債務整理 弁護士コラム
消費者金融などの債権者に借金をしてから、お金を返済しない状態が一定期間続いた場合、「時効の援用」という手続きによって借金をゼロにできる可能性があります。
これは、消滅時効の制度によるものです。時効の援用を行うには、メリットだけではなく、デメリットも存在することに注意しましょう。
本コラムでは、時効の援用とは何か、時効のメリット・デメリットや手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
借金をゼロにするにあたって、時効の援用とは具体的に何かを知っておくことは重要です。この章では、時効の援用に関する概要やメリット・デメリットについて説明します。
時効の援用とは、債務者(お金を借りている側)が債権者(お金を貸している側)に対して、「時効が完成したので借金の返済はしません」という意思表示をする手続きです。
借金には消滅時効があるため、お金を借りてから返済しない状態が一定期間続けば時効が完成し、借金の返済義務を免れる可能性があります。
消滅時効は、期間の経過により自動的に認められるのではなく、消滅時効の利益を受ける人がその効果を主張しなければなりません。これが「時効の援用」です。
債務者は、時効期間が経過した後、時効の援用をすることで借金をゼロにすることができます。
時効の援用には、以下のようなメリットがあります。
時効の援用には、以下のようなデメリットがあります。
時効の援用をするには、以下のような方法・流れで行います。
時効の援用をするには、借金の消滅時効期間が経過している必要があります。
借金の消滅時効期間は、原則として借金の返済期日または最終返済日から5年です。
まずは契約書や督促状、信用情報機関への照会などの方法により、消滅時効期間が経過しているかどうかを確認するようにしてください。
消滅時効期間の経過が確認できたら、時効援用の意思表示をするための「時効援用通知書」を作成しましょう。
時効の援用は口頭でも行うことができますが、証拠が残らないため、後日トラブルになるリスクがあります。そのため、書面により時効援用の意思表示をするのが一般的です。
なお、時効援用通知書には、以下のような事項を記載します。
時効援用通知書が完成したら、配達証明付き内容証明郵便を利用して、債権者に時効援用通知書を送付します。
配達証明付き内容証明郵便を利用することで、以下の事項を郵便局が証明してくれるため時効の援用をした証拠を残すことが可能です。
債権者に時効援用通知書を送付した後、債権者から時効を認める旨の連絡があることもあれば、何も返答がないこともあります。
1か月経過しても何も連絡がないときは時効援用が成功した可能性が高いといえますが、必ずしも時効援用が成立したとは限らないため、以後の請求や訴訟提起の有無を注意深く確認しましょう。
時効援用通知書を受け取った債権者から「時効の成立を裁判で争う」との連絡がきたときは、債権者から裁判を起こされる可能性があります。
このようなケースでは、裁判で消滅時効が成立していることを主張・立証していくことが必要です。法的対応が必要になるため、弁護士に相談して対応するのが望ましいでしょう。
この章では、消滅時効の援用ができないケースと消滅時効の援用以外で借金問題を解決する方法について説明します。
以下のようなケースでは、消滅時効の援用をしても借金をゼロにすることはできません。
① 時効の完成猶予
時効の完成猶予とは、一定の事由が生じることで時効期間の進行がストップし、時効の完成が先延ばしにされる制度です。
時効の完成猶予となる事由には、以下のようなものがあります。
② 時効の更新
時効の更新とは、一定の事由が生じることで時効期間の進行がリセットされ、新たにゼロから時効期間がスタートする制度です。
時効の更新事由には、以下のようなものがあります。
債権者に1円でも返済してしまったり、返済する意思を示してしまったりすると、これらは「承認」に該当し、時効が更新(リセット)されてしまうことに注意が必要です。
③ 時効の援用を許されない性質のものである
時効完成後に一部でも借金の返済をしたり、借金の存在を認めてしまったりすると、時効完成後の債務承認となり、信義則上時効の援用が制限されてしまいます。
時効完成後の債務承認があれば、債権者は「もはや時効の援用をしないだろう」という期待を抱くため、そのような期待を保護するために債務者の時効援用が制限されてしまうのです。
時効援用に失敗すると、債権者から遅延損害金を含めた借金の一括返済を求められてしまいます。大幅に増加した借金の返済が難しい状況であれば、早めに弁護士に相談して債務整理を行うようにしましょう。
債務整理とは、借金の返済負担を軽減または免除できる手続きであり、主に以下の3種類の手続きがあります。
債務整理の3つの方法には、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがありますので、最適な方法を選択するためにもまずは弁護士に相談することがおすすめです。
4章では、時効の援用に関するよくある質問とその回答を紹介します。
借金の時効は、借金の返済期日または最終返済日からカウントしていきます。借金の返済期日または最終返済日から5年を経過していれば、基本的に消滅時効を援用することが可能です。
なお、債務の承認や裁判上の請求などにより時効が更新・猶予されている場合は、起算点が変わることがあるため、ご注意ください。
連帯保証人は、保証債務の消滅時効の援用ができるとともに、主債務の消滅時効を援用することもできます。
ただし、主債務に時効の更新事由が生じたときは連帯保証人にも効力が生じますので、主債務者が借金の返済を続けている間は、主債務の消滅時効を援用することはできません。
通常、時効の援用手続きは債権者とのやり取りのみで完結するため、家族に知られることはほとんどありません。例外的に、債権者からの連絡が家族に届いた場合などは知られる可能性もあります。
時効の援用によって信用情報機関の事故情報が抹消されれば、新たにクレジットカードを作ることが可能です。
ただし、金融機関は独自の社内記録(社内ブラックリスト)を保有しているため、過去に滞納をしたことがある金融機関ではカードの審査に影響する可能性があります。
時効の援用は、個人でもできる手続きですが、知識や経験に乏しい方では時効援用に失敗するリスクがあります。
時効の援用に失敗すると、遅延損害金を含めた借金の元本を一括請求される可能性があるため、借金問題に知見がある弁護士に任せた方が確実です。
借金の返済期日または最終返済日から5年を経過した後であれば、消滅時効の援用をして借金をゼロにすることができます。
ただし、借金の時効には時効の完成猶予や更新制度があるため、単純に期間の経過だけでは判断できないケースもあることに注意が必要です。時効の援用に失敗しないようにするためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
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消費者金融などの債権者に借金をしてから、お金を返済しない状態が一定期間続いた場合、「時効の援用」という手続きによって借金をゼロにできる可能性があります。
これは、消滅時効の制度によるものです。時効の援用を行うには、メリットだけではなく、デメリットも存在することに注意しましょう。
本コラムでは、時効の援用とは何か、時効のメリット・デメリットや手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士が解説します。
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