債務整理 弁護士コラム

自己破産するとどうなる?生活や仕事への影響、 デメリットは?

2019年12月18日
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自己破産するとどうなる?生活や仕事への影響、 デメリットは?

「自己破産するとわたしはどうなってしまうのだろう」
そんな不安ばかりが先に立って、自己破産に踏み切れない人は少なくないようです。

たしかに、自己破産すると一定の不都合が生じる可能性があります。何のリスクもなしに、借金を棒引きしてもらうことは、やはり難しいからです。

しかし、「自己破産するとこんなデメリットがある」と想像していることや、いわれていることには、「あなたのケースでは起きないこと」や、過剰に思い込みすぎというものも少なくありません。

そこで、今回は、

・自己破産すると借金はどうなるのか?
・自己破産すると失う財産は何か?
・自己破産するとできなくなることは何か?

について解説していきます。

借金が返せなくなって「自己破産するしかない」と思っているけど、なかなか踏み切れないという人は参考にしてみてください。

1、自己破産は借金ゼロにする清算手続き

返せなくなった借金を解決する手続きには、自己破産のほかにも、「任意整理」、「特定調停」、「個人再生」といった手続きがあります。

このうち自己破産は、債務者のすべての負債を債務者が持っている財産で清算する手続きである点で、特徴があります。

他の手続きは、財産処分による清算は行われずに、将来の収入から借金の一部を返済していく手続きだからです。

  1. (1)借金をすべて免除してもらえるのは自己破産だけ

    自己破産すると、免責を得ることで残っている借金全額を免除してもらえますが、その代わりに、「できる限りの返済(財産処分)」を行わなければなりません。

    他方、財産処分を必要としないその他の手続きでは、借金の全額を免除してもらうことはできません。

    たとえば、個人再生では、「自己破産した場合の債権者への配当額」よりも最終的な返済額が多くなければ、裁判所は個人再生を認めてくれません。
    また、任意整理(特定調停)では、個人再生・自己破産よりも多い金額を返済しない限り、債権者が和解に応じてくれるということはないでしょう。

    「自己破産すると財産を失う」ことを「イヤだな」と感じる人は多いと思います。

    しかし、自己破産における財産処分は、「借金の全額免除」を正当化する(公平で平等な清算をする)上で必須の条件なので仕方ないことなのです。

  2. (2)手続き開始後の収入を完全に自由に使えるのは自己破産だけ

    自己破産は、「破産手続き開始決定の時点」を基準に、債務者の財産と負債を清算する手続きです。

    したがって、破産手続き開始決定より後に取得した財産は、すべて破産手続きの対象外となります。つまり、破産手続き開始決定より後に得た給料(収入)は、すべて債務者の自由にすることができるというわけです。言い換えれば、自己破産は、「もっとも早く借金問題から完全に解放してもらえる手続き」ということができます。

    この点は、あまり認知されていない自己破産の大きなメリットでもあります。

    個人再生・任意整理(特定調停)では、手続き終了後数年間は、収入の一部を借金の分割返済に充てなければなりません。

2、自己破産するとスッカラカンになるの?

自己破産すると財産を処分しなければならないので「スッカラカンになってしまう」ことを心配している人もいるかもしれません。

しかし、自己破産したからといって、すべての財産を没収されるということはありません。
自己破産した場合でも、生活に必要な財産は処分されずにそのまま手元に残すことができるからです。

以下では、「自己破産すると失う財産」、「自己破産しても失わない財産」について確認しておきましょう。

  1. (1)自己破産すると失う財産

    自己破産をしたときには、処分価値のある(高額な)財産のみが差し押さえの対象となります。

    実務の上では、以下に挙げるような「評価額が20万円以上の財産であるかどうか」が基準といわれています(東京地方裁判所の場合。申し立てをする裁判所によって基準となる金額が異なります)。

    • 不動産
    • 担保を設定している財産(自動車など)
    • 高額な資産(貴金属・預貯金・退職金など)


    ①不動産
    ほとんどの人にとって所有不動産(マイホーム)は、所有する財産のうちもっとも高価なものです。

    当然、自己破産した場合には、不動産はもっとも重要な配当原資として差し押さえの対象となります。差し押さえられた不動産は、裁判所の競売を通じて売却されるのが原則です。

