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脱サラ失敗? 再チャレンジするために知っておきたい4つのこと

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更新日:2019年12月13日 公開日:2019年12月13日

脱サラ失敗? 再チャレンジするために知っておきたい4つのこと

最近では、脱サラをして自分で事業を興すことを考えている人が増えているようです。

たしかに、自分で起こした事業に成功すれば、サラリーマン時代では考えられなかった収入を手に入れられる可能性があります。また、自分の好きなことを仕事にすることで、収入とは別のやりがい・生きがいを見つけられることもあるでしょう。

他方で、事業にはリスクがつきものです。実際にも、事業に失敗して多額の負債を抱えてしまったという人は少なくありません。

そこで、この記事では、

・脱サラが失敗しやすい原因
・脱サラで失敗したときの対処方法
・脱サラで失敗したと感じたときには早期に対処すべき理由

について解説していきます。

1、脱サラはなぜ失敗しやすいのか?

脱サラは、夢や希望だけでなく、リスクも抱えています。
実際にも、脱サラしてみたものの、商売がうまく行かずに借金を抱えてしまったというケースは珍しくありません。

まずは、脱サラが失敗しやすい原因について確認してみましょう。

  1. (1)自分のしたいことと顧客のニーズが合っていない場合が多い

    脱サラは、「人に雇われるのではなく、自分が好きなことをして暮らしていきたい」という思いで行う人も少なくありません。
    たとえば、趣味でそば打ちを始めたところ、「他の人にもおいしいそばを食べてもらいたい」と手打ちそば屋を開業するような場合がそうでしょう。

    しかし、商売は、何事も顧客があって初めて成立するものです。
    自分がしたいと思うこと、自分が良いと思う商品、自分がおいしいと思う料理を提供できていたとしても、それが顧客のニーズと合致しなければ、商売としては成立しません。

    短期間で失敗してしまう脱サラ開業の多くは、このように、自分のしたいことばかりが先に立って顧客のニーズに応えられなかったというパターンが多いのではないでしょうか。

  2. (2)経営者としての意識が足りない場合が多い

    脱サラをして自分で事業を興すということは、サラリーマン時代よりも重い責任を負うことになります。
    サラリーマンのときであれば、自分の業務だけに集中していればよかったといえますが、事業主になれば、目の前の業務だけでなく、すべてのことを総合的に検討し決断しなければなりません。

    しかし、脱サラに失敗してしまう事業主の多くは、経営者としての感覚(センス)や意識を十分に備えないまま開業に踏み切ってしまう人も少なくないようです。

    いわゆる素人経営の飲食店には、「お客さんは入っているのに利益が出ていない」というお店が少なくありません。
    そのようなケースの多くは、提供する商品とその価格設定に問題がある場合が少なくありません。実際の価格は、座席数や回転率、1日あたりの経費額などを総合的に勘案して決めるべきなのに、「自分の作りたい物が売れれば良い」という発想ではじめる脱サラのケースでは、そのような分析(価格の根拠)に欠ける場合が多いのです。

    また、人に使われる側から使う側にうまく転じきれない経営者も少なくないようです。
    最近では、コンビニや飲食店でも、「従業員がいない(集まらない・残らない)」ことを理由に店をたたむケースが増えています。

  3. (3)中長期の経営計画があいまいなケースが多い

    脱サラ開業するときには、どうしても「始めること」にこだわってしまいがちです。そのため「続けること」に目配せが足りないケースが少なくありません。

    たとえば、常連客のニーズが今後どう変わっていくのか、設備はいつまで持つのか(減価償却)、自分自身の休息はいつ取るべきなのか(過労で働けなくなりそのまま廃業というケースもあります)といった点に配慮がないまま、事業を始めれば、どうしても途中で行き詰まってしまうリスクも高くなるでしょう。

2、脱サラに失敗して多額の借金を抱えたときには債務整理で解決

脱サラに失敗してしまったときには、生活や浪費など借金の場合よりも多額の借金を抱えてしまうことが少なくありません。
せっかく一念発起してはじめた事業なので、「まだ何とかなる」、「これから挽回できる」と自分の商売を信じたくなることが多いと思いますが、借金問題は早期に手を打つことがとにかく大切です。

  1. (1)「債務整理=廃業」とは限らない

    脱サラで始めた事業につまずいてしまっても債務整理に踏み切れない理由のひとつには、「債務整理=廃業」という認識があるのはないかと思います。
    たしかに、そういうケースがあることは否定できませんが、事業の資金繰りが厳しくなっている事情によっては、必ずしも「債務整理=廃業」ではありません。

    たとえば、債務整理によって、有利子負債を圧縮したことで、資金繰りが改善し事業が継続可能となる場合もあるでしょう。
    また、事業の内容を評価しているスポンサーを見つけることができれば、債務整理後の資金確保にも問題が生じない場合も考えられます。

