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住宅ローンで自己破産するとマイホームはどうなる? マイホームを失わずに住宅ローンを解決したいときに知っておきたい5つのこと

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更新日:2019年12月10日 公開日:2019年12月10日

住宅ローンで自己破産するとマイホームはどうなる? マイホームを失わずに住宅ローンを解決したいときに知っておきたい5つのこと

全ての借金債務(借金の返済義務)をゼロにする自己破産。自己破産をするにしても、住宅ローンまでも支払免除になるのだろうかと不安に思っている方も多いことでしょう。

住宅ローンは、キャッシングやカードローンなどによる借金とは少し毛色が違います。その理由は、額が高額であること、ゆえに担保が自宅への抵当権という強力なものであることなどが挙げられるでしょう。

自己破産をしたら住宅ローンは残債ゼロになるのか。なるとしたら自宅はどうなるのかとお考えの方のために、今回は、

・自己破産をしたら残っている住宅ローン・マイホームはどうなるのか?
・ペアローンや、離婚した夫婦のケースで自己破産するとマイホームはどうなるのか?
・マイホームを何とか失わずに借金を解決するための方法

について解説していきます。

マイホームを残すことと、多額の借金を解決することは、どちらも自分の人生にとってとても大事な問題といえます。借金は解決したいが、マイホームがあるから債務整理に踏み切れないと考えている人はぜひ参考にしてください。

1、住宅ローンが支払えない! 自己破産したらマイホームはどうなる?

住宅ローンが残っている人が自己破産をしたときには、マイホームは、原則として手放すことになってしまいます。まずは、その理由と手続きの流れについて簡単に確認しておきましょう。

  1. (1)「自己破産するとマイホームを失う」のはなぜか?

    自己破産は、すべての借金を対象に手続きを行わなければなりません。

    そのため、住宅ローンの残りがあるときに自己破産を申し立てれば、(自己破産の原因が消費者金融など住宅ローン以外の借金であっても)住宅ローンも必ず破産手続きの対象になります。

    破産手続きでは、全ての債権者を平等に扱う必要があり、住宅ローンだけを返済することはできません。そのため、住宅ローンを滞納することとなり、残高の一括請求をされることになります。破産の手続き上、この一括請求に対しても支払うことはできませんから、住宅ローンの債権者は、抵当権を設定してあるマイホーム(とその底地)を売却して、ローン残額の回収を行うことになり、マイホームを手放さなければならなくなります。

  2. (2)ローン債権者が競売しても残った住宅ローンはどうなる?

    担保に設定した不動産の価値が下落したことなどの理由で、いわゆる「担保割れ」になっているケースでは、住宅ローン債権者がマイホームを競売にかけたとしても、住宅ローンを完済できない場合があります。

    その際には、ローン残額は、破産手続きに組み込まれます。この場合の住宅ローン債権は、他の借金と同様の取り扱いをうけます。
    つまり、担保の競売後に残った住宅ローン残額は、破産免責を受けることで全額免除されるということです。

2、ペアローン-片方の自己破産のときマイホームはどうなるの?

最近では、共働きの夫婦が増えていることを受けて、「ペアローン」で住宅ローンを組む人も増えているようです。
ペアローンの場合には、たとえば、「『マイホームの半分だけ』を競売するのは無理だから、自己破産しても手元に残せるのでは?」と思っている人もいるかもしれません。

しかし、ペアローンを組んでいる場合でも、夫婦の片方が自己破産すれば、マイホームは競売の対象となるので、失ってしまうのが原則です。

では、ペアローンの場合にマイホームを手放さなくて済ます方法はないでしょうか。

ペアローンの場合には、住宅ローン債権者である夫婦は相互に相手の住宅ローンの連帯保証人となるのが一般的です。したがって、自己破産しなかった配偶者に蓄えがあるときには、自己破産した債務者の住宅ローン残額を肩代わりすることも可能です。

ペアローンの場合に、マイホームを失わずに自己破産する方法としては、この方法がもっとも現実的でしょう。

3、住宅ローンを支払っている別れた元夫が自己破産したら家はどうなるの?