    なお、住宅ローンの残ったマイホームがあるときには、いわゆる「住宅ローン特則付き」の個人再生を利用すれば、マイホームを失うことなく借金を解決できる可能性があります。

    ②担保を設定している財産(自動車など)
    担保が設定されている財産は、自己破産したときには、ほぼ例外なく処分されてしまいます。

    自己破産では「すべての借金を対象にしなければならない」ので、担保のある借金を除外することができません。
    そのため、担保権を有している債務者は、担保目的物を引き上げ、ローン残額の回収を図るからです。

    担保を設定したローンの代表は、住宅ローンですが、自動車ローンの場合にも、ディーラー紹介の提携ローン(信販会社のローン)の場合には、ほぼ例外なく担保権が設定されています。

    なお、銀行のカーローン(オートローン)には、担保を設定しないものが多いので、自己破産しても自動車の評価額次第では手元に残せる可能性があります。

    ③その他の高額な資産(貴金属・預貯金・退職金など)
    不動産や自動車以外の財産でも、貴金属のような高価な財産は、差し押さえの対象となる可能性が高いといえます。

    また、預貯金や退職金も自己破産した際には、差し押さえの対象となることがあります。預貯金や退職金は、すでに現在化された債権(法的に支払ってもらえる状態にある権利)だからです。

    預貯金は、すべての口座にある貯金が20万円以上となるときには、すべての預金が差し押さえの対象となるのが原則です(20万円以上の預金のある口座だけが差し押さえられるわけではありません。東京地方裁判所ではこのような運用ですが、申し立てをする裁判所によって運用が異なります)。

    退職金については「退職しないともらえないものなのに差し押さえられるのか?」と思う人もいるかもしれません。しかし、退職金債権は、「すでに現在化されている給料の後払い」として法律上は位置づけられています。

    とはいえ、退職金については全額が差し押さえられるわけではありませんし、「自己破産をしたら退職金をもらうために退職しなければならない」というわけでもありません。

    自己破産した場合に退職金(見込み額)が差し押さえの対象となるのは、「自己破産した時点で退職した場合に受け取れる退職金の額の1/8が20万円以上となる場合」だけです(東京地方裁判所の場合)。この場合には、1/8相当額を他の財産などから工面して破産管財人に支払うことになります。

    さらに、生命保険(学資保険)に加入しているときの解約返戻金が20万円以上(東京地方裁判所の場合。基準となる金額は申し立てをする裁判所によって異なります)になるときには、この解約返戻金が差し押さえの対象となります。ただし、契約者貸付を利用して解約返戻金の金額を減らしたり、受取人などに介入権を行使してもらったり、差し押さえ相当額を積み立てることができれば、生命保険の解約を回避することができます(学資保険の場合には解約返戻金を取り崩すと保険の意味がなくなる場合がほとんどなので、解約を選択する人が多いです)。

  2. (2)自己破産しても失わない財産

    自己破産しても、次にあげる財産は、差し押さえられず手元に残すことができます。

    • 法律によって差し押さえが禁止されている財産
    • 今後の生活に必要な財産(自由財産)
    • 自己破産後に取得した財産(新得財産)


    ①法律によって差し押さえが禁止されている財産
    法律は、下記の財産の差し押さえを禁止しています(民事執行法131条)。そのため、自己破産をした場合でも、これらの財産は差し押さえられません。

    • 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具
    • 債務者等の一月間の生活に必要な食料および燃料
    • 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭(66万円)
    • 農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、家畜およびその飼料、種子など
    • 漁業を営む者の水産物の採捕または養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ・稚魚など
    • 技術者、職人、労務者などがその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
    • 実印その他の印で職業または生活に欠くことができないもの
    • 仏像、位牌その他礼拝または祭祀に直接供するため欠くことができない物
    • 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿およびこれらに類する書類
    • 債務者またはその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
    • 債務者等(債務者の子を含みます)の学校その他の教育施設における学習に必要な書類および器具
    • 発明または著作に係る物で、まだ公表していないもの
    • 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
    • 建物その他の工作物について、災害の防止または保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械または器具、避難器具その他の備品


