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自己破産で家族に及ぶ7つの影響|注意点とその他の借金解決方法

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更新日:2025年02月17日 公開日:2022年08月23日

自己破産で家族に及ぶ7つの影響|注意点とその他の借金解決方法

自己破産をすれば借金の返済義務が免除されますが、その一方でデメリットもいくつかあります。ご自身に生じるデメリットについては覚悟ができていても、ご家族に生じる影響が気になる方は多いことでしょう。

自己破産は個人単位の手続きなので、たとえ家族であっても、第三者に直接の影響が及ぶことは原則としてありません。しかし、生活を共にするために、家族に間接的な影響が及ぶことはあります。

本コラムでは、自己破産をすることで家族に及ぶ影響や注意点、その他の解決方法について、ベリーベスト法律事務所 債務整理専門チームの弁護士がご紹介します。

1、自己破産すると家族に影響が及ぶ7つのこと

自己破産をすると、家族にも次のような影響が及ぶ可能性があります。

  1. (1)持ち家を失う

    自己破産をすると、持ち家は手放さなければなりません
    自己破産では、原則として評価額20万円を超える財産は債権者への配当の引き当てとなります。通常、持ち家の評価額は20万円を超えるため、破産管財人によって任意売却されるか、競売にかけられるなどして処分されてしまうのです。

    そのため、同居家族は転居する必要があります。近くに転居先が見つからなければ、家族の転職や転校などが必要となることもあるでしょう。

  2. (2)自動車を失う

    自動車も、評価額20万円を超えるものは処分されます
    ローンが残っている場合は、ローン会社に自動車を引き揚げられてしまいます。自動車を失うと、家族の生活が不便になることもあるでしょう。

    自己破産後に得た給料で新たに自動車を購入することはできますが、破産者本人名義ではローンを組めないことに注意が必要です。

  3. (3)預金を失う

    預金については、20万円を超える場合に処分の対象となります。複数の預金口座がある場合には、合計額が20万円を超えるとすべての口座が処分の対象です。預金を失うと、家族の生活費に支障をきたす可能性もあるでしょう。

    なお、現金については99万円まで手元に残せることが多いですが、東京地裁など裁判所によっては33万円を超える現金を処分の対象としているところもあるので、注意が必要です。

  4. (4)保険が解約される

    生命保険など貯蓄型の保険も、解約返戻金見込額が20万円を超えるものは処分の対象となり、解約されてしまいます

    複数の保険があって、解約返戻金見込額の合計が20万円を超える場合は、すべての保険が処分の対象です。保険が解約されると、家族に万が一のことがあっても補償が受けられません。
    ただし、自己破産後は自由に保険の新規契約ができます。

  5. (5)家族カードの利用ができなくなる

    自己破産をすると、破産者本人のクレジットカードはすべて強制解約となります。それに伴い家族カードも強制解約となり、利用できなくなることに注意が必要です。

    家族カードがなくなると、家族が公共料金の支払いや、その他のキャッシュレス決済に不便をきたすおそれがあります。ただし、家族の信用情報に問題がなければ、家族自身がクレジットカードを作成することが可能です。

  6. (6)家族が保証人になっていると返済請求を受ける

    家族が保証人になっている借金を抱えて自己破産をすると、本人の返済義務は免除されますが、保証人である家族が返済請求を受けてしまいます

    家族も返済できない場合には、家族も自己破産などの債務整理を検討しなければならないこともあるでしょう。

  7. (7)一定期間は保証人になれない

    自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されることによる影響で、約7年間は他人の借金の保証人になることができません

    家族が住宅ローンや事業ローン、奨学金などを借りるために保証人を要する場合には、保証人候補者を別途探す必要性が生じることもあるでしょう。

2、自己破産しても家族に影響しないこと

以下のような点では、自己破産による影響が家族に及ぶことはありません。

  1. (1)保証人以外の家族に返済義務は生じない

    家族が保証人でなければ、破産者が抱えていた借金の返済義務を負うことはありません。債権者から「子どもの借金は親が返すべきだ」などと請求されることはないので、ご安心ください。

  2. (2)家族名義の財産は処分されない

    高価な財産があるとしても、それが家族名義のものであれば、自己破産手続きで処分されることはありません。ただし、共有名義になっている財産についてはご注意ください。

    たとえば、持ち家が夫婦共有名義になっている場合、処分対象となるのは破産者本人名義の部分だけですが、実際にはほとんどの場合、配偶者名義の部分も含めて売却せざるを得ないのが実情です。

  3. (3)家族の信用情報に傷はつかない

    信用情報機関のデータベースも、個人単位で管理されています。そのため、家族が自己破産をしても、他の家族の信用情報に傷がつくことはありません

    もっとも、ローンやクレジットカードの種類によっては、家族の信用情報も審査対象になることもあります。その場合、家族が自己破産していると、審査で不利になる可能性は否定できません。