夫婦が離婚する場合には、慰謝料代わりに家を出て行く側が住宅ローンの支払いを引き受けるというケースも多いようです。たしかに、子どもがいるケースでは、離婚に伴う引っ越しなどを回避できる、今後の生活基盤を変わらず維持できるという点で、メリットがありそうです。

しかし、このような対応は、後にトラブルになりやすいので、実はあまりオススメできません。

離婚をすると、「家を出た側の生活費の負担が重くなる」、「自分が住まない家のローンを支払い続けるモチベーションが維持できなくなる」といった事情から、後に住宅ローンの支払いが滞ってしまうケースも少なくないのです。

そのため、家を出た(元)配偶者が自己破産すれば、住宅ローン債権者の抵当権が実行されることになり、他人が住んでいても強制競売の対象となります。

4、自己破産すると住宅ローンの連帯保証人への影響は?

住宅ローンを組むときには、連帯保証人が設定される場合もあります。
最近では、連帯保証人を必要としない、保証会社を使った住宅ローンが増えていますが、地方銀行などで住宅ローンを組んだ場合や、ペアローンを組んだ場合、親の土地にマイホームを建築した場合などには、連帯保証人が必要となることが多いです。

連帯保証人のいる借金を自己破産すれば、連帯保証人は、住宅ローン債権者から、ローン残額の支払いを求められます。

たとえば、1000万円の住宅ローンが残っている人が自己破産した場合であれば、

  • 1000万円の住宅ローン残額すべて
  • マイホームを競売しても回収できなかった残額


のいずれかの支払いを求められることになります。

マイホームが競売にかけられたときの残額については、主たる債務者(ローン名義人)は、破産手続きで返済義務を免除してもらえますが、この破産免責の効果は連帯保証人には全く及ばないからです。

したがって、連帯保証人のいる住宅ローンを抱えている人が自己破産する際には、事前に連帯保証人と十分な相談をしておく必要があるといえます。

5、マイホームを失わずに住宅ローンを解決したいときには個人再生

マイホームをできるだけそのまま残して借金を解決したいというときには、自己破産以外の方法を検討した方がよいといえます。
自己破産では、マイホームの処分を回避することは難しいからです。

住宅ローンのほかに多額の借金を抱えている場合や、住宅ローンそれ自体の返済が苦しくなったというときには、「個人再生手続き」を申し立て、「住宅資金特別条項」を適用してもらうことが考えられます。

住宅資金特別条項とは、マイホームの競売を回避しながら住宅ローンの返済を続けることができる特約のようなものです(「住宅ローン特則」とよばれることが多いです)。

また、個人再生が認められれば、住宅ローン以外の借金(元金+将来利息)を大幅に免除してもらえる場合もあるので、「自己破産しないと解決できない」と思い込んでいる多額の借金でも解決(分割返済)可能となる可能性があります。

6、借金返済・住宅ローン返済に不安を感じたら弁護士にご相談ください

多額の借金を自己破産で解決することは、ほとんどの人にとって初めての経験です。
したがって、わからないことも多く、不安が必要以上に大きくなってしまう、間違った情報に流されてしまうということも珍しくありません。
また、債務整理について詳しい知識がなければ、自己破産以外では借金を解決できないと思い込んでいることもよくあります。

借金問題は、早期に対応できれば、自己破産以外の方法でも解決できる可能性があります。
「マイホームを失いたくない」という気持ちは誰もがもっていると思いますが、そのために対応が遅れると、逆にマイホームを残したまま借金を解決できる可能性を摘んでしまうこともあります。

この記事では触れませんでしたが、建物だけに抵当権が付いている、一定額を親が支払ってくれると言っているが借金総額には足りない、など、ケースによってアドバイスはさまざまです。借金・住宅ローンの返済にちょっとでも不安があるというときには、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

7、まとめ

借金が返せないということは、誰にとっても不安なものです。マイホームを失うかもしれないということになれば、冷静に判断できない場合も少なくないでしょう。

しかし、借金問題は1人で抱えると、状況を悪化させてしまうことが少なくありません。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理の経験豊富な弁護士が親身になって、最善の解決方法をご提案いたします。借金の返済に行き詰まりだしたときには、状況がさらに悪化する前に、ぜひとも弁護士にご相談ください。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 36万8091件
  ※集計期間:2011年2月~2022年12月末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国73拠点、約360名の弁護士が在籍
※2024年2月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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