    特に、開業資金(開業後の設備投資費用)を高利の借金で工面したような場合には、上手に債務整理することで、逆に事業が続けられるようになることだって十分にあるのです。

    まずは、事業(資金繰り)が行き詰まってしまった原因を正確に把握しましょう。

  2. (2)事業に伴う借金は膨らむ速度も速い

    非事業者の場合に比べ、脱サラ開業した場合には、借金が膨らむ速度も当然速くなります。事業を続けていくには、通常の生活費よりも高額なコストがかかるからです。

    事業の継続可能性や、早期再チャレンジの可能性を残すためには、借金が1円でも少ないうちに、債務整理に踏み切ることが大切です。

    実際にも、一発逆転を考えてしまったために、より高額な借金を抱え、再チャレンジの可能性すら摘んでしまったというケースは少なくありません。

  3. (3)債務整理は自己破産だけではない

    事業者の債務整理というと、特に自己破産が思い浮かべられがちです。
    しかし、事業者の債務整理も、個人の場合と同様に、さまざまな方法で債務整理することができます。

    個人事業主であれば、個人再生を使えるケースもありますし、負債額が多額な場合でも民事再生を利用すれば、自己破産せずに負債を大幅に圧縮できる場合もあります。
    また、裁判所を用いない私的整理(任意整理・和解)で解決できる場合もあるでしょう。

    さらに、会社を作って事業を行っている場合には、社長がした個人保証も債務整理で解決できる場合もあります(経営者保証ガイドラインを適用して債務整理した場合)。

    債務整理の経験が豊富な弁護士に相談すれば、それぞれのケースの状況に応じて、最善の方法を選択してもらうことが可能です。

3、債務整理のデメリットは再チャレンジにどんな影響が出る?

一度脱サラ開業した人の多くは、その事業に失敗してしまっても、再度の起業(再チャレンジ)を志している人が多いと思います。

そこで、「債務整理した場合に再チャレンジにどんな影響があるか」ということについて確認しておきましょう。

  1. (1)自己破産しても会社は作れる

    「自己破産をすると会社が作れない」と思い込んでいる人は多いようですが、そのようなことはありません。

    法人(株式会社・持分会社(合同会社など))の設立は、過去に自己破産(債務整理)したことがある人でも問題なく行うことができます。
    少し極端なことをいえば、自己破産した翌日に株式会社を設立してその会社の役員(取締役)になっても問題ないのです。

    しかし、自己破産した場合には、宅建業のように一部の営業免許の許認可に悪影響が出る場合がありますので注意が必要です(自己破産以外は問題ありません)。

  2. (2)ブラックリスト入りは一生続くわけではない

    債務整理した場合には、信用情報に履歴が残ってしまいます。そのため、事業を行いたいと思っても融資してくれる金融機関が見つからないという問題が生じてしまいます。

    しかし、いわゆるブラックリスト入りは一生続くものではありません。ブラックリスト入りするのは、5年~10年と限られた期間の間だけです。

    逆に、借金を長期に滞納してしまったことでブラックリスト入りしたようなケースでは、すぐに債務整理した場合よりも長い期間ブラックリストに登録されることもあり得ます。
    つまり、「早く金融機関から借り入れできるようになりたい」と考えている人こそ、早期に債務整理で借金を解決した方が良い場合が多いともいえるのです。

    そもそも、自己資金ゼロでは、ブラックリスト入りしていなくても金融機関から融資を受けることは難しいといえますから、ブラックリスト入りの期間は、「自己資金を貯める時間」として、プラスに考えることも必要でしょう。

  3. (3)開業資金のいらない(少ない)事業も増えている

    「脱サラ開業には多額の資金が必要」と考えられがちですが、最近は開業資金の少なくて済む(借金しなくても開業できる)さまざまな事業や方法が増えています。
    たとえば、ネットを上手に活用した事業であれば、初期投資をかなり抑えて事業を始められる場合も多いでしょう。

    また、UberEats(ウーバーイーツ)のような飲食店形態(出前専門の飲食業)が普及してきたことで、自宅で作った料理をお客さんに販売できるようなシステムも構築されつつあります。

    初期投資は、脱サラ開業にとってはリスクでしかありませんから、金融機関から借金できないのなら、「借金しないでできる事業を考える」という発想の転換のきっかけにもなるかもしれません。

  4. (4)クラウドファンディングなどの方法で資金調達可能な場合も

    外部資金の提供を受けなければならない場合でも、いまの時代では、「金融機関以外から借りる」という選択肢があります。

    本当に自信のある事業であれば、クラウドファンディングの手法などで、金融機関から借り入れるよりも有利な条件で資金を集めることも不可能ではないでしょう。

    以上のようなことを踏まえれば、「ブラックリスト入りする」ことのデメリットは、以前に比べればそれほど重要な問題ではなくなりつつあるとも考えることができます。

4、脱サラに失敗した後に収入源はどうやって確保する?