  4. (4)家族の進学・就職・結婚は制限されない

    家族に自己破産歴があったとしても、他の家族の進学や就職・転職・結婚に対する法的制限は一切ありません

    自己破産したことは官報に掲載されるため、就職先や結婚を考えている相手方などに知られる可能性はゼロではありませんが、通常は心配不要です。

  5. (5)戸籍や住民票に自己破産は記載されない

    自己破産したことは、戸籍や住民票には記載されません。そのため、家族や親族に内緒で自己破産できることもあります

    本籍地の市区町村の役所に備えられている破産者名簿には氏名等が記載されることがありますが、破産者名簿は第三者に公開されるものではありません。それに、破産者名簿に掲載されるのは、破産者の免責が不許可となった場合など、ごく限られたケースだけです。

  6. (6)引っ越しや海外旅行が禁止されるわけではない

    自己破産の手続き中は、破産者本人が転居や2泊以上の宿泊を伴う旅行・出張をするときに裁判所の許可を要します。しかし、家族の転居や旅行・出張は一切制限されません

    また、免責許可決定が確定すると破産者本人の移動制限も解除されるので、家族での引っ越しや海外旅行もできるようになります。

3、自己破産で家族への影響が気になってもやってはいけないこと、できないこと

自己破産で家族に迷惑をかけたくないと思ったとしても、以下のことはできません。もしやってしまうと、自己破産が失敗に終わる可能性があるので、必ず避けるようにしましょう。

  1. (1)財産を隠して申し立てる

    自己破産手続きにおいて財産隠しをすると、免責不許可事由に該当するため(破産法第252条1項1号)、原則として免責が許可されなくなります。

    最終的に免責が許可されるとしても、破産管財人の調査によってほぼ確実に発覚して処分されるので、最初から財産は隠さず正直に申し立てることが必要です。

  2. (2)保証人付きの借金を除外して申し立てる

    自己破産をするなら、すべての債権者を裁判所に申告しなければなりません。保証人に迷惑をかけたくないからといって、保証人付きの借金を除外して申し立てると、やはり免責不許可事由に該当します(破産法第252条1項7号)。

    一部の借金を隠して申し立てをしても、裁判所や破産管財人の調査によってほぼ確実に発覚するので、申し立ては正直に行いましょう。

  3. (3)申し立て前に特定の債権者にのみ返済する

    親族や友人・知人からの借金や、保証人その他の担保付きの借金のみを申し立て前に一括返済する人もいますが、このような行為は「偏頗弁済」といい、免責不許可事由に該当します(破産法第252条1項3号)。

    最終的に免責が許可されるとしても、偏頗弁済を受けた人が破産管財人からお金を取り戻されることがあり、余計に迷惑がかかることになりかねません。

4、自己破産による家族への影響を回避する2つの方法

家族への影響を最小限にとどめて借金を整理するためには、自己破産以外の解決方法も考えられます。

  1. (1)任意整理

    任意整理とは、債権者との直接交渉によって借金の減額を図る手続きです。裁判所を介しないため、整理する借入先を自由に選べるというメリットがあります。そのため、住宅ローンや自動車ローン、保証人付きの借金などを除外して他の借金のみを整理することも可能です。

    ただし、任意整理で減額できるのは基本的に利息のみであり、元金の減額は困難です。したがって、借金総額が大きい場合には家族や親族に返済を手伝ってもらわなければ、完済することは難しい可能性もあります。

  2. (2)個人再生

    個人再生とは、裁判所に申し立てをして、借金を大幅に減額することができる手続きです。自己破産と同様にすべての債権者を裁判所に申告しなければなりませんが、自己破産とは異なるメリットがあります。

    原則として財産を処分する必要はなく、一定の条件を満たせば住宅ローンが残っている持ち家を維持することも可能です。ただし、高価な財産がある場合には「清算価値保障の原則」により、個人再生による返済額が高額化する可能性があることに注意が必要です。

5、まとめ

自己破産をすることで家族に間接的な影響が及ぶことはありますが、もともと財産があまりなく、保証人もいないようなケースでは、家族への影響はほとんどないことが多いものです。

家族への影響を回避できない場合には、任意整理または個人再生も視野に入れて、状況に合った解決方法を検討することが必要です。

ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、債務整理専門チームの経験豊富な弁護士が最適な解決方法を提案いたします。自己破産に関する不安を抱えている方は、お気軽に無料相談をご利用ください。借金問題に関するご相談は、何度でも無料です。

この記事の監修者
萩原達也

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
債務整理、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など、借金問題についてのお悩み解決を弁護士がサポートいたします。債務整理のご相談は何度でも無料です。ぜひお気軽に お問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
オフィス
[実績]
・債務整理の相談件数 13万1237件
  ※集計期間:2010年12⽉〜2024年12⽉末
・過払い金請求 回収実績件数 90253件
・過払い金請求 回収実績金額 1067億円以上
  ※集計期間:2011年2⽉〜2022年12⽉末
[拠点・弁護士数]
全国75拠点、約330名の弁護士が在籍
※2025年1月現在
[設立]
2010年(平成22年)12月16日

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