    たとえば、一般的な生活家電・家具の類いは、自己破産しても差し押さえの対象とはなりません。

    とはいえ、60インチの4Kテレビといったような、いわゆる贅沢品の範疇に入るような家電(20万円以上の価値があるもの)は、差し押さえの対象となり得ます。

    ②今後の生活に必要な財産(自由財産)
    上で紹介した財産は、債務者の今後の生活を保障する目的で差し押さえが禁止されているものです。

    自己破産した場合には、それ以外の財産は処分されてしまうことの関係で、手元にある程度の現金を残すことが認められています。

    たとえば、上の差し押さえ禁止財産とされる「標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭(必要生活費)」は、66万円とされていますが、自己破産の場合には、これに3/2を乗じた金額(99万円)までが差し押さえ禁止となっています。

    したがって、実務上の運用としては、保有している現金が99万円に満たないときには、その枠を超えない範囲で差し押さえ対象となるはずの財産を残せる場合があります。

    ③その他債務者の手元に残す特段の事情が認められた財産
    自己破産は債務者の「身ぐるみを剥ぐ」ための手続きではありません。したがって、債務者の手元に残しておくべき特別の事情があるときには、裁判所の判断で、本来は差し押さえの対象となる財産でも手元に残せる場合があります。

    たとえば、身体に障害があったり、要介護の家族がいるために自動車がなければ生活を送ることが難しい場合には、20万円を超える自動車であっても、差し押さえが見送られる可能性はあります。

    ただし、「車がないと通勤が不便になる」という程度の理由で車を残すことは認められません。

    ④自己破産後に取得した財産(新得財産)
    すでに解説したように、破産手続き開始決定より後に得た収入は、すべて債務者が自由に処分することができます。これを「新得財産」と呼んでいます。

    また、破産手続きを申し立てれば、借金返済はすべてストップになる(むしろ返済してはいけなくなる)ので、新得財産で、退職金や生命保険(解約返戻金)の差し押さえ額を積み立てられる場合も少なくないといえます。

3、自己破産すると生活に一定の制限がでる? 自己破産のデメリットとは

自己破産をすると、財産の処分を行うために、債務者は自らの財産について「管理処分権」を失います。
また、財産を確実に確保し、借金の状況を正しく把握するために、裁判所(破産管財人)は、必要な調査を行わなければなりません。

そのために、自己破産をすると、一定の「行動制限」が生じる場合があります。

「何かができなくなる」と言われると不安に感じる人もいるかもしれません。しかし、これから解説するように、「自己破産による制限」は、どれも限定的なものばかりです。

  1. (1)自己破産するとできなくなること

    自己破産するとしばらくの間は、一定のことができなくなる場合があります。

    ①新規の信用取引
    自己破産をすると、金融機関と新規の信用取引(融資を受ける、クレジットカードを利用するなど)ができなくなります。
    自己破産をしたことで、信用情報に傷が付いてしまうからです。

    ただし、信用情報に傷が付くのは、自己破産をした場合だけではありません。他の債務整理をした場合や、借金等の返済を長期滞納した場合にも、いわゆる「ブラックリスト入り」してしまいます。

    また、ブラックリストは一生続くわけではありません。むしろ、長期滞納をしてしまった借金をいつまでも抱えておくよりは、債務整理した方が早くブラック情報が消去されます(「喪明けする」と言うことがあります)。

    さらに、喪明け前であっても、その人の信用状態(年収や所有財産)次第では、融資を受けたり、カードを作れる可能性もあります。その意味でも、いち早く借金を解決して、家計を建て直した方が良い場合が多いといえます。

    ②資格制限
    自己破産をすると一定の資格を用いて仕事をしたり、特定の業務に就けなくなる場合があります。
    しかし、この資格・就業制限も一生続くわけではありません。これらの制限は、「復権」によって解除されるからです。通常のケースでは「免責確定」によって復権するので、資格・就業制限が生じるのは、数ヶ月~1年程度に過ぎません。

    また、制限が生じるのは、弁護士・公認会計士・宅地建物取引士・警備員といった「他人の財産を管理する職業」など一部のものに限られます。一般的なサラリーマンや公務員であれば、自己破産したことによって仕事上の不利益を受けることはまずありません。