脱サラに失敗したらその後はどうやって暮らしていったら良いのか? ということが不安な人もいるかもしれません。
少し極端かもしれませんが、この場合の選択肢は次の3つといえます。

  • 家族に養ってもらう
  • 再就職する
  • 再チャレンジする


  1. (1)家族に養ってもらう

    自分以外の家族(配偶者)に十分な収入があれば、扶養家族にはいって自分は家庭を守る側に回るというものひとつの選択肢でしょう。

  2. (2)再就職する

    自分自身に事業者としての才覚がないと感じたときには、再就職を考えるのも有力な選択肢です。

    再就職が決まるまでの生活費などについては、

    • 生活保護
    • 福祉支援資金


    といった公的な給付金・貸付金を利用して賄うことも可能です。

    また、新しい資格や専門技能を身につけて再就職したいというときには、ハローワークから教育訓練給付金の助成を受けることも考えられます。

  3. (3)再チャレンジする

    脱サラに失敗してしまった人の多くは、「いつかは再チャレンジを!」と考えていると思います。

    企業に就職しないという場合には、福祉支援資金などの利用はできません。また、生活保護では、再チャレンジに必要な資金を貯めることもできません。
    したがって、一時的な就職・アルバイトなど、考えられるすべての選択肢から、もっとも効率よくお金を貯められる方法を自分で見いだすしかありません。
    とはいえ、以前の脱サラ開業の経験が糧になって、就職先・アルバイト先で新しい人脈ができることもあるかもしれません。

    「再チャレンジを期する」という人には、目の前の困難にもくじけない強い気持ちが大切なのかもしれません。

5、「脱サラに失敗したかもしれない」と感じたときに早期の対処すべき理由

すでに何度か触れてきたことですが、「脱サラに失敗した」と感じたときには、できるだけ早く対処をすることが何よりも大切です。

事業がうまくいかない原因をきちんと分析することもせず、「運が悪い」、「いつか客が増える」と根拠のない事業を続ければ、ほとんどのケースで状況はさらに悪化してしまいます。

  1. (1)早く対処すれば、解決コストも小さくなる

    経営がうまくいかない原因を早期に解明し、有効な改善策を実行できれば、事業を廃業せずに、経営を建て直すチャンスを作れる可能性があります。

    また、廃業する場合でも、負債が膨らみきらないうちに撤退を決められれば、債務整理せずとも負債を自力(+身近な人の支援)で解決できる場合もあるでしょう。

    「離婚は結婚の何倍もエネルギーを使う」と言われたりするのと同様に、上手に事業を撤退することは、事業を始めることよりもはるかに難しいナーバスな作業です。
    その意味でも、「この事業は厳しい」と感じたときには、傷口をさらに広げる前に潔く諦めることも、その後のコストやデメリットを小さくするために重要なことといえます。

  2. (2)早く対処すれば、早く再チャレンジできる

    病気やケガも傷口が浅いうちに、症状が軽いうち対処できれば、当然治癒も早くなります。同様に、事業も負債が小さいうちに撤退できれば、それだけ再チャレンジのチャンスも早くやってきます。

    また、再チャレンジの際には、最初の脱サラ開業で学んだことは、必ず活かせます。実際にも実業家の世界では、「失敗したことのある経営者の方が優秀(強い)」という人も少なくないようです。

    失敗しないことにこだわるよりも、「失敗を次に活かす」ことを重視することが、脱サラ開業では大事なのではないでしょうか。

  3. (3)専門家をはじめ、周囲の力を借りる

    上でも触れたように、失敗した事業の処理はとてもナーバスです。自分のことだけでなく、取引先やメインバンク、従業員へのフォローにも細心の気配りが必要となるからです。

    事業を成功させるには、「人とのパイプ」が欠かせません。次のチャンスを確実につかむためにも、脱サラに失敗してしまったときこそ、取引先、メインバンクとの関係はきちんと維持すべきといえるでしょう。

    そのためにも、「失敗した」と感じてしまったときには、弁護士・税理士・公認会計士・中小企業診断士などの専門家に遠慮なく相談することが大切といえます。
    また、これらの専門家とのつながりができることは、次の起業の際に役立つことも多いでしょう。

6、まとめ

脱サラして事業を興すときには、夢と希望に満ちあふれていると思います。事業が行き詰まってしまったときには、思い描いていた未来予想図と現実とのギャップに苦しんでしまうことも多いかもしれません。
まだ何とかなるという思いは分かりますが、事業主だからこそ、時には自分に厳しい決断をしなければならないこともあります。

自分では判断できないというときには、弁護士などの専門家にアドバイスをもらうことはとても有効です。脱サラの失敗は、決して人生の終わりではありません。
脱サラの失敗などでお困りの際は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。あなたの状況に適した解決策のご提案をいたします。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国76拠点、約350名の弁護士が在籍
※2024年10月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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