとされています。

  9. (9)管財業務妨害行為

    破産法第252条9項
    不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。


    破産管財人が行う調査に対して妨害をすると「管財業務妨害行為」に該当するため、免責不許可事由になります。

    破産管財人の業務は以下です。

    破産管財人の業務
    • 破産者との面談
    • 破産者の財産を売却して現金化すること
    • 破産者を免責にすべき理由があるかどうかについての調査
    • 債権者集会(※)で債権者に対して破産者の状況や手続きの進行について説明すること


    (※)債権者集会…自己破産手続の中で、債権者に集まってもらい、破産者について調査した内容を報告する集会

  10. (10)7年以内の免責取得など

    破産法第252条10項
    次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。

    1. イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
    2. ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
    3. ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日


    過去7年の間に自己破産をして免責の許可を得ている場合や、 個人再生のうち給与所得者等再生による再生計画を認可されている場合は、免責不許可事由になります。

    個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、後者の個人再生を過去7年以内に行っている場合には免責不許可事由に該当します。

    なお、実際に利用される個人再生のうちほとんどは小規模個人再生ですので、個人再生後に自己破産を行うことが認められないケースはまれといえます。

    さらにいうと、過去に自己破産による免責や給与所得者等再生による再生計画を認可されている人であっても、裁判官の判断によって新たに自己破産による免責が認められるケースは少なくありません。

  11. (11)破産法上の義務違反行為

    破産法第252条11項
    第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。


    破産者が手続の際に非協力的な場合は、「破産法上の義務違反行為」に該当するため、免責不許可事由になります。

    具体的には、財産を隠したり、調査で虚偽の発言をしたりする場合が該当します。
    あなたの自己破産手続を進めようとする裁判官や管財人などの指示に従わないと、免責が認められないことがあるという意味です。

3、非免責債権について

非免責債権とは、簡単にいうと「たとえ自己破産手続によって裁判所の免責許可決定が出ても、免除されない債権」のことをいいます。

具体的には、破産法第253条に規定されている次のような内容の債権は、非免責債権に該当します。

非免責債権に該当する債権
  • 税金や社会保険料、水道代などの公共料金
  • 詐欺をしてお金をだまし取るなど、不法行為に対しての損害賠償金
  • 誰かに暴行を加えたなど身体を害する不法行為に基づく損害賠償金
  • 養育費など扶養義務のある費用

4、免責不許可事由でも、悪質でないなら裁量免責になる

ここまで説明した免責不許可事由に該当する場合、自己破産手続をしても免責を認めてもらうことができません。

一方で、「免責不許可事由に該当したら即ダメ」ということはなく、悪質な行為がなければ、免責を認めてもらえるのが実際のところです。

たとえば、浪費やギャンブルなどによって免責不許可事由のケースに該当しても、過度の状況でなければ、裁量免責(裁判官の判断による免責)になる可能性が高いでしょう。
実際、自己破産をした人の96.44%は、免責許可をもらっています。
※2014年:日本弁護士連合会と消費者問題対策委員会調べ

破産申し立てをした結果、免責不許可になるケースはごく少数にすぎないのです。
したがって、よっぽどの理由がない限りは、裁量免責になり借金を免れることができると考えておいてよいでしょう。

5、裁量免責できない場合は他の債務整理をする

免責不許可事由に該当してしまったことにより、自己破産による免責が認められない場合には、自己破産以外の債務整理の方法を検討する必要があります。

自己破産以外の債務整理の方法としては、個人再生や任意整理といったものが考えられます。これらは自己破産ほどの大きな効果はありませんが、借金の一部を減額してもらうことが可能です。

具体的には、個人再生では借金を5分の1程度にまで減額してもらうことができ、任意整理では利息の免除を認めてもらえます。

どの債務整理の方法を選択すべきか?については、あなたの借金の状況に応じて判断する必要がありますので、借金解決を専門にしている弁護士に相談することを検討してみてください。

6、免責不許可事由以外でも自己破産できないケース

ここまで、免責不許可事由に該当してしまうことにより、借金の免除が認められないケースについて解説いたしました。

一方で、免責不許可事由に該当するわけではないのに、自己破産が認められないこともあります。

具体的には次の2つのケースです。

  1. ①3年以内に借金を返済できる
  2. ②破産手続の予納金を準備できない


以下、それぞれのケースについて順番に説明いたします。

  1. (1)3年以内に借金を返済できる

    あなたの現在の収入で、借金の完済が可能であると裁判所が判断した場合には、自己破産による免責を認めてもらうことができません。

    自己破産は、債権者への借金が支払い不能だと裁判所が認めたときに行う手続きですから、返済が可能である場合には認めてもらえないのです。
    おおまかにいって、「利息を含めない借金の金額が3年以内に完済できる金額」である場合には、自己破産はできないと考えておきましょう。

    たとえば、100万円の借金がある場合は、月に3万円を返済に回せるなら、裁判所から自己破産の許可は下りない可能性が高いです。

    あなたが置かれている具体的な状況から、自己破産が認めてもらえるかどうか知りたい場合は、無料相談を活用して弁護士に相談してみましょう。

  2. (2)破産手続の予納金を準備できない

    自己破産手続を裁判所に申し立てる際には、「予納金」というお金を裁判所に預けなくてはなりません。

    この予納金を準備できない場合、自己破産手続を裁判所に受理してもらえませんので、結果として免責を受けることができません。
    予納金に関しては、法律では以下のようにルールが定められています。

    破産手続開始の決定について

    破産法第30条1項
    破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。


    自己破産の予納金は、同時廃止(※)で約1万5000円。
    ※裁判所によって金額は違う場合もあります
    (※)同時廃止…財産がない場合に行う自己破産の手続き

    少額管財(※)だと約22万円です。
    (※)少額管財…一定以上の財産がある場合などの自己破産の手続き

    ちなみに、裁判所によっては予納金を分割払いにすることが認められることがあります。
    どうしても予納金を用意できない人は、弁護士に相談してまずは債権者への返済をストップし、お金をためてから自己破産の手続きをすることを検討してみるとよいかもしれません。

    ※弁護士と正式に委任契約を結んだ段階で、弁護士から債権者に対して「受任通知」が送られ、受任通知を受け取った債権者(金融機関)は借金の督促をストップしないといけないというルールがあります。

7、まとめ

今回は、自己破産の申し立てをしても免責が認められない「免責不許可事由」として、11のケースを解説いたしました。

一方で、免責不許可事由に該当したとしても、裁量免責によって免責が認められる可能性があることも理解しておきましょう。
本文でも見た通り、実際に自己破産手続の申し立てをした人の96.44%は免責になっています。

「自分は免責不許可事由に該当するから自己破産は認めてもらえない…」とあきらめてしまうことはとてももったいないことです。

ベリーベストでは自己破産の手続きをお考えの方に対し、あなたが免責を認めてもらえる可能性があるかどうかを含め、適切なアドバイス・借金問題解決のサポートをいたします。お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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