  2. (2)自己破産すると裁判所の許可が必要なこと

    自己破産をすると、「引っ越し」、「長期の旅行」には、裁判所の許可が必要となります。
    裁判所が財産・負債などの調査をするにあたって、債務者に問い合わせしなければならないことがあるときにすぐに応じられるようにする、財産の隠匿を回避するためです。

    したがって、裁判所(破産管財人)の職務(破産手続き)に迷惑をかけない範囲であれば、旅行や引っ越しは問題がありません。

    よほど変な申請をしない限りは、裁判所は許可してくれると理解しておいて良いでしょう。転居・旅行の制限は、「自己破産したことのペナルティ」ではないからです。

    また、申し立てた自己破産が「同時廃止」となった場合には、これらの制限は全く生じません。差し押さえる財産が全くない同時廃止の場合であれば、財産が隠匿される心配もなく、破産手続きの開始と同時に破産手続きが終了するからです。

  3. (3)自己破産の家族への影響

    「自己破産すると家族に迷惑が掛かる」ということを気にする人は多いと思います。
    しかし、自己破産したからといって、家族の財産が差し押さえられるわけではありません。また、連帯保証人(あるいは保証人)になっていない家族に、借金の返済を求めることもありません。

    自己破産するような場合に、家族に迷惑が掛かるのは「家計に余裕がない」ことを理由とする問題がほとんどといえます。
    したがって、返せない借金を放置しておく場合の方が、家族にかかる迷惑も大きくなる可能性が高いといえるでしょう。

  4. (4)自己破産は周囲(会社、近所、親戚等)にバレる?

    自己破産することは、「体裁が悪い」と感じる人が大半でしょう。当然、誰にも知られたくありません。

    しかし、近所や勤務先、親戚などに自己破産したことを知られることは、これらの人から借金していない限り、ほとんどないといえます。

    自己破産した際には、氏名などの情報が「官報」に掲載されますが、官報を読んでいる人は、実際にはあまりいないからです。
    また、自己破産したことを会社に知られたとしても、「自己破産したこと」だけを理由に解雇することは、不当解雇になります。

    実際にも、周囲の人に「借金バレ」するのは、債務整理をしたからではなく、「借金を滞納して督促がきた」場合や、「借金が気になって普段と違う生活態度をとるようになった(仕事に集中できずミスが続くなど)」場合といえます。

4、借金をどうにかしたいというときは弁護士に相談しよう

多額の借金を抱えた状況では、どうしてもさまざまなことに不安を感じてしまいます。ましてや、自己破産はほとんどの人にとっては初めての経験です。わからないことが不安をさらに大きくさせることも少なくないでしょう。

そんなときには、弁護士などの専門家に「わからないことを聞いてみる」ことがとても有効です。借金問題は、ほとんどの法律事務所が無料相談を実施しているので、気軽に利用することができます。

また、自己破産について不安に感じていることには、思い過ごし、勘違い、過剰反応という場合も少なくありません。たとえば、同時廃止が見込まれるケースでは、自己破産してもデメリットがほとんど生じないという場合もあり得ます。

さらに、「自己破産でしか解決できない」と思い込んでいるときでも、自己破産以外の方法で解決できる見込みがあるかもしれません。

借金返済に不安を感じたときには、できるだけ早いうちに弁護士などに相談してみることが何よりも大切です。

5、まとめ

自己破産は、借金を全部免除してもらう手続きなので、免除と引き替えに一定の不利益が発生してしまうことがあります。

しかし、自己破産によって生じるデメリットは一生続くものではありません。ケースによっては発生しないデメリットもあります。

むしろ、これらのデメリットは「返せない借金をそのまま」にしておいた方が大きくなってしまうものも少なくありません。

借金問題は、早く対応するほど、解決の選択肢も多くなります。

一般の人にとっては「自己破産しかない」と思い込んでいるケースでも、弁護士などに相談すれば、他のもっとデメリットの小さい方法で解決可能という場合もあるかもしれません。

借金の返済が苦しいと感じたら、1日でも早く、弁護士などに相談してみましょう